放課後。
詰め込んだ知識を脳から溢さないように蓋……要するに復習をしている。
(基礎で躓けば後は無い……せめて基礎だけでも抑えないと)
通常授業はまぁ理解できる。
IS知識だけは今までの積み重ねすらないから厳しいのだ。
……初日から必至こいて復習している俺に若干引いていたのか、人だかりは無い。
「……よし。後は部屋で……あ」
部屋が分からん。
IS学園はパイロット候補生の保護の側面を持つので基本的に全寮制だ。
俺と一夏はどの部屋に割り当てられるのかそういえば知らない。
「あ。星海くん」
その時、クラスメイトが一人戻ってきた。
手ぶらだ。
何の用だろうか。
「どーも。何の用で?」
「織斑先生が呼んでたわ」
「廊下?」
「ええ。それじゃ……あ。私、ISの事少しは知ってるから今度教えたげよっか?」
「機会があれば」
そう言い残して廊下に出た。
……織斑?
廊下に出てすぐ、凄まじい威圧感を放つ女性が立っていた。
一夏も一緒だ。
「あー、えと、織斑先生ですか?」
「そうだ。1-1担任の織斑千冬だ。寮長も兼任している」
「なるほど……ちょうど良かった。部屋が分からなくて」
「心配するな。こいつと同じ部屋だ」
「だ、そうだ。よろしくな」
うーん、流石に個人部屋じゃなかったか。
ふと、二人を見比べた。
「……まさか、姉弟?」
「あ、分かったか?」
「くだらん事を言ってないでさっさと下校しろ。戸締まりも出来ん」
――――――――――
待ってくれ。
まさか女子寮の只中に俺達の部屋を無理やりねじ込んだだけだとは聞いてないんだけど。
「……………なぁ一夏」
「……………な、なんだよ、那由太」
「先行っていいぜ?」
「お前こそ行ったらどうだ?」
「……入れるかよ、これ」
「ああ……」
まぁ一歩踏み出せば女子生徒の私生活の場。
緊張するなって方が無理な話だ。
「さっさと行かんか!!」
「「ぐえっ」」
結局、見かねた織斑先生に蹴飛ばされてエントリーしたのだった。
――――――――――
夜。
IS学園の寮の窓から外を眺めている。
……やっと、一日が終わった。
相部屋の一夏はとっくに寝ている。
朝起きてジョギングするそうな。
こいつ老人みたいな生活習慣だな。
(……それにしても)
オルコット。
聞き覚えがある。
昔、父さんたちの居たプロジェクトに出資していた人がいた。
その中に、そんな名前があった気が……。
(気がするだけだ)
過去に意味なんてない。
これからの事を考えるのに、俺の過去に微塵も価値は無い……。
けれど。
(約束を、していた気がする)
大事な誰かと、そんな気がする。
「……寝るか」