ポケモン世界に来て適当に(ry   作:kuro

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この物語はフィクションです。
実在のものとは一切関係がありません。

という但し書きを添えておかないとそろそろやばい(まだここは大丈夫ですが)


その9 ラルースシティ緊急事態①

 ラルースシティは“ハイテク都市”を謳い、都市内のあらゆる設備はすべて自動化されている。そしてそれらを管制、制御を行っている場所がある。それがラルース管制センタービル。このビルは第一棟と第二棟があり、第一棟がラルースシティ内、第二棟がラルースシティがある島に程近いファイトエリア沿岸部に存在している。メインは第一棟であり、第二棟はサブ的な性格を持つものだが、もちろん第二棟も第一棟に準じた権限で以って管制を行え、第一棟がなんらかのトラブルでダウンしてしまったときに、第二棟がメインに切り替わって制御が行われるのだ。

 しかし――

 

 

「どうなってるの!? 状況は!?」

 

 

 第二棟の管理者を任されているジュンサーが声を張り上げる。

 

「チーフ! 第一棟、応答受け付けません!」

「もう一回やって! それからラルース内の監視カメラの映像は!?」

「ダメです! シャットダウンしたまま反応しません!」

「メインシステムにハッキングを受けています! こちらの制御が効きません!」

「なんとしてでも管理者権限を奪い返しなさい! それから応援要請、並びに、ラルース内の人員の救出手配を! 急いで!」

 

 今この第二棟は何者かの攻撃を受けて、システム自体を乗っ取られている状況下におかれていた。

 

 さて、その第二棟管制室を窺う目がある。それはなにかというとこの管制室内に目を光らせる監視カメラだ。そしてさらに、その監視カメラから届く映像を見届ける集団がある。

 

 

「ふふふん、御苦労さま♪ まあ尤も、いくらやってもムダなんだけどねぇ」

 

 

 それはここ、第一棟を占拠した集団、そして白のカソックを被り、キリスト教のシスターのような修道服に身を包む彼女は、その集団をその手腕で以ってまとめ上げるリーダーである。

 

「スイレン様、ラルースシティ制圧完了しました!」

「そうですか。ご苦労様」

 

 その彼女の名、スイレンを呼んだその男性。身形は、全身薄い空色の一色の中に肩や手首の一部にシルバーの色がアクセントとして施された、身体に密着するようなライダースーツといった具合である。

 

「スイレン様! ミュウについての続報にございます!」

 

 エアロ団。それがこの集団の名称であり、彼女がその頭目、スイレンである。

 

 さて、そのエアロ団であるが、ここ最近は特に活動を活発化させている。失敗には終わったが、先日のカザハナタウン消滅を企てたのも彼らだ。

 そんな彼らだが、先の件においてある報告を聞いてから、並々ならぬ視線を注いでいるものがある。

 それは、エスパータイプを持つポケモンの有用性。

 先の件で失敗に終わった原因の一つとして彼らはエスパーポケモンの存在を挙げていた。確かに、サイコキネシスやねんりき、テレポート、さいみんじゅつ、そしてエスパーポケモンのサイコパワーによる催眠術や洗脳など、考えてみればこれほど利用出来そうなシロモノもなかなかない。

 さらにそこにタイミング良く、幻のポケモン、ミュウの発見の報告が飛び込む。

 普通のポケモンよりも段違いに強力なポケモン。しかも、都合が良いことにエスパータイプと来ている。

 

『これこそがまさに天佑! まさに空の意志! レックウザ様の思し召しでですよ!』

 

 ――ミュウを捕らえ、ミュウを使って、計画を実行し、理想を成就させよ

 

 そのような歪んだ価値観が彼らの中で共有されていた。

 ――――ポケモンたちは救うと言いながらも、理想の実現のためにポケモンを犠牲にするという矛盾には気がつかない――

 

「フフフ、そう」

 

 ただ一人以外は――――

 

「つづけなさい」

 

 そしてエアロ団はミュウを発見、追い詰めたものの、抵抗により見失ってしまい、今ラルースシティ占拠と並行して、彼のポケモンの捜索の真っ只中という状況でもあった。

 

