転生したらバルファルクって......詰みに詰んだ死にゲーでしょうか 作:リン・オルタナティブ
では第6話、どうぞ〜
古代樹の森へと突入した俺達を迎えたのは、
死体が既に腐り始めており、臭いが物凄いことになっているが、その死体達に共通しているのは
『凄い死臭......』
『あ〜...こりゃゴーヤの特殊個体が獰猛化した線も考慮しなきゃいけないかもな』
『イビルジョーの、特殊個体....ですか』
俺の隣で顔を顰めるシオンが興味津々に言葉を鸚鵡返しで発する。これは、ひょっとして、シオンはモンハンの知識が皆無なのか?
『そう...だな。怒り食らうイビルジョー、それが特殊個体の名称でな―――』
俺はその場を後にしながら、少し離れて追随してくるシオンへ説明する。
『――――つまり、老年のイビルジョーが、途轍もなくお腹が減って暴走した個体......ってことですか?』
『簡単に説明すれば、そうなるな』
シオンが特殊ゴーヤに関して知識を深めたところで、俺は走る脚のギアを上げる。ふと俺の視界の端に赤黒いオーラとどす黒いオーラ、
やがて渓谷らしきところに辿り着くと、俺はそっと岩壁に身を隠した。この先、奥からさっき横切った何かのオーラの残滓が濃く残っているのがわかった。つまり、
『どうしたんですか?』
シオンがそう問いかけてくるが、俺は前足をちょっと上げて止まれの意思を示す。俺の行動を理解したらしい、シオンは俺の影に隠れる形で身を潜める。
『噂をすればなんとやら。特殊ゴーヤの獰猛化個体だ』
『!!』
どうやら俺の最悪な予感が当たってしまったようだ。やはり
俺の言葉を聞いたシオンは驚きの意思を示す。その反応は無理もない話。ただのゴーヤではなく特殊、それも歴戦の個体が獰猛化してしまったのだ。普通ならゲームでこんな属性山盛りの狂ったゴーヤが出るクエストがもしあれば即刻
おまけにゴーヤそのものが古龍級生物に指定されているモンスター。古龍相手にも縄張り争いをしかける猛者中の猛者。......これホントに勝てるのか...?
『兎に角急ぐぞ!アイツを放っておいたら、新大陸は確実に終わる!』
『は、はい!』
そう言うと俺は岩陰から飛び出しゴーヤの走って行った方角へと向かう。シオンも問題なく付いてきているようだ。ちょこちょこついてきているのが、正直言って可愛すぎる。
『そういえば、なんで歴戦のイビルジョーだって、わかったんですか?』
シオンはふとそんな質問をしてくる。確かに、普通ならよく目を凝らさなければ見えないだろう。だがそこはバルファルク。視力に関してはトップクラスだ。
『バルファルクは高い高度を飛行する古龍だって話したよな?』
『そう、ですね』
『だからこそ、視力が発達したんだ。より遠く、より高いところから、獲物を見れるようにってな』
『......なるほど』
そんな説明をしていると濃密な龍属性エネルギーを感じとり、俺の足は自然と止まった。どうやら目的地に到着したようだ。シオンを足を止め、辺りを見回していた。
ここは古代樹の森の奥地、ゲーム的にはエリア8ぐらいらしい。やけに広い空間だ。どうぞボス戦をしてくださいと言ってるようなものだ。
『.....シオン』
『?、なんですか』
俺はシオンへ呼びかけ、右前足の指で奥の方を指す。そこには、佇んだままピクリとも動かない何かがいた。一瞬も○○け姫に出てくる祟り神かと思ってしまったが、濃い赤黒いオーラ.....龍属性エネルギーのオーラと獰猛化のオーラが混ざったオーラを纏ったゴーヤだった。
眼は虚ろのまま、虚空を見つめながらもその瞳は赤く光っているのがわかった。
間違いない、特殊個体【怒り食らうイビルジョー】。前世の俺が狂気のゴーヤと、ユーザー間では飢餓ジョーと呼称されているそれが、俺達へ視線を向けると、即獲物だと判断したようだ。大きな咆哮をあげ、突進してくる。獰猛化の影響で足の筋肉が異常に発達しているのか、その速度は異常だ。
『やっぱりリミッターが外れてるか!』
『こ、こっちに来ます...!』
後ろへ消えた俺達の姿を捉えるためにゴーヤがこちらへ振り替える。うん、あきらかに正気を失っているね。目をギラつかせ、こちらを睨む様は暴食としか形容できない。
『どう、しますか?』
『とにかく――――』
シオンがこちらへ問いかけてくるが、俺が答える前にゴーヤが咆哮し、再びこちらへ突進を仕掛けてくる。唐突に、そして理不尽な戦闘が幕開けたのだった。
「おいおい、こいつぁ......」
「...酷い有様だな」
シオンとセツラが戦闘を開始する少し前、レクスと大団長ら一期団は二体が向かった古代樹の森へと到着した。
森の中腹に降り立ったが、辺りにはアプトノスやジャグラス、ドスジャグラスやアンジャナフと言ったモンスターまで様々なモンスター達の死骸が転がっていた。
一行は導蟲の案内を頼りに道なき道、モンスター道とも言える道を掻き分けて二人の後を追っていると。突然道案内をしていた導蟲が蛍光色から青色に光り始めたのだ。
「これは.....!」
クリスがその元まで足早に駆け寄ると、導蟲は大きな足跡と小さな足跡を映し出していた。
「近くか...」
「そいつぁ幸運だな。まだ遠くには行ってなさそう__」
レクスとグランが会話をしていた時、レクス達ハンター一行の周囲に紅い光が次々と現れ、飛び回っては何かに引き寄せられるかのように飛んでいくが、その方向は足跡が続く方向だった。
「蝕龍蟲!あまり見られない筈なのに...」
クリスが再び驚いていたが、直後に導蟲が赤く発光し虫かごの中へ逃げ込んでしまったため、何かが来る事を察知した一同は辺りを警戒する。
やがて____、
キィィィィィィィィィィン!!
グルルルォォォォァァァァ!!
2体の...否、2つの
時は少し遡り、咆哮が響き渡る前の話だ。
『シオン...今なら休めるだろうから、今のうちに休んでおけよ。これは長期戦の予感がする』
『それには...同感です...では、セツラさんも...無理、しないようにしてくださいね....』
『あぁ、勿論だ』
シオンが休んでいる間に、俺はどうやれば
『はぁ...はぁ...クソっ...』
幾つもの考えつく未来をシュミレートするがどれも詰んでしまい、攻めあぐねていた。その原因は二つ。一つに俺自身の龍気残量。そして、シオンの戦闘技術だ。
シオンの種族__ゼノ・ジーヴァは古龍の王たらしめる、赤龍ムフェト・ジーヴァの幼体でもあるため戦闘能力に問題はない。だが技術が無いとその強さを存分に引き出す事は不可能に近い。あるにしろ___一つだけ。...
『...シオン。博打だが、奴を倒す方法が、一つだけある』
『本当、ですか...!』
『本当に...博打だがな___』
俺は一息入れると、シオンへ可能性のある作戦を告げた。
『____バルファルクとしての
彼は決意した。必ず、
恐れ見よ 奇しき赫耀の兇星を
星芒 大地を灰燼と為し
天上を裂いて 常闇を招かん