IS~この世界の宙が見たくて~   作:塊ロック

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なんと全話から1年経過してました。
何やってたかって言われると再就職ですね……。

今はやっと新しい環境に慣れたところです。

この小説、原作3巻までの内容でエンドマーク付ける予定です。
アニメ換算だと1期だけです。




第四十三話「決着……?」

 

第一回戦にして、専用機持ち四人が入り乱れた最早バトルロワイヤルと言っても差し支えない戦闘が続いていた。

 

「「うおおおおおおっ!!」」

 

赤と白のシルエットが激突する。

方やヒートレヴソードが、方や雪片弐型がぶつかり合う。

 

もうすでに何度行われたかもわからないチャンバラの応酬。

ISに乗る女性からすれば鼻で笑われるような児戯。

しかし、当事者にとっては――――――。

 

「は、ははは!」

「くっ、はははっ!」

 

笑う。

紅白のパイロット……星海那由太と織斑一夏は、お互いに笑いながら戦っていた。

 

「くっ、やるな!那由太!」

「お前こそ……!」

「涼しい顔してんじゃねぇよ!」

「なにお……!」

 

一夏の斬り上げに反応が遅れ、ヒートレヴソードが吹き飛ばされる。

 

「っ……!」

「うおおおお!」

 

好機とばかりに一夏が雪片弐型を返し刺突。

那由太は腰に差されたスラッシュブレイドを抜き、クロスさせ受け止める。

 

「ちぃ……!剣が多いな!うらやましいぜ!」

「剣しか……ねぇんだよ!!」

 

今度は那由太が二本のスラッシュブレイドを翻し怒涛の連撃を行う。

二本の短剣による至近距離でのラッシュ。

雪片弐型は大型剣の部類であるため、近寄られると苦しくなる。

 

「一夏!」

 

一夏が距離を離そうと大きく後退した瞬間、シャルルからの援護射撃が那由太の目の前の地面を抉る。

 

「ちっ……!」

 

舌打ちし、飛び退く。

 

「コアチェンジ!マーズトゥ、ヴィーナス!」

 

マーズアーマーを脱ぎ、ヴィーナスアーマーへ切り替えすぐさまミサイルポッドを連射する。

 

「わっ……!」

 

シャルルと一夏を爆炎が覆う。

しかし、その中で一気に一夏が距離を詰めようと動き……。

 

「……素人が」

「う、げ……!」

 

ラウラが、那由太の前に現れ……AICによる停止結界で一夏を絡め取った。

 

「二度も同じ手にかかるとはな」

「くっそ……!動け……!」

「一夏!」

「させるか!」

 

助けに入るシャルルを、那由太がビームキャノンで迎撃する。

 

「っ!あんまり、射撃得意じゃないでしょ!」

「この……!痛いところを突いてくれる……!」

 

ヴィーナスアーマーによる射撃はどちらかと言うと面制圧の側面が強い。

射撃戦が得意な相手には確かに通じるものでは無い。

 

「時間さえ稼げれば良いのさ……!」

「どうかな!」

 

あっさりとシャルルに全てかわされてしまった。

 

「マジかよ……!ラウラ!」

「貴様、使えんな……!」

 

ラウラがAICを切ってシャルルの迎撃に出る。

 

「貰った……!」

 

自由になった一夏が一矢報いようと動き……。

 

「コアチェンジ!ヴィーナストゥマーズ!」

 

再びマーズアーマーに換装した那由太が一夏の背中を蹴り飛ばした。

 

「がっ……!んなクソ……!」

「悪い!ラウラ!」

「援護のつもりか貴様!私の部下なら1週間営内の掃除をさせるぞ!」

「だから、悪かったっての!!」

「うわっ!?」

 

そのままシャルルにスラッシュブレイドを投げ付ける。

 

「仕切り直しだ……!」

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

「何か、決着付きそうもないわね」

 

観客席で、鈴音がポツリと呟いた。

 

「ええ。お互いに明確な攻め手がありませんもの」

 

その呟きにセシリアが補足する。

 

「一夏とシャルルもお互いにフォローし合ってるから隙も少ない。対して那由太とラウラはお互い好きに動いてるけど結果として擬似的なタイマン状態に持ち込めてる」

「2対2の戦闘ですのにずっと1対1の動きをしています……どちらか片方が潰されればなし崩し的に瓦解しますわ」

「うーん……一夏にも切り札あるけど、いつ切るのかしら」

 

切り札、と言う一言に箒は怪訝な顔をする。

 

