目の前には現れるは、優雅にその翼を広げて羽ばたく三体の伝説のポケモンたち。赤という言葉がトレーナーとポケモンに非常にマッチするレッドさんのファイヤー、昔は尖っていたというグリーンさんにも通じるトゲトゲとしたデザインを持つグリーンさんのサンダー、そして個人的に一番優雅さを誇り、それがよく似合いそうであるリーフさんのフリーザー。しかも、そのフリーザーは相当珍しい色違いであることから、その価値をまた一段上に上げている。
カントー地方伝説の御三家とも言われるファイヤー、サンダー、フリーザーだが、それは何もカントーだけのものではない。ナナシマ地方オレンジ諸島、特にその果てにあるアーシア島近辺ではそれぞれ火の神、雷の神、氷の神といった、神とも称され崇められるポケモンでもある。
その優雅な羽ばたきに合わせて、炎が、いかづちが、冷気が空気を走る。
「考えることは同じか。それにしてもレッドがリザードンじゃなくてピカチュウ出した意味もわかったぜ」
「ねー。たしかにリザードンとファイヤーじゃあタイプまるかぶりでちょっとねぇ」
そういうことだとばかりにうんうん頷いているレッドさん。考えてみれば最初の一体目は初めてのパートナーで、二体目がカントー伝説の三鳥とか、やっぱりなんだかんだでチームワークというかフィーリングが合ってるんだろうな。
「さーて、それはそうとどうしようか」
いや、言葉ではそう言ったものの、やることは決まっているのだ。プリンのほろびのうたを決めて、あとは時間を稼ぐ。ただそれだけだ。しかし、あの強力なポケモンたちを指揮するは稀代に優秀なトレーナーたちだ。短期決戦とはいえ、厳しいものがあるかもしれない。
(……なーに考えてんのよ)
頭の中にラルトスの声が響いてきた。
(たしかに相手は伝説のポケモンだし、新旧チャンピオンや四天王。生半可ではないのは確かよね。でも、そんなの関係ないわ。わたしたちはね、ユウト、あなたのために頑張るだけなの。あなたのためにすべての力を出し尽くす。だから、わたしたちを信じなさい)
……そうだな。オレが信じてやらなくて誰が信じてやるのか。
(ありがとう、ラルトス!)
(ううん、一片でも迷ってた心が晴れてよかったわ)
(ああ、助かった!)
(ふふ、わたしはあなたの半身よ。これくらいのことがこなせなきゃ、あなたの隣にいる資格はないわ)
……ったく、マジでいいやつだ!
「ぃよっし!」
頬を両手でバチンと叩く。
オレのポケモンたちなんだ。誰であろうと負けない! オレはそれを信じる! それがオレのプライドであり、それが
「さあ、ここからが反撃よ!」
「さっきのようにはいかない……!」
「もうプリンの脅威を十分知ったからな」
さて、向こうもオレがまたプリンを出したことで、何をしてくるのか察したようだ。彼らの視線は今うまい具合に、他のポケモンと比べると、比較的にプリンの方に注がれている。さっきでいえば彼らがソーナンスにやっていたようなことだ。
少し脇に逸れるが、『手品のネタを知っている。しかし、騙された』という経験があると思うが、これはマジシャンがその手品の見せ方が上手かったからである。この、タネを知られている手品でも、『上手く見せるというのが技量であり、それ自体が”芸”である』というのが、『一流のマジシャン』ということである。
さて、これと似たような話で、
「サンダー、10万ボルトだ!」
「ファイヤー、かえんほうしゃ!」
「ふぶきよ、フリーザー!」
フリーザーだけが範囲攻撃か。これなら――!
「ピッピ、このゆびとまれ!」
「ピッ、ピー」
ピッピが腕を上げて指を空に向かって突き立てた。すると、サンダーとファイヤーがピッピの立てた指に注目する。
「今だプリン! ほろびのうた! それからバリヤードはひかりのかべ!」
「プリュ!」
「バリ!」
このゆびとまれによってサンダーとファイヤーはピッピに視線が釘付けとなってしまい、そのまま10万ボルトとかえんほうしゃをピッピに放ってしまう。その間にほろびのうたとひかりのかべ(特殊攻撃のダメージをしばらくの間抑える)が成功させ、『フレンドガード』の効果も相まって、その後に放たれたふぶきのダメージを大幅に軽減させることに成功した。
「ファック! くっそ、このゆびとまれか!」
「またっ、やられた……っ!」
このゆびとまれはほんの短い間、単体への攻撃技と変化技をこれを使ったポケモンにすべて惹きつけるという技だ。プリン狙い撃ちはわかっていたので、今回は一工夫を加えてみた形だ。
「見事に引っ掛かってくれてとってもおいしいです」
「ま、まったく。これだから男どもは……」
グリーンさんやレッドさんの反応を楽しむオレと呆れる様子を見せるリーフさん。しかし、オレは知っている。リーフさんが目を逸らして冷や汗を流しているのを。
「(言わないのが花よ。女の子に恥じかかせちゃダメ)」
「わかってる」
さて、これで向こうは短期決戦を仕掛けざるを得ない状況になったわけだ。
「二人とも、聞いてくれ」
さっきのように闇雲に仕掛けるのではなく、なにやらレッドさんに作戦があるらしい。二人はそれに耳を傾けている。
「……よし、それでやってみよう!」
「ダメでもともとよ!」
なにかの作戦を立てたらしい。潰してしまいたい思いもあるが、しかし、この場の即興で、しかもレッドさんが考えたというものを見てみたいという思いもある。
「ファイヤー、しんぴのまもり!」
「フリーザーはおいかぜよ!」
「サンダー、あまごいだ!」
む、一つだけ特に看過できない技があった。
「ピッピ、よこどり! フリーザーからおいかぜを奪え!」
おいかぜは使った側全員の素早さがしばらくの間、二倍になるという変化技。流石にそれは見過ごせないので、よこどりで奪い取った。ちなみによこどりは相手が使おうとしていて、かつ、自分たちにしか効果が及ばない変化技を横取りして、代わりに自分に使うという面白い技だ。技の出も非常に速いので、おいかぜだけはこっちで奪い取った。
「もう! やっぱりそううまくはいかないかしら」
「いや、それでもいい流れではある。このままいくぞ!」
「いえ、もう少し『世界はいつだって、こんなはずじゃないことばっかり』というのを味わってもらいます! バリヤード、ファイヤーにアンコール!」
「っ! しまった!」
バリヤードがファイヤーを煽てて拍手する。ファイヤーはそれに乗せられてしまった状態になった。これでしばらくファイヤーはしんぴのまもりしかできない。ほろびのカウントも考慮に入れれば、ファイヤーはただの置き物も同然。これであと残りはサンダーとフリーザーだけになった。
「レッド、あとはまかせろ!」
「たのむ……!」
「OK! 見てなさいよ! フリーザー、ふぶき!」
「サンダー、ほうでんだ!」
まずっ! そうか、だからしんぴのまもりを張ったのか!
ほうでんがフィールドに出ているサンダー以外のすべてのポケモンに襲い掛かる。
み、みんなは!?
