東方異龍録〜Overwhelming power. 作:Ask〈アスク〉
紅魔館内部に侵入した霊夢とレウスは、廊下を歩いてた。
どこに館の主がいるかは分からないが、霊夢は自身の勘を信じて歩いていた。
「止まりなさい」
歩いていると、そのような声が聞こえてきた。
霊夢とレウスは突然聞こえてきた声に警戒する。
「それでいいわ」
次は進んでいた方向から声が聞こえてきた。
霊夢とレウスがその方向を見ると、そこにはメイド服を着た少女がいた。
「さて、それでは取引を始めましょう」
「ちょっと待ってくださるかしら。あんたの名前を聞いておりませんわ」
「そうでしたか。私は十六夜咲夜と申します。以後お見知りおきを」
そう言って少女、咲夜は丁寧にお辞儀する。
「で、取引って何?」
「取引というのは他でもありません。お嬢様のものになりませんか?」
「なるわけないじゃない」
「そうですか。ではこちらに進んでください。思い直すのであれば後ろに下がってください」
「迷う必要なんてないわ」
そう言って霊夢は前に進んだ。
しかし
「おや、
「......あんた、何かしたわね」
「なんのことでしょう。お嬢様のものにならずに抗うと言うのなら、こちらに進んでください」
霊夢は無言で先に進む。
「......やはり、お嬢様のものになるのですね?」
しかし、またもや霊夢は後ろに下がっていた。
「こんなくだらない手品に付き合っている暇はないわ。弾幕ごっこでさっさとケリをつけましょう」
「そうですか......。それではそう致しましょうか」
咲夜はそう言うと、手を二回叩く。
すると廊下が横と天井が広がり、空間が広くなった。
そしてそこに現れたのは
「迅竜、ナルガクルガ......」
「これが私のパートナー、ということです」
迅竜ナルガクルガ
主に密林などの木々が生い茂る場所に生息しているモンスター。
その見た目は黒い体毛に覆われており、その見た目は竜よりも獣と言える。
獰猛かつ狡猾、そして好戦的であり、戦いにおいてはかなりの俊敏性を見せる。
「変な手品師に真っ黒のモンスター。相手にとって不足は無いわ」
「いつまでそう言っていられるかしらね」
咲夜はそう言うと、その場から消える。
霊夢は嫌な予感がして後ろに振り向くと、ナイフが自身に迫ってきていた。
「ッ!何か手がかりを掴んで能力を暴かないと......」
このままでは押し負ける。
そう考えた霊夢は、まずは咲夜を探そうとするが
「やりなさい。ナルガクルガ!」
「グルルゥ...ギエアァァァァ!」
ナルガクルガは咆哮すると、目を赤く光らせ、霊夢に突進する。
その突進はとても速く、霊夢でもギリギリ捉えられるかどうかという程だった。
霊夢は飛んで回避するが、ナルガクルガは突進中に振り返り、霊夢に向かって飛びかかる。
それも霊夢はギリギリ避けるが、スカートが少しだけ切れてしまった。
それほど素早く、鋭い攻撃だったのだ。
「くっ......、やっぱり速いわね......。こっちもやるわよレウス!」
「ギャァァァァウ!」
レウスは咆哮すると、飛んで上からナルガクルガに向かって火球を撃つ。
しかしナルガクルガはその火球を楽々と避ける。
「私も激しくしていきますわ」
そんな咲夜の声が聞こえると、突然霊夢の周りにナイフが現れる。
「さすがにあなたでも避けられないわ!」
咲夜はそう言い、勝利を確信する。
しかし
「なっ!」
ナイフに囲まれていたはずの霊夢は、ナイフが刺さっているどころか服にも傷すらついていない。
「ふぅ......ありがとうね。レウス」
「ギャァァウ!」
何が起こったのか、咲夜には理解出来なかった。
そんな様子を見た霊夢が、咲夜に何が起きたのか説明する。
「レウスが羽ばたく時の強い風、それをあのナイフに向けたのよ。そうすれば私にナイフが刺さることはないわ」
「......なるほど、でも次はそんなことはさせないわ」
そうして咲夜はスカートのポケットに手を入れる。
その瞬間を霊夢は見逃さなかった。
「そこ!」
霊夢は御札を投げつけるが、その先に咲夜はいなくなっていた。
そして周りを確認すると、咲夜は霊夢の後ろにいた。
「やるわよ!ナルガクルガ!」
「グルルゥ......グァァッ!」
咲夜が命令すると、ナルガクルガは尻尾を振り回す。
そして棘のような鱗を霊夢に向かって飛ばした。
霊夢はそれを楽々避ける。
「(......よし、やるわ)レウス!」
「ギャウ!」
レウスは霊夢の顔を見て返す。
そしてナルガクルガに向かって蹴りを入れようとする。
しかしそれはナルガクルガに当たることはなかった。
そして霊夢は、咲夜と接近戦をしていた。
咲夜はナイフを、霊夢は御幣で鍔迫り合いをする。
霊夢は時々レウスの方を見て上手くいっているか確認する。
「よそ見とは余裕ね!」
「そんなことは無いわよ、ッ!」
「ギャァァウ!」
霊夢が押し返すと、レウスから合図の鳴き声がした。
その鳴き声を聞くと、霊夢はすぐにその場を離れる。
「待て......ッ!」
霊夢を追おうとした咲夜の目に入ったのは、自身のパートナーのナルガクルガの鱗。
その鱗は咲夜のスカートのポケットの部分に当たった。
そしてそこから何が割れたような音がした。
「まさか......!」
咲夜はスカートのポケットの中の時計を確認する。
その時計にはナルガクルガの鱗が刺さっており、壊れていることは明確だった。
「その時計が能力の鍵ってことね」
「まさかこれを狙って......!」
「あんたがポケットの中の何かを触ったことはわかったしね。だからレウスと協力して、あの鱗があんたのポケットの位置に飛ぶように誘導したのよ」
「そんなことが......」
「それじゃあ終わりにするわ!」
霊夢はそう言い、素早い動きで咲夜には近すぎ、御幣を咲夜の腹に叩きつける。
「ぐっ......」
咲夜はそう小さな声を出すと、そのまま気絶してしまった。
パートナーが倒れたナルガクルガは、落ち着いた様子で咲夜に近づき、咲夜を背中に乗せてその場を去る。
「ふぅ......さすがに疲れたわね」
「ギャウ......」
「でももう少しね。あともうひと踏ん張り行くわよ」
「ギャウ!」
いつの間にか元に戻っていた廊下を霊夢とレウスは進んでいった。