みんなー! はじめまして!
人呼んで愛の狩人、コトネでっす!
あ、男は専門外だから(シッシッ)。
コトネはちょ~っと変わってるて言われますが、そんなことは気にしてません。女の子ラヴはコトネのジャスティス☆ですから。
さて、そんなコトネですが、ポケモントレーナーになってただいまジョウト地方を旅してます。
トレーナーならやっぱりリーグは出たいじゃないですか。だから、ジョウト各地のジムに挑戦している最中です! まだバッチは一個しかゲットできてませんけどね。
そして、聞いてください!
実はそんなコトネの旅に同行してくれる素敵な女性がいるんです!
その方の名前はヒカリさん。容姿端麗でボンキュボンな上、足がほっそりしててめがっさ長いんです。ぶっちゃけ、ちょータイプなんですよぉでも、それだけでなくてですね、実はこの方、そんじょそこらの人とは違うすごーい一面を持っています。
それが経歴。なんでも、ナナシマリーグチャンピオン、そしてシンオウ・カントー準チャンピオンっていうすっごい実力の持ち主なんです。
そんな人がコトネの旅に同行してくれて、コトネにポケモンについてのさまざまなことを教授してくれるんです! いわばコトネの先生ですね。なんで、コトネはセンセーって呼んでます。
ちょっと恥ずかしがり屋なところがたまにキズなんですけどね(たとえば、コトネに対して嫉妬してくれるとことか♪、コトネのことを愛してくれてるのにそれをわざと隠そうとしているとことか♪)
「ニドラン(♂)! どくづき!」
「ニド! ニドー!」
「んがっ! ビビビルンバババ!」
な、なして……。
「キサマが妙なことを考えていた気がするからだ」
セ、センセーはコトネに対するツン度が百パーセントなんですけど、コトネはそれが好きなんです。コトネはいずれセンセーから隠されたデレを引き出してみせますよ!
「今度ヘンなこと考えてたら、カビゴンとハガネールとホエルオーでアンタのことボディプレスするからね!」
オウフッ。 デレへの道はまだまだ遠いですぅ……。
* * * * * * * *
「今日のテーマは努力値とそれに基づくステータスからの役割についてよ」
今日も始まりました、センセーの“ポケモン講座”。ちなみにこの言い方はなにやらゆずれないものがあるんだそうです。
「今までポケモンの種族値、個体値、性格、個性とそれらがポケモンの攻撃や特攻などのステータスに与える影響は説明してきたわね。まあ個体値については何度も言うとおり、トレーナーの戦略と育て方でどうにでもなるから気にしないようにね。ホントぶっちゃければ、個体値なんかよりは性格とこれから話す努力値、それから戦略や戦術の方がよっぽど大切よ。それにアレはあくまであれはポケモンの様子を
この個体値については毎時間毎時間注釈を入れているセンセー。きっと“個体値が低いポケモンを捨ててしまうこと”を危惧しているんじゃないかって思うんだけど、コトネからすればそんなの絶対にあり得ないもん! だって、よく考えてみて。ポケモンはいつも一緒にいてくれる友達、あるいは相棒。それを捨てちゃうなんて、そんなこと絶対に出来っこない! そんなことするクズだ! 人間じゃない!
