ようこそ事なかれ至上主義の教室へ   作:田中ハーレム

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ぺっくすしてました。これからも不定期投稿よろしくどうぞ。






裏表のない素敵な人です

 重い足取りを教室へ向けて数歩歩んだところで次は別の少女に呼び止められた。

 

「坂柳さんと仲いいんだね」

 

ショートカットのきゃぴきゃぴした感じの女の子だった。見た感じBクラスではないし坂柳を知っているようだからAクラス……?失礼な物言いだがあまりそんな感じはしない。

 

「いや、今初めて話したところだ」

「そうなんだ」

 

ふーん と。女子の ふーん ほどこわいものは……これ昨日もやった気がする。

 

「わたしDクラスの櫛田桔梗。よろしくね!」

 

Dクラスなのか。満面の笑みで自己紹介する彼女は特段、不良という感じはなくどちらかというと真面目そうで会話に難もなさそうで口調も変なところはないように見受けられとてもDクラスとかいう無収入軍団には思えない。

 

「Bクラスの田中誠だ。よろしくな」

 

彼女の差し出した手に握手する。童貞は女性と初めて手をつないだ時に勃〇するらしいが俺はそうでなかったので実は童貞ではなかったのかもしれない。とか失礼なことを考えていると櫛田が困ったような顔で話し出した。

 

「ねぇ、Bクラスはポイント支給された?こっちは支給されてなくて困ってるんだよね」

 

俺は先ほどのストーカー(坂柳)から聞いた情報のおかげで真相は分かっているのだがあまり手にした情報を適当に話しまくるのはよくないのかなと思い俺もポイントが入っていない風に装うことにした。俺自身も知らなかった情報だしな。

 

「そっか」

 

言うと櫛田は若干残念そうな顔をする。心がいたい。

 

「ここであったのも何かの縁だし連絡先交換しない?」 

 

そう櫛田が言うが否や携帯を差し出した。おいやめろ、勘違いしてしまうだろうが。

 

「わたしの目標はね、みんなと友達になることなんだ」

 

そんな櫛田のまぶしすぎる笑顔に俺は渋々携帯を差し出した。下からの上目遣いでにっこりとした笑顔、完全に計算しつくしているそれは彼女の男に対する賢さを表すと同時に俺の薄ら笑いを誘った。可愛い女の子は嫌いじゃないが取り繕いすぎるのは嫌いだ。人には本音を隠すことが必要な時もあるし俺だって取り繕ってる。だからその場では何も言わなかった。

ガチ天然美少女などこの世には0.001%のダニみたいな小さい確率でしか存在しうるを得ないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、清隆も櫛田さんのことしってんの?」 

 

 現在、食堂で昼飯を食べている。ああいうタイプは顔見知りがかなりいるだろうなとわかりきっていたことだが清隆が顔見知りとは結構いがいなもんである。

 

「入学式の日に乗っていたバスが一緒だったんだ」

「ほーん」

 

ちなみに今食べているのはただ飯ならぬ山菜定食である。なんとこれが無料なのだ。美味かったら昼飯代が今後浮く可能性もあるし食べてみようかなーとかそんな軽い気持ちで食べたのだがおそらく今後はあまり利用することはないであろう。今ばかりは目の前にある清隆のハンバーグ定食が恨めしく感じる。

 

「Aクラスに上がるにはコミュニケーション能力も必要なんだろうなぁ」

 

清隆が天井を見上げてそういう。初日の自己紹介を見た方はご存じであろうに清隆はコミュ力皆無なのだ。俺コミュ力自体はそんなに高くないしこいつが一緒のクラスで助かっている。ほんまに。

 

「でも櫛田さんはDクラスだぞ」

「え」

 

清隆が若干驚いた声をだす。

 

「まぁ裏表ありそうだしなー」

「なー、女ってほんと怖えから気をつけろよまじで」

 

とくにあいつ(坂柳)はまじで意味が分からない。そんなことを話していると、ふと後ろから声が聞こえた。

 

「へー、二人ともそんな目で私の事見てるんだ」

 

 

その顔は今朝見た時とは比べ物にならないほど負のオーラを纏っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 櫛田さんは裏表のない素敵な人です。櫛田さんは裏表のない素敵な人です。櫛田さんは裏表のない素敵な人です。櫛田さんは裏表のない素敵な人です。櫛田さんは裏表のない素敵な人です。櫛田さんは裏表のない素敵な人です。

 

 俺たちはなぜか櫛田さんに連れられて監視カメラのない屋上にいた。いや、もうそんなことしたら性格悪いですよわたしーって言ってるようなもんじゃん。俺たちがそんなに言いふらすようにみえる?ていうかそんな確証なく適当にしゃべってただけなんだけど助けて。

 

「どこらへんから?」

 

え。

 

「どこら辺から勘づいてたって言ってんの」

 

ひぇ……。お前マジで誰だよ猫かぶってたとかそういう話じゃなくて表情筋の使い方から変わってんじゃん。俺のドン引き具合を察したのか清隆が発言する。

 

「おいまて櫛田、お前のそれはただの早とちりで俺たちはーー「うっさい」……うす」

 

清隆が一喝されて俺たちはしゃべる口をなくしてしまう。どうすんのこれとか思ってると自ずと櫛田が口を開いた。

 

「あーあ心配して損した。まじで最悪。それで、あんたたちが言いふらさない信用はあんの?」

「信用を得ればここから解放してくれんの?」

「うん。じゃなきゃ退学させるから」

 

この女、満面の笑みである。いやはや、それにしてもどうしたもんか。なんかこう適当にごまかせないものか。あっそうだ。

 

「じゃあ俺と付き合ってよ」

「あんま舐めたこと言ってると殺すよ?」

 

即答で振られました。そりゃそうだ。でも条件とかあんまり思いつかないし何もしてこなければ何も言いふらさないんだけどな。

 そこからというもの俺たちは何も思いつかず昼休み終了までひたすらに無言で粘っていたのだが、気が気でない櫛田はめちゃくちゃこちら側をちらちらと見ていた。そもそも裏の顔がばれたところでそんなに大事には至らないと思うのは俺だけなのだろうか。容姿だけはめちゃくちゃレベル高いからどっかの櫛田信者がギャップ萌えもキュンキュンする~とか言って櫛田ファンクラブみたいなのができてむしろ防御力高くなりそう。

とかくっそ適当なことを考えてたら櫛田がしゃべった。ようやく解放される。

 

「あんたと付き合ったら言いふらさないの?」

「え、あ、うん」

 

あれちょっとまってくださいこの流れは非常にまずいというかーー

 

 

 

「付き合おっか」

 

 

 くっそダークな笑顔でそういわれた俺はそっすねとしか返す言葉が見当たらず清隆に関しては普段うごかない表情筋が櫛田なみにうごくレベルで驚愕してたし。

 

 

 

 どうすんのこれ。

 

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