この学園の制服は基本的に白いのだか、それでも目を引く白さの生徒が居た。
長い白髪に……眼帯。
そんな少女が一人で座っていた。
「……あれが、お前のとこのもう一人の転校生?」
「ん?ああ……ラウラか」
「何だ、シャルルの時と大分反応が違うじゃないか」
「一夏、思いっきり頬叩かれたもんね」
「え、マジかよ何があったんだ」
「さぁね。千冬姉がドイツに居た時に何かあったみたいだけど」
ドイツ?
何で織斑先生がドイツに……って、そうか。
確かあの人ISの世界大会……モンドグロッソだっけ?に関係してるとかなんとか。
「そうなのか……」
「何だ、気になるのか?」
「別に、何となくだ」
おや、向こうもこっちに気付いた様で何か物凄い不服そうな顔してそっぽを向かれた。
「あまり友好的では無さそうだ」
「僕の話聞いてた?」
問題が起きなければ良いけど。
――――――――――
放課後。
今日はアリーナの申請をしていたので久しぶりに俺のISに触れる。
一度技研に搬送されて修理されたのが戻って来たのだ。
新品同様にしっかりと整備されている。
「……悪いな、相棒。無理させちまって」
深紅のアーマー、マーズアーマーを纏う愛機に語り掛ける。
しかし、あの無人機……一体何だったんだろうか。
「ん?」
突然のロック音警告。
冗談にしては心臓に悪い。
『反応が遅い』
「うっ!?」
身体が動かない。
何をされた……?
『危機管理もなっていない。所詮この程度か』
「……生憎とここでそんなお遊びに興じる友人は居ないものでね」
『お遊び、だと?』
「何がしたいか知らないがいきなりこんな事ををするんだ。自分の国じゃいざ知らず、悪戯にしちゃ度が過ぎてる」
相手は背後に居る。
センサー類は死んでいないが身動きひとつ取れないのが居心地の悪さに拍車を掛けている。
「貴様……!」
挑発に乗ったのか、拘束が解除された。
振り向く。
ISに搭載されいるハイパーセンサーは背後まで視認できるが、気分としてはちゃんと相手に向き合いたい。
そこに立っていたのは、先ほど見かけた白い転校生。
「ラウラ・ボーデヴィッヒ……」
自身の漆黒のISに身を包み、件の転校生は仁王立ちしていた。
「貴様が2組の代表だな」
「ああ、そう言う事になっている」
「フン。1組もそうだが、客寄せで選ばれたのだろう」
「何だと?」
「違うというのか?だとしたら先の、貴様の言う悪戯とやらに反応出来なかった時点で底が知れるな」
「てめぇ……」
さっきまで景気よく煽ってた仕返しとばかりに煽り返された。
俺の良くない癖がここでも出てしまったらしい。
気付けば一触即発な空気。
「………………」
「………………」
腰のヒートレヴソードに手を掛ける。
向こうも腕を手刀の様に構える。
睨みあったままどれだけ経過したのだろうか。
「「っ!!」」
動き出そうとした瞬間、
「お待ちなさい!!」
「「!!?!」」
お互いの間にビームが一閃。
ロックオンも無い警告だけの射撃。
俺はこの射撃をよく知っている。
「セシリア!」
「お二方、いきなり何をしているのです!」
「ちっ、邪魔が入ったか……この勝負、預ける」
「あ、オイ待て!」
何なんだ一体。
「那由太さん!転校生と何か問題を起こされたのですか」
「起こす前提かよ。向こうから喧嘩振って来たんだ」
「はぁ……?」