いよいよやってきた。
一夏と鈴音の決闘の日。
俺はハンガーで待機している一夏の側にいた。
「いよいよだな、一夏」
「ああ」
「やる気は?」
「バッチリ」
「勝つ気は?」
「充分!」
「よっしゃ、行ってこい!」
「ああ!」
お互いにハイタッチ。
後ろに居た女子2名が溜息を吐いた。
「那由太さん、もっと言うことありませんの?」
「全く……男と言うのはつくづく分からん……」
辛辣。
まぁそんなもんだろ。
ハンガーから一夏が飛び立つ。
俺達も観覧席まで移動しよう。
「一夏の相手の……鳳鈴音の専用機は第三世代。セシリアのブルーディアーズみたいなやつ何だろうか」
「第三世代機と言っても、専用機は個人の色が特に反映されますわ。わたくしのブルーディアーズとは全く別物だと考えた方が宜しいかと」
「なるほどなぁ……専用機は何だかんだセシリアと一夏のやつしか見たことないからなぁ」
「専用機持ちが一年にこれ程多いのが異例なんですよ」
「それもそうか」
観覧席に着いた。
空いてる場所は……クラスメイトの子が手を振ってる。
3人座れるかな。
お、有り難い。
座れそうだ。
あれ、篠ノ之さんが居ない。
「あ、セシリアすまん。ちょっと寄るぞ」
「え、あ、い、いえ!大丈夫ですわ!」
さて、一夏はどうしてるんだろうか。
視線をフィールドに向けると……奴は吹っ飛んでいた。
「ん!?鳳のやつ何もしてないぞ!?」
突っ立ってる鳳にまるで近寄れていない。
「あれは……昔、資料で見たことがありますわ」
「知ってるのかセシリア」
「はい。『衝撃砲』と呼ばれる空気を圧縮して撃ち出す技術です。実現していたなんて」
空気製の不可視の弾丸か。
砲身らしいパーツは肩に付いているが銃口には見えない。
「理論上は射角も弾数も無制限。必要なのはシールドエネルギーだけ」
「うーん理想的。でもISだし何かしら欠点は抱えてそうだな」
「弱点を見つけられれば一夏さんにも勝機はありますわ」
「あいつ一撃特化だからな……当たれば勝てるし」
一瞬でも隙を見付けられればあいつの勝ち。
つくづく極端な性能してるなアレ。
「!一夏さんが加速しましたわ」
「懐に入れば流石に撃てないと踏んだか?」
「それを想定していないとも限りません」
だよなー。
やはりと言うか、手にしていた青竜刀で切り結んだ。
接近戦もお手の物か。
万能型、一夏の最も苦手とする相手だな。
「厳しいな」
「ええ……」
「白式は速い。けどそれ以上にスピードを出さないと」
「策はあるにはあります。と言うか一夏さんの場合それしかありませんわ」
「へぇ、どんな?」
「
瞬間加速。
シールドエネルギーを消費して一時的に自機の最高速度を上回る加速を叩き出す奥の手だ。
曰く、熟練者でも見切るのは難しいという。
「初見殺し極めてきたなアイツも……」
ただ、あいつのエネルギー効率的に考えて一度しかチャンスは無い。
「動いた……!」
早計か?
いや、長引くほど一夏の方が不利だ。
多少強引でも決め切らなければ……。
「……ん?」
空から、何か落ちて……。
「ヤバい……!!」
「那由太さん?
「この試合、中……」
――――轟音が鳴り響いた。
フィールドに土煙が舞う。
何かが、降ってきた。
「逃げろ!!」
俺は、叫んだ。
その瞬間、フィールドを一線のビームが横断する。
間違いない、アレは。
「あの時の所属不明機……!!」
物言わぬ不気味な巨人が、そこに立っていた。
アンノウン、再び。