あれは、まだ両親が存命で……大事な約束を覚えていた時の事。
「宇宙飛行士を付けてあげよう」
それは、俺が覚えている最も古い父の言葉だった。
「僕達は何処へだって行ける。そう……宇宙にもね」
父さんは宇宙飛行士だった。
帰りは遅く、いつも帰ってくるとは限らなかった。
けれど、過去に有人宇宙飛行を成功し帰ってきた……俺の自慢の父だった。
このとき貰ったデフォルメされた宇宙飛行士のキーホルダーはまだ携帯に付いている。
それなりに幸せだったと思う。
将来、俺も宇宙飛行士になる!なんて言ってた事もあった。
母は、そんな父をサポートする役職に就いていたらしい。
母の仕事は、当時の俺には難しく理解し辛かった。
稀に、出資者と会ったりすることも有った。
「ごきげんよう。今、おひまかしら」
「君は?」
「わたくしは……」
たまに娘を連れて来て俺に会わせたりもしてくれていた。
……明らかに日本人じゃなかったけど、日本語めちゃくちゃ流暢なのは覚えていた。
けど、この子と、この子と交わした約束を、俺は忘れてしまっていた。
――――――――――
「代表候補生と決闘、か。話はこちらにも来るほど大きなっているぞ」
昼休み。
一夏と篠ノ之さんと席を同じくして飯を食っている。
「そうなんだ……」
「他人事だな」
「どうしようもないからな……専用機持ち相手に何が出来るか」
「む、最初から負ける気で居るとは。それでも男かお前は」
「そういうのは良いから。篠ノ之さん、あの開発者の妹だろ?何か良い情報持ってないの?」
地雷を踏んだ。
篠ノ之は俯いて、呟いた。
「姉さんは関係ない」
「……悪い」
「そ、それで?ISはどうするんだ?」
一夏が気を利かせて話題を変えてくれる。
「……学園が貸し出してるISは『打鉄』か『ラファールリバイブ』だろ?どうしたもんか」
「初心者が乗るならば打鉄が良いぞ。装甲に定評がある」
「機動力の方が必要だろうか……結局守りが固くても相手に追いつけなかったら嬲り殺しだ」
「セシリアがどんな機体を遣うかだな」
「代表候補生だし国のデータに何か残ってないかな」
「……大概実験機だから乗ってないのだろう」
項垂れる。
やんなきゃ良かった。
「おいお前達。織斑と星海。来い」
織斑先生が唐突に表れてそれだけ言い残していった。
俺たちは顔を見合わせて取り合えず後を追った。
――――――――――
「お前達……特に星海。早速問題を起こしてくれた様だな」
お説教です。
「アレは……」
「言い訳は聞かん。専用機持ちに喧嘩売るとはな……だが、タイミングは良かったかも知れん」
「「?」」
「専用機だ。国はお前達二人に専用機を寄越すそうだ」
「「!!」」
マジか。
……よくよく考えるとたった二人しか男性搭乗者だし、データ取りはしたいだろうな。
「マジか……」
「オルコットと決闘するのだろう?それまでには来るぞ」
専用機、専用機か……。