黄色い雲のかかる、晴れた空の下で、キノとエルメスは、今日も変わらず走っていました。
「ねえキノ。今から行く国ってさ、実はもう滅んでたりしない?」
「どうだろう…まあ、希望は捨てないよ」
「そっか。まあ燃料くらいは残ってるかもだしね、周りの文明を見る限り」
キノとエルメスが走る道の周りには、朽ち果てたビルや、大きくて奇妙な、穴だらけの船のような物がところ狭しと並んでいました。砂が被り、錆だらけでしたが、とても進んだ文明があったことを教えてくれます。
「それにしても…一体何があったんだろう?昨日は砂とスモッグで分からなかったけれど、空の色もおかしいし…なにより、あまりにも荒れ果てている。ビルや、あの船のようなものも、風化するには時間がかかるはずなのに…」
「よっぽど大昔に戦争か災害でもあったんじゃない?まあ空の色から見て戦争の方だと思うけど。どっちにしても、キノが気にするようなことじゃないよ」
「…それもそうだね、エルメス」
キノはアクセルをかけて、速度を上げます。エルメスが爆音を響かせ、大きな土煙を上げながら、広い道を駆けていきました。
「あ、キノ。なんだか人がいそうな建物が見えてきたよ」
「え?あ、ほんとだ。ボクにも見えた。…あれ?」
「あ、気づいた?おかしいよね」
「うん…エルメス、ボクには城壁を越えた覚えはないし、今から行く場所にも城壁らしきものが見えないんだ」
「うん、そうだね。キノは城壁を越えてないし、あそこに城壁はない」
「どういうことなんだろう?」
「さあ?いってみたらわかるんじゃない?」
「…それもそうか。エルメス、念のため警戒しててくれない?」
「りょーかい」
キノとエルメスは、国の防備や領土の主張に必須な城壁がないことに首を傾げましたが、とりあえず行ってみることにしました。しかし、とりあえず人がいる建物まで来てみても、再び首を傾げることになりました。
「…ねえ、エルメス」
「なに?」
「さすがにおかしい…城壁がないにしても、入国審査すらなく、特に何か言われることもなく、国の中にはいれてしまった…本当に、どういうことなんだ…?」
「さあ?そこら辺の親切そうな人にきいてみたら?」
「…それしか、無いか…」
キノは、とりあえずそこら辺のお店にいる人に、声をかけてみることにしました。この国はいったい、どういう国なのかと。そして、ますます首を傾げることになりました。
「は?国?なにいってんだ?いや強いて言うなら日本サーバーだが…どういう国かって聞かれたら…まあ、平和な国だよ」
キノはとりあえずお礼を言って、道の端に寄せていたエルメスと話すことにしました。
「…どういうことなんだ…サーバーっていうのは一体何なんだ…?もしやここは…国じゃ、ない、のか?」
「うん、多分それで正解」
「…え?」
「だから、国じゃないんだよ、キノ。多分ここは市場に近いものなんだよ。国じゃなくて、完全に独立した市場」
「…ああ、なるほど…ここは、国みたいな法律や、領土があるわけじゃなくて…ただ人が集まって、商売や、そのための建物があるだけなのか…」
「多分ね。探したら、宿屋とか、燃料を売ってくれるとこもあるよ、乗り物もあるし」
「…まあ、それならいいか…。うん、切り替えていこう。とりあえず、この国…国?に三日、滞在してみよう」
「国じゃないんだし、その三日ルール、守んなくてもいいんじゃない?」
「あの、すいません」
「「え?」」
キノに話しかけたのは、小さくて可愛らしい、ピンク色の少女でした。
短いですが、切りがいいので。なんだか会話文がとても多くなってしまいました…。次回からは、地の文の描写を増やすようにします。