転生したらバルファルクって......詰みに詰んだ死にゲーでしょうか 作:リン・オルタナティブ
さて、いきなりだが一つ質問したい...。
ここはどこだ!?
いやまあはっきり言えば暗闇で丸く踞っている時点でどこかに押し込められているのは確かだよね。
この壁をぶち抜くぞ!!
記憶の整理はそのあとだぁ!と心で叫びながら唯一動かせる頭を上へアッパーカットの要領で壁へと殴り付ける。
ピキキ、という音がすると少しだけヒビが入る。
よしあと一息、俺はまだ生きていけるぞぉぉ!
心でそう言い聞かせながら連続で頭を壁へ殴り続け、ヒビを広げていく。明るい光を見つけると殴るのをやめ、少しだけ頭以外の部位を動かそうと試みる。
両手両足は少しだけ動く、翼と尻尾は頭と一緒に動かせそうだな....ん?翼と尻尾!?
まぁ、あとから確認するかと思いながらも翼と頭を壁へ押し付け、ふんぬと力をかけ始める。ビキキキとさらにヒビが入り、ついにバキャり!という音と共に覆っていた壁を跡形もなく吹き飛ばす事に成功した。
さて...改めてどうなっているんだ?
外に出たのはいいが、目の前に広がる景色を見て絶句してしまった。
焦土と化した平原、多少の木々が残っている様子から森か密林かなと推測しながら、近くに川とかないのと視線をキョロキョロさせ、河川を探し始める。
川を見つけたのは壁改め卵から解放された数時間後のことだった。よく死ななかったなと思いつつ、その川に顔を突っ込み水をがぶ飲みする。
ああー生き返るんじゃぁ.....。
大分水で喉の乾きを潤し、疲労を癒したところで川の水面に自身の顔を写すと二度目の驚愕に包まれた。
銀色に輝く鱗に覆われた流線型の体躯と鳥のような頭に鷹のような赤い目。特徴とも言える巨大な翼爪が折り重なったような独特な形状の翼。
自身の姿を水面から視認した直後、欠落していた前後の記憶が復旧された。
コイツの名はバルファルク。『絶望と災厄の化身』、『銀翼の凶星』、『赤い彗星』とも呼ばれていた古龍種で別名天彗龍。
そうだ、MHXXでバルファルクのクエストを周回して素材を集めていた最中に気を失って.....それで......。
棒立ちで考え込みかけたが、ガサガサと言う音で思考の波が収まった。
後回しだなと思いつつ音の正体を探るべく、じっとその草むらを見つめる。
草むらから現れたのは青い体色に赤いトサカ、黄色いくちばしが特徴の二足歩行型のモンスター、鳥竜種ランポス。ドスランポスと呼ばれる群れの長に統率されているが、一匹なのか俺の存在に気付いた直後、鳥竜種特有の鳴き声をあげ、警戒し始める。
はじめて目の当たりにする本物のランポスを俺は睨み付ける。
たったそれだけでランポスは戦意を喪失したのかすごすごと退散していった。
あれま、こんなにあっさりでいいの?
素直な感想を口には出せないから心でそう述べ、木陰で丸くなると目を閉じ、再び思考の海へと没入していく。
改めて考えてみるとありえない話だ。自身はバルファルクになっているし、おまけに巣の近くが焼け野原ひろしになっていたし、ありゃエヴァ零号機の自爆特功かよ等々、突っ込みを入れ続けたら持たないからここで終わるけど、明日は......能力テスト、だな
そこまで計画をたて終えると、本格的に睡眠を始める。勿論、索敵範囲を広げ、警戒は怠ってはいないが万一何かがあればすぐ退却可能だが....。いつづな思いを心に秘め、バルファルクへ転生した少年____天刄世紅ことセツラは意識を深い闇の中へ手放した。