IS~この世界の宙が見たくて~   作:塊ロック

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第三十六話「すれ違い」

 

「大変だよ星海くん!!」

 

教室で居残り自習していた所に、クラスメイトの一人が飛び込んできた。

そしたら何人かもわらわらと出てくる。

女子は基本的に群れて行動する生き物だったなぁとしみじみ思う。

 

「あん?どした」

 

テキストから目を離さないで返事をしたので囲まれてるのに気付かなかった。

退路がない。

たすけて。

 

「セシリアが!」

「一組の転校生と!」

「戦ってるって!」

「一組の転校生ってどの!?」

 

三人いるが。

 

「ボーデヴィッヒさん」

「……なんでまた」

 

そもそもあの二人接点あったか?

代表候補生同士の交流って意味なら確かに分かるけど。

 

「何か、ボーデヴィッヒさんがセシリアを煽ってたみたい」

「挑発に乗ったのか。まぁアイツそういうとこあるよな」

 

自分の事は棚上げである。

 

「見に行かないの?」

「まぁアイツなら大丈夫だろ」

「そうかな……なんか結構辛そうだったけど」

「鳳も居たんだろ?流石にそれで負けるなんてことは……」

「心配じゃないの?」

「別に」

 

そういった瞬間、クラスメイトの視線が鋭い物になった。

思わず冷や汗が流れる。

 

「嘘」

「そんなこと無いよね」

「セッシーはずっと那由太くんの事心配してたのに」

「勿論行くよね」

「………………」

 

これが圧力か。

正直心配なんて微塵もしてなかったが……。

 

「……分かった、行くよ」

 

行かなきゃ駄目だよなー。

 

「那由太!」

 

その瞬間、2組の出入り口に一夏が慌ててやってきた。

 

「うわっ、織斑くん!?」

「行くぞ那由太!」

「えっ、なんでお前までうわっ引っ張るなって!!」

「リン達がやられてるって聞いたんだ!行くぞ!」

「分かったから!引張んなって!!」

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

現場は、想像しているより酷いものだった。

 

最早残骸と言っても差し支えないほど、二人はボロボロにされていた。

 

「なっ……」

 

思わず声を漏らす。

一夏は当事者……ラウラ·ボーデヴィッヒを睨みつけていた。

 

「来たか」

「テメェ……!」

「どうした、来い。私は逃げも隠れもしない」

「よせ一夏、挑発に乗る……うおっ!?」

 

静止を聞かずに一夏はISを展開し、問答無用で零落白夜を発動、アリーナのシールドを切り裂いて中に侵入した。

 

「あの馬鹿……!コアチェンジ!ドッキングゴー!!」

 

すぐさまアースリィガンダムを纏って俺もアリーナへ飛び込んだ。

 

「うおおおおおお!!」

 

一夏がラウラ目掛けてそのまま突進する。

猪突猛進にも程があるだろアイツ。

 

「大丈夫か、セシリア」

 

俺は床に転がされたセシリアに駆け寄る。

……こりや酷いな。

損傷度合いがレッドゾーンギリギリだ。

 

「那由太さん……」

「無茶しやがって……何でこんなことを」

「それは……」

「うおおおっ!?」

 

一夏か吹っ飛んできた。

……待て、今何が起きた?

白式の加速力をそのまま跳ね飛ばした?

だとしたらあいつのIS、尋常じゃない馬力を持ってる事になる。

 

「一夏!気を付けて!アイツの装備はヤバい!」

 

鳳が立ち上がりながら叫ぶ。

 

……なんだ?

まるで不可視の壁で受け止められたかの様に動きが止まっている。

 

「チッ……」

 

兎に角、これ以上面倒事が増えないようにするにはどうすれば良いか。

二人の動きを止めて仲裁しなければならない。

 

「コアチェンジ、アーストゥマーズ!!」

 

アーマーをアースアーマーからマーズアーマーへ切り換える。

マーズフォーガンダムのパワーなら白式にも劣らない。

 

「待て一夏っ!」

「那由太!?止めるな!」

 

後ろから白式に組付く。

羽交い締めの形で動きを止める。

 

「離せ!」

「辞めろ!ここでやり合ったっていたずらに消耗するだけだ!」

「でもリンとセシリアが!」

「自業自得だろうが!」

「お前……!頭に来ないのかよ!!」

「抑えろ!」

「……フン、意気地なしめ」

 

ラウラがつまらなさそうに鼻を鳴らす。

 

「何お……!」

「ボーデヴィッヒ。お前が何を気に入らんか知らんが、稚拙な挑発なんざ代表候補生のする事じゃないな」

「何だと……」

「恥ずかしくないのかって聞いてんだよ」

「貴様、私を侮辱する気か」

「侮辱?正論だろうが」

「那由太!お前も煽んなよ!?」

 

……その瞬間、ザン!と何かが俺達の間に突き刺さった。

え、これIS用のブレードじゃん。

 

「貴様ら、何をしている」

「教官……」

 

わぁ、織斑先生……。

そのブレード生身で投げたんですか……?

 

この後、アリーナでの死闘を禁止されたのだった。

 

「……なあ那由太」

「何だ?」

 

その日の夜。

部屋で一言も喋らない俺達にシャルルがずっと居心地悪そうにしていた頃。

 

一夏が口を開いた。

 

「何で止めたんだ?」

「……何でだろうな」

 

あの時はそれが最善だと思った。

だが……。

 

「クラスメイトが痛めつけられて頭に来なかったのか?」

「……俺は」

 

……セシリアのことを、どう思っているのだろうか。

 

「……悪い。分からない」

 

それっきり、俺達の間に会話は無かった。

 

 

 

 

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