犠牲の道   作:百日紅 菫

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7話 共闘

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 74層の攻略。それは、攻略と呼ぶには強引すぎるモノだった。

 25層での攻略部隊壊滅以来、第1層を支配していた巨大ギルド『アインクラッド解放軍』の攻略パーティが単独でボス攻略に挑んだのだ。レベルも武装も安全マージンには遠く及ばない彼らは、迷宮区での戦闘で疲労困憊になりつつ、無謀にもフロアボスへ挑んだ。

 結果を言えば、25層の二の舞になりかけた。

 道中に出会ったキリトと風林火山、ヴィクティムの捜索をしていたアスナが駆け付けなければ、間違いなく全滅していただろう。

 その最中。少人数でのボス戦に危機を感じたキリトが、この世界で二つ目となるユニークスキル『二刀流』を発動した。現在分かっているスキル中、最多連撃を誇る16連撃のソードスキルを以て悪魔のようなフロアボスを撃破。計画性も無ければ勝算も薄かったが、攻略組でも高レベルなチームワークを発揮できるメンバーが揃っていたことと、キリトのユニークスキルが幸いしたのだった。

 偶然に偶然が重なり、少人数でのフロアボス攻略となったが、それを知ったプレイヤーの興味はキリトの二刀流だった。ヴィクティムの単独撃破という前例があるからか、少人数での攻略については一切触れられなかったのだ。

 ともかく、74層の攻略は終了し、誰もが次のクォーターポイントに目標を置いていた。

 今までも油断していたわけじゃない。死の恐怖に競り勝ち、ボス攻略を比較的安全に推し進め、他のプレイヤーの為にレッドプレイヤー討伐戦を敢行し、粛々と攻略を進めてきた。

 だが、それ故に彼らは過去の悪夢を思い出してしまう。

 フロアボス戦での死者数の大半を占める、25層と50層での攻略戦。死ななかった彼らにも恐怖を植え付けた先の戦闘は、次の攻略まで多大な時間を必要とさせた。

 75層の攻略は、それ以上の死者を出すかもしれない。

 74層攻略と同時に75層での情報収集を始めてはいるものの、クォーターポイントでは何があっても不思議ではないのだ。74層のボス部屋では回復結晶や転移結晶が使えなかったことを見るに、結晶が使えない可能性も高い。

 過去最大の難関。

 だが、彼らには希望もあった。

 それこそがヴィクティムの、絶影と呼ばれる最強の一角たるプレイヤーの攻略組への参加だ。

 

「久しぶり、アスナさん」

 

 

 

 

 

 

 『神聖剣』ヒースクリフと『二刀流』キリトのデュエルは、下層のプレイヤーをも呼び寄せ、アインクラッドで生存しているプレイヤーの半分が観戦に来るほどの興行だった。

 両手に携えた二刀を苛烈に振るい、生ける伝説を追い詰めるキリト。

 その猛攻を的確に十字盾で撃ち落とすヒースクリフ。

 第一層が攻略されたことを知った時程の盛り上がりを見せたデュエルは、キリトに僅かな疑問を抱かせつつもヒースクリフの勝利で幕を下ろした。

 最後の一瞬で見せた、弾かれた盾を引き戻すあり得ない速度。まるで彼以外の時間が遅くなったような感覚。

 奇妙な感覚を残したデュエルは、出店を出していた商人たちにも多大な利益を齎し、ヒースクリフが団長を務める血盟騎士団とキリトは、見慣れない額の収益を得ることになった。

 そんなデュエルで、ただ一人盛り上がることなく、冷静にヒースクリフの実力を見極めていた者が一人。

 

 ヒースクリフとの取引を結ぶか決める為、早々に74層を攻略してしまおうと考えたヴィクティムは最速でボス部屋まで辿り着いた。しかし、そこにやってきたパーティを見て、一人でやるより複数で攻略したほうが早いだろうとその場から離れたのだ。そこにはゲームに詳しくなく、たった一人で攻略をし続け、この世界で人との関わりを持ってこなかったが故の勘違いがあった。