「ハッ! 現在も昨日同様ミュウの行方は判明しておりません! しかし、このラルースシティの監視システムからミュウはまだこのラルースシティ内に潜伏しているものと判明致しました! 目下バディを組んで捜索中であります!」

 

 その瞬間、スイレンの目元が細まった。

 

「そう。でも、確か昨日ミュウを見つけることは出来たのよね?」

「さようです!」

 

 だんだんとスイレンから声の「色」が消えていく。

 

「しかし、チャンピオンらに邪魔されて取り逃がし、今だ何処にいるかもわからない?」

「さ、さようです」

「ねえ、単純に考えて、ミュウが手傷を負っていたのなら、そのチャンピオンシロナが保護したのではないのかしら? とすれば彼女の行方を割り出せば見つけられたのではなくて?」

「あ……う……」

「その程度も気づかずにまる一日無駄な時間を費やしていたのかしら?」

 

 スイレンがそう問うた瞬間、ズンとした緊張感が広まった。

 

「あ……う……あ……もっ、申し訳ありませんッ!」

「出なさい」

 

 スイレンはその男性団員の言葉を取り合わない。そして、スイレンから、モンスターボールからポケモンが出るポンッという音と共に、黄色いギザギザの大きな口と、同じく黄色い目の模様が描かれた灰色の大きな丸い球体が現れた。つづけて、人の胴体ほどの大きさを誇る両腕が黄色の目のやや上辺りからにょきーっと生える。人間と同じ五本の指を擁する掌の大きさは圧巻で、大の男性の上半身を握るだけで包み込んでしまうほどのものだ。最後に、右掌を球体の上部に、左掌を球体下部に持ってくる。いつの間にかそこには穴が空いており、その穴にそれらを突っ込み、中に入っていた何か――左掌には渦を巻きながらも蝋燭の炎のごとくユラユラと揺らめく下腿部のようなナニカ、右掌には赤い単眼を備え

た頭部(頭頂部には丸い黄色のアンテナ、首元らしきところに襟巻きに似た何かを備えている)――を引っ張り出した。

 

「ヨノワァー」

 

 黄色い大口が微かに開いて鳴き声を発する。

 ゴーストタイプのポケモン、ヨノワールだった。

 

「ヨノワァァ。ノワァァァァ」

 

 ヨノワールは、その男性団員ににじり寄る。

 

「あ……ひ……」

「ノォォワァァァ」

「慈悲を……ッ! 御慈悲をぐだざいッ!」

 

 彼にとってみれば今のスイレンのヨノワールは、命を刈り取りに地獄より来た死神であり、今それが手に持つ大鎌を掲げ、振り下ろそうとしているようにも見えた。否、実際にそうなってしまうかもしれない。特殊任務に就いたまま音信が途絶えてしまった同輩たちの顔が何故か浮かぶ。

 だから、彼は膝を、両掌を、さらには顔面までもを床に擦り付けた。冷たい感触と不快な味が触覚と味覚を刺激するが、彼は全くそれを厭わない。

 

「ヨォノワァー」

 

 ヨノワールは、その唯一感情が浮かびそうな単眼を瞬き一つさせずに、そのままその巨大な手で男性をむんずと掴み上げる。掴み上げた手は腹の大口に近づけた。すると、その大口が大きく開く。その中は、何も見えない。ただただ果てしない暗闇が広がるばかりである――その闇が明らかにヨノワールの体格よりも広いことを除けば――

 

「知っていますか? ヨノワールは冥界と現世をつなぐ渡し人。その闇に飲み込まれてしまえば、彼の世界に誘われてしまうと」

 

 聖母のような笑みを称えながら、スイレンは彼を見下ろす。

 

「まあ、本当にそうなのかは誰も確かめたことはないのですけどね」

 

 彼は直感した。

 

「スッ、スイレンさまァ! 何卒、どうかッ!! 御慈悲をッ!!」

 

 アレに完全に飲み込まれてしまえば、自分の命は尽きてしまうのだと。お終いなのだと。

 

 しかし、そんな願いも虚しく、その大口に頭が入る。

 両肩。

 胸。

 腹。

 両大腿部。

 下腿部。

 両足。

 

