最新話まだ上手く書けないので、とりあえずこちらでお茶濁し……
そしてついでに宣伝。
新作『架空の現代にポケモンが出現したら』もよろしくお願いします。
リンクはこちらです→https://novel.syosetu.org/121321/
ラルースシティ。そこは国家の威信をかけて最先端科学の推移を結集してつくられた未来モデル都市。シンオウ地方バトルゾーン沖合に浮かぶ島に建設されたため、そこに程近いファイトエリアとはリニア・モノレールシステム、海上連絡船でつながっている。また、シンオウ各地の港からも連絡船が出ていたりもする。かく言うオレたちもキッサキシティからの連絡船に乗船しているわけで。
「へぇ、これはすごい。“ハイテク都市”というだけあってなかなかの光景ね。時代を先取ってるわ」
連絡船の甲板から見えるラルースシティの様子――広大な緑に覆われる中で風力発電の風車や太陽光発電のソーラーパネルの多さ、そしてそれらの向こう側に見える、巨大なビル都市群とひときわ目立つ全面ガラス張りのタワー――に、シロナさんの思わず零れた一言に、このラルースシティの真価が現れていると思う。
島丸ごとを一つの都市としてつくられたラルースシティ内(島内)では動く歩道、電気自動車、さらにそのモノレールが走っているため、島内アクセスに困るということはないという。また、『自然との共存』というテーマも含まれており、ラルースシティ内を賄う電力は風力・太陽光等のクリーンエネルギーで供給されている。
「なかなか壮大だなぁ」
「だなぁ」
「ピッカッチュー」
タケシやサトシたちの洩らす声とともに、連絡船はモノレールの大きなアーチ型の鉄橋の下をくぐると、ラルースの港に接岸するためにだんだんと船のスピードが落ちてきたのがわかった。
『皆さま、長らくのご乗船、お疲れさまでした。まもなく当船はラルース港に到着します。ラルースシティ内では、皆さまが当船を下船の際、ラルースシティブロックロボの発行致します個人識別IDカードの所持が義務化されており、このカード所持がラルースシティ滞在の絶対条件となっております。また個人識別IDカードはラルースシティ内の様々な施設を利用する際にも必要不可欠なものとなります。どうぞラルースシティを離れるまでは紛失なさらないよう、十分にお気をつけください。それでは“ハイテク都市ラルース”を心ゆくまでご堪能くださいませ』
船内アナウンスの響き渡る甲板。
「さて! みんな、いくか!」
サトシのそんな声にみんな力強く頷き、
(どうかした?)
サイコキネシスで頭の上に乗っかっているラルトスがみんなよりやや遅れて歩くオレを気にしてか、問いかけてくる。
(ちょっとね、気にかかることがあったりなかったり)
(ふ~ん。ま、『新たな』セレビィを探す際にでも聞かせなさいよ)
(考えとく)
そんな会話を交わしながらオレたちも彼らの後に続いた。
*†*†*†*†*†*†*†*†
こんにちは、シロナです。
現在私はJと一緒にサトシ君やユウト君たちとは別行動をしています。彼らはサトシ君がバトルタワーでのバトルに参加したいようなので、みんなそれの付き添いでこの都市一番の目玉であるバトルタワーの方に赴いているみたい。尤も、
で、私たちの方は――
「どう、セレビィ、J?」
「ビィビィー」
「ダメですね。見つかりません」
「そう。みんなはどう?」
「サーナ」
「ラーイ」
「フゥーッ」
セレビィや私、私のポケモンたち一緒にこの地に来るというセレビィの立ち寄りそうなポイントを探している。この世界のヒカリちゃんのママさんが言うには、この地に来るセレビィは『ときわたり』のエネルギーを得るために、『時の波紋』と呼ばれる現象のエネルギーを取り込むらしい。その時の波紋が発生する場所がこの島にはあるのだそうだ。
しかし、誰もが首を振るばかりで見当たらない。
「キーッス」
「ガブ、ガーブ」
トゲキッスやガブリアスは飛べるので、あちらこちらを飛びまわりながら探してもらっていたのだけど、そっちもダメだったようだ。なかなかうまくいかないようで、セレビィは力なく肩を落とすばかり。
そうしてまた場所を変えて捜索に移ろうとしたとき――
「ビィ! ビィビィ!」
セレビィが何かがあったのか、切羽詰まった声が聞こえてきた。
「どうしたの、セレビィ!?」
「ビィ! ビィ、ビィ!」
私たちはセレビィの指差す先に目をやる。するとそこには一体のポケモンの姿があった。しかし、なにかがあったのか傷だらけで草むらに身体を横たえている。
――それによく見ればこのポケモンは、まさか!?
