東方異龍録〜Overwhelming power. 作:Ask〈アスク〉
霊夢とレウスが出会い、十年の時が経つ。
霊夢は成長し、巫女として幻想郷を守っていた。
レウスも立派に育ち、霊夢のパートナーとして、妖怪退治などのサポートをしていた。
十年の絆は強く、目を合わせれば何を言いたいのかわかるようになっていた。
「ふわぁ......レウス、起きなさい。朝ご飯よ」
欠伸をしながら外に出た霊夢は、寝ているレウスを起こす。
レウスは目を覚ますと、顔を上げて大きく口を開き欠伸をした。
「はい、これ。アプトノスの肉よ」
そう言って霊夢はレウスの前に肉を置く。
アプトノスの肉は、幻想郷では安い割には美味しいので、レウスの食料で大量に必要になる霊夢にとっては大助かりなのである。
レウスは置かれた肉を食べる。
「......私もさっさと食べよ......」
霊夢はそう呟いて神社の中に戻り、朝食を食べ始めた。
朝食を食べ終えた霊夢は、境内の掃除を始め、レウスは空から異変がないかを見ていた。
「暇ねぇ......」
霊夢が掃除をしながらそう呟く。
「!ギャウ!」
するとレウスが何かに気づいたのか鳴き声を出す。
「どうしたの?って......これは異変?」
レウスの鳴き声に気づいた霊夢は、空を見る。
するとある方向から赤い霧が発生していることに気がついた。
「行かなきゃね......レウス、行くわよ」
「ギャァァウ!」
霊夢とレウスは空を飛び、霧が発生した方に向かう。
「ほーう、異変かぁ!私達も行こうぜ!ライゼクス!」
「ギャァァウ!」
隠れて霊夢とレウスを見ていた彼女達、霧雨魔理沙と電竜ライゼクスは、霊夢達に気づかれずに霧の発生源に向かった。
飛んで霧の発生源に向かっていた霊夢達は、今、目の前にいる手を横に広げた少女と会話をしていた。
その少女の名はルーミア。宵闇の妖怪と呼ばれている。
「ねぇ、私と遊ばない?」
「なんでよ。邪魔なんですけど」
「そんなこと言わずに遊びましょうよ。彼も遊びたがってると思うわ」
「彼って誰よ。あんたみたいな幼児体型に男なんていないでしょ」
「そういう意味じゃないわよ。今は下にいるけど......そろそろ来るわ」
「何を言って......」
その時、霊夢とレウスは気がついた。
下の森の木が揺れていることに。
霊夢達はすぐにその場から移動する。
移動した長後、揺れていた木からモンスターが飛び出してきた。
そのモンスターは立派なエリマキをつけている、紫と赤色の体色のモンスターだった。
その飛び出してきたモンスターは、すぐに落下するが、下にあった木の上に立って吠える。
「オォォン!」
するとあちこちの木が揺れだし、そこからさっきのモンスターと似たような姿の小さいモンスターが霊夢達に飛びかかる。
「このモンスター......ドスジャギィとジャギィね。あなたのパートナーか何か?」
狗竜ドスジャギィ。
それがトサカをつけたジャギィ達のボス。
群れにいたジャギィが群れを離れ、単独で生活し、助けも借りられない過酷な環境で生き抜いたジャギィは、ジャギィよりも体が大きいジャギィノスよりも大きくなる。
そして暮らしていた群れに戻り、成長した他のジャギィと戦い、最後まで勝ち抜いたジャギィがボスのドスジャギィになる。
「実際はドスジャギィだけなんだけどね。でもやっぱり数は多い方がいいでしょう?」
「ええそうね。でも弱い多数より強い少数の方がいいと思わない?」
「どっちでもいいわよ。......さて、始めましょうか。弾幕ごっこを!」
ルーミアがそういうといくつかの弾が飛んでくる。
霊夢がそれを避けると、避けた場所にジャギィが飛んできた。
ジャギィはレウスが火球で吹き飛ばした。
「あんた......確かにこんなことされるとキツいわね......」
「これが最近の弾幕ごっこの主流よ!」
「元々モンスターがいない前提のルールなんだけどねッ!」
霊夢はそう言い、ルーミアに向かって御札を投げつける。
この御札は弾幕ごっこ用の御札で、妖怪に対してしか効き目がない。
そのため......
「っ......ジャギィを盾にするなんてね......」
「モンスターに弾幕は効かないしね。本人達も自分からやってくれるし」
モンスターに対しては全く効果がない。
一応モンスターに効果のある御札もあるが、小型モンスターには効果は薄い。
「それにジャギィって鼻がいいのよ。つまり目が見えなくても獲物を追えるってわけ」
「......それがどうかしたのよ」
「私の能力と相性がいいってことよ!」
ルーミアがそう言うと、辺りが真っ暗になる。
霊夢はこのままだと何かまずいと思い、その場から移動する。
「ガウ!」
「目の前から鳴き声......そういう事ね......」
目の前から鳴き声がした。
つまり先程まで霊夢がいた場所に、ジャギィが飛んできたのだ。
それは霊夢の位置を完全に把握しているということに他ならない。
「確かに相性は良さそうね。でも私のパートナーはリオレウス......ドスジャギィをパートナーにしてるあんたなら、この意味が分かるでしょう?」
「何を言って......!そういう事ね......!」
「レウス!下に火球を五発!」
「ギャァァウ!」
レウスは答えるかのように咆哮すると、霊夢に言われた通りに火球を五発下の森に放った。
「まずい!ドスジャギィ!」
ルーミアがドスジャギィを呼ぶが、何も返ってこなかった。
ドスジャギィは、ジャギィと近くにいたジャギィノス達を連れて、その場から離れたのだった。
「ドスジャギィやジャギィ、ジャギィノスは火が苦手。そんなことも知らないと思った?」
「群れを守る為......?だから逃げた......?」
ルーミアは状況に困惑していた。
だがその隙を見逃す程、霊夢も悠長にしていられなかった。
「悪いけど、終わらせるわ」
霊夢はそう言って、ルーミアに向かって御札を投げる。
それはルーミアに命中し、ルーミアは落下していった。
「さて、先を急ぐわよ」
「ギャウ」
そうして霊夢達は、ルーミアとドスジャギィの群れを突破し、先に進むことに成功した。