「(むぅ、どうやらピッピ以外は今ので麻痺しちゃったみたいね)」
「そうか……! しまったな、こっちも同じくしんぴのまもりを張っておけばよかった」
そしてさらにふぶきが襲い掛かる。ふぶきは相手方に対しての範囲攻撃でもあるので、やはりプリンたちにダメージが入ってしまった。
「なんとかうまくいったかしら」
「ああ、だいぶな」
「すまない」
「気にするな。仕方ないことさ」
「そうよ。それにこの作戦はレッドが立てたんだから、レッドの成功でもあるのよ」
さて、彼らが立てた作戦。サンダーのほうでんを主軸としたものである。このほうでんという技だが、電気タイプの技で自分以外を攻撃するというものであるが、他に追加効果の麻痺が発生しやすいという特色がある。そしてファイヤーのやったしんぴのまもり。これは麻痺や眠りなどの状態異常や混乱状態などを防ぐ技だ。
つまり彼らがやりたかったことは、しんぴのまもりで状態異常を防ぎつつ、ほうでんによって相手を麻痺させて、行動に支障が出るのを狙ったのである。おいかぜは単純に味方補助だろう。また、フリーザーもほうでんによるダメージを受けるが、元々、ほうでんの威力はそう高いものではなく(かつダブルバトルやトリプルバトルではその威力も下がる)、また、フリーザー自体も特防の種族値が相当高いので、弱点といえど、あまりそれを食らうことがなかったということだ。
そしてあまごい。これは雨を降らせる効果を持つ技だが、雨が降っている状態だとバトルやポケモンたちに様々な影響が出る。
その一例として――雨中では相手は逃げられずに、必ず当たる技というものが存在する。
例えば電気タイプの技――
「サンダー! か み な り ! !」
例えば飛行タイプの技――
「フリーザー! ぼ う ふ う ! !」
サンダーの天にまでも轟きそうな嘶きに併せて、雨雲の中に稲光と雷鳴が響き渡る。フリーザーの力強い羽ばたきによって、大雨だったそこに凄まじいまでの猛烈な突風が合わさる。さらに、フリーザーは羽ばたくことで空気中の水分を冷やして雪を降らすこともできるため、台風やあるいは竜巻にも劣らないような風が吹き荒れているような暴風雨が、
「ええ!? それってアリ!?」
そしてさらにまるで「攻撃範囲はフィールド全体だ」とばかりに、落雷がフィールドに降り注ぐ。その落雷によって空気に衝撃が走り、それが肌や鼓膜、目を著しく刺激する。
単なるぼうふうとかみなりという技のはずなのに、もはや、かみなり+ふぶき+ぼうふう+たつまき+フラッシュ+ハイパーボイスかとばかりの様相を呈していた。
「ぐっ!」
顔を腕で覆わなければ目も開けられない。前傾の姿勢にならなければ、体がのけ反らされてしまう。腰を落として足を踏ん張らなければ、吹き飛ばされてしまう。耳を覆わなければ鼓膜をも痛めてしまう。
しかし、オレはフィールドの端っこのトレーナースクエアにいるだけなので、これですら余波でしかない。まだ優しい方なのだ。中心部で直撃を受けているあいつらにとってはこの猛威がいかばかりかなど言わずもがなというところだろう。
「(やっぱり、伝説のポケモンは伊達じゃないわね)」
ラルトスはオレにしがみ付いて飛ばされないようにしている。そしてラルトスの言い分も最もだ。それにあの三人のポケモンな上、あの三体が対をなす存在であるからなのか、より一層というところか。正直この威力はもうタイプ一致がどうこうの話じゃない。
でも、そんなことで泣きごとなど言ってられない。オレはアイツらのトレーナーでアイツらの友達だ。オレ以上の辛い状況を耐えているアイツらになんとか声を届けないと。しかし、この状況ではオレの声もアイツらに聞こえるかどうか。
――そうか!!
(ラルトス、テレパシーでオレの声をあいつらに届けてくれ!)
(わかったわ! よし、OK! みんな、聞こえるかしら!?)
こんな状況ではオレの声を拾うのも難しいだろうから、ラルトスに届くようにと想いながら声をかけ、それをきちんとラルトスは拾ってくれた。
そしてラルトスのテレパシーによる呼びかけに応じてくれたか、三人の声がそれに乗って頭の中に響いてきた。
(みんな、まだやれそうか!?)
(ピク! ピクシイ!)
(プ、プッ、プリュ!)
(バ、バリ、バリ!)
プリンとバリヤードは麻痺がかなり効いているらしい。あんまりムリはさせられないか。
よし!
「ピッピはドわすれとねがいごとだ! 体勢を立て直してくれ! それからプリンはかみなり、バリヤードはみんなのサポートだ!」
オレの言葉にみな力強く返事をしてくれた。
(よし! みんな、ここが踏ん張りどころだ! なんとか頑張ってくれ!)
(ピクシイ!)
