転生したらバルファルクって......詰みに詰んだ死にゲーでしょうか   作:リン・オルタナティブ

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 今回シオンちゃんサイドが完全に空気になってもうたなぁ…。
 更新亀ですが、許してください。何でもしますから(何でもしますとは言っていない)


#7 赫耀vs暴君

『シオンにああ言ったものの、本当にうまくいくかなぁ......』

 

 セツラ()はシオンと別れ、単身あのゴーヤへ接近していた。龍属性が特に濃い地点まではまだまだ遠く、一度休息を入れた方が良さそうだ。そう判断すると、俺は近くの茂みに身を隠す。

 深呼吸しながら、俺はシオンへ告げた作戦を脳裏に思い出していた。

 

◇◆◇◆◇

 

『バルファルクの本能...ですか』

『あぁ、あまり使いたくないがな......』

 

 シオンに伝えた作戦は次のようなものだ。

 最初に俺がゴーヤとぶつかり戦闘。その間にシオンが自身の持つ最大攻撃をゴーヤへ叩き込むという、かなり単純且つ短期決戦に持ち込むにはピッタリの作戦だ。

 

 リオレウスやラギアクルス、クック先生といった竜種、シリーズ屈指の裏ボスたるあのミラボレアスら古龍種など、大型モンスターの多くは弱点に龍属性を持っている事がある。

 だがそこまで万能な属性というわけでもなく、ドスプーさんことアオアシラが属する牙獣種、クンチュウ等の害虫が属している甲虫種などには全く効果を発揮しないなど、相手を選ぶ属性でもあるのだ。

 

『まぁ、オドガロン亜種とかオウガ亜種みたいな例外も多数いるんだが』

『使い勝手が良いとは限らないんですね』

『そういうことだな』

 

 シオンの体力が回復し切るまでの時間稼ぎは出来るだろうなと思いつつ、俺は自身の内に眠る本来の本能がいつ目覚めるのかが非常に不安でもあった。

 なにせ特殊個体、“奇しき赫耀のバルファルク”は破壊し尽くすまで止まらない暴走個体のことである。意図的に暴走することは、流石の俺でも断りたい。だが状況が状況だ。仕方ない。

 

『んじゃ、俺は一足先にドンパチやってくるわ』

 

 コンビニ行ってくるような軽さでシオンにそう告げると、極力音を出さぬように、且つ素早くその場をあとにする。

 なんでそんなことを言ったのか、今考えると、シオンを精神的にリラックスさせたかったのかな等と思うのだった。

 

◇◆◇◆◇

 

 古代樹の森をしばらく走り続けた所で、俺は足を止めた。ようやく目的地――龍属性が最も濃い地点(エリア)へ辿り着いたのだ。そして、お目当ての対象(ターゲット)もその地にいた。

 足腰と頭、そして背部から赤黒い煙を吹き出しながら、アンジャナフ(パイセン)の死体を貪り喰らう渋い緑色のモンスター。怒り喰らうイビルジョーの上を行く個体だということは目に見えてわかった。

 

『暴食の極み・イビルジョー...いや、名付けるなら“貪る暴食 イビルジョー”と言った方がいいのか』

 

 狂気のゴーヤ改め、貪る暴食イビルジョー...暴食ジョーはパイセンの死体食いをやめるとこちらへジロリと虚ろな瞳を向けてくる。どうやらこちらの声が聞こえていたようだ。

 

『俺...なんかやっちゃいました――――』

グルルルォォォォ!!

 

 俺の言葉も虚しく奴には届かず。暴食ジョーは食事を邪魔されたのを怒っているのか、大きな――とまではいかないものの、威嚇には十分なほどの咆哮を響かせながらもこちらへ勢い良く突進してくる。

 

『クソッ――やはり対話は不可能か...!』

 

 俺は悪態をつきながらもヒラリと暴食ジョーの突進を躱し、奴の動向を伺う。暴食ジョーは急停止しながら旋回し、こちらへ視線を向け続ける。どんだけ執念深いんだか。

 

『そんだけ俺を喰いたいのか?なら――――』

 

 だが同時に、覚悟はキマった。

 俺はそこで言葉を切ると、最後のピースを埋めるための行動に出る。

 四肢で地面を踏みしめ、大きく大気中の空気を吸い込む。吸い込む空気は自ずと龍氣へと変換され、自身の中を循環していく。龍氣で全身が満たされ、そして溢れ出す。そして―――

 

『――俺を倒してから言ってみな』

 

 ――――その一言を最後に、俺の視界は真っ赤に覆われた。

 


 

 暴食ジョーの目の前に佇む白銀の古龍...セツラの全身は深紅の光に覆われ、包まれる。

 周囲からは、古代樹の森では目撃例が少ない蝕龍蟲がセツラの周りへと集結し、光の中へ入り込んでいく。

 やがて光が収束し、セツラ――否、セツラらしき影が現れる。白銀だった身体の大部分が赫に侵食され、残された白銀の部分も焦げた鉄の如く真っ黒に変色し、唯一瞳だけは紅く紅く、真紅に彩られ、揺らめいていた。

 

フシュゥゥゥゥゥゥゥ......