「随分とひどい怪我を負っていますね。応急処置をしましょう」
Jの言うことも尤もなんだけど、でも残念ながら、今私たちの傷薬系の持ち物はあいにくと切れていて、何も出来そうもない。
「サーナ!」
「え? サーナイト?」
何やらサーナイトが「任せてください」と言っている気がして、そのままサーナイトに任せてみた。彼女は掌を組み合わせて祈るような様子を見せる。
「なるほどね! サーナイト、お願いするわ」
「サーナ」
サーナイトのねがいごと。これなら、体力は幾分かは回復する。
そして様子を見てるとサーナイトの祈りは通じたみたい。
「じゃあ、今のうちにユウト君にも連絡を入れてこちらに来てもらいましょう」
トゲキッスにお願いして、彼の案内を頼むとともに、私はライブキャスターで彼を呼び出そう。そう思ったとき――
「見つけたぞ。まったく手間を掛けさせやがって」
「しかし、これで任務は完了です。早いとこ回収して本隊に合流しましょう」
なにやら不穏な気配を感じさせる男女が現れた。男性警察官と女性ポケモンレンジャーという格好なのにだ。
「あなた方は何者ですか? 正体を現しなさい」
Jの言葉で男女は互いをチラリと見やったかと思うと、それぞれの上着を掴んで放り投げる。やはり、彼らは変装だった。
現れたのは――
*†*†*†*†*†*†*†*†
どーも、ユウトです。ラルースシティに着いて、セレビィを探すのがオレたちの主な目的だったのですが、それだけでは何なので、『“観光都市”としても名を馳せるこのラルースを観ていこう』、ということでセレビィの捜索は今日はシロナさんとJのペア、明日がオレとヒカリちゃんのペアでやっていくことになりました。ちなみに明後日以降はシロナさんの力強い要望で、もう一度ペアを組み直すそうです。
で、サトシとそれから
「オレ、マサラタウンのサトシ」
「あたしはフタバタウンの
「
「別にいいじゃない。どっちが先だって」
サトシはともかく、
「ハハ。バトルタワーは誰でも参加できる。いつでも相手になれるからそんな逸らなくてもいいよ。サトシ君、
顔と併せてすごいイケメン対応が返ってきた。
「リュウお兄ちゃんすごく強いのよ~」
「ねー! でも、がんばってね、二人とも」
エリートトレーナーの一人、リュウ。エースは映画と同じで彼の脇にいるバシャーモっぽい。
そして双子ちゃんのうち黄色いのがオードリー、ピンクいのがキャサリンで、二人ともリュウの妹らしい。ちなみにリュウのキザっぽい性格は些か抑えられてるみたいだ。
「おねぇいさぁん! 自分は! 自分、うぅあ゛ッ!」
「グレッグッグッグッグッグ」
「あはは、あ~あ」
タケシはそのもう一人のエリートトレーナーのお姉さんを見て、いつも通りの対応をし、そしてグレッグルによって、いつも通りの制裁をくわえられて退場していった。ヒカリちゃんは一連のそれらを見て、またか、とばかりに顔を手で押さえている。
「だ、大丈夫なの?」
「いつものことなので気にしないでください」
普通なら考えられないようなことだし、無事ではすまないはずなのだが、気にするだけムダというヒカリちゃんの指摘で、
「そっ、そうなんだ。あ、わたしはヒトミよ。メタグロスがわたしの一番の頼れるポケモンかな。よろしく」
今の光景を忘れることにしたらしい。
「あたしはヒカリです」
「自分はタ!ケ!シ!と申します!」
「うわ! いつもながらタケシ復活はやッ!」
「てか、ゾンビ!?」
見てなかったことにして忘れ去ったはずなのに、よみがえってしまった記憶に驚くと同時に若干の恐怖を覚える、この科学者風のエリートトレーナーの女性。名前はヒトミ。ノートパソコンを使って相手を分析してバトルをするというスタイルは映画と同じらしい。
そういえば映画にはもう一人、ハルカに一目ぼれしていたカメックス使いのトレーナーがいたはずなんだけど、ここには彼の姿はなかった。
「見て、バトルタワーよ!」
黄色い方の指差す先には、全面ガラス張りの円錐形をしたバトルタワーが見えてくる。
(ちょっといくらなんでもそれはないんじゃないの?)
