「急げ!次は右!」
「一夏!前から先輩たちきてるぞ!」
「回り道だ!シャルルこっち!」
「う、うん!?」
俺達は走って……もとい、早足で更衣室に向かっていた。
次の授業が体育だから教室でぼーっとしてたシャルルを引っ張って慌てて飛び出したのだった。
次の授業までの15分でアリーナに用意された男性更衣室に辿り着き着替えまで間に合わせなくてはならない。
……しかしまぁ物珍しさから他の生徒が見に来る見に来る。
「な、何でこんなに人が来るの!?」
「そら物珍しいからだろ!3人目とはいえ男の適合者だ」
「……あっ、そっか」
……?
一夏の解答に対する反応に違和感を覚える。
だが、そんな事を気にする暇はない。
「アリーナ前人影なし!」
「行くぞ!」
廊下から出たので全力疾走、更衣室に駆け込んで俺と一夏は一斉に上着を脱ぎ捨てた。
「う、うわ!」
「急げよシャルル、時間がない!」
「う、うん」
「くっそ、引っ掛かるな……」
「ひ、引っ掛かる?」
「そうだよなぁ、なまじぴっちりしてるから。シャルルはどこのメーカーの使ってるんだ?」
「ぼ、僕は……」
「え、もう着替え終わってんじゃん。早いな」
「そ、そうかな……!?」
「ああ。俺はジャケットもあるからパーツ多いんだよな」
一夏もシャルルもスパッツに上着だけ。
なのに俺はその上にジャケットを羽織る必要があった。
「そう言えばそうだな。全身装甲だからなのかな」
「どうなんだろうか。確かに前打鉄に乗ったときと感覚は違う気がする」
「へぇ、やっぱそうなんだな」
「……那由太はISを展開した時に何か感じたりするの?」
「ん?ああ……まぁ、声が聞こえた?とか」
「声?それってどんな……」
「おーい、時間無いぞー」
一夏が声を掛けてきて話は中断された。
……何だ?この探られてるみたいな感じは。
「………………」
この、シャルルとか言うやつ。
何か俺に……と言うか一夏にもか……探りを入れている気がする。
良いやつだと思うんだが、何となく信じきれない感じがする。
何か特大の隠し事をしているというか……。
なんだろう。
俺が大体こう言った感情を抱くのはたいてい女相手だ。
アイツらは……信じきれない。
正直こんなに面倒を見てもらってるのにどうかと思うがセシリアも心の底から信用している訳じゃない。
分からない。
正体が掴めない不安をシャルルにずっと抱いている。
居心地が悪い。
「おーい、那由太!行くぞ!」
「ああ、分かってる!」
……一夏は何とも思ってないのだろうか。
一度シャルル抜きで話をしておくべきかも知れない。