 SAOのフロアボスはレイド仕様であり、フルメンバーで1時間かかるのが常だ。ボスの特性によって多少前後するだろうが、パーティ一つで攻略することなど基本的には無い。その上、マッピングしながら迷宮区にやってきて、そのままボスへ挑むプレイヤーは皆無だ。

 つまり、軍の暴走と、迷宮区に居たアスナ達との遭遇がなければ、ヴィクティムの想定していた最速にはならなかったのだ。そういう意味では、74層攻略に置いて最も運が良かったのはヴィクティムともいえる。

 そんな偶然があったとも知らず、ヴィクティムは二人のデュエルを選手入場口から観戦し、取引に応じることを決めた。決定打となったのはヒースクリフの実力がヴィクティムを殺せるレベルだった、という訳ではなかったが、それでも彼は攻略組のボス戦に助太刀することを決めたのだ。

 それの意味するところは、忌避していたアスナとの再会。

「ティム君、今日はよろしくね」

「うん、って言っても、僕は遊撃だからあんまり関係ないけどね」

「そんなことないわ。私たちのギルドが指揮を執る以上、絶対に誰も死なせない」

 もちろん、貴方も。

 言外に伝えるアスナから目を逸らし、ヴィクティムは周囲を見渡す。

 誰もかれもが見た目は子供で、初見で見慣れないヴィクティムを見ている。ただ、噂だけは聞いたことがあるのか、コソコソと影で話している。

 そのことに目を細め、小さく舌打ちをすると同時に、転移門が輝く。

 光の中から現れたのは、深紅の鎧に身を包んだヒースクリフと血盟騎士団のメンバーだ。

「あんまり気負いすぎないほうがいいんじゃない?血盟騎士団のトップはヒースクリフでしょ?」

「そうだけど、私が貴方を死なせたくないの」

 数か月ぶりの再会だというのに、それを感じさせない会話を続ける。

 ヴィクティムは元より人と会う回数が少ない生活を送っていたので違和感はないが、あれだけ必死にヴィクティムを探していたアスナが落ち着いているのには訳があった。

「それに、ようやくティム君を守れる場所に来たんだもの」

 自分の手が届かない場所に居たヴィクティムが、危険なボス部屋とはいえ手の届く場所にいる。例え攻略組全員が死んでしまうようなボスだったとしても、彼だけは生かしてみせる。その為に、自分の実力が発揮されないなんて状況も、精神状態も作ってはならない。守りたいのなら、自分の全てを賭けて守る。

 正直なところ、アスナがヴィクティムを守りたいと思う理由の大半は憐みだ。不幸な人生を送ってきた少年に未来を与えたい。その程度だ。

 けれど、アスナにとってはそれが大事だった。

 親や教師、クラスメイト達の期待に応え、敷かれたレールの上から落ちないように生きてきた。

 それが仮想世界に来て台無しになったと思った。けれど、ここも現実だと思うようになり、初めて自分の意志で現実に戻ること以外の決意をした。

 自分勝手な決意であることは分かっている。彼にとって屈辱的な憐みかもしれないことも知っている。

 それでも、彼には生きていてほしい。

「そう。僕は自由にやるから、アスナさんもご自由にどうぞ」

「うん、絶対に生きて帰ろうね」

 噛み合っているのか微妙な会話を続ける二人を余所に、今回のレイドリーダーを務めるヒースクリフが青い結晶を掲げる。

「コリドー、オープン」

 回廊結晶と呼ばれるそれは、ラフコフ討伐戦でも使われたもので、一度行ったことのある場所を設定することで一度だけ転移が可能になるレアアイテムだ。討伐戦では監獄エリアを設定していたが、今回は75層のボス部屋前を設定している。