(そうは言うけどな、ラルトス。キャサリンだとかオードリーより色で分けた方がわかりやすいだろ。正直オレはどっちがどっちだか忘れた)
(……あきれた)
文句は映画の脚本書いた人か、キミらの親御さんにでも言ってくださいな。
「あれがバトルタワーか! くぅ~今から腕が鳴るぜ!」
「ピカーッ!」
円錐形だと思っていたが、よく見てみるとその円錐の底面付近にこれまたガラス張りの建物がタワーを囲むように建てられている。土台部分に緑が結構植えられている公園みたいだ。商業施設にもなっているのかもしれない。
まあ、なにはともあれ、今回はじっくり見学しましょうか。
* * * * * * * *
タワー内。観客席は薄暗く、フィールド上はスポットライトが四方八方から当たり、輝かしいぐらいに明るい。
「……で、
「なんですか、ユウトさん? それから今は二人しかいないので、
「ああ、うん、わかった。いや、それよりもちょっと聞きたいんだけどさ」
『続いて第五試合をお送りします! バトルタワーにまた新たな挑戦者ペアが現れました! 青コーナーからフタバタウンから来てくれた
「どうしてここにオレがいるわけ?」
なぜかオレは暗い客席の方ではなく、ヒカリちゃんと一緒にその輝かしい舞台の方にいた。
「だってぇ。タッグバトルの受付だったので。サトシはどっか行っちゃうし、なら、ユウトさんかなと」
「いや、“なら”の前後でつながってないから。おかしいから」
『このペアに対するのはどちらもサウスシティ出身の――』
う゛ー。スタジアム一杯の観客の歓声で、こちらの耳がおかしくなりそうなほどだ。凄まじい熱気である。
この盛り上がってる中を『はい、リタイヤします』なんて空気の読めないことは出来そうにない。
『タッグバトルは各トレーナーが一体ずつのポケモンを出して、チームワークで戦うのがルールです! それではトレーナーはポケモンを出してください!』
はぁ~、あんなイケメンボイスにこんな心地よい緊張感の中だと、燃えてくるじゃないの。
(目的は忘れてないでしょうね)
頭から肩に移ったラルトスがそんなことを言ってくるけど、様子を見ればバトルやる気満々ですね。言動の不一致が見られますよ、ラルトスさん?
(あら? 楽しむことは重要よ?)
「(ハイハイ、よく言うぜ)ったく、しょうがない! いっちょ、やってやりますか!」
「ですです! あたしたちで優勝狙っちゃいましょう!」
「そいつは調子に乗り過ぎだ! いけ、ラルトス! キミに決めた!」
「じゃああたしはエルレイドよ! いきなさい!」
そうしてフィールドに出てくるエルレイドに、肩の上から優雅に着地するラルトス。
「エルレイ!」
「(期待してるわよ、エルレイド)」
「エル! エルレイッ!」
そうか、ヒカリちゃんのエルレイドはオレのラルトスの子供だったな。何気に親子“初”協力プレイ? だから、あんなにエルレイドは張り切ってたのかな?
*†*†*†*†*†*†*†*†
『青コーナーはラルトスとエルレイド、赤コーナーからはドサイドンとペリッパーの登場です! それではタッグバトル、Here we goーーー!』
「始まったな」
「そうね。正直、あの二人のペアならかなりのとこまで行けたりするんじゃないかしら」
「たしかにユウトだけならアッサリ優勝できるだろうが、これはタッグバトルでお互いのポケモンのチームワークがカギを握る。果たしてそううまくいくかどうか」
タケシとヒカリはバトルが始まるとそれまでの雰囲気とは一線を画し、二人のバトルを冷静に観察しようとする。この都市に来るまでの“ポケモン講座”で教わったことを生かして自分たちなりに彼らのバトルを分析しようという腹積もりなのだ。
「わたしはあの二人は正直聞いたこともないんだけど、そんなに強いの? 特にユウト君だっけ、あっちの男の子の方、仮にそれだけ強いならかなり有名になってるはずよね?」
双子の方はただ楽しそうに見ているだけで、タケシたちの言葉には気づいていなかったようだが、ヒトミの方はその物言いにやや驚きを持ったようだ。そしてタッチタイピングでパソコンを打ち続けた結果を二人に見せる。
「見て。これはここ五年間の著名な大会の公式記録をざっと洗い出してみたけど、あの二人の痕跡というか結果は全くないわよ」
「う~ん、まあそれはそうなんですけど」
「彼らはちょっと特別なんです」
あの二人とJ、シロナを含めた四人が「実はこの世界の人間ではない」などということを当事者でないヒカリやタケシが迂闊に話すこともできない。その大会の結果が表示されている画面を覗き込みつつも、二人は苦笑いを隠せなかった。
さて、そうこうしているうちにもバトルは進んでいく。
「エルレイド、ビルドアップ!」
エルレイドが変化技で能力をどんどん上げていく。
「エルレイドの好きにさせるな! ドサイドン、今度はロックブラスト!」
「ペリッパーはハイドロポンプよ!」
そうして相手が攻撃技を撃ってきたところで、
「ラルトス、マジカルリーフで撃ち落とせ!」
ホーミング対象を設定すればそれを撃ち落とすまでどこまでも追跡していくマジカルリーフで未然にガードし、
「ラルトス、シャドーボールとサイコキネシスで撹乱していくぞ!」
シャドーボールをサイコキネシスで操り、分裂させての攻撃で相手を翻弄していく。
その隙に、
「エルレイド、ビルドアップはもう十分よ!」
ビルドアップ積みを成功させた。
『これはすごい! ドサイドンにペリッパー、ラルトスに翻弄されていて何も出来ていません! かろうじて攻撃技をするもすべてマジカルリーフに阻まれてしまっています! その間にエルレイドはビルドアップで能力をどんどんアップさせていきました! エルレイドのビルドアップ成功です!』
「なるほど。タッグはほとんどやったことはないとか聞いたことがあるからチームワーク的に不安要素はあったが、そんなことは微塵も感じさせないな。エルレイドに合わせてうまく援護している」
「ていうかあのラルトスが凄過ぎるのよ。だって、一対二なのに完璧に相手方を翻弄してるって、おかしすぎだし」
「ああ。ムッ、どうやらテレポートを使っての近接での撹乱もし始めたな。これじゃあ相手はエルレイドに構うヒマがますますなくなるか」
「そういえば、ラルトスが10万ボルトを撃たないのってやっぱり?」
「たぶんドサイドンの特性が『ひらいしん(味方に打たれた電気技を引き寄せて無効化し、特攻一段階アップ)』の方だからだろうな」
二人のやり取り、さらにフィールドで戦う二人の戦いぶりにヒトミは開いた口がふさがらないといった状況であった。あの二人が対戦しているペアはこのタワー内でも強豪の部類に入る。自分でも苦戦は強いられるであろうペア。それをいともアッサリいなしているのだ。
「なに? なんなの? どういうことよ、これは?」
自然とそんな言葉が口を吐いて出るほど、無名の二人がそれを行う様は、ヒトミにとっては受け入れがたいことであった。
「よし! ヒカルちゃん、次でスイッチだ!」
「わかりました!」
そしてこれがバトルを終局へと導くキッカケとなった。
「ラルトス、こごえるかぜ!」