 今や、彼を支えているのはヨノワールのその手だけ――ヨノワールが彼を握り締めているからに他ならない。もし、少しでも彼を拘束するヨノワールの手が緩んでしまえば、すぐにでも彼は奈落の底に落とされてしまうだろう。

 

 

「もういいですよ、ヨノワール」

「ノワール」

 

 スイレンの言葉にヨノワールはその手を外に出した。そしてそのまま軽く腕を振るって投げ出すように彼を解放する。

 ヨノワールは彼の元を離れてスイレンの隣に佇んだ。

 

「ウフ♪ あなたの懇願が通じたようですね。どう? 私は優しいでしょう?」

「はっっ、ハイぃッ!! ありがどうございまず!! スイレンさまのお情けに感謝いだじまずッ!!」

 

 彼から見て十分にスイレンの優しさが垣間見得たその行動に、彼は先程までの絶望の涙ではなく、感謝の涙を浮かべた。

 

「では、ミュウの捜索、お願いしますね。吉報を待っていますよ」

「ハイ! 必ずや!」

 

 そうして彼は袖で顔を拭って立ち上がり、一礼をすると、一目散にその場を辞した。

 スイレンはその様子を一顧だにせず、部屋を見渡す。そして、徐に立ち上がった。

 

「さあ、皆さん! 共に参りましょう! 今こそ我らエアロ団の威光を全世界に轟かすとき! そして! 全世界に示しましょう! 我等無能なる人間、そして人間によりし創り出された穢らわしきモノを消滅させましょう!

 

 空の意志に従うべし!!」

 

 

 ――空の意志に従うべし!!

 

 

 狂信者の集団はもう止まらない。

 

 

 

「スイレンさま!!」

 

 

 

 しかし、ここで生きせき切って駆け込んできた団員の報告。これにより、彼らを崩す蟻の一穴が穿たれた……かもしれない。

 

 

 

 *†*†*†*†*†*†*†*†

 

 

 

「チーフ! こ、これを見てください!」

 

 ジュンサーは上擦った部下の声に、これ以上のなにか厄介事が起こるのかと思いながらも、前方に配されている全画面モニターに映し出すよう指示する。

 

「なっ!? なによ、いったいこれは!?」

 

 見れば、何かが半透明の膜のようなものを作り上げている。それはラルースシティを覆い隠すほど巨大なものだ。

 

「あそこにいるナニカを拡大して!」

「了解!」

 

 そして彼等は映し出されたものを目の当たりにする。

 

「これはまさか……!? あの伝説のポケモン、デオキシス!?」

 

 生物というフォルムからはかけ離れたその体型。彼等もそれをお伽噺としては見聞きしたことはあった。しかし、実際にこの目にするのは当たり前だが、初めてであった。そして今、それに出てくる幻のポケモン、デオキシスにそっくりのポケモンらしき生物がモニター画面の向こう側に存在していたのだ。

 ただ、彼等もずっと伝説の存在に呆けているというわけにいかなく、新たな問題に対処しなければならなくなる。

 

「そんな!? ラルースシティ内の風力発電所稼働停止! ラルースシティ内の風速計が風速0メートルを記録しています!」

「同じく太陽光発電も停止しました!」

「風力発電停止に伴い、サブ電源の原子力発電がメインに切り替わります!」

「風力発電停止の原因はあの膜がラルースシティを覆った結果、ラルースシティへ吹く風を遮っているものと思われます!」

「太陽光発電停止の原因は現在不明!」

 

 続々と変わり行く状況。彼等はそれらに対しての対処を始めるが、それは何も彼等だけではなかった。

 

 

 

「ラルースシティ内の現状は以上です。私見を述べさせていただきますが、この状況は我々にとっては有利に運ぶものと思われます」

「そう。ありがと」

 

 スイレンは左手で顔を覆った。その白手に覆われた指の隙間から零れるのは三日月のように口角を釣り上げた背筋が凍えそうなほどの笑み。

 

「ふふ、ふふふ。そうね。あなたの言う通りだと思うわ。これは私たちの後押しを神がしてくれている、ということかしらね。尤も、その神がレックウザでないのが少し残念ではあるけれど」

 

 ラルースシティ中枢を占拠した集団、エアロ団もまたそうであった。

 

「作戦の第二段階が始動しているわ。各員、改めて気を引き締めなさい」

――了解!

 

 管制室内には幾多もの声が木霊する。

 

 

 

 *†*†*†*†*†*†*†*†

 

 

 

 Jは今ラルースシティのビル群の一角、その内のひときわ大きめのビルの一つに侵入していた。

 シロナに言った水と食料を得る。運搬、量、すぐに食せる状態のものという観点から、スーパーマーケットやコンビニなどの食料品を見繕うよりかはということで彼女はこちらに目を付けていたのだ。

 

「思った通り」

 

 そして彼女の狙いはピタリと的中した。

 彼女のいるビルの一室。そこは部屋と言うよりも物置を大幅に拡張した倉庫というような趣があった。実際、その一室のネームプレートには『防災倉庫』という文字が掲げられている。

 さらに彼女の足元には封が開けられたいくつかの段ボール。その中にペットボトル飲料や保存食が敷き詰められていた。他にも、アリアドスとスターミーのフラッシュによって照らされた、毛布や簡易トイレなどと書かれた箱も併せて、それらが彼女の目の前で天井に届かんばかりという具合に積み上げられている。

 

「今は非常時ですので拝借しましょう。それにしてもこれだけのものを私一人だけで運ぶには些か辛いものがありますね。おまけにシロナたちがどこにいるかもわからない」

 

 ユウトたち三人が持つライブキャスターに果てはモンスターボールまで、電子機器の類は一切の反応がない。幸い、ユウトの指示通り、手持ちのポケモンは全てモンスターボールから出ている状態だが、植物園から別れたままでシロナたちと連絡が取れない。まして朝から別行動をとっているユウトやヒカリなど況んやをやという状況。

 

「さて、どうしましょうか」

 

 内心で思うより口に出してみた方が良いと思って窓のブラインド越しに外を見やる。外は相変わらずにデオキシスの幻影がうようよと漂っている。

 

「……いや? なにかがあったのかしら?」

 

 植物園からここまで移動してきたときとは何かが違うような感覚を覚えたときに、背後に何かの気配を感じ取った。

 見れば、空間が歪んだかと思うと、何らかの光とともに何かが浮かび上がった。

 

「ふう。ありがとう。ラルトス」

「ラル」

「おほぁ、すげぇ!」

「ピッカ!」

「テレポートってこんなことも出来るんだ……!」

「プラ!」

「マイ、マイ!」

「もはやなんでもありだな」

 

 光が消えたときにそこに現れたのはユウトとラルトス、他には植物園で別れたサトシやトオイ、タケシたちだった。彼らについてきたピカチュウとプラスル、マイナンはテレポーテーションでいきなり変わった周囲の様子を伺っている。

 

「どうしました? というよりどうやってここに?」

「ラルトスがスターミーの念波をキャッチしたみたいで、それでテレポートでね。それにシロナさんから聞きましたけど、単独行動はちょっと危険かと思って、こっちに来たんです」

 

 ユウトたちはシロナたちと合流するべく市街区に向かっていたところで、たまたまトオイの父であるロンド博士の助手を務める人物がトオイやシロナたちを避難誘導しているところに出会(でくわ)し、そのまま彼女ら共にロンド博士の研究所に逃げ込んだ。そこで状況を聞き、Jが一人で行動していること、Jがシロナのポケモンでさらにエスパータイプのポケモンを連れているということから幾人かでJの救援に来たのだ。

 

「そうですか。それはありがとうございます。それにしてもよくそれだけでラルトスがテレポートできましたね?」

「なんかエスパータイプのポケモンは人間の指紋と同じように個々で違う念波を発しているらしいんです。おそらくそれを辿ったんだと思います」

 

 ちなみにこの研究成果はユウトたちの世界のオーキド博士が解明した。ポケモンの全種は151種類だのポケモン川柳の方が有名だのなんだのかんだのとどこかの世界で言われていたりもするが、実はやっぱりすんごい研究者なのである。ただ、この功績の影にはユウトが捕まえたポケモンやタマゴから孵したポケモンのほとんどが彼の研究所に預けられていたということがある。いわばサンプル数が非常に多かったわけだ。

