「タッグトーナメント?」
あれから数日。
セシリアは保健室に入り、ブルーティアーズもオーバーホールの憂き目にあったらしい。
面会謝絶状態で会う事は出来なかった。
「そそ」
「何か前回のクラス対抗戦での事を踏まえての事らしいよ」
「あー……ナルホドね」
箝口令が敷かれてるので流石におおっぴらに話せないが……要するに前回の試合がアンノウンに乱入されたのを危惧してのことか。
確かに単騎よりコンビのほうが生存率は上がるだろう。
「最近出ずっぱりだからたまには観戦側に回るか」
「えっ、星海くん出ないの!?」
「そんなー、アタシと組んでよー」
「あのな、クラス代表押し付けられてずっとイベント出てんだけどこっちは。良いだろたまにゃ休んでもよ」
ぶっちゃけ何かしら騒動が毎回起こるしそのたびに巻き込まれてんだよな。
たまには命の危機から離れたい。
「アンタ何サラッと誘ってんのよ」
「いーじゃない!まだ那由太くんペア決まってないんでしょ?」
「出る前提かよ」
「えー、でも織斑くんと戦えるんだよ?」
そう言われるとちょっと迷ってしまう。
結局公式試合であいつと戦うことが今まで無かったのだ。
あったとしても何かと邪魔が入ったし。
「あ、迷ってる」
「思ったより分かりやすいよね」
「喧しい!」
「それで?私の敵討ちはしてくれないのかしら」
教室に新たな声が響く。
思わず全員が黙った。
「セシリア……もう良いのか?」
「ええ、わたくしは」
含みのある言い方。
つまり……。
「ブルーディアーズの方は駄目か」
「はい」
先日の一件で完膚なきまでに叩きのめされ、修理のために使用が禁止されている。
「となると、セシリアは誘えないか」
「あら、那由太さんは出ないのでは?」
「……まぁな」
「あまりレディを期待させる事を言わないでもらえて?」
「何だ、機嫌悪いな」
言ってからしまったと口を抑える。
流石に手遅れだった。
セシリアもジト目で俺を見てため息を吐いた。
「自覚してらっしゃる様なので今の言動は聞かなかった事にして差し上げますわ」
「……済まない」
「……ただし」
セシリアが指を俺の鼻先に向けて突き出し、言う。
「わたくしがやられている時に、来てくださるのが随分と遅かったですわね」
「そりゃ……行く必要、無かったろ」
「そうですか」
呆れた様にセシリアは呟いた。
そのまま、会話は終わってしまった。
「………………」
どうすっかな……。
―――――――――
「ん?」
何となく、アリーナに立ち寄る。
出入り口でラウラ·ボーデヴィッヒの奴が立っていた。
「何やってんだ?」
「………………」
おおこわ。
無言で睨んできたぞ。
「貴様には関係ない」
「いやまぁそうだけど……」
そこでふと、ある事にきづく。
「……ああ」
「何だ、その顔は」
思っていたよりニヤついていた様だ。
「出禁か」
「貴様……!」
あ、キレた。
先の私闘でやらかした為、こいつは織斑先生直々にひとりでのアリーナ使用を禁じられた。
……ただ、裏を返せば。
「悪い悪い……詫びと言っちゃなんだが申請してやろうか?」
「……何?」
「IS、動かしときたいんだろ」
こいつとタッグを組みたいやつが居るかは置いておいて、やっぱトーナメント前に動かしたい気持ちはあるんだろう。
「フン、何を知った事を」
「知らんさ、お前が拘ることなんか。ただ、一夏とは戦うんだろ」
「……ああ」
「奇遇だな。俺もアイツとは戦いたいんだ」
「貴様と同じにするな」
「確かにお前とは同じじゃない。俺はライバルと白黒付けたいんだ」
「お遊びも良いところだな」
「お前にとっちゃな。だが、これは俺にとっては大事なことなんだ。お前が拘ってる事だって俺には理解できないしな」
「………………貴様、変わってるな」
「よく言われる」
「そこまで言うのならやってもらおう」
「お、そうか。ついでにお前のISも見せてくれよ」
「調子に乗るな」
「悪い悪い」
何だか奇妙な関係が始まってしまった。
まぁ今回限りだろう。