東方異龍録〜Overwhelming power. 作:Ask〈アスク〉
霊夢とレウスは咲夜を倒し、廊下を歩いていた。
そして今、霊夢とレウスは強大な力を感じる扉の前に立っていた。
「ここにこの館の主がいるって私の勘が言っているわ」
「ギャウ」
「さっさと終わらせましょう」
霊夢はそう言うと扉を開き、中に入る。
その中には一人の少女がいた。
その少女は外の月を見ているようだ。
「あんたがこの異変を起こした妖怪ね?」
「ええ、それよりこっちに来てみなさい。月が綺麗よ」
「何それ口説いてるの?ならこう返すわ。届かないから綺麗なのよ」
「別に口説いてるわけじゃなかったのだけど、そう返されると少し寂しいわね」
「そんなことより、なんで異変を起こしたの?」
「外に出たいからよ」
「外に?ああ、なるほど」
「ご存知の通り、吸血鬼は弱点だらけで、太陽もその一つ。ならそれを隠してしまおうって考えよ」
「へぇ」
「そういえばあなた、モンスターを連れているのね。しかも珍しい火竜」
「あんたには関係ないでしょう。今から私たちに退治されるもの」
「ギャウ!」
「怖いわね。でも私にもモンスターはいるのよ。それも綺麗なのが」
「それは気になるわね」
「見てみる?呼ぶけど」
「どうせ戦うことになるだろうし、お願いしようかしら」
「そう。来なさいシリエ」
少女、レミリアが呼ぶと、部屋の奥からレウスに似た桜色のモンスターが現れた。
「この子はリオレイアの亜種。綺麗な桜色でしょう?赤じゃないけれど」
「亜種......ああ、確か後から発見された種だったわよね」
「ええそうよ。先に発見されたのは森に身をひそめられる緑色。でも亜種は森では逆に目立ってしまう桜色。これだとどっちが亜種だか分からないわね」
「そんなのはどうでもいいじゃない。結局リオレイアなんだから」
「......ふふっ、それもそうね」
「それよりさっさとやるわよ」
「ええ、こんなに月も紅いから本気で殺すわよ」
「こんなに月も紅いのに」
「楽しい夜になりそうね」
「永い夜になりそうね」
「ギャァァァァウ!」
二体の竜が咆哮する。
そして気づいた時には、部屋の天井がなくなっており、天井があった場所には空が見えていた。
「シリエ、リオレウスの相手をしていなさい!」
「ギャァァウ!」
レミリアが指示すると、シリエはリオレウスに突進する。
レウスはそれを飛ぶことで避ける。
「向こうが戦ってる間に決着をつけるわよ」
「まあいいわ。妖怪一匹相手なら私だけで十分」
「言うじゃない。ならこれをくらいなさい!」
レミリアはそう言うと、ナイフを投げ始めた。
霊夢はそれを避ける。
そして反撃に御札を数枚投げた。
レミリアは投げられた御札を全てナイフで撃ち落とすことで身を守った。
「なかなかのナイフの腕ね」
「まあね。あなたもなかなかよ。楽しめそうだわ」
「楽しませる時間なんて与えないわ」
霊夢はそう言うと針を数本取り出し、レミリアに向かって投げる。
目で追うのも難しい速さだったが、レミリアはそれを容易く避ける。
そしてすぐに槍を構え、それを霊夢に投げた。
霊夢はそれを避けるが、その槍は霊夢を追いかけるように向きを変え、霊夢に向かった。
「グングニルって知ってるかしら。この槍はそれと似たような性能なのよ。絶対に的を射損なわない」
「ならこれでも貫いてなさい!」
霊夢はそう言って槍に向かって御札を投げる。
その槍は御札を貫くと、霊夢を追いかけるのをやめ、レミリアの手元に戻った。
「やっぱり本物じゃないし、そういう欠点はあったわね」
「でもそれを初めて見たのにそれを見抜くとはね」
「職業柄、神の武器とかはみっちり教えられてるの」
「そうでしょうね。それより、あなたのリオレウスは大丈夫かしら?」
「!レウス!」
レミリアの言葉の後、突然大きな音がした。
霊夢はその音を聞き、レウスがいた方を見る。
そこにはレウスがシリエに踏まれていた。
