――試合当日。
全体的にクラスの雰囲気が浮ついている。
今日、俺がセシリアと戦うからだろう。
セシリアは今日俺と一言も喋らなかった。
それもそうだろう。
お互いがお互いの事を良く思っていないのだから。
――――――――――
「……いよいよだな」
アリーナ、機体ハンガー。
俺はそこにコアガンダムを装着した状態で待機していた。
一夏と篠ノ之が、応援に来てくれていた。
「ああ」
「それが、お前の専用機か」
「ああ」
「……緊張してるか?」
「ああ……いやしてねーけど!?」
「してんじゃねーか。全部返事同じだったぞ」
お互いに笑う。
「星海。私はあまり力になれなかったが……」
「いや、こうして来てくれるだけでうれしいよ」
まぁほとんど観客席の方にいるだろうし。
「そろそろですよ、星海くん」
先生が声を掛けてくれる。
置かれているアースアーマーに乗る。
「行ってくる」
「頑張れよ」
「ああ」
アースアーマーが射出された。
――――――――――
「……逃げずに来ましたのね」
歓声が上がるアリーナ。
その中心に、彼女は浮かんでいた。
青を基調にしたIS。
コアガンダムが表示した情報には、『ブルーティアーズ』と表示されていた。
「俺も、男だからな」
「……ふん」
セシリアが無言で手に持つライフルを構える。
……ロックオン警告。
「今投降すれば、聞き入れない事もないですわよ」
「誰がするかよ」
コアスプレーガンをセシリアに向ける。
「……全身装甲。1.5世代機とでも言うべきですわね。そんな情けないISで、このわたくしとブルーティアーズと勝負するおつもりで?」
「やってみなきゃ分からないだろ」
「ふん。やってみなさいな」
「ガンダムの名は、伊達じゃないさ!」
ほぼ同時に発砲。
ビーム同士が相殺し合う。
……戦闘開始だ。
「踊りなさい!わたくしとブルーティアーズが奏でる
「くっ……!」
アースアーマーの推力を上げる。
代表候補生とだけあって、狙いは正確だ。
でも、先生の射撃の方が精度は上だった。
結局先生との模擬戦で俺は一度も有効打が取れなかった。
「でもなぁ!!」
アースアーマーの機首を上げる。
丁度U字になる様に反転。
アースアーマーにマウントされた砲身から射撃する。
「突っ込むだけの射撃なんて!」
「うおおおおおおお!!」
アースアーマーを突っ込ませながら跳ぶ。
セシリアの上を取り、頭部のバルカンを連射する。
「くっ……!」
「うおらぁ!!」
サーベルを振る。
その瞬間、手を撃たれてサーベル吹っ飛んだ。
「なっ」
「お行きなさい!ブルーティアーズ!!」
セシリアの方面とは別の方向からビームが降り注ぐ。
左右にブースターを吹かせつつ地表に向かう。
「なんだ!?」
「まさか貴方にこれを使う事になるなんて……!」
着地。
空を見上げると、セシリアの周囲にパーツが浮かんでいる。
あれは……ビット兵器?
それが4基。
アースアーマーが近くまで戻ってくる。
飛び乗って飛翔する。
「まだまだいきますわよ!」
「くっそ……!」
射撃される数が増える。
このままでは削り殺される……!
……ん?
(あいつ……動いてない!)
ビットは目まぐるしく動き回るが……本体であるセシリアがその場から動かずにずっとライフルで撃ってきているだけだ。
(操作中は動けないのか……?なら、そこに勝機はある……!)
セシリア本体に向き直る。
「2度同じ手は通用しなくってよ!」
「それは、どうかな!」
正面から4基のビットとライフル斉射で迎撃される。
このままでは普通に撃ち落されてしまう。
アースアーマーのスピードを上げる。
「終わりですわ!」
「まだだ!!」
射撃の瞬間、俺はアースアーマーを乗り捨ててた。
被弾したアースアーマーの勢いは止まらない。
「なっ!?」
ガン!
セシリアとアースアーマーが激突する。
俺はそこへブースターを全開にして突っ込む。
残った片方のサーベルを伸ばす。
「うおおおおおおおおおおおおお!!」
懐に潜り込めば、全方位からの攻撃は……!
「い、『インターセプター』!!」
「いっ!?」
セシリアが武装名を叫んで呼び出し、ブレードを持った。
「わたくしを、ここまで追い込むなんて……!」
「く、そ、あと少しだったのに……!!」
ブースターを吹かせられる時間には、限りがある。
その前に刃を通さないと……!
「終わりですわ!!」
「えっ……あ、がぁッ!!??!?」
空から降るビームに貫かれた。
セシリアとの距離が離れる。
ブースターの使用制限がかかる。
アースアーマーは遥足元。
(落ちる……!!)
「これで、チェックメイト!」
終わった。
後は落ちるだけ……。
(……結局、約束ってなんだったっけ……)
ずっと視界の隅にあった文字列。
「約束を思い出せ」。
俺の、約束……。
手を伸ばす。
やっぱり、空は遠かった。
――――――――――
「あなたは宇宙飛行士になりたいのですか?」
「うん」
「わたくしも見に行きたいのですけれど……わたくしは宇宙飛行士になれないのです」
「そっか……ざんねんだね」
「ですから、わたくしの代わりに、行ってきて欲しいのです」
「いいよ!僕が君に、宇宙を見せてあげる!」
「ほんとう?約束ですわ!」
――――――――――
「思い出して、君のした約束を」
「……思い出したよ。俺の、約束」
視界に広がる空と大地。
IS学園じゃない、どこか。
昨日見た少年が、またそこに居た。
顔は見えないが、彼は笑っていた気がする。
「君に、後悔はさせたくない」
「ありがとう。大事なこと、思い出せたよ……でも、負けちゃったな」
「まだ、分からない」
「そうかな……俺は飛べないから、勝負は厳しくて」
「大丈夫だ」
少年は空を指さす。
「人類は何処へだって行ける。空を超え、月も飛び越えて、宇宙の果てまで」
……この世界の宙を、俺は見たい。
約束した彼女に見せたい。
「プラネッツシステムに限界は無い。叫ぶんだ」
俺の、願いを――――!!
――――――――――
落下。
俺は、アリーナの地面に向かって落ちている。
上には、俺に照準を合わせたセシリアが。
飛ぶことが
だが、
(思い出したんだ、約束を!!)
コアガンダムの最後の機能がアンロックされた。
『プラネッツシステム』アンロック。
『音声認証開始』
『どうぞ』
「コアチェンジ……ドッキング、ゴー!!」