せめて今書いてる作品完結してから失踪したい……。
本当に一夏との模擬戦は禁止された。
解せぬ。
さて、場所は変わって俺と一夏の部屋。
俺達は机に向かい合って座り今日の課題を広げていた。
「……なぁ」
「5秒待て……何だよ」
問題が解けるか解けないかギリギリのタイミングで聞かれたので待たせた。
鉛筆を机に置く。
「……俺、なんかマズったかな」
「女性のコンプレックスを刺激する事が拙くないとでも?」
「だよなー……」
ぐでー、と一夏が机に突っ伏した。
ちなみにこいつの解答は白紙である。
やれよ。
写させてやらんぞ。
「大体約束も満足に覚えてなかったんだろ?何も言えないだろ」
そこまで言ってから俺は口を閉じた。
俺も、人の事は言えない。
だって、約束を交わした相手を覚えていないのだから。
「それは――」
ドン、ドン!
部屋の扉が乱暴に叩かれた。
俺たちは顔を見合わせて、じゃんけんをした。
一夏がグー、俺はチョキ。
ちくしょう。
恐る恐るドアを開ける。
「あれ、アンタもこの部屋なの」
視界の下にちんまいツインテール。
鳳だ。
「何の用件だ」
基本的に俺たちの部屋に女子生徒が訪れるのはあまり良い顔をされない。
同じ寮に部屋がある以上仕方のない事だが。
「一夏は?」
「居るぞ。席を外す。30分したら戻る」
「えっ、そんなそこまで……」
「男女の喧嘩は犬も食わない。俺は犬じゃないから尚更要らん」
馬に蹴られたくは無いので。
「一夏っ!」
さて、どこで時間を潰したものか。
風呂でも入れれば良いのだが、生憎と浴場は調整中。
俺たち二人だけの為に貸し切りにする事は難しい。
「決闘よ!」
……なんか聞こえてきた。
なんだこれ。
ふと辺りを見渡すと、まぁずらっと女子生徒が聞き耳を立てていた。
うわこわっ。
俺達の会話もしかして聞かれてるのかこれ。
女子生徒達は俺に気が付くと蜘蛛の子を散らす様に逃げて行った。
しかし……決闘か。
あの二人はクラスメイトだから、交流戦みたいな形になるのだろう。
鳳は代表候補生だ。
恐らくは専用機持ち。
なんか、専用機持ち多くないか1年は。
持ってる俺が言うのも何だけどさ。
――――――――――
結局、屋上のテラスで夜風に当たって空を見上げていた。
夜の空は、日中とはまた別の顔を見せる。
都心と離れ、人工島の上に建つIS学園の夜空は……それほど良いものではなかった。
常夜灯の灯る中では、星が少しばかり暗く見える。
やっぱり星を見るなら山の中だな……。
「こんな夜更けに、何をしていますの?」
「淑女が出歩くには遅いだろうに」
背後から声を掛けられた。
セシリアだろう。
「一夏さんと鈴音さんが決闘するって、寮中が話題になっていましたわよ」
「恐ろしいほど伝播が速いな」
「女性とはそういう物なので」
「滅多な事は出来ないな、ホント」
「滅多な事をするおつもりで?」
「しねーっての。で、何用だ?」
ただ世間話をする為に来るなんて酔狂なやつでもないだろ。
「あら、理由も無しに殿方に会ってはいけないかしら」
え、えぇ……?
「……モノ好きなやつ」
「褒め言葉として受け取っておきますわ」
後日、正式に一夏と鳳の模擬戦が決定した。