 ヒースクリフに続いて光のゲートを潜り抜けると、そこには巨大で禍々しい扉がある。辺りは薄暗く、迷宮区に入ったのだと分かった。

「よう、ヴィクティム」

 そこに来て話しかけてきたのは、黒い肌の巨漢。ヴィクティムが行きつけていた商店の店主にして、攻略組でも上位の攻撃力を誇る斧使い、エギルだ。

「およ、エギルさん。なんでいるの?」

「ボス戦の戦利品で一儲けするために決まってんだろ」

「おおう、頭撫でないで。結ぶのめんどくさいんだから」

「悪ぃ悪ぃ」

 はっはっは、と大げさに笑うエギルに釣られて、口角を上げるヴィクティムと微笑むアスナ。その周囲には、いつの間にかキリトと風林火山がいて微笑ましく眺めていた。

 

「さて。基本的には血盟騎士団が前衛にてボスの攻撃を受けるので、その間に可能な限りボスの攻撃パターンを見極め、攻撃に転じてほしい」

 アインクラッドで精鋭中の精鋭を集めたレイドの先頭で、赤い鎧を纏い、十字の大楯と銀の剣に手をついて、今回の作戦の概要を説明する。

 と言っても、作戦なんてあって無いようなものだ。75層のフロアボスについては情報が一切ない。フラグクエストも見当たらず、前の層までならばあった前情報が無かった。その上、直接ボスの情報を掴むために送り込んだ先遣隊は、ボス部屋に入るとともに扉が閉まり、十分後に開いたときには消えていた。生命の碑を確認してみれば、先遣隊のメンバーは全員が死んでいて、ボスの姿もわからない。

 今まで攻略を進めるうえで最も重要だった『情報』という武器が無い。

 クォーターポイント。前層のボス部屋での結晶無効化エリア。たった十分で先遣隊とはいえ攻略組のパーティを全滅させられる攻撃力。人型なのか、そうでないのか。武器の種類さえもわからない。

 だからこそ、高レベルのタンクが揃う血盟騎士団が前衛を担う。トップギルドとしての責任感もあったかもしれない。

「今回のボスに関しては情報がほとんど無い。しかし、諸君らであれば必ずや次の層に進めると信じている。さらに、本作戦には私の神聖剣、キリト君の二刀流に加え、かの絶影が参加している」

 その言葉にざわめき立つ。絶影の名は、ユニークスキルに匹敵するレベルで知れ渡っているのだ。

 その様子を見て笑みを浮かべたヒースクリフは、すぐに真剣な表情に戻り、盾を構えて剣を抜いた。

 剣を掲げて、叫ぶ。

「解放の日の為に!」

 ボス部屋の扉を開き、レイドメンバー総勢48名が己の武器を掲げて突入する。その最後尾に、菊一文字を右手に持ったヴィクティムが続いた。その姿に緊張は無く、死ぬことを恐れている他のメンバーとは明らかに違う。

 笑っている。

 一瞬だけ振り返ったキリトが、ヴィクティムを見て恐れを抱く。この状況で笑っていられるプレイヤーの存在を信じられないのだ。思えば、ラフコフ討伐戦の時も彼は笑っていた。

 しかし、直ぐに目の前の状況に集中する。

 一歩間違えば死ぬのは自分で、仲間で、愛している恋人だ。アスナがヴィクティムを死なせたくないのと同じように、キリトも彼らを死なせたくない。

「……何も、起きないぞ」

 全員がボス部屋の中に入るとともに、重く巨大な扉が閉まっていく。先遣隊と同じ、脱出不能のギミックだ。

 しかし、真っ暗な部屋の中では何も起きず、攻略組の装備の音だけが僅かに聞こえる。

 そのうち、誰かが警戒しつつ呟いたその瞬間。

 メンバーの最後尾にいたヴィクティムが低い姿勢で走り出した。

「ヒースクリフ!飛ばして!」

 ヒースクリフの後方からプレイヤーの間をすり抜けるようにして駆ける。そこから跳躍し、即座にヴィクティムの言葉に反応したヒースクリフが斜めに構えた盾に飛び乗った。

 

「ぬ、ん!」

 

 次の瞬間、ヒースクリフの裂帛の気合と共に天井へと打ち上げられた。

 まるでロケットのように天井へ飛翔するヴィクティムは、刀を両手に持ち直し、天井に張り付いていたそれを切り裂く。何を斬ったのか、確認する前にそれは落下していく。対してヴィクティムは勢いのままに天井へと着地し、刀を突きたてて蜘蛛のように張り付く。

「でっかいなぁ。でも、強そうだ」

 さかさまになったまま見上げて、落下したそれを見る。見た目を言うのなら巨大骸骨ムカデといったところか。骨だけの体に、体躯に見合う鎌の両腕。速度特化のステータスに、速度を攻撃力に転化する菊一文字で攻撃しても殆どHPが削れていないのを見るに、耐久力も相当なものだろう。

「ふふ、攻撃力はどんなもんかなぁ」

 呟くなり天井を蹴って、今度は隕石のように巨大ムカデの後を追う。5秒にも満たない時間でヒースクリフの隣に着地したヴィクティムは、衝撃を殺すために曲げた膝を一気に伸ばして駆けだす。

 巨大ムカデ型のフロアボス、ザ・スカルリーパーはヴィクティムの攻撃など意にも介さず、落下後もしっかりと着地していたらしい。流石というべきか、ヴィクティムを打ち上げたヒースクリフの指示のおかげで踏み潰されるプレイヤーはいなかった。しかし逃げ遅れた者はいたようで、キリトや風林火山の面々が早くボスから離れるように叫んでいる。呆気に取られていたプレイヤーも急いで逃げるが、スカルリーパーの攻撃の方が早かった。

 それは命を刈り取る死神の鎌に等しい。人間二人をたったの一撃で真っ二つにできる、人間の天敵。

 不意打ちにも等しい天井からのフロアボスの登場。早々に精鋭の攻略組二人が消えてしまうのは痛手だが、それすらも仕方が無いと思えた。

 だが、逃げ遅れた二人より早いボスの攻撃、よりも速く動いた者がいた。

「はっはは!重っ!」

 二人に迫る巨大な凶刃を下から跳ね上げる。軌道の逸れた鎌は逃げ遅れた二人とヴィクティムの頭上を通りすぎていった。

「あ、ありがとう……!」

「助かった、って、おい!」

「っさい!ヒースクリフ!ここの役目貰うからね!」

 感謝の言葉を一蹴し、最も死の濃密な居場所を選択する。

 たった一合とはいえ攻撃を与え、防いだ。

 誰よりも早くボスと攻防を行ったヴィクティムが判断した、最も危険な場所。単騎ボス撃破という偉業を為してきた絶影がそう判断したのなら、ヒースクリフはそれを是とするのみ。どのみち、菊一文字によって攻略組でもトップレベルの攻撃力を持つようになったヴィクティムでさえ逸らすのが精一杯なら、あの速度と攻撃力に耐えられるの人材は限られてくる。

「ふむ。では、あの鎌は私と彼で引き受けよう」

「僕一人でいいんだけど!」

 突進を続けるスカルリーパーの正面で両腕の鎌を相手取りながら叫ぶ。だが、ヴィクティムが一人で相手取った場合、彼が死んでしまえば一から攻撃パターンを把握しなければならない。そうなれば、ただでさえ時間のかかるボス攻略にかかる時間は計り知れない。

 あくまでも効率を重視し、ヴィクティムの死については度外視した判断のもと、新たにポジションを決定する。

「皆は側面から攻撃してくれ。キリト君は状況次第でヴィクティム君とスイッチすることになるかもしれない」

「ああ。攻撃パターンも可能な限り把握しておく」

「ああ、よろしく頼むよ」

 もう一人の最強候補に言い残し、ヴィクティムの隣に立つ。そして、他のメンバーは指示に従って側面からの攻撃を開始する。

 だが、スカルリーパーの巨体はムカデのような多足にも攻撃判定があるようで、普段のような攻撃も行えない。レイドの中で取り決めたタンク隊やアタッカー隊の意味が全くない現状は、各プレイヤーがそれぞれの意志で防御、攻撃、回復、回避を行わなければならなかった。

 異質なボス攻略の中で、普段通りに攻撃を捌くヒースクリフとヴィクティム。

 不敗伝説とユニークスキルを持つヒースクリフは危なげなく盾と剣で防ぎ、ヴィクティムは最速の名に相応しい速度で躱し、逸らす。

 二人の姿に、いつもと異なる攻略に戸惑っていた攻略メンバーも、徐々に調子を取り戻していた。

 それでも、相対したことのないムカデ型のモンスターに攻撃の手は遅々として進まない。

「クソ!まともに近づくこともできねぇぞ!?」

 エギルが攻撃部隊の心境を代弁して叫ぶ。

 そしてもう一つ、ボス部屋の中で高らかに響く声があった。

「あはは!掠っただけでこの威力!すっごい!あはははは!」

 面白くて仕方がないといった風で、声変わりしていないハスキーな笑い声。飛び跳ねつつ、持ち前の速さで助走、攻撃を繰り返すヴィクティム。態々、助走の為に大きな一歩で下がり、攻撃力を上げるヴィクティムの運動量は他のプレイヤーに比べて倍近い。

 だからだろうか。

 まだまだ把握しきれていないボスの攻撃パターンに含まれるフェイントに引っ掛かり、自身の攻撃を躱された挙句、迫る刃に対して無防備になってしまった。

「は」

 猛烈な勢いで迫る鎌を躱すには、あと一歩足りない。

 彼が望む死という未来は、もう一歩で辿り着く。

 しかし、彼の望みは、ここでは未だ敵わない。

「セァッ!」

 流星のような打突が迫る鎌の軌道を変える。まるで、ヴィクティムが二人のプレイヤーを救ったシーンの再現のようだった。

「ヴィクティム君、無事?」

「え、あ、うん」

「言ったでしょう、君を守るって」

 崩れた体勢を持ち直し、ボスと自分お間に立つアスナを見上げる。

「……別にいいのに」

「むくれてもダメ。ここからは二人でやるよ」

「えぇ?」

 強引なアスナに頬を膨らませるが、何を言っても聞かなさそうな彼女に渋々並び立つ。

 互いに細剣と刀という速度重視の武器。重量だけで言えば不適応極まりないが、二人の精度と速度は相性を打ち消して余りある。

「フッ、そちらは任せるよ。アスナ君、ヴィクティム君」

「はい、団長」

「今回だけだからね?次は一人でやるからね!?」

 そして二人は駆けだした。

 ヴィクティムが猛烈な速度により鎌は弾き飛ばし、アスナがそれに合わせてヴィクティムの攻撃の後押しをしたり、空中に出るヴィクティムのフォローを行う。

 攻略組最速の二人のスイッチは、声をかけることも無く行われた。

 絶影と閃光。

 白銀の剣閃が巨大な鎌を吹き飛ばし、流星のような刺突が影に迫る脅威を打ち払う。

 まるで舞曲のように駆ける二人に感化され、攻略組の士気が復活した。

 クォーターポイント。体全てに攻撃判定があり、それすらも直撃すれば即死級のものばかり。現にヒースクリフ、アスナ、ヴィクティムの三人が二振りの鎌を相手取るようになってから、多足と尻尾による攻撃で二人が死んだ。

 それでも、彼らは凶悪に凶悪を重ねた最悪のフロアボスを倒さねばならない。

 既に不退転の状況であるのもそうだが、何よりこれを倒せるのは彼らだけなのだから。

 

 

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