だから、コトネは絶対に大丈夫ですよ、センセー。
でも、センセーの懸念もやっぱりわかる。コトネは大丈夫でも、例えばロケット団みたいに、みんながみんなそうだとは言えないもんね。
パパとは連絡を取り合ったりしてるんですけど、このことについてパパにも伝えてない。研究者という職種上、何かしらの論文等でパパが発表してしまうこともあるかもしれないし。
きっと、知らない、知られない方がいいということもあるだろうから。
「で、次に大事になるのは今日のテーマである努力値。これは、簡単に言えば、努力値はステータスを上げやすくするための数値ってところかしらね。メモ取ってる?」
「ハイ、大丈夫です」
実はコトネが旅に出るときにパパにもらった冒険ノート、本来は日記を書くものなんだけど、コトネの場合は既に日記というよりも、センセーの授業を書き取るためのノートになってます。
「で、この努力値なんだけど、溜めれば溜めるほどそのステータスの成長率は上がっていきます」
「とすると、それを溜めこむほどいいんですか?」
「ただ残念ながら、そううまくはいきません。努力値には三つの大きな制限があります。まず一点目、HP(略称H)・攻撃(A)・防御(B)・特攻(C)・特防(D)・素早さ(S)と六つのステータスのうち、一つのステータスには252までしか努力値を溜めることは出来ない点。二点目、六つのステータスで合計510までしか努力値を溜められない点。三点目、努力値は4の倍数分しかステータスの成長率に関係しないということ」
ふんふん。なるほど。
4の倍数に510。ステータスは六つあるから、単純に510÷6=85てなるから。
「じゃあセンセー、その努力値っていうのは一つのステータスにつき85を溜めるといいんですか?」
「うん。まず、六つのステに均等に振る――ああ、努力値を溜めることを努力値を“振る”、努力値を全く振らないときを“無振り”とか“素”って言い方をするから――で六つのステに均等に努力値を振るって言うのは一番やってはいけないことよ」
例えばね、といってセンセーは一つの例を挙げた。
それはこちらがゲンガーで相手もゲンガーだったという想定。ゲンガーは特攻と素早さの種族値がずば抜けて高いが、それ以外はその二つと比較すれば相当低い――センセーの言い方をすると紙なのだそうだ――という特徴を持っている。こちらのゲンガーをA、相手のゲンガーをBとし、Aの方には特攻と素早さに努力値を極振り(これは一つのステに努力値を252振ることだそうです)、Bには六つのステに均等に85を振ったとする。
「努力値を多く振った方がステータスの成長は良くなるんだから、この場合、まず、どっちのゲンガーの方が素早さが高いかしら?」
「えーと、Aの方なんじゃないですか?」
今までの話だと努力値を多く振った方がよく成長するんだから、252振る方と85振る方では当然252振ったAのゲンガーの方が素早い。
「そうね。ついでに特攻もAの方が高いわ。で、ゲンガーはそれ以外のステータスは紙よ。だから、Aのゲンガーの方が速く動けて特殊攻撃の威力も高いから、AのシャドーボールがBに当たったらBのゲンガーはいくら特防にその程度の努力値を振っていようと、一撃で沈むでしょうね。ダウンしなくても大ダメージは間違いないわ。何が言いたいかというと、最初は、努力値は短所を補うより長所を伸ばすように振るのが望ましいわ。後はそのポケモンにどういった戦略を取らせたいかっていうトレーナーの戦略に合わせてといった感じかしら。ガンガン攻めるタイプのはずなのに、攻撃を食らっても妙に硬くて倒せないというときは、案外HPや防御・特防に努力値を振っているせいよ。まあ、この辺は突き詰めると際限がなくなるし、応用編になってくるからまた今度ね。今言っても何言ってんのかさっぱり分かんない筈だから」
ほぅ。思わず息を漏らしてしまう。なるほど、いろいろ考えられてるわけですな。
「あとはー、“最速”と“準速”、“最遅”の違いも知っておいた方もいいわね」
ほうほう。最速はともかく、準速なんて言葉は今初めて聞きましたよ。絶対辞書になんか載ってないでしょ。
「性格によって伸びやすい能力値があるって以前言ってたけど、“最速”は『性格による素早さプラス補正+素早さ個体値V+S極振り』のこと、“準速”は最速の内から性格補正を抜いた状態のことよ」
なるほど。ちなみに“最遅”とは“最鈍”という言い方もあって、意味は最速とは反対に『性格による素早さマイナス補正+素早さ個体値0+S無振り』のことをいうらしい。てか最遅とか日常会話じゃ絶対聞かないわ。
「尤もそうね、個体値は正確なものはわからないから、個体値のことは抜いて認識しておいて」
はは。まあ、個体値については置いておきましょう。
「あ、そういえば、“最速”“最遅”“準速”ってのがあるんなら、“準遅”ってのはないんですか?」
対義語を考えると、在ってもおかしくはないような気もするんだよねぇ。えーと、準速がS努力値極振りなんだから、準遅はS努力値無振り?
「うーん、正直準遅よりは最遅の方がいいのよね。例えば『あめふらし』や『ひでり』なんかのフィールドに出たら天候が変わるポケモンがいるけど、例えば、『すなおこし』のバンギラスと『ゆきふらし』のユキノオーがフィールドに出ました。さて天候はどうなるでしょう?」
えーっと、『すなおこし』は砂嵐状態になって『ゆきふらし』は霰状態になるのよね。
え? あれ? この場合は……どっち?
「え、えーと……霰に砂が混じった状態になるとか?」
「特防1.5倍上昇で必中ふぶき撃ちまくるバンギラスとか
「てーことは、例えばユキノオーの方が遅かったりしたら?」
「バンギラスが起こした砂嵐状態は打ち消されて、霰状態になるわ。だから天候を変える特性を持つポケモンは敢えて一番遅い最遅を狙う場合もあるわ」
なるほど。たしかにこれなら“準遅”を狙う意味はないし、必然的に準遅なんて存在しないか。一番遅くなきゃ意味ないわけだし。
「あとはトリックルーム狙いのときね。トリックルームの技の効果は?」
「たしか少しの間素早さが逆転して、遅い方が速く動けるようになるというものですよね」
「正解。今言ってくれた通り、『遅い方が速く動ける』、つまり最遅ならそれだけ早くトリックルーム下で行動できるわけよ」
その後、興に乗った先生が“最硬”なんて言葉も説明してくれたけど、それは一旦脇に置いておいて。
にしても、戦略や戦術の他に努力値なんて数字がポケモンという生き物にダイレクトに左右する様は「本当にそれが生き物なのか」とも思った。あ、でも前に読んだ何かの本で『自然界のすべては数字で出来ている』とも書いてあったし、そういうものなのかもしれない。
* * * * * * * *
さらにそれから、努力値はポケモンによって決まっているだの、いろいろな訓練方法があってそれで努力値を上げていくだのみたいな話で、今日の努力値の話は終わりだった。ちなみにポロッと言ってた「際限がなくなるってどういうことですか」と質問してみたら、やれ何とか決定指数だ、やれ何とか耐久指数だなんて出てきて、やれHP調整だなんて言葉が出てきた。そして、それを求める計算式とかもあるんだそうで。
うん、マジ何言ってんのかわかんねっす。正直どこの言語っすかね? ちなみにコトネはこれでもスクールではそこそこ成績は良かったはずなんだけどなぁ。
「まあ、今言ったことは、今は忘れてちょうだい。きっといずれやるから」
いや、結構鬼じゃないですかね、センセ、それって。
まあ、それはひとまず置いておき、少し一休みが入った。
「なんつーか、ポケモンの育成ってなんか算数というか数学というか。強くなるにはただただ楽しくバトルしていればいいってわけじゃないんですね」
「そうね。ポケモンって、ポケモン自体も強くなることも必要だけど、それ以上にトレーナーにそのほとんどがのしかかってるからね」
ちなみに休憩の理由はセンセーが「喋り疲れた」とかだそうです。休憩なので、ポケモンたちをみな外に出して、コトネたちはポケモンたちが遊んでいる様をボケェーっとしながら見ていたりします。
「強くなるには、ただポケモンたちに指示してバトルして特訓してっていうだけでは強くはなれないわ。大切なことはそれらだけじゃなく、トレーナー自身がそれらの莫大な知識を修めなきゃいけないことね」
「……思うんですけど、センセーってどうやってあれだけの知識を修得したんですか?」
何気なく興味本位に聞いてみたら、サーッと顔を青くして顔をそむけたセンセー。
「いろいろ……いろいろあったのよ……」
なんとなく哀愁を帯びている感じから、『ああ、ここは突っ込まない方がいい』と判断。
「ところで、センセーにそれを教えた人っていったいどんな人ですかね?」
話題を変えることにしました。
「あれ? 言ってなかったっけ?」
「なにをです?」
「あたしがそれを教わった人って今“全国チャンピオン”って呼ばれている人よ」
はっ?
うん? きっと聞き間違いよね? もう一度聞いてみましょう。
「ええっと、どなたですか?」
「だから、“全国チャンピオン”よ」
……どうやら聞き間違いではなかった。
そっかー。あの全国チャンピオンから教わったのかー。
そーなのかー。
――
――
……
「って、はいいいいいいいいいい!?」
ちょっ!? マジかよ!! 一瞬、時が止まっちまったぜ!?
「あ、あの“全国チャンピオン”ですか!? あの、行く地方行く地方でチャンピオンになって、でもすぐに辞退しちゃうっていうあのっ!?」
「だから、そう言ってるじゃない」
お、驚きだ。いくらなんでもそこまでのビッグネームが出てくるとは思わなかった……。
そんな人に師事していたら、そりゃああんだけ強くなるワケだ。
「尤も、あたしが習ったのは知識とか代表的な戦略・戦術と、あとはユウトさんが調べたっていうポケモンのデータをもらっただけかな。他にもいろいろあるみたいなんだけど、そこら辺は自分で経験と実践を積んでいけって感じだったわ。そうしないと身に付かないからですって。あたしが今も旅を続けてるのってそのためだし。ただ、あたしが最初にあの人に黒星をつけるのを目指してるってのもあるけどね」
たしか、チャンピオンになってからは一度も負けたことはないとかなんとか。もはやバケモノだよね。
「しかし、今教えてもらってることってその“全国チャンピオン”に教わったんですよね? その人はいったいどこでそんな知識を身に付けたんですか?」
コトネはポケモントレーナーになりたくて、パパがポケモンの研究者だったことも手伝って、旅に出る前はそれなりにコトネもポケモンについては勉強してたんですよ。
でも、最初センセーの話す内容がどれもこれも聞いたことがなかった内容ばかりだったんで、さっきチラッと言ったように、パパと連絡を取った際、思わずパパに聞いてみたんです。
『パパ、種族値とか技の種類が三つあるとかって聞いたことある?』
って。最初は何のことかわからなかったらしいんですけど、そのうちパパの顔色がみるみる変わっていって、
【コッ、コトネ! そっ、それはいったい! どこで!? どうやって知ったんだい!?】
危機迫る顔で家のテレビ電話にかじりつくようにしてアップになったパパの顔が印象的でした。
一応パパもあれでそれなりの研究者なのに知らないことを、さも当たり前のようにそれが事実であるという風に話すセンセー。そしておそらく“全国チャンピオン”。
あまりにナゾすぎますよね。
「“禁則事項です☆”」
……うん、すごくかわいいんですよ、そんな両人差し指をホッペに当てて? もう、夜になったら、いや、いますぐ襲っちゃいたいくらいのかわいさですよ? ……でもいったいどういう……?
「っていうことらしいわよ」
「え?」
「だから、秘密ってこと。いくら食い下がっても、教えてくれなかったから、ナゾよナゾ、ホントに」
うーん、でも是非とも聞いてみたい。
「コトネならきっと会えるわよ、あの人に」
「へ? どうしてですか?」
「だってコトネ、もうあたしたちの仲間内では結構知られているはずだし」
意味がわかりません。コトネはまだ旅だったばかりの新人トレーナーで、有名などという言葉とはかけ離れた位置にいるはず。
「あたしは、いわば“全国チャンピオン”の一番弟子。コトネはその弟子が鍛えてるポケモントレーナー。なら、チャンピオンリーグに出るほどの腕は近いうちに必ず身につけてくるはず。ということであの人やあたしとつながりのある、いろんな地方のチャンピオンや四天王、バトルフロンティアのブレーンがコトネを将来の
え?
ええええええええええ!?
ちょっ!? なしてそげな重要人物にウチがなっとんねん!?
「さ、そろそろ休憩はおしまい! 続きをやりましょうか。まだ役割について話してなかったわね。あたしはアンタをジョウトリーグ出場までかどうかはわからないけど、あたしと別れるまでは目一杯鍛え上げないといけないんだからね。グズグズしてらんないし、今までのことは忘れたなんて言わせないんだから。ほらキビキビ行くわよ!」
コトネはセンセーに後ろ襟を捕まえられて引きずられていきましたとさ。
コトネとセンセーの旅はまだまだ続いていきます。
実際バトルで大切な能力値は性格=努力値>素早さの個体値>HP個体値>その他の個体値だと思ってます。心情的に6V(個体値オールMAX)などを目指したくなるものですが。
尤も、大前提として持ち物と戦略戦術が必須です。
何気にメインキャラ以外の視点で進むお話の初登場は、コトネでした。書いてて思ったのが『コトネって実は優等生キャラなのか?』ということでした。変態ですけど。
ちなみにユウトもヒカリやシロナへの指導はこんな感じでやっていました。
また、努力値溜めはバトルしたりなんやかんやしたり?(スミマセン、できればスルーお願いします)
※努力値について加筆並びに修正いたしました。