「それでね....ヒック....その期間は....決まってないの。...運命は分かっている....これが必要なことと...分かっている...けれど....私は認めたくなかったなぁ.....まぁ八幡が幸せになるのなら....選択を間違えない」
そう言った京矢はすごく悲しみ、伝えることの苦しみ、伝えたことの後悔、これから起こることへのーーへの嫉妬。様々な感情に押しつぶされそうになりながらもなお伝えないと選択を間違ってしまうから。そして間違ってしまったらやり直すことができない事を知っているから。間違ったら、結果を変えることができない。
京矢が行った占いは過去を見るのではなく未来を見ることのできる。いわば未来視であった。
例えば、よくこんな話を聞かないだろうか。普通の人には見えないものが見える。幽霊など物質ではなくさわれない温度もないだが、確かにそこにいるもの少なくとも人ならざるもの。怪異などの存在を見ることのできる人がいるという事を。そしてそんな人は周囲から否定され馬鹿にされる。そんな、目を京矢と"八幡"ももっていた。
だが、京矢と八幡が見ることのできるのは、幽霊、怪異などの魑魅魍魎の類などではなく、神聖なもの、人が崇め奉るもの。人々はそれを神と呼ぶ。
そんなものが、京矢と八幡は幼い頃から見えていた。目を持っているだけですごいのに、京矢は神々と喋ることができた。京矢の天真爛漫さがきしてどんな神とでも仲良くなれた。中でも一際仲が良かったのが"名をミラノ"といい人に宿る神だった。周囲から見て異質な状態、態度であるから幼い頃から、虐めはざらにあった。意見の相違、価値観の相違からくる異質なものの排除と言うのは子供だろうと関係ないみたいだ。二人はそんな過酷な環境で育って来たのだ。
そんな環境で育って来て、守り、まもりあい、傷を舐めあった関係であったから両親よりも大切で、双方がいつも夫婦みたいに接していた。
それがもう終わると言っている。まずはきかないといけない、理由があると確信を持って言える。まぁ、こういう時は何時も占い関係が多いのだが。
そしてそれは必ずと言っていいほど当たる。
八幡も目を持っている。それは京矢と真逆な目であるが、千里眼に似つくもので人の過去が、隠しているものからも見える、見えてしまうから、本人にしか知らない事を知っていて、ストーカー?とか言はれたことがあり、最近ではみるのをやめてしまったが。
だから、こそ周囲の当たり前の反応ではなく、京矢の意見にそぐうはんのうであるのだ。信じ、信頼しているからこそ何か理由があってそんな事を言っていると思っている。それならば、きかなくてはならない、本人がそれがどれだけ辛い事なのかわかっていても、双方の承知がない状態で話なんてできない。
「何か理由があんだろ、話してくれ。」
的を射ていたようで、受け流すような態度で、説明する。
「うんわかった、話すね。...まず、このまま"この時代"で生きていたら八幡は亡命してしまうの。そしてこれは変えられない未来であり、運命としてあるからどうしようもなく、唯一つの方法で過去へ戻るって方法があるの。あぁ、安心して過去に行くにしたって、期限があり必ず時間が経てば変えることができるから。
「それで、本題なんだけど、その命をとだす人が葉山隼人っていう人みたいなの。この人って記憶の中にあった、策にはめて来た人だよね。そんな人が殺しに来るってことