以下ゲームと同様ですので、読み飛ばしていただいて結構です。
<能力値を変更するランク補正>
○段階をわかりやすく、○倍というものに置き換えてみようかと思います。
基本を0とすると、±6段階。計13段階のランクが存在します。
ランク0を2/2とし、ランク0より上がると分子が1ずつ、ランク0より下がると分母が1ずつ、それぞれ増加します。
ランク 補正(%)
+6 ×8/2(=4)倍(400%)
+5 ×7/2(=3.5)倍(350%)
+4 ×6/2(=3)倍(300%)
+3 ×5/2(=2.5)倍(250%)
+2 ×4/2(=2)倍(200%)
+1 ×3/2(=1.5)倍(150%)
0 ×2/2(=1)倍(100%)
-1 ×2/3(=0.67)倍(67%)
-2 ×2/4(=0.5)倍(50%)
-3 ×2/5(=0.4)倍(40%)
-4 ×2/6(=0.33)倍(33%)
-5 ×2/7(=0.29)倍(29%)
-6 ×2/8(=0.25)倍(25%)
ちなみに命中・回避率や急所率はまた別です。
『予選リーグはいよいよ大詰めを迎えて来ました! これより、予選リーグ第四回戦の試合を開始したいと思います!』
バトルフィールドへ続く暗い通路の中で実況の声がやや遠くに聞こえる。
「ラルトス、準備はいいよな?」
「(当然。言っとくけど今回はわたしもちゃんと出してよね)」
「当たり前だ、お前の強さをアイツに分からせてやれ」
『では四回戦第一試合に出場する選手をご紹介しましょう! まずは赤コーナー、ダークライ使いの異名をとるタクト選手!』
観客の歓声が一段と高くなったのを肌で感じる。
『タクト選手はシンオウ各地のジム、そして今大会、この四回戦までダークライ一体のみで対戦相手を退けてきた選手です! その強さはご覧になっている観客の皆さんもよくお分かりのことでしょう!』
さてと!
『続いて青コーナー、ホウエン地方ハジツゲタウン出身、ユウト選手! ユウト選手はここまで様々なポケモンと新しいポケモンバトルで勝利を手にしてきた期待の選手です!』
「行くか」
「(ええ)」
オレたちは暗い通路を眩しいほどの光が射しこんでくるフィールドへの入口を潜っていった。
* * * * * * * *
「ユウトクン、キミはボクが倒す。そしてキミの言葉が間違いだということを証明しよう」
フィールドで相対したタクトさん。オレが知っている(?)のは、まず、アニメでは伝説のポケモンでのみバトルを行っていること。まあ正直、こんなのはどうでもいいっちゃどうでもいい。パーティに伝説とか幻を入れてたってそれはそれで戦い方はあるし、倒せないこともない。要は戦略さえあれば、それは切り抜けられる。「伝説ばっか使いやがって、アンタ伝説厨か?」なんて、あくまでネタにして楽しむ域を出ないから、せいぜいそれでからかう程度の話だ。ダークライのダークホール連発を催眠厨と揶揄するのも、要は単なる皮肉でしかない。それだって立派な戦術なのだ。否定する気は毛頭ない。
それから、オレの持論、『強いポケモン、弱いポケモン、そんなの人の勝手。本当に強いトレーナーなら、好きなポケモンで勝てるよう頑張るべき』、これを否定したいということ。これも別にいい。世の中にはいろんな考えを持った人間がいるんだから、すべての人に賛同を得ようなんて思ってもいないし、否定してくれたって全然構わない。実際、これまでにも、そういった人たちともバトルしてきたし、中には敬意を表すべき人もいた。
で、最後に、オレのラルトスは弱いとか言って、喧嘩を売ってきたこと。ぶっちゃけ、一番の問題はコレだ。あのときは相当アタマにきてたけど、ただ、例えば格闘技の試合前に対戦相手を挑発し合うという様式美だったと思えば……いや、やっぱダメだ。オレは別に格闘技の選手でもないし、何より一番の相棒を貶されたのはガマンならないわ。
「それにしても、ボクの忠告を聞かなかったのか」
「忠告、ですか?」
「ああ。あのとき、ラルトスは入れ替えろって言ったよね? これを忠告と言わず、何と言うんだい? いやはや、なんとも度し難いな。そんなのでボクと戦おうなんて救いようがないよ」
彼はやれやれと肩を竦めてくれている。
アレが忠告?
ふーん。
度し難い?
ふーーん。
救いようがない?
ふーーーん。
……。
うん。もうダメだ☆
「(……ねぇ、わたしとしてはあそこまでユウトをこき下ろすとか死刑ものなんだけど、あのゴミぶっ殺しちゃっていい?)」
ホントにダメだわ。
いやさ、オレのことだけなら我慢はするよ? でも、あの言葉ってオレのバカサ加減はもとより、ラルトスを変えなければ、アイツには勝てないってことでしょ? つまり、オレのラルトスは弱いと? オレのポケモンたちはアイツにはかなわないほど弱いと?
「……一つ言っておく」
なんと言うか、スーッと頭がクリアになっていく感じだった。
視界が急に晴れやかになったかのようになり、
「――テメェのその、プライドが高じ過ぎてお高くとまりすぎた鼻っ柱、叩き折ってやるよ!!」
そんな啖呵を切っていた。
* * * * * * * *
『さあ、四回戦第一試合、いよいよ始まりました! 最初の一体目のポケモン、タクト選手はお馴染み、悪タイプのダークライ、ユウト選手は虫・飛行タイプのテッカニンです!』
さてと、タイプ相性ではこっちが有利だけど、ダークライは持っている技で確実にテッカニンの弱点を突けるはず。おまけに相手を眠らせる技のダークホールの存在は相当厄介。
「テッカニン、かげぶんしん」
「ムダだ! ダークライ、ダークホール!」
とにかく、準備が整うまで少し時間を稼ごうか。
『タクト選手、ダークライにダークホールを指示! しかし、ユウト選手のテッカニンの方が素早かった! かげぶんしんの完成でダークライのダークホールは不発!』
ダークホールはアニメと同じように掌で生み出した黒い球体状のシャドーボールのようなものを撃ち、相手に当たった瞬間にそれが膨張して相手を包み込み、その中で眠りに誘い込む技だ。ただ、今回はかげぶんしんの一体を包み込んだだけで不発に終わった。
「ちっ! ならば、当てるまで続けるのみだ! ダークライ、連続でダークホール!」
「まもる」
すると分身全体がまもるを発動。まもるの壁に触れた瞬間、ダークホールは消滅した。
『ユウト選手のテッカニン、すごい! 分身全てでまもるが発動! ダークライはダークホールをいくつも放っていますが、そのまもるの壁を越すことができません!』
「テッカニン、みがわり」
「ちっ! すべて潰すしかないか! ならば、ダークライ、今度はふぶき!」
「まもる」
『ダークライのふぶきがフィールド全体に吹き荒れ、草のフィールドが凍りついていきます! しかし、テッカニンもさるもの! まもるによってふぶきを完全にガードしています!』
「くそっ! しゃらくさい奴だ!」
「テッカニン、かげぶんしん、そして、こうそくいどう」
「ダークライ、ダークホール連射だ!」
まもるでガードはしていないため、ダークホールで分身が潰されていくが、さらなるかげぶんしん分身によってそれらを補い、そしてさらに増やす。
『こ、これはすごい数のかげぶんしんだ! 三回戦でシンジ選手のテッカニンが見せたかげぶんしんも相当な数でしたが、ユウト選手のテッカニンはそれを遥かに上回っております!』
さて、特性とこうそくいどうで素早さはもう十分だろう。これでたとえ、デオキシスのスピードフォルムが出てこようとこちらが先手を取れるはず。にしても、伝説だけじゃなくて催眠連発もかよ。伝説厨もそうだけど、催眠厨も当てはまるな、これは。
よし、仕上げといきますか。オレはモンスターボールを二つ手に持った。
「テッカニン、バトンタッチ」
そしてオレはその二つのボールを振り上げた。
*†*†*†*†*†*†*†*†
「よし、いい感じでバトンタッチにつなげられた!」
観客席であたしの隣りに座るグリーンさんが膝を叩いた。たしかに、身代わりと最高位まで引き上げた素早さを引き継げるなら上々だろう。
「ただ、どうしてつるぎのまいは積まなかったのですかね? 舞うのは定石のはずだし、あたしなら絶対舞いますよ?」
「そうだな。む? ああ、なるほど」
「あ。たしかにあのポケモンなら必要ないかもしれませんね」
「というより、積んでからバトンタッチしたって良かったんだ。それをしなかったとすると」
「なるほど、そうするとユウトさんが何を狙っているのか想像つきますね。もしそうなら、積む必要は全くない」
テッカニンに代わってフィールドに登場したポケモンにあたしたちは思わず頷いた。あたしたちの読み通りなら、今回はあのポケモンでつるぎのまいは積むだけムダになりそうだ。
「な、なあ。事情がサッパリ読めないんだが、いったいなんの話をしているんだ」
そういえば、この場には今までとは違う顔ぶれが一人いた。ちなみにダイゴさんやリーフさん、シルバーさんは大会本部の方に顔を出してこの場にはいない。
「シンジ、これがテッカニンを使う際のメジャーな戦法よ」
あたしと三回戦でバトルをしたシンジである。いつまでかはわからないが、どうやらあたしと同じくユウトさんに弟子入りしたらしい。昨日今日の話なので、ポケモン講座はあまり進んでいないらしいけど。
「なんだ、そいつは?」
「あ、そうそう。シンジってあの対戦相手のタクトって人は知ってる?」
「そりゃあ知ってるさ。ダークライ使いだろ? 鬼のような強さで、一度も負けたことがないとか」
ふーん。そうなんだ。そういえば周りの観客も勝つのはタクトさんの方で決まりみたいな雰囲気だなぁ。まあでも、あたしにはユウトさんがあの人に負けるとかカケラも想像できないし、あの人どうやらユウトさんを挑発(?)してたらしいからただではすまなそうな気がする。
「で、おい。結局テッカニンを使う際のメジャーな戦法ってなんだよ?」
「今はわからないかもしれないけど、よく見ておくといいわ。きっと驚くようなことが起こるから」
とやかく言うよりはまずは実際に見てもらった方が早い。きっとその方がインパクトが大きくて印象にも残るだろうからね。
ということで、あたしはシンジの視線をむりやりフィールドに向けさせた。
*†*†*†*†*†*†*†*†
「ガラガラ、キミに決めた」
「ガラァ!」
『ここでユウト選手、ポケモンの交換です! ユウト選手、二体目のポケモンにガラガラを投入してきました!』
バトンタッチでテッカニンの能力と状態変化を引き継いだ、オーバーフローで有名なガラガラの登場です。ちなみにガラガラといえばふといホネ(カラカラ、ガラガラ限定で持たせたら攻撃が二倍になる)を持たせるのが鉄板だが、アレもアイテムの一部なので持たせてはいない。
『しかし、これはいったいどういうことなのでしょうか!? テッカニンだった分身が全てガラガラに置き換わりました!』
「こ、これはいったい!?」
アイツはアイツで、この事態に首を左、右、左、右と振ってフィールドを見渡して慌てふためき、ダークライに指示を出せていない。
「ガラガラ、はらだいこ」
「ガラ!」
そして、分身を含めた、フィールド上に存在するすべてのガラガラがはらだいこをする。なんだかどこぞの太鼓演奏の発表会のようなこのシーンは何とも言えないある種の感動を感じる気もする。
『ガラガラのはらだいこが決まりました! これで攻撃技の威力がグーンと上がりました!』
「フッ、だが、はらだいこは反面、著しく体力が消耗する。それにしても随分とマイナーな技を使う。まあいい、ダークライ、ふぶきで分身をすべて吹き飛ばせ!」
ヤツ曰く、なんかはらだいこはマイナーな技らしい。思わず嘲笑がこぼれそうになった。
まあ実際、この世界で使うトレーナーはあまり見かけない。おそらく、はらだいこは体力を激しく消耗する(体力の半分を使うというのは知られていません)ため、それを嫌がるトレーナーが多いから使わないといったところか。なので、はらだいこについてはあまり研究されておらず、さっきの実況やアイツの言葉通り、体力をかなり消耗する代わりに攻撃技の威力が上がるとしか知られていない。ちなみにはらだいこは、体力を半分消費する代わりに攻撃を最大までアップさせる技です。
尤も、今後はどうだかわからない。体力が減っても攻撃が最高位までアップするうまみはなかなか魅力的だし、減った体力はねむるやオボンの実で回復もできる。まあ、両方ともそのまま使うのではなく、もう一工夫が必要だけど。
さて、バトルの方はダークライのふぶきで分身が次々と消滅していく。ガラガラの特防はそこそこだが、HPは低いため、総じて特殊耐久はそんなには高くない。おまけに弱点を突かれているため、引き継いだ身代わりももう壊れているだろうが、ここに至ってはもうそんなのは関係なかった。
「ダークライ、残った一体が本物だ! れいとうビーム!」
「ガラガラ、行け」
鉄火バトン(テッカニンで能力を上げてからのバトンタッチ)のおかげで今のガラガラは、普通のガラガラとは比較にならないほど素早い(今回は特別にテッカニンで素早さ最大まで上げてからのバトンだった)ので、比較的鈍足のガラガラだろうとダークライの攻撃をかわせないハズがない。
『きっ、消えた!? ガラガラ、消え失せました!』
「どっ、どこだ!?」
フィールドをスタジアムの上段から見ていれば、ガラガラがどこにいるかはすぐにわかるだろうが、そんなのはごく少数か。
『う、上だァァ! ガラガラはスタジアム上空にいたァァ!!』
「ガラガラ、かわらわり」
「ガラガァァ、ラッ!」
万有引力に引かれてダークライの頭上に落ちてくるガラガラ。そこからダークライの弱点であるかわらわりが決まった。ちなみに骨を持っていない方の手でチョップをしているので、きちんとかわらわりだ。
『きっ、決まったァァ! ガラガラのかわらわり! ダークライには効果は抜群だァァァァ!』
「立て、ダークライ! あんなガラガラ程度のポケモンにやられるお前ではない!」
ハッ、まったくもって根拠のない指示ごくろう。
ガラガラは少しきまぐれな性格なようで能力補正はないが、特性『ひらいしん』でダブルバトル用に育てていたため、努力値は攻撃に極振りしている。そしてはらだいこによって物理攻撃力が最大まで上昇(おおよそ元の四倍)。ちなみに、ゲームだとここでふといホネを持たせると、あまりに攻撃の能力値が高くなりすぎてオーバーフローを起こしてしまっていたけど、そんなことは起こらない。ゲームのように乱数に支配された世界ではないのだから、至極当たり前なことだが。そして弱点タイプの技であるため、さらに二倍。
総じて、通常の攻撃の八倍のダメージをダークライは食らったのだ。
「ダークライ、戦闘不能! ガラガラの勝ち!」
防御特防ナンバーワンのツボツボだってあぶないのにダークライが落ちないという道理はない。
『な、な、な、なぁぁぁんと! 今まで無類の強さを誇り、この四回戦まで圧倒的なまでの勝利を収めてきたタクト選手のダークライが! 一撃! ガラガラの放ったかわらわりたった一撃でダウゥゥゥン!! なんという展開でしょうか! いったい誰がこんな事態を予測出来たでしょうか!?』
*†*†*†*†*†*†*†*†
「あの組み合わせで戦ったことのある僕やダイゴさんたちなら、予想は簡単につくよ」
グリーンさんの言うとおり、そういう戦略があるということを知っており、その効果を知っていれば、ああなってしまうのは自明の理だとすぐにわかる。あたしは一度、あの型(まさに今の鉄火バトン→ガラガラ)でシロナさんのポケモンが、軽々と、ほとんど一撃のもとで六タテされたのを間近で見たことがある。切り札のガブリアスさえ、一撃で倒されてしまったことから、シロナさんがしばらく茫然自失になっていたのは未だ記憶に新しい。
「グリーンさんもやっぱり六タテ食らったりしたんですか?」
「僕だけじゃなく、何度も対戦したことあるヤツならその全員がおそらくあの型で一度は六タテを食らったハズだ」
うわっ、それはすごい。ていうか、グリーンさんたち横に情報流したりしなかったのかな。それとも、自分も食らったんだからお前も食らえ的な? なんだかそう考えると、途端に……なんか今グリーンさんの目がこっちを射抜いた気がする。
よし、今すぐこの思考を放棄しよう。そうしよう。こういうのは得意なんだ(泣)
「そ、そういえば、鉄火バトンは対策ってありますよね」
「ああ。まずはバトンタッチは補助技だから、ちょうはつ(攻撃技しか出せなくなる)でバトンタッチを出せなくなる。それからテッカニン自身耐久はそんなにないから、強力な先制攻撃で弱点とかを突けばなんとかなったりする」
「そうですよね。それにほのおのうずやうずしおなんかで閉じ込めたっていいし、なにより、バトンタッチで出てきた相手をほえるやドラゴンテールみたいな強制交代技で交代させてしまえば、能力変化はすべて消えますし」
「能力を消すと言えば、くろいきりやクリアスモッグもそうだな。こうして改めて考えてみるといろいろ対策はあるもんだね」
「そうですね」
なんて納得してるあたしたちとは対照的に
「だ、ダメだ! サッパリわからん! オレはいつから言葉が通じなくなったんだ!? オレはいつのまに外国に来てしまったんだ!?」
予備知識がないシンジは会話についていくことができていなかったりした。
*†*†*†*†*†*†*†*†
「ならば、ボクの二体目のポケモン、それはコイツだ!」
そしてアイツが投げたボールから現れたポケモンは縦横無尽にフィールド内を飛んだ後に空中にて、ガラガラと睨みあう形で向き直る。
「フオゥオォォォ!」
『なんとタクト選手、二体目のポケモンはラティオスです!』
二体目は予想通り、というかアニメの通りラティオスが出てきた。
「まさか、このボクが二体目を出すとは思わなかった。ユウトクン、キミは強い。正直言って驚きだ。よくぞ、ダークライを倒した。だが、その奇跡ももはやここまでだ」
なに? なんでコイツはこんなに上から目線なの? ホントに人の神経逆撫でするのがうまいヤツだな。
「ラティオス、ラスターパージ!」
「いばる」
エネルギーを体内の一か所に集中させてからそれを解放するのと、不良が掌を返して指をクイ、クイと折り曲げる動作。果たしてどちらが先かといえば当然後者であって、
「なっ!? 混乱だと!?」
攻撃は上げてしまったが、ラティオスは混乱してラスターパージのエネルギーが集束出来ず、不発に終わる。
『あーっと、ラティオス、混乱しています! あーっ、自分で自分を攻撃してしまった!』
さて、それだけ隙があれば十分。
「ラティオス、正気に戻れ!」
「もう遅い。すてみタックル」
そして、回避を指示する間もなく直撃。ラティオスはそのまま一直線にスタジアムの壁に激突した。倒れ伏すラティオス。スタジアムの壁は、ポケモンの技で破壊されて観客に被害が及ばないようにと、たとえラムパルドのもろはのずつきが直撃しても壊れないようにかなり頑丈につくられているのだが、ラティオスが激突した部分はクモの巣状に多数のヒビが入っており、それが衝撃のものすごさを物語っていた。場内は観客の歓声が途切れ静まりかえる。
『ジャ、ジャッジマン、判定をお願いします』
「は、はい!」
どうやら審判ですら時間が止まっていたらしい。
さて、結果だが、当然に
「ら、ラティオス、戦闘不能! ガラガラの勝ち!」
となった。ちなみに、この声で実況も観客も時間が動き出し、スタジアムは爆発的な歓声に包まれることとなった。
長くなった(ざっと以前のバージョンの2倍)ので一度、ここで切ります。