 

 セツラは口腔部の隙間から暴食ジョーと同様、またはそれ以上に黒ずんだ赤い煙を吹き出しながら一歩、また一歩と暴食ジョーへと近づいていく。暴食ジョーは一歩も動けず、硬直している。恐れと飢餓感の狭間を彷徨っているのか。それは暴食ジョー本人しかわからないが、後ずさったところを見ると恐らく本能が逃走を促したのだろう。

 

 セツラが暴食ジョーの目と鼻の先まで近づいた所で、暴食ジョーはセツラへ咆哮する。あたかも威圧するような、そんな咆哮が古代樹の森の中に響く。それを聞いたセツラは萎縮する事なく、むしろ闘争を掻き立て、暴食ジョーの咆哮に対抗、あるいは重ねるかのように、甲高いバルファルク特有の咆哮が森に響き渡る。

 

キィィィィィィィィィィン!!

グルルルォォォォァァァァ!!

 

 そして、古代樹の森に2つの咆哮が響き渡った。

 

◆◇◆◇◆

 

 暴走ジョーがセツラへ巨体を生かした先制のタックルを行う。だがセツラは避けることはせず、右の翼脚を盾のように構え、受け止める。なおもパワーでゴリ押そうとする暴走ジョーを翼脚の間から覗く真紅に輝く瞳で見つめたセツラは、空いている左の翼脚をハンマーのように変形させ、暴走ジョーの腹へ振り上げる。

 

 ガリガリという擦れる音を響かせながら、暴走ジョーの片足がフワリと浮き上がり、お腹が無防備に晒される。

 それをセツラは当然見逃さず、盾として機能させていた右の翼脚を槍ように変形させつつ、噴出口から紅く燃える龍氣を吹き出させつつ、暴走ジョーのお腹へ突き出し、衝突させる。

 

 衝突したお腹と翼脚の切っ先の接する点からマグマのように赤い稲妻がバチッと弾けた直後、ノックバックが大きかったのか双方大きく後退する。だがセツラが四肢を踏ん張りギリギリの所で踏みとどまったが、暴走ジョーの方は反動が大きかったようだ。バランスを崩し、体勢を立て直すまでにタイムラグが生じる。

 

 暴走ジョーが立て直したあと、距離が取れたのを警戒して両者睨み合いを続けていたが、痺れを切らしたのはセツラだった。

 

 短く甲高い咆哮を上げたセツラは両方の翼脚の噴出口を後方へ向け、少しの距離だけ突進を行うと龍氣を吹かし、暴走ジョーへ高速突進(タックル)する。

 暴走ジョーはセツラの突進を受け止めようと両足を踏みしめるが、セツラのタックルが暴走ジョーの腹へ二度目の衝突を果たすと、暴走ジョーの身体を慣性で貼り付けたまま突進し続ける。木々を薙ぎ倒し古代樹の森をワールドツアーの如く飛び回り始める。

 

 暴走ジョーは抵抗をするために、セツラの首筋に噛みつこうとするが、セツラは噛み付かれる前にバレルロールを行い、古代樹の森上空へ舞い上がり、そのまま上へ上へと上昇していく。

 

 その光景はまさに彗星そのものなのだが、唯一違うのは、天へ昇る彗星のてっぺんに恐竜のような影があるのだった――――。

 

 ある程度上昇するとセツラは一度噴出を止め、身体をクルリと180度回転させ、自身の頭部を古代樹の森へ向けると、再び噴出口からの龍氣噴出を再開し、古代樹の森へ真っ逆さまに落下していく。

 

 暴食ジョーはと言うと、既に死んだのか、はたまた気絶しているのか、上昇中も、落下中もピクリとも動くことはなかった。

 

 やがて古代樹の森へ赤黒く燃える隕石が落下し、獣竜種の――十中八九暴食ジョーなのだが―――断末魔のような咆哮と共に黒炎が上空へと噴き上がり、その黒炎はアステラ含めた森全域の空を、赫く赫く染め上げた。




キリがいいのです、今回はここまでです(^U^)
暴食ジョーの安否は次の話でわかる…と、思います。
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