吹き荒れるこごえるかぜが二体を襲う。ダメージをもちろん受けるが(特にドサイドンにとっては効果抜群)、それは二の次で追加効果による素早さの一段階下降が発動した。
「今よ、エルレイド! サイコカッター!」
「ラルトスは続けてエルレイドにてだすけ!」
ラルトスの牽制による疲労とダメージに、素早さを下げられた二体ではエルレイドのサイコカッターを避けることは叶わず。さらに、ビルドアップ、てだすけによって、元々高かった攻撃がさらに高まり、かつ、そこからのタイプ一致物理攻撃技によって、ペリッパーはもとより、耐久の高いドサイドンですらその巨体を大きな音を立てながら地に沈めさせることとなった。
『決まりましたー!! ラルトスとエルレイドの見事なコンビネーション! 赤コーナー手も足も出せず! ペリッパー・ドサイドン戦闘不能! このバトル、ユウト少年とヒカルお嬢ちゃんペアの勝ちです! CONGRATULATIONS!』
*†*†*†*†*†*†*†*†
その後。
オレとヒカルちゃん、いや、
そして今は夜。今日はラルースシティのポケモンセンターに泊まることにしたオレたち。空にはピンクから薄い緑に輝くオーロラが見える。他のみんなはオーロラに見入っているみたいだけど、理由を知っているオレとしては気が重くなる。そしてさらにJとシロナさんから聞いた懸念事項も重なってだ。
『「二つ目として、エアロ団が
中でも大きなイレギュラーとしてこれが挙げられるだろう。なんでも遭遇してバトルになったそうだ。尤も、Jやシロナさんの相手ではなく、あっさり終わらせてそのまま拘束、ここの警察に突き出したそうだ。先の事件のこともあって、警察や公安も既に動き出しているらしい。オレもアイツらが相手なら十分対処の方法に気を配らなければならない。はっきり言ってロケット団なんかよりもずっとずっと
「やれやれ。これからいったいどうなるんだか」
おもわずため息をついてしまったのは、予想されたことが起こりそうなのはもはや腹をくくっていたことだが、どうやら事態はさらにその斜め上を行く想定外のことになりそうだったからである。
「ユウト君」
「あ、シロナさん」
自動ドアをくぐって入ってきたのはシロナさんだった。
「あの子がいま目を覚ましたわ」
「じゃあ、ラルトスはいま?」
「ええ、セレビィと一緒に事情を聞いていると思うわ。ヒカルちゃんはそのお守ね」
「そうですか。ありがとうございます」
そうそう。一つ目の懸念事項だが、シロナさんが昼間に保護をしたポケモンのことだ。そのポケモンは所謂“幻”とされていて、全てのポケモンの情報が遺伝子に組み込まれているというポケモン、ミュウ。
見つけたときには大怪我を負っていて、とりあえずオレとシロナさんで簡易的な処置を施した後、ポケモンセンターに連れていった。その存在が存在故、あまり知られるのもよろしくはないと、シロナさんのチャンピオン権限も使って、その存在は極秘にしており、
それにしてもなにがどうなってるのやら……。
「なにかいろいろ考えてるみたいだけど、私たちには言えなさそう?」
「……スミマセン」
「……まあ人には言いたくないことの一つや二つあるから言わなくてもいいけどさ、ところで――」
――私とポケモンバトルしない?
「へっ?」
それにオレは一瞬呆気にとられた。というか今こんな状況で?
「え? なになに? ユウトとシロナさんがポケモンバトルすんの?」
「うわ! すごいじゃん! あたし見たい見たい!」
サトシたちがそれを耳で拾ったのか、面白そうだ寄ってきて、
「ふわ~、なんだかすごそうだね~」
「ね~」
「異世界とはいえ、チャンピオン同士のバトルを間近で見られるなんて感激です!」
「これはもう記録に残すしかないわね!」
リュウや双子ちゃん、ヒトミたちまでもが囃し立てる(ちなみに彼らには
(いや、オレOKしてないからね)
とはなんだかなかなか言い出せず、そのままバトルをする羽目となった。
そういえば、なんだかモヤモヤ悩んでたことはいつの間にか吹っ飛んでたなぁ。
ひょっとしてシロナさん、コレを狙って?
――……
「……ありがとう」
「あら、なんのことかしら?」
なんでもなさ気に先を歩いていくシロナさん。
少し、心が揺れた気がした。