……一夏がグラウンドにクレーターを作りやがったので何故か俺も一緒になって埋める羽目になった。
なんでだよ。
「随分とISに慣れた様ですわね」
隣を悠然と飛ぶセシリアに話しかけられた。
「慣れた、か」
今はもう、コアガンダムは体の一部の様に感じられる。
この機械の腕も、背中のブースターも、感覚一つでフレキシブルに動かす事ができる。
「なんだろう。俺はコイツになってるって感覚がある……かな」
その方がしっくりくる。
俺は俺で、コアガンダムはコアガンダム。
俺がコアガンダムになっている。
「そうなのですね……」
「どうしたんだ?急にそんな事を俺に聞いて」
「いえ……那由太さんと一夏さんは、ISに関して素人も良いところでしたのに……この短期間で適応し過ぎている……そう思っています」
「……短期間、か」
確かに俺……俺達はたった一ヶ月でこれを物にしている。
改めてISという代物に戦慄する。
10代の子供が手にするには強力すぎる。
「まぁ、どうでもいいかも知れない」
「……え?」
「どんな危険だろうと……俺はこの空の向こう、成層圏を越えた先へ……コイツで行けるのなら、それで良い」
そうだ。
俺は、どんな手を使ってでも宇宙を目指すんだ。
その夢に偽りは無い。
だから
「俺はそれで良い」
「……本当に、何なんですか貴方は」
「さあな。宇宙を目指す大馬鹿野郎だ」
「はぁ……?」
……そう言えば、シャルルの事をセシリアに話すべきだろうか。
そこまで考えて頭を振った。
コイツにそんな事を言っても仕方ないだろ。
『もう良い、戻って来い』
「帰るぞ」
「あっ、待って下さい!」
「あの馬鹿を地面から引っこ抜いてやらないとな」
……まぁ、例えばシャルルが探りを入れているとしても在学中なら何も手出しはされないだろう。
――――――――――
「……で?なんだこの状況」
夜。
部屋に戻ったあと、あまりにも一夏とシャルルのやりとりがあまりにぎこちなかったので流石に看過できなかった。
「えっと……」
「……正直に話そう、シャルル」
一夏が諦めた様に呟く。
「でも……」
「同じ部屋な以上、バレるだろ。それに那由太なら黙ってくれる。だろ?」
「……内容による」
一夏はシャルルの秘密に運悪くバッティングしたのだろう。
「……実は」
シャルルは語る。
実は自分が女であり、男性適合者の情報を探るために性別を偽り入学した事を。
「……そういう事か」
正直頭を抱えたかった。
めちゃくちゃ特大の地雷じゃねーか。
探りを入れてきているとは思っていたがマジの産業スパイだ。
デュノア社の売上の落ち込みを回復させる為とは言え親も親だな。
「正直、俺達が黙っているメリットは何も無い」
「那由太!」
「だってそうだろう。こいつは俺達から情報を得ている」
「けど、シャルルだって……」
「どのみちバレるのもこれじゃ時間の問題だ。良くて強制送還だろ」
「……ぐ」
一夏が呻く。
……このお人好しが。
何とかシャルルの力になろうとしている。
「……いや、手はある」
「何?」
一夏が懐から生徒手帳を取り出し、いくつかページを捲る。
「これだ」
「……『学園の土地はあらゆる国家機関に属さず、いかなる国家や組織であろうと学園の関係者に対して一切の干渉が許されない』……なる程な」
「え、これって……」
「お前にはあと2年程度猶予があるって事だ」
「ああ、その間に何か手段を考えられる」
「い、一夏……それに那由太……」
……あーあ、これで俺も共犯か。
相部屋の住人のお人好しが移ったのかもな。
「まぁ、そう言うことだ。そこのお人好し馬鹿に感謝するんだ」
「そんな事言うなよ那由太」
「ありがとう、二人とも……」
……さて、どうなるかな。