 

「何はともあれ、大変助かりました。とりあえず、水と食料、それから毛布や簡易トイレなどの諸雑貨も見つけました。全員で手分けして持って行きましょう」

 

 そうしてJは目の前の物資の山に目を向ける。

 ユウトたちは驚くも、とりあえず最低一人一箱ずつは持ち出そうとする。

 

「マイ? マイ、マイ!」

「プラ!」

「あ、ちょっと! ごめん! ボクあの子たち追うから! すぐ戻ってくるよ!」

 

 すると急にマイナン、遅れてプラスルが駆け出して倉庫の入り口から出て行ってしまい、トオイも追いかけるように部屋を出て行った。

 

「ピカ? ピーカ?」

 

 ピカチュウも耳を立てて何か首をひねっている。

 

「にしてもいいのかなぁ、勝手に持って行っても」

「おそらく食料品は大丈夫ですよ。ここに積まれているのはあと半年もすれば賞味期限が切れるものばかりです。個人以外、備蓄された保存食は期限切れのものは廃棄しなければならないので、それを有効に活用することにうるさくは言われないでしょう。まあ毛布なんかは、うん?」

 

 上の方から荷を下ろしていたサトシの疑問に対してJがそう答えていたときに、ユウトのライブキャスターから着信音が鳴った。

 

「え? ライブキャスター使えなかったはずなのになんでだ?」

「……ひとまず起動してみてください」

 

 作業は一時中断して、ライブキャスターに応答するユウト。

 

『ユウトさん、Jさんとは合流出来ました?』

 

 ライブキャスターの四分割された画面に上半分にシロナとヒカリ、下左半分にユウトが映った。

 

「ああ。うまい具合に合流できたよ。それとJが食料も見つけてくれましたよ」

 

 そうしてユウトがJたちの状況を報告する。とりあえずはそれらの目処が付き、いよいよ疑問に思うことが話題に上がった。

 

『それで、ライブキャスターが繋がったことなんだけど、そっちでモンスターボール起動するかしら?』

 

 するとそれを聞いていたサトシがモンスターボールを取り出して宙に放り投げた。

 

「フラーイ、フリャ、フリャ」

 

 出てきたのはせいれいポケモンのフライゴン。ちなみに極めて珍しいことに配色が通常とは異なる色違いである。

 

「へぇ、意外-! サトシ君、フライゴン持ってたのか! ていうか色違いかよ! すげーな!!」

「ああ。前にファウンスってところに行ったときに助けてくれてさ。その後一緒に来ないかって誘って、それで仲間になったんだ」

「ほうほうほう!」

「とりあえずは起動出来るみたいです」

 

 サトシのフライゴンに驚きのあまり見入るユウトに変わってJが横からシロナに答える。

 

『ということはあのノートパソコンの彼女の言う通り、電気は一応復旧したのね』

 

 その言葉にタケシは部屋の明かりのスイッチを入れた。倉庫内は文明の利器により煌々と照らされる。これに気づいたのも、ハルカが諦め切れず何度かモンスターボールのスイッチをカチカチと弄っていたら、急にフシギダネが出てきたからであったりした。

――電力異常は収まりひとまずはホッとした。

 まだ、異常は収まっていないが、どことなくそんな雰囲気が漂った。

 

「ねえ! なんかちょっとおかしいよ!」

 

 しかし、トオイが慌てて倉庫に駆け込んできた様子にそれらは一気に霧散し、一同の視線が集まる。

 

「なんか外の街灯がどんどん爆発してるんだ!」

 

 異常はまだまだここから。

 今度はそんな空気に包まれたのだった。

 




スイレンはスクール水着を下着代わりに着て水のZクリスタルくれる子ではなく、オリキャラです。
以前(まさかもう3年経っていたとは……)活動報告で『悪役の女性』『悪女』の捜索のご協力をお願いしておりましたが、ようやっとここで出すことが出来ました。ご協力くださりありがとうございました。
イメージは容姿や服装がほぼほぼFate/EXTRA-CCCの殺生院キアラです。Fate/EXTRA-CCCやFGOはやっていませんので、性格等はオリジナルです。

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