アリーナは一気に混乱に陥った。
アリーナを覆うフィールドは無事。
よっぽどの事が無い限りこちらに攻撃は飛んでこない……が、
(観客を避難させる方が先だ……)
「那由太さん、アレは……」
「セシリア、一度ここを離れよう。先生達と合流して対策を」
「なんで!なんで開かないの!?」
絹を裂くような悲鳴。
「どうした!?」
辺りを見渡す。
アリーナの観客席下、通路側の出入り口がすべて封鎖されている。
「ここも開かないのか……」
拙いな。
誰も避難が進まず混乱しか産まない。
「那由太さん……」
セシリアが不安そうな声を漏らす。
どうする……どうする!
「ドアを破壊する」
「えっ……」
「離れてろ」
これはやむを得ない状況だ。
とりあえず誰かに連絡しておいた方が良いかも。
『那由太くん!セシリアさん!聞こえますか!?』
「「先生!」」
俺とセシリアが同時に声を出す。
ISのプライベートチャンネルで先生が通信を入れてきたらしい。
『現在アリーナが完全に外と切り離されています!原因は不明ですが……』
「十中八九あのアンノウンの仕業では?」
『アレ単騎でこの規模のハッキングは不可能な筈です』
「………………」
そう言えばあの時、残骸は回収できていたのだろうか。
「先生。これから避難の為に扉を一部破壊します」
『え"。ちょっと那由太くん?流石にそれは……』
『構わん。緊急事態だ、やむを得ん。何もせん政府に金を出させてやれ』
わあ過激。
織斑先生結構バイオレンスですね……。
『ただしかなり頑丈だ。その扉の向こうに人は居ないがエネルギー系統の武器は無効化される。つまりビームは厳禁だ』
セシリアは参加できない、そして、ヴィーナスアーマーは使えない。
物理的に最大火力の出せる武器が居る。
「了解。セシリア、下がってろ」
「は、はい」
「コアチェンジ、ドッキングゴー!」
呼び出すのは、真紅のアーマー。
マーズアーマー。
背中に懸架されるのは3種類の実体剣。
他のアーマーに更に先鋭化シルエット。
これが、
「マーズフォーガンダム!」
背中に差した巨大な実体剣、ヒートレヴソードを抜く。
「でぇりゃあああああ!!!」
……それを扉の隙間に刺し、梃子の原理でこじ開ける!
「お、思ってたより地味な壊し方ですわね……」
「う"ぉ"ぁ"ぁ"ら"ぁ"ぁ"!!!」
メキメキとロックを物理的に破壊していく感触。
隙間に足を差し込んで手を放し、両手のシールドからクローを展開。
更に隙間にねじ込んでこじ開ける。
「う”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!!」
渾身の力を込める。
駆動部にダメージが入っているかどうかもわかんないけどとにかく開ける!!
「開げえええええええええええええ!!!!!」
「あっ!動きましたわ!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
「開きましたわ!!」
「聞こえるか!ここから出ろ!!」
人が4.5人くらい抜けられる隙間を保持出来ている。
これ、手を放しても大丈夫かな……。
『よくやった。しばらくそこで待機していろ』
「一夏達は無事なんですか!?」
『保ってはいる』
「セシリアを援護に向かわせます!」
『良いだろう。だがシールドの突破手段が無いぞ』
「そうか……」
アリーナのフィールドを覆うバリアの解除は出来ない。
さて、どうやって侵入するか……。
『一夏ぁ!!お前も、男なら、やって見せろおおおおおおおおおおおおお!!!』
「この声……」
「箒さんか!セシリア!」
「分かっていますわ!」
セシリアがブルーティアーズを展開し移動した。
俺も全員の避難が終わり次第向かわないと……!
「気張れよ一夏!!」