KAN-SENをよく知らない指揮官が着任するそうです   作:平凡な指揮官

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アズールレーンの二次創作になります。他の作品だと結構ほのぼのとかが多い感じだったので、結構真面目?な内容にしようかなと思っています。
更新はのんびり目です。


第1話

 夏の蒸し暑い空間にタイプライターの音がカチカチと響いている。壁に取りつけられた扇風機は朝からフル稼働しているが、残念ながらお情け程度の冷風しか提供できていない。

 

 重桜国、海軍省庁舎。モダンな赤レンガ造りの建物は、完成から40年以上海軍の象徴として親しまれている。そんな庁舎の一室、「会計課」と札が下げられた部屋で、男は山のように積まれた書類と戦っていた。

 

「課長、こちらの書類にも決裁をお願いいたします」

 

「ああ、そこに置いといてくれ」

 

 サインをし、判子をおす。どれだけ処理してもまた次から次へと書類がやってくる。まさに単純作業、地獄である。

 

「課長」

 

「なんだ、決裁ならまだ終わってないぞ」

 

「いえ、海軍大臣がお呼びです。直ちに執務室へ来るようにと」

 

「……わかった」

 

 ポケットから煙草を取り出し、一服しようとしていた男は立ち上がり、外していた軍服のボタンを閉め直すと足早に部屋を後にした。

 

 男が廊下に出た瞬間、妙な匂いがただよってきた。男ばかりの職場ではまず嗅ぐことのないであろう、甘い香水の匂いだった。

 

「…………」

 

 匂いのする方向を見ると、若い士官と美女が連れだってこちらに歩いてきていた。美女と言っても、獣耳と尻尾が生えた美女であったが。

 

 前方の男に気がついた士官と美女はサッと脇によけ敬礼をする。2人よりも階級が上である男は軽く頷くと歩き始めた。男が通りすぎた背後からは、2人の楽しげな会話が聞こえてきている。その会話を背に受けながら、誰ともなく男は呟いた。

 

「KAN-SENか……」

 

 遡ること6年前、人類は地球上における制海権の9割を喪失した。突如として出現した謎の生命体「セイレーン」の手により、数多の輸送船や客船が襲撃され、海中のパイプラインが破壊されたのだ。この突然の攻撃に対し、人類は最新鋭の兵器を用いて防衛をおこなったが、敵の圧倒的物量と不思議な能力により、世界中の国家はなすすべもなく叩きのめされた。

 

 そんな「セイレーン」に対抗することができる唯一の存在、それが「KAN-SEN」であった。「キューブ」と呼ばれる物体から生まれるそれは、見た目こそ人間の女性と同じであったが、かつて存在した軍艦の艤装や能力を宿して戦う事ができた。今や「KAN-SEN」は人類の希望として、世界中の最前線で活躍しているのだという。

 

「……あんな女性が、ねえ」

 

 廊下を歩きながら、男は1度振り返ると「ふう……」とため息をついた。男は戦争が始まったた6年前、艦長としてセイレーンと砲火を交え、その後の4年間は後方要員として海軍省に勤務している。KAN-SENが正式に運用され始めたのはつい2年程前のこと。

 

 男はいわゆる「KAN-SENのことをよく知らない軍人」であった。




とりあえず1話目になります。感想や評価お待ちしておりますので、よろしくお願いします。
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