IS~この世界の宙が見たくて~   作:塊ロック

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第七話「背中に羽は無くても」

結局、3日ほど稼働訓練をした結果……。

 

「……何で飛べないんだろうな」

 

そう、一度も飛行が出来ていなかった。

 

「分からん……技師に問い合わせしても初めての事でサッパリだとさ」

 

寮の部屋の中で俺と一夏はそんな話をしていた。

設置された机に二人で向かい合って座る。

 

一夏には専用機が既に届けられていた。

彼の腕に着いているガントレット……それが、待機状態だ。

 

名を『白式』。

その名の通り白を基調としたISで、量産機など比較にならない凄まじい運動性を有している。

 

その運動性に振り回せれていたが。

 

しかし、問題点が一つ。

……白式には、武器が近接ブレード一本のみだったのだ。

 

いくら機動力があっても武器がそれしか無ければ……それに、ISガチ初心者である一夏に運用させるには厳しいものだった。

 

 

そしてさらに玄人向けISに拍車を掛ける事態が。

 

通常ISには、第二移行(セカンドシフト)後に発動する単一能力(ワンオフアビリティ)というスキルがある。

白式には何故かそれが初期設定で備わっていた。

 

『零落白夜』。

自身のシールドエネルギーを消費し、相手のシールドエネルギーを削り取る一撃必殺の能力だった。

ちなみに最初の被害者は俺である。

 

撃ち合いのさ中、フィッティングが完了し急加速、からの一撃。

普通に痛かった。

 

話を戻そう。

 

一夏が専用機を得たお陰で、専用機相手に立ち回る訓練にはちょうどいいかと思ったものの……。

機動力だけはあるので照準の訓練に付き合ってもらった。

 

それでも、飛べない。

 

「ラファールのスラスターは問題なかったんだろ?」

「ああ……」

「うーん……ISについて、今分かってることはそんなに多くない。何か那由太側に問題があったのかもしれない」

「俺に?」

「何か、迷っていることがISにバレてるのかも」

「迷い……?」

「よくわからないけど、俺が白式につながった時……全部が繋がった気がしたんだ」

「ああ」

「もしかしたら、IS側がお前に対して何か考えがあったのかも」

「ISが、意志を持ってるって言うのか?」

「分からない。けど、そうかもしれない」

「随分ロマンチストだな」

「嫌いか?」

「……好きではない。嫌いでもないが」

「素直じゃない奴」

「うるせぇ」

 

俺側に問題があるかも、か。

 

 

 

 

―――――――――

 

 

 

「星海くん。今良いでしょうか」

 

クラス担任が、俺に声を掛けてきた。

 

「なんでしょう、先生」

「星海くんの専用機が届きましたよ」

「……本当ですか」

 

俺の、専用機。

ラファールで戦うもんだと思っていたので、少し困った。

 

「……あの」

「星海くん。気持ちは分かります。けれど、企業さんが用意してくれた機体で戦うのも……パイロットの務めなんです」

 

先生にはお見通しだった様だ。

 

「ぶっつけ本番で専用機に乗り換える事になりますけど……」

「勝てると思います?」

「いえ、9割負けると思いますよ?」

「ですよね……」

 

教師は時に現実を突きつけなくてはならい。

だから、この話は俺が飲み込むべきだ。

頭では理解してる……けど、俺の中の男の子が反骨心をもたげそうになるのを必死に抑える。

 

「でも、先生は嬉しいんですよ」

「え……?」

「星海くん、もしかしたらクラスで浮いちゃうかなって思ったんです。でも、こうやって必死に努力してる姿を皆が見ています。負けてしまっても、きっと大丈夫だと思います」

「は、ははは……何ですかそれ。意味わかんないですけど」

「負けても何も失うものが無いってことですよ。仮に勝てたとしたら……とても凄いことだと思いますよ」

「勝ちが見えないからってそう言う事言わんといてくださいよ……」

「ウフフ。ごめんなさいね。男の子と話すのが少したのしくなってしまって。さぁ、行きましょう。貴方の機体が待ってますよ」

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

IS格納庫。

そこに、俺のISが座して待っていた。

 

「これは……小さい、ですね?」

 

通常、現行のISは装甲に覆われている箇所が減る傾向にある。

シールドに守られている為だ。

 

しかし、こいつは違った。

 

全身が装甲に覆われている。

顔までもだ。

 

機体カラーはグレー。

 

額についているV字のアンテナ。

バックパックに翼が無い……というかスラスターが一つだけポツンとある。

 

……飛べないから、こんな機体にしてあるのだろうか。

 

「……一夏の白式と比べて、随分と小柄ですね」

「小さな機体の可能性を模索した結果だと聞いています」

「小さな機体、か……」

 

確かに小さい。

俺の背丈より少し高い程度だ。

 

「こいつの名前は、なんていうんですか?」

「『コアガンダム』です」

「ははは……ガンダムか……荷が重いなぁ、ちょっと」

 

まぁそういう名前つけたいのは分かる。

 

「さぁ、フィッティングしてしまいましょう」

 

コアガンダムに触れる。

一度全体が光の粒子となって俺の……左の二の腕にバンドとなって巻かれた。

胸に付いていたエメラルド色の発光パーツが小さくなって巻き付いている。

 

「コアガンダムを強く呼んでください」

 

目を閉じ、クリスタルに触れる。

 

……来い、ガンダム。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「……えっ」

 

 

目を閉じていた筈なのに、俺は……気が付けば空の下に居た。

いや、いやいや、ちょっと待て。

さっきまで屋内にいたのに。

 

……ふと、目の前に誰かが居る。

 

ポンチョの様な物を着ている……少年だ。

 

顔は、逆光で見えない。

 

「あ、あの……」

「思い出してくれ」

「え?」

 

少年は続けた。

 

「思い出してくれ。君の、約束を」

 

 

 

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