東方異龍録〜Overwhelming power. 作:Ask〈アスク〉
霊夢とレウス、魔理沙とライゼクスはそれぞれ戦っていた相手を見る。
「なあ霊夢、さっきと同じ対面じゃ拙いと思うけど......どうする?」
「簡単な事じゃない。それぞれ相手を変えれば良いのよ」
霊夢が言うと、魔理沙はニヤリと笑みを浮かべて言う。
「もちろん。そうさせてもらうぜ。行くぞ、ライゼクス!」
「ギャァァウ!」
魔理沙はライゼクスと共にレミリアの方に攻撃を仕掛ける。
「さてと......あんたが私の相手ね?」
霊夢の目線の先にはレミリアの妹、フランドールがいた。
彼女は霊夢の言葉を聞くと笑顔になる。
「うん、そうだよ。さっきの人との遊びも楽しかったけど、あなたとも遊んでみたいわ」
「そう、じゃあさっさと始めるわよ。あんまり長く居座る気もないし」
「グルルゥゥゥ......」
レウスはフランドールとイャンガルルガに対して威嚇する。
「ほら、この子もやる気みたいだし」
「......あははは!面白そうだね!じゃあ、本気でいくからね!」
フランドールは言うと、飛び始める。
「ギャァァァァァオ!」
イャンガルルガは咆哮し、霊夢達に向かって走りだす。
それを霊夢達は空を飛ぶことで回避する。
「ギャァァウ!」
レウスは飛び上がった直後にイャンガルルガに対して火球を撃つ。
しかし、イャンガルルガには全く通じていないのか、そのまま走り抜ける。
「やっぱり効かないわよね......。それに、あのイャンガルルガ。何か普通とは違う気がするわ」
霊夢は目につけられている大きな傷を見て言う。
「大抵のイャンガルルガはどこかに傷を負っているけれど......それでもここまで素早いのは明らかに普通じゃないわ」
素早く走り続けているイャンガルルガを見て呟く。
「こういうの......確か聞いたことがあるわね。確か......〈二つ名〉......」
そう呟くと、霊夢は合点がいったのかイャンガルルガを見たまま言う。
「『隻眼』───なるほどね。二つ名をこの目で見るのは初めてだけど───」
霊夢はどこからかナイフを数本取り出してイャンガルルガに向けて投げる。
そのナイフは全て刺さった。
すると、イャンガルルガはその場で眠ってしまった。
「ナイフ、少しだけ貰ったけど大丈夫よね」
霊夢が投げたナイフは、モンスターと共に現れた植物の一つのネムリ草をすり潰したものをナイフに塗った物だ。
ネムリ草は人間なら少し口にしただけで眠気が襲ってくるものだ。
それをすり潰したものを数本刺されれば、いくらモンスターといえど眠ってしまう。
ちなみにナイフは咲夜の目を盗んで拾ったものだ。
ネムリ草は妖怪退治の助けになるからと、すり潰して常に持っている。
「......これであんた一人に集中できるわ」
「......」
フランドールは無言でイャンガルルガを見る。
そして、一言呟く。
「起きなさい」
すると、イャンガルルガは飛び起きる。
「な────」
ありえない。
霊夢はそう口にしようとして、イャンガルルガの様子がおかしいことに気がついた。
寝る前も十分おかしかったが、起きた後は比べものにならない程おかしい。
まるでそれは、怯えているかのようだった。
「......あんた、そのイャンガルルガに何をしたの?」
「ん?ただ遊んでただけだよー?」
遊んでただけ。
霊夢はその言葉に違和感を覚える。
遊んでた、とは、どういうことだ。
一緒に遊んでいた?
それは違う、とその考えを消す。
となると、イャンガルルガで遊んでいた。
そういうことか、と霊夢は納得する。
イャンガルルガの反応も、その身体の傷についても。
「......どうしてこんなことを?」
「?遊びたかったからだよ?」
「遊びで生物を傷つけるなんて、正気とは思えないわ」
霊夢はため息を吐いて言う。
その間も、霊夢はこの不利な状況を打破する為の作戦を考えていた。
「(イャンガルルガに火も毒も効かない。なら、
そう考え、霊夢は四つの瓶を取り出し、中を確認する。
その瓶の中には、最近発見された虫が転がしていた物が入っていた。
今のところ四種類見つかっており、霊夢はそれを全て持っている。
使った回数は少ないし、効果も完全には把握できていない。
だが、これを使う他ないと考えた。
霊夢は直感で二つの瓶をイャンガルルガに投げる。
「何?そんな攻撃は無駄よ!」
フランドールはそう言って笑う。
しかし、瓶がイャンガルルガに当たって割れると、イャンガルルガ様子が変わった。
「......?どうしたの」
「今よ、レウス!」
「ギャァァァァウ!」
レウスは咆哮し、イャンガルルガの頭に空中から蹴りを入れる。
するとイャンガルルガは体勢を崩し、その場に倒れる。
「何っ!?」
「良かった。しっかり通じたようね」
霊夢はそう言い、フランドールの後ろにたって御札を構える。
「......何をしたの?」
「最近発見された虫が持ってたものを瓶に詰めて投げただけよ」
最近発見された虫。
それらはモンスターが扱う属性の一部を玉のように転がしている。
今回霊夢が投げたのは、『雪石コロガシ』が持っていた、相手の動きを鈍くする氷属性の石を転がしていた物と、『雷毛コロガシ』が持っていた、相手を気絶させやすくする雷属性を帯びた毛玉を転がしていた物だ。
今のイャンガルルガは気絶しているため、いくら怯えているといってもフランドールの声で目覚めることは無い。
「......そう。......ふふふ、あははははは!」
「......何かおかしいの?」
「いいえ、そうじゃなくて、楽しいのよ。こんなに楽しめそうなのは久しぶり!」
「そう、こっちはそんなに楽しくないわ」
「つれないのね。でもいいわ、私を楽しませてくれればそれでいいもの!」
フランドールは笑いながら言う。
「それじゃあ......同時にかかってきて?その方が楽しめそうだし」
「言ったわね?今から後悔しても遅いのよ?」
「ええ、それでいいわ。......じゃあ、始めましょう!」
その言葉で、霊夢とレウス、そしてフランドールの最後の戦いが始まった。
霊夢が突破口を見いだした頃、魔理沙は追い詰められている真っ最中だった。
「ちっ......こりゃあやばいぜ......まさか、雷属性が全然効かねぇとはな......」
「弱点の対策は当たり前でしょう?」
考えれば、最初からおかしかった。
ライゼクスがいくら雷属性を帯びた攻撃をしても、全く怯まなかった。
最初のうちはただ我慢しているだけだろう、と思っていたようだが、実際は違った。
「全てのモンスターは最初から、全ての属性を持っている。使えていないのは、ただ眠っているだけだから......こんな話を聞いたことはないかしら?」
「.......可能性は考えていたぜ。まさか」
「ええ、目覚めさせたのよ。弱点を補う力を」
昔から考えられてはいた。
モンスターにはそのような可能性があるのではないかと。
ただその説は、リオレウスの死体から火炎袋が発見され、用途が判明した時にほぼ否定された。
そもそも、全属性を持っていたのなら、なぜその力を眠らせたのか。耐えられないのだとしたら、なぜ耐えられるように進化しなかったのか。
それらが説明できず、元から支持されていない少数派の説だった。
魔理沙は、無くはないだろう、と考えていた。
あれば謎が増えて研究しがいがありそうだとも。
ただ、その可能性はとても小さいものだとも思っていた。
「話を聞いた時、試してみたくなったのよ。そして何度も試した結果、弱点を補うことに成功した」
「......どうやったのか、ご教授願いたいもんだぜ」
「まあ、人間には無理よね」
「そんなことだろうと思ってたぜ」
そう言い魔理沙は軽く笑みを浮かべる。
