しかし、コーチに若干問題が……。
……ISの訓練をするにあたって懸念事項がいくつかある。
まず、誰に教えを請うのか。
オルコットは論外。
クラスメイト達に声をかける勇気はない。
一夏。
あいつも初心者。
篠ノ之。
開発者の妹だが本人は気にしてる。
……結局量産機を借りて動かし方くらい覚えるだけになった。
自主連一日目。
装着編。
IS学園、アリーナ。
その格納庫にて。
担任に頼んで量産型を一機回してもらえた。
……急遽ねじ込んだ形になってしまったのでえらい顰蹙を買ったか?と思ったが俺の先に予約していた先輩から、
「今度インタビューさせてね!」
なんて言われた。
新聞部らしい。
……それで良いんだろうか。
と言う訳で目の前に鎮座するのはラファール・リバイヴ。
フランス、デュノア社製。
所謂第二世代型ISに位置付けされており、開発も最後発だったとか。
だが、第三世代型のISにも引けを取らない性能を有しており、世界シェア3位を獲得している。
スラスターの役割を備えたフレキシブルバインダーが特徴だ。
何となくクシャ〇リヤ味を感じる。
後付け拡張機能が高く、通称飛翔する武器庫とまで言われる。
そんな機体が、ここにある。
取り合えず装着する。
所でこのISスーツ、凄い密着感。
あんまり好きじゃない。
……しかしまぁ視線。
皆見てるよなあ。
ハンガーに居る女子生徒たち、皆見てきている。
本当にISに乗れるのか、疑わしいんだろう。
……正直俺も何で動かせるか分かってない。
あの日、顰蹙を買っていた女からけしかけられた暴漢に襲われた日。
受験に間に合わず路地裏で腐っていた時に……たまたま撤収中だったIS学園の入試会場にあったISに触れてしまい……動いてしまった。
それだけだ。
その時はもう痛みと無力感で何も感じられなかった。
(……動いた)
息を呑む声がする。
ラファール・リヴァイヴが俺の感覚に重なる。
試しにアリーナに出ようと歩く。
……歩いている。
重みを感じない。
パワーアシストもしっかり動いている。
さて、まずは飛んでみよう……。
「……え」
スラスターが作動しない。
おかしい。
おかしい……エラーをチェックしても、問題はない。
強く念じても、ジャンプしてもスラスターは作動しない。
試しに前方へジャンプブーストを吹かせる。
……これは、動いた。
ジャンプの様に『跳ぶ』事は出来た。
だがそこから『飛ぶ』事に移行出来ない。
(どうしてだ……?)
格闘のモーションを取る。
……この機体に格闘兵装はもともと付いてないので素手。
射撃の練習もしてみる。
標準的なアサルトライフルで出てくる的を撃つ。
反動制御も照準アシストもある。
ぶっちゃけFPSしている気分だ。
1時間程度ぶっ続けで操作し続けたが……。
飛ぶことは、出来なかった。
「何でだ……?」