シリエはトドメを刺そうとしているのか、空を飛ぶ。
そして縦に回転する。
それも連続で。
「ギャァァウ......」
レウスは倒れ、力なく鳴く。
シリエはその様子を見た後、すぐにレミリアの元に帰った。
「よくやったわ、シリエ」
そう言ってレミリアがシリエの頭を撫でると、シリエは嬉しそうに目を細めた。
「レウス!」
霊夢は叫んでレウスの元に近づく。
「ギャウ......」
「レウス......」
霊夢は倒れたレウスを抱く。
「ごめん......ごめんね......」
霊夢はそう言いながら回復の御札を貼る。
「どうやら、もう終わりみたいね。選ばせてあげるわ。そのリオレウスを置いて逃げるか、戦って一緒に死ぬかをね」
「逃げるわけ、ないじゃない」
「へぇそう、なら死になさい!」
レミリアがそう言って槍を投げようとした時、館の内部が爆発し、館全体が揺れ始めた。
「な、何が......!まさか!」
「そう、そのまさかよお姉様」
そう言ったのは、飛んでいる金髪の少女。
そしてその真下には、黒いモンスターがいた。
そのモンスターは、黒狼鳥イャンガルルガ......なのだが、通常よりも体格が小さく、左目と耳の一部を損失し、残った右目が赤く光っている。
「フラン......」
「久しぶりね、お姉様」
「そのモンスターは何......?私があげたイャンガルルガはそんな見た目じゃ......」
「んー?ちょっと一緒に遊んでたらこんなになっちゃった。でも凄いんだよ!私と遊んでも元気なの!」
少女、フランは嬉しそうにそう話す。
「それでさっき魔法使いさんにも話したんだけど、この子、なんか『せきがん』?ってやつになってるみたいなの。それになれる素質が元々あって、私と出会ってそうなったって!」
「誰が、そんなことを言っていたの?」
「誰だったっけ?名前聞いてないから知らないわ」
「おおーい!霊夢ー!」
「魔理沙......」
「こりゃひでぇ怪我してるな......大丈夫なのか?」
突然扉から入ってきて、レウスを見てそう言ったのは、所々服が破れている魔理沙だった。
そしてその後ろには、魔理沙のパートナーであるライゼクスが、ボロボロの状態でいた。
「さっき回復の御札貼ったから、すぐに怪我は治ると......」
「そうか。私にもその御札くれねぇか?ちょっとこっちもギリギリでさ」
「いいわよ、ほら」
霊夢はそう言い、魔理沙に御札を渡す。
「サンキュー!ほらライゼクス、これで大丈夫だぜ」
「ギャァウ」
魔理沙はお礼を言うと、すぐにその御札をライゼクスに貼った。
「ねえ魔理沙、その巫女さんとお姉様も入れて、一緒に遊びましょうよ!」
レミリアと話していたフランが、突然そんなことを言い出す。
「どういうこと?」
「いや、さっきまで戦ってたんだよ......強すぎるぜ......」
霊夢が訊くと、魔理沙はそう答える。
フランとイャンガルルガの強さは、ボロボロの二人を見ればわかる。
「私はそれでもいいわよフラン。でもそっちの二人が大丈夫かしら?」
レミリアは霊夢と魔理沙を見て言う。
霊夢は無傷だが、レウスは瀕死、魔理沙とライゼクスはボロボロ。
この状態では戦おうにも戦えない。
「私はやるわ。魔理沙は?」
「もちろん!私もやるぜ!な、ライゼクス!」
「ギャァァウ!」
魔理沙の問に、ライゼクスは咆哮で答える。
「霊夢、レウスは......」
「レウス......」
「ギャァウ......!」
倒れていたレウスが、そう鳴く。
まるで自分も行かせてほしいと言うように。
「駄目よ......まだ傷が......」
霊夢がそう言うと、レウスはゆっくりと起き上がる。
そしてしっかりと開いた目で霊夢を見る。
「レウス......そうね、やりましょう」
「話は着いたかしら?」
「ええ、今度こそあんた達をぶっ倒すわ」
「ギャァァァァウ!」
霊夢が言うと、レウスは咆哮する。
そして再び、戦いは始まった。