その間も、彼女は勝てる可能性を探していた。
魔理沙が自分で作ったいくつもの道具。
それらの残量を思い出しながら。
「(回復薬が7つ、閃光玉が2つ、小タル爆弾が3つ、ホットドリンクとクーラードリンクがそれぞれ2つずつ......他には────!)」
そこまで考え、魔理沙はある作戦を思いついた。
「ライゼクス!」
「シャァァァッ!」
魔理沙が呼ぶと、ライゼクスは魔理沙の元に飛ぶ。
魔理沙は向かってくるライゼクスに向かって走り、近づいたところでジャンプしてライゼクスの背中に跨った。
「私が合図するまで逃げ続けてくれ!」
魔理沙の声に何も反応しなかったが、ライゼクスはそのまま飛びまわる。
魔理沙は持ってきていたポーチの中から石ころ、ツタの葉、モンスターのフンを取り出した。
これらは魔理沙が最近採取したもので、置いてくるのを忘れていたものだ。
それを先程思い出し、ある物を作ろうとしている。
「これをこうして、これをこう!」
魔理沙は目にも止まらぬ速さでそれらを組み合わせていく。
「よっしゃ!できたぜ!こやし玉!」
魔理沙は完成したもの────こやし玉を見て言う。
こやし玉は、強烈な臭いを発する玉だ。
その臭いはどんなモンスターでも逃げ出してしまうほどの臭いだ。
あの恐ろしいイビルジョーでさえ、その玉から発せられる臭いには耐えられない。
「ライゼクス!あいつらに向かって突っ込め!」
「シャァァァァァァァッ!!」
ライゼクスはレミリアとリオレイア亜種に向かって突っ込む。
あと少しという所まで近づいた時、魔理沙はライゼクスから飛び降りた。
そして、こやし玉をリオレイア亜種の頭部に投げつける。
「ギャウ!?」
「うっ!何よこの臭い!」
こやし玉はリオレイア亜種に当たり、辺りに臭いを振り撒く。
「(今だッ!)」
魔理沙は臭いで苦しんでいるレミリアに近づき、口に瓶を押し付け、中に入っていたホットドリンクを流し込む。
「むぐっ!何よこれ────ッ!」
ホットドリンクを流し込まれたレミリアの顔はみるみるうちに赤くなり、そして叫んだ。
「かッッッらーーーーいッ!」
ホットドリンクの材料に、トウガラシが含まれている。
トウガラシは辛いものだが、このホットドリンクは市販の物ではなく魔理沙が調合したものだ。
そして魔理沙は、様々なものでホットドリンクを作っていた。
その中でも特に酷い出来栄えだったもの......ハバネロを使ったホットドリンクをレミリアに飲ませたのだ。
「やっちまえ!ライゼクス!」
「シャァァァァァァッ!!」
魔理沙が言うと、ライゼクスは身体を振動させ、頭部、翼、尻尾に電気を蓄積し、部位電荷状態となる。
そして空高く飛び上がり、レミリアとリオレイア亜種に向かって急降下する。
「きゃあっ!」
「ギャァウ!」
ライゼクスの攻撃が直撃したレミリアとリオレイア亜種は小さく悲鳴をあげ、吹き飛ばされて地面に叩きつけられ、その場で横たわった。
しかし、レミリアはすぐに起き上がった。
「......っ、まだやるか?」
「......いえ、私の完敗よ。まさか、あんな手を使ってくるなんてね」
「!まあな!見たか私とライゼクスのコンビネーション!」
「シャァァァァァァッ!」
魔理沙が言うと、ライゼクスは空に向けて叫ぶ。
魔理沙はそんなライゼクスに笑いながら軽く叩く。
「私たちとの戦いは終わったけれど......あっちに加勢するの?」
その言葉に、魔理沙は一切迷うことなく答えた。
「いや、加勢はしない」
「どうして?」
「お前との戦いでめちゃくちゃ疲れてるんだよ......それに」
「それに?」
レミリアが訊くと、魔理沙は少し照れくさそうに答えた。
「あいつが、霊夢が負けるわけないだろ?」
「......お前は、あの人間を信頼しているのね」
レミリアは笑みを浮かべて言った。
「信頼?......まぁ、そうなのかもな」
そう答える魔理沙の顔は、少し赤く染まっていた。
前回の投稿が2020年9月......
何やってんだァァァァァァ!!!!!
書き始めたのはRISE発売、というか発表前......
何やって(ry
そしてストーリーズ2なんて噂もされていなかった時期......
何(ry
次回 紅魔郷編 完......?