「零落白夜か?」

「ううん。もう一つ……まぁ初見殺し的な小技を教えたけど……ラウラはともかく、那由太には効くはず」

「そんな技を……いえ、一夏さんが使える小技となるとまさか……瞬時加速(イグニッションブースト)?」

「流石。よく知ってるじゃん」

「確かに格闘特化機ならば有効な手ですわ。那由太さんに通じるとは限りませんが」

「?なんでよ」

「わたくし、教えましたもの」

「……は?まさか」

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

(このままじゃ千日手だな)

 

何となく、そんな気がしていた。

一夏とやり合う時、充実感を感じてはいたものの……このままぶつかり合っているだけでは勝てない。

 

(一夏自身の技能が上がっている。それに、シャルルの援護がいちいち鋭いせいで攻めきれない)

 

今回はマーズ、ヴィーナスアーマーのみを使用するつもりでいた。

結局、各アーマーは1戦闘につき2種の使い分けがシールドエネルギーの分配的に限界だった。

 

(エネルギーの残量的にそろそろ決めに掛からないと拙い、か……)

 

シャルルの技能である高速切替(ラピッドスイッチ)があまりにも厄介だ。

武装の切り替えに本来あるはずのタイムラグが一切なく、次々と装備を切り替え弾幕を張ってくる。

 

前衛と後衛として理想的な動きが向こうは出来ている。

 

対してこちらは、欠片も援護する気の無いお互いが好き勝手動いているだけ。

片方がやられればそのまま数の暴力で押されるだろう。

 

しかも、一夏には一撃必殺の固有能力(ワンオフアビリティ)がある。

 

(零落白夜はまだ使っていない……が、そろそろ使うだろうな)

 

一夏は元々長期戦向きではない。

が、よくもまぁ長引かせたものだ。

おそらくラウラに対して使用するだろう。

 

(警戒しろ……と言ってもアイツは承知だろうしその上から叩き潰すんだろうな)

 

元々俺は一夏とガチで戦うためにラウラと組んだ。

まさか1回戦で当たるとは思っていなかったが……。

 

俺が一夏を抑えきれれば最悪落とされてもラウラがシャルルを御せるだろう。

シャルルのISは確かに火器が豊富だが火力が足りない。

第3世代型のラウラのシュヴァルツレーゲンなら倒せる火力を持ち合わせている。

 

(つまり……今回の勝ち筋は俺が一夏を抑えて勝利しラウラをシャルルとのタイマンに突き合わせて落とさせる……)

 

俺が考えうる最大の勝ち筋。

俺がシャルルを落とすのははっきり言って無謀だった。

 

「ラウラ」

「気安く呼ぶな」

「そろそろ決めに来るはずだ。警戒しろ」

「喧しい」

 

注意は飛ばした。

流石に意識の片隅には置いておくだろう。

 

「シャル!」

「!」

 

来る。

一夏が発した一言で、シャルルの顔つきが変わる。

手には……グレネードランチャー。

 

「行くよ!」

 

次の瞬間、凄まじい速度で弾が射出され……俺とラウラの周囲に降り注ぐ。

 

(直撃弾なし……つまり、煙幕か!!)

 

「小賢しい!」

 

ラウラが動こうとする。

その瞬間……。

 

「うおおおおおおおお!!!!!」

「何っ……!?」

 

一夏が凄まじいスピードで飛び出す。

 

瞬間加速(イグニッションブースト)か!けどな……!」

 

マーズアーマーを召喚する。

あの速度に対抗するにはマーズフォーしかない。

 

「コアチェンジ、ヴィーナストゥマーズ!!そして……!!」

「んなぁ!?」

 

こちらも瞬間加速(イグニッションブースト)を仕掛ける。

一夏の雪片弐型は展開状態。

単一仕様能力(ワンオフアビリティ)である零落白夜は起動状態だ。

 

あれを食らえば間違いなくISのシールドエネルギーは尽きる。

例えラウラの最新型のISであろうとも。

 

「させるか……ッ!!」

「こなくそ……!喰らえッ!!」

 

……ここで、俺がビームサーベルを抜いたのが間違いだったが。

 

「……あ!?」

 

ビームサーベルが、雪片弐型に触れた瞬間……()()()()()()のだから。

 

「ぐ、えっ……!?」

 

マーズアーマーがばらばらと体から剥がれ落ち、コアガンダム形態となって地面に叩き落された。

 

「ま……マジか……」

 

シールドエネルギーも底を付きかけた。

俺はもう完全に動けない。

 

「ら、ラウラ……!」

 

次の瞬間見えたのは……ラウラが、シャルルの持つパイルバンカーに撃ち抜かれた瞬間だった。

 

「ま……負けた……」

 

しかし、

 

「……え?」

 

……ラウラのISが、変異した。

 

「なん」

 

ガン!と盛大な音を立てて俺の意識は飛んだ。

 

 

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