(プリュ!)
(バリ!)
ほんとにいいやつらだ。
(あとはあの子たちがうまくやってくれることを願うだけね)
(ああ、でも絶対うまくやってくれるさ!)
そうしてしばらくすると、それらがピタリと止んだ。
* * * * * * * *
その日の夜。別荘では立食形式のパーティーが行われていた、“名目”の方もちゃんとやらなきゃねということで。
ちなみにバトルの方は、さすがに全員とはいかないまでも、かなりの人数とはこなした。正直精神的にはヘトヘトです。
その中で一番疲れたのがやはり――
「随分と平皿に大盛に乗せていることね」
「まったく。食い意地が張っているというかなんというか」
「一個もらう」
この三人、リーフさん、グリーンさん、そしてレッドさんとのバトルだった。
あのバトルだけど、大まかな流れは、やはり麻痺の効果は大きかったようで、プリンはかみなりを撃てず、逆にあの強烈なぼうふうによって、まずバリヤードがダウン。しかし、バリヤードのサポートによってピッピとプリンの二人はかみなりとぼうふうを耐えきったのだった。その後、直後に放たれたサンダーのかみなりによって次にプリンもダウン。さらにフリーザーがぼうふうで残ったピッピを攻撃しようかというところで、ほろびのうたが発動。結果、ピッピ、サンダー、ファイヤー、フリーザーが戦闘不能になり、互いの手持ちは、オレのラルトス以外は全滅ということで、
「レッド様、リーフ様、グリーン様の御三方がすべてのポケモンを失いました! よって、勝者は“全国チャンピオン”ユウト様です!」
ということに収まった。
「でも、おめでとう。やっぱり君たちは強かったよ」
「ねー、ほんとほんと」
「もう一個」
三人がオレに声を掛けてくれた。
「いやぁ、でもギリギリだったと思いますよ。特にあのぼうふうはやばかったですよ」
「あ、そうそう! それでね、聞こうと思ってたのよ」
『ああ、思いだした!』とばかりに、パチンとリーフさんが手を叩く。
「あのかみなりとぼうふうの威力は、それこそ渾身の一撃だったと思うの。伝説のポケモンだってあれなら耐え切れないと思うわ。正直三人とも持っていけたとも思ったんだけど、なんでプリンもピッピも凌げたわけ?」
「それは俺も思った。いくらひかりのかべがあったって一人ぐらいは倒せたと思うんだよな。なんでだ?」
「……もう一個」
モシャモシャと食べながらも聞き耳を立てるレッドさんにも向けてオレはあの後、ラルトスが聞いたバリヤードのサポートのことを話した。
「はぁ、スゲーな」
「あったまいい子たちねぇ」
「……うんうん、もう一個」
「なんでも、バリヤードの発案だそうです」
フレンドガードとひかりのかべで耐久は底上げできる。バリヤードの持ち物が、リフレクターやひかりのかべの効果が通常より長く持続する効果を持つひかりのねんどであったため、ひかりのかべはしばらく消えない。そこで、もう一つの耐久を挙げる要素であるプリンを生かすべく、ピッピがねがいごとをプリンに掛けて、プリンの体力回復を図る。バリヤードがプリンとピッピを抱え込んで、文字通り身を呈して庇い、ピッピがドわすれで特防を上げて自身に強化を施す。結果として、ピッピもオボンの実を食べたことで、あの超強力なぼうふうに耐えきったのだとか。
これを聞いたとき、マジで脱帽しちゃいましたよ。アイツらスゲーって。
「……うんうん、もう一個」
……あのレッドさん、いい加減オレの皿を勝手にパクパクつついて持っていくの止めてくれません? おかわりすればたくさんあるとはいえ、それオレがとってきたものなんですけれども。
「ハイハイ、恥ずかしい真似しないの」
「まったく。チャンピオンってのは食い意地張ってなきゃなれないのかねぇ」
いやいや、たまたま偶然じゃないっすか?
「まあ、いいや。じゃあまた相手してくれ。次こそはキミに勝つから」
「あたしもよ。勝つまでやるから。勝ち逃げとかはナシね!」
「次こそ負けない」
そんな感じで三人はまた移動していった。ちなみにレッドさんの手綱は完全にリーフさんが握っている。
「ちょっとレッド! みっともないことしないでよ! ハイこれ! レッドの好きなやつ!」
とか、
「なに、なんか文句でもあるの!?」
とか。リーフさんがレッドさんのことを甲斐甲斐しく世話を焼いているのかと思ったんだけど、なんか一歩間違うとレッドさんがリーフさんの尻に敷かれそうな感じになりそうである。
「ヤホー、ユウト君!」
今度は先程までのリーフさんとはまた違う女性の声が耳に届いた。
「あ、ユウキさん! それにハルカさんも! お久しぶりです!」
「やあ、ユウト」
現れたのはホウエンを代表する人物であるハルカさんとユウキさんだ。どちらもミシロタウンに実家があって、かつお隣さん同士。ハルカさんはホウエンのジムリーダーセンリさんの娘さんで、今ではミクリさんやルチアさんと同じく「コンテストに出場=優勝する」と言われるほどの、頭に『超』という言葉がつくくらいのトップコーディネーターだ。ユウキさんはオダマキ博士の息子さんで、父と同じく研究者となった人である。尤も、コーディネーターに研究者という肩書だが、バトルの方もかなり強い。具体的には、二人ともチャンピオンリーグ優勝を割りとアッサリ決めるほどの腕前である。
「ねえねえ、わたしってばまたポロックとポケモンの組み合わせを発見したのかも。あのときのユウト君にはホント感謝だよー。今はルチアといろいろ研究したりとかもしてるんだ」
ああ、そういえばそんなこともあったなぁ。
実はコーディネーターに転身してコンテスト出場を目指すということで、ポロックやポフィンの味とポケモンの性格の組み合わせ、それから技の効果やアクセサリーとそのテーマ、『かっこよさ』『かわいさ』『うつくしさ』などの要素を説明したこともあった。一応ゲームの方では、トレーナーカードのグレード上げやルカリオナイトを取るために一時期コンテストも頑張ってたので、そのとき取った杵柄で。ただ、コンテストよりはバトルの方に傾倒してたので、バトルほどの知識はなくて相当中途半端なものとなってしまったのだが、それでもハルカさんはいたく感激したらしく、それを実践してきたらしい。話を聞いていると今現在もだ。この世界のコンテストは、ゲームオンリーかと思えばアニメの方のコンテストが行われているなど、統一性がなく採点基準もよくわからないため、いまいちピンとこないが、もしそれで優勝に一役買ってるのだとしたら嬉しいかぎりである。
それにしてもルチアさんとそういう研究してるんなら、おそらくコンテストはこの二強以外は相手にならないような気もする。
そんなことを考えていると、ふと二人の腕に目が止まった。
「あれ? それってもしかして?」
二人の腕には前には見かけなかった腕輪みたいなのがついているのだ。だいぶ前だけども、でもそのときに会ったときにはなかったもの。少々武骨なデザインなんだけど、特徴的なのが中心に据えられている宝珠のようなもの――
「ああ、これ」
「ふふーん。いいでしょ!」
途端にニヤツく二人。
「メガシンカに必要なアイテム、メガバングルだ」
「カロスとは呼び名が違うのよねー」
やっぱりそうか~~! いいなぁ。オレも欲しい。
「でも、メガシンカに必要なメガストーンがなかなか手に入らなくてなぁ」
「そうそう。わたしもバシャーモナイトしかまだ見つけられなくてぇ」
「ぼくもジュカインナイトしか持ってないんだよ」
オレ、まだメガシンカさせるための道具持ってないからうらやましいです……。
まあ、いいし。ポケモンに持たせる方の
……でも、悔しいから教えてあげないし……。もちろん、あげないし……!
