「……星海くん。装着は終わりましたよ」
先生に声をかけられて、目を開く。
視界に入ったのは、さっきまでのハンガーの風景。
あの、空と大地はどこにもない。
……俺の手が、分厚い装甲に包まれている。
体のあちこちが、先ほど見た……ガンダムと類似している。
俺が、このISを装着した証拠だ。
「まだ初期設定が済んでいませんので、ちょっと待ってくださいね」
先生がコンソールを操作する。
……搭載されたハイパーセンサーが様々な情報を拾っていく。
背後も見えるとは気持ちが悪い感覚だ。
「あら……?初期設定がエラーを吐いていますね」
「え?」
「最期の一つの項目でストップしていますね……でも、一応全機能は使える筈です」
「はぁ……ちなみにどんな奴ですか?」
「ちょっと待ってくださいね。ISに表示します」
俺の視界に、一文だけ表示された。
”Remember your promise”
「……幻覚じゃない……?さっきの光景は」
「幻覚……?」
「え、あ、いえ……」
一体何だこれは。
約束を思い出せ?
何の事だ?
「……あら?ロックされている機能がありますね」
「どれですか?」
「……どうにもスラスター周りみたいですね。開発担当に問い合わせてみましょう」
「それ……多分、飛べないってことだと思います」
「え……?」
「俺が以前ラファールに乗った時も、ブースターで瞬間的に動けはしましたが……飛行は出来なかったんです」
「……分かりました。あら、回答がもう来ました」
早っ。
織り込み済みって事かよ。
何か悔しいな……。
「装備欄を確認してみてください」
「はい」
コアガンダムの装備……うわ、後付けで何にも装備できないレベルでスロットがかつかつじゃねーか。
装備は、ビーム系射撃兵装『コアスプレーガン』、背中のスラスターから生えているビーム系近接兵装『コアサーベル』、防御用のシールド、そして設置型の妨害兵器『アッザムリーダー』。
……ん?なんだこれ、『大気圏突入用フィルム』?
何でこんな物が。
おや?
「……サブフライトシステム『アースアーマー』?」
取り合えず呼びだしてみた。
目の前に、コアガンダムのサイズと同等かそれ以上の青を基調としたメカが現れる。
「なるほど……アシストメカが居るんですね。珍しいタイプのISですね……」
「これで飛べるんですかね」
「通常のISならともかく、コアガンダムを乗せる分には問題ない推力を有していますね……2時間、アリーナの使用許可は頂いていますので……動かしてみましょう」
「いつの間に……」
「だって、男の子はこういうのすぐ動かしたくなるでしょう?」
「……別に」
「あら、では授業に戻りますか?」
「すいませんすいません!乗りたいです!!」
「素直でよろしい。では、いってらっしゃい」
アースアーマーの上に乗る。
バーニア―が点火、加速する。
「う、お……!?」
この時点で、ラファール・リヴァイヴと比べ物にならないスピードが出ている。
そして、俺は……飛んだ。
「は、ははは……!」
正直に言うと、俺はこの時柄にもなく興奮していた。
俺は今、空を飛んでいるんだから。
旋回する。
……スピードが乗っているのか、少し円を描く。
何となく航空機チックな動き。
先生が気を利かせて標的を出してくれた。
コアスプレーガンを構えて撃つ。
寸分の狂いも無く標的に吸い込まれる。
照準器もかなり高性能だ。
アースアーマーから跳び、サーベルを抜く、
ピンク色に発光する刃が伸びる。
空に浮いた標的を両断して飛んできたアースアーマーに乗りなおす。
「凄い……」
量産機なんかより自在に動く。
突如、アラートがけたたましく鳴る。
ロックオンの警告……!?
≪さぁ、星海くん!時間は限られていますよ!≫
打鉄に乗った先生が、こっちに向かって飛んできている。
「えっ!?何で!?」
「明日が試合何です!やれることはやっておかないと!」
「どうしてここに先生が!?」
「私も元代表候補生だったんですよ!相手にとって不足はない筈です!それに……」
打鉄がライフルを構える。
「血が騒いじゃいました!」
「なんなんだもう!!」
それから1時間ほど、先生と模擬戦に興じるのだった。