東方異龍録〜Overwhelming power. 作:Ask〈アスク〉
幻想郷にモンスターと呼ばれ始めた存在が現れて、二年ほどたったある日。
まだまだ幼い巫女が神社で修行をしていた。
「ねー紫〜。休んじゃダメ〜?」
「ダメよ。というかまだ三十分も経ってないじゃない......」
「ねー、どうしてしゅぎょーなんてするのー?」
「はぁ......いい?元々幻想郷にいる妖怪が悪さをした時、あなたがその妖怪を退治するのよ?わかる?」
「うん、でも私は『てんさい』なんでしょ?ならしゅぎょーなんて......」
「妖怪の相手だけならそれで良かったかもね。でも今の幻想郷には妖怪とは全く違う存在、モンスターがいるの。いくらあなたが天才でも、モンスターには適わないわ」
「えー......」
「やってみなきゃ分からないって顔してるわね......いい?絶対に境内から出ちゃダメよ?」
「うん、わかった!」
そのような会話があり、それから約三時間、幼い巫女の修行は続いた。
修行が終わると、幼い巫女はその場で横になった。
「つかれたー!」
「いい?自由行動とは言ったけど、絶対に、絶対に境内からは出ないでね?」
「わかってるよー!」
「ならいいけれど......」
そう言うと、紫と呼ばれていた人物はその場から消える。
そして紫がその場からいなくなった瞬間、幼い巫女はぴょんと起き上がり、森の方に歩いていく。
「ぜんぜんつかれてなんてないよーだ!モンスターをみにいこう!」
彼女はそう言いながら、森を進んでいく。
しばらく進んでいると、三体のモンスターの咆哮が響いてきた。
「ギャァァァァァァァ!」
「ギャァァァァァァァオ!」
「グゴォォォォォォォオ!」
「うわっ!えーっと......このほうこう?は......なんとかジョーとリオなんちゃらとリオなんちゃら!......あれ?リオなんちゃらがにたい?」
彼女はそんなことを言い、咆哮がした方を見る。
「このさきにモンスターが......!」
そう言って彼女は走り出す。
そして彼女は見た。
一体のモンスター、恐暴竜イビルジョーが、二体のモンスター、火竜リオレウスと雌火竜リオレイアに襲いかかっているのを。
「うわぁー......!かっこいい......!」
彼女はその戦いを見て、そう呟いた。
「ん?あれは......?」
彼女がモンスター達の戦いを見ていると、リオレイアが少し変わった行動を見せた。
それを見ていると、なんとリオレイアが小さい赤い竜を逃がそうとしていたのだ。
彼女はここで疑問に思った。
なんであの子しかいないのだろう、と。
実はこの二体の巣は、何度も同じイビルジョーに襲われていて、無事に孵化したのはこの一体だけだったのだ。
つまりこの竜はリオレウスの幼体なのだ。
しかし彼女はそんなことを知らないため、何故だろうと不思議に思い続ける。
「あっ!にげてる!......うん!おいかけよう!」
そう言って彼女はリオレウスの幼体が向かった方に走った。
リオレウスの幼体はまだ飛べないのか、走って逃げていた。
それにまだ小さく、彼女よりも少しだけ小さいくらいの大きさだったため、走って追いつくことができた。
「まって!」
彼女がそう声をかけると、リオレウスの幼体は走るのを止めて、彼女の方を見た。
「ギャァァオ!」
「わわ!こんなにちかくでほうこうをみられるなんて!」
彼女は目をキラキラさせてリオレウスの幼体を見る。
「ギャウ?!」
しかし彼は困惑していた。
何故なら父であるリオレウスの咆哮を真似したのに、逃げるどころか目をキラキラさせて近づいてきている。
そのことに驚いていたのだった。
「ねぇねぇ!あなたのなまえは?」
彼女は彼にそう言う。
しかし彼は人間の言葉を理解できても、話すことはできない。
「あ、こたえられないよね。じゃあ私がつけてあげる!えーっと、あのにたいのこどもであかいろってことは......リオレウスね!なら......レウス!リオレウスのレウス!どう?」
「ギャウギャウ!」
「よろこんでるの?うれしい!」
実際は喜んでなどいないし、さらに言ってしまえば違う名前にしろと抗議している。
しかし彼の言葉を理解できない彼女は、喜んでいると思ってしまったのだ。
そのことに気づいた彼は、諦めて抗議することをやめた。
「ねえレウス!私といっしょにあそぼうよ!」
彼女はそう言って彼に手を伸ばすが、彼はぷいと横を向いた。
「あー!いいじゃないレウスー!」
そう言って彼に近づくが、彼は口から小さい炎を出すことで抵抗した。
「うーん......なら私といっしょにしゅぎょーしようよ!」
「ギャウ?」
「うん!しゅぎょーして、つよくなる!そしたらだれにもまけないよ!」
「ギャウ......」
彼は思い浮かべる。
必死になって自分を守ろうとしてくれた父と母を。
そして一緒に過ごすはずだった家族を。
そして父と母を襲っていたあの竜を。
それからは簡単だった。
強くなればあいつを倒せる。
そう思ったのだ。
「ギャウ!ギャウ!」
「え!いっしょにしゅぎょーしてくれるの!?」
「ギャウ!」
「やったぁー!ありがとう!」
彼女はそう言って彼、レウスの頭に手を乗せて撫でる。
「じゃあこっちにきて!私のいえなの!」
「ギャウ」
「あ、そういえば私のなまえいってなかったね」
「ギャウ?」
「私のなまえは博麗霊夢!幻想郷の巫女になるひとよ!」
そういった後、彼女、霊夢はレウスと共に神社に帰った。