「ところでこれからユウトはどうするんだ?」
……うん。話変わってくれてよかったわ。
で、これから、ねぇ。うーん、そうだなぁ……。
「ロケット団」
「「は?」」
「アクア団、マグマ団、ギンガ団」
「そんな壊滅した組織なんて挙げてどうするの?」
「じゃあ、プラズマ団とフレア団」
「プラズマ団?」
「フレア団? あー、どっちもなんか聞いた覚えがあるような気もするんだけど、わからないな」
ロケット団はレッドさんたちやゴールドさんたち、アクア団とマグマ団はこの二人とダイゴさん、ギンガ団はオレとヒカリちゃんとシロナさんたちで壊滅させたことを知っている二人だけど、プラズマ団とフレア団というのは聞いたことがない様子。
「どっちも、活動している地方が異なるだけなんですが、言ってみればロケット団みたいな組織です。プラズマ団はイッシュ地方、フレア団はカロス地方です。尤も、ロケット団とは少し方向性が違っていて、プラズマ団は教義のためなら何でもやる狂信者集団で、フレア団はみんな死んじまえ的な破滅願望のテロリスト集団というところですか」
「……あんまり穏やかじゃないわね」
「ああ。それに、君が気に掛けているということは何かするつもりなのかい? 協力できることがあれば、何でもするよ?」
「いえ、今はまだ。ただ最近活動が随分と活発になってきたようです。近々大々的に動き出す可能性もありますから、そのときには皆さんにもお手伝いをお願いすることになるだろうと思います」
少し前、イッシュ地方に行った際、結構いたるところでプラズマ団に出くわした。ゲーチスら七賢人たちが活発に動き出している、ということなのだろう。プラズマ団にイッシュ地方を支配されるわけにもいかないし、アララギ博士にも初心者用ポケモンのことでお呼ばれされているので、しばらくイッシュに滞在し、介入も考慮に入れつつ情勢を見届けるつもりである。一応英雄候補はきちんといるわけだしね。
また、カロス地方ではヒカリちゃんがフレア団と接触もといトラブルに何度か遭ったらしい。とりあえず無事なようでホッとしたが、ひとまずパキラさんについての注意と、ホロキャスターだけは使用しないようにとを厳重に言いくるめておいた。
ちなみに同行者もいるようで、コトネちゃんのときとは違って本当に楽しそうな限りである。こっちは一人なのになぁ。
「とりあえず、ぼくたちも声かかったらすぐ動けるように準備しておくから」
「そうね。そのときはわたしたちもいつでも応援に駆けつけるかもだから」
「ハルカ、毎度言うようだけど、その言い回しだと知らない人には誤解を与えるからやめた方がいいって」
「にゃはは、口癖だからつい……。なかなか直らないかも?」
「ハアァ……」
すごい大きなため息をつくユウキさん。なかなか、苦労してるようだ。
まあ、そこは彼氏の甲斐性を見せてほしいところでもある。
「さって、お! あっちに料理が追加されてる。GO!」
旅してるとこんな立派な料理はなかなか食べられないからな!。
その後、なんだかんだで全員と言葉をかわして夜は更けていったのだった。
手持ちポケモン
・ユウト
バリヤード(ひかりのねんど)、プリン(しんかのきせき)、ソーナンス(メンタルハーブ)、ロコン(きあいのハチマキ)、ピッピ(オボンの実)、ラルトス(????)
・グリーン
カメックス(水のジュエル)、サンダー(たべのこし)
・レッド
ピカチュウ(でんきだま)、ファイアー(????)
・リーフ
フシギバナ(くろいヘドロ)、フリーザー(たつじんのおび)
マサラ組がかっこよく見えていたら幸いです。でも、よくよく考えてみたらにらみつけるさんがマジにらみつける的に使えてない(笑)。いや、そんなつもりは全くなかったんだよ、ほんとだよ、信じて、ボクウソツカナイ。
そして何気に第3世代主人公ハルカ、ユウキ初登場。この二人は作中にもあるようにリーグの方とは違う方面で活躍しています。ちなみにコンテストにはあまり触れていかない方向です。
終わりにBWBW2に向けての伏線みたいなものを書きましたが、主人公はプラズマ団、フレア団と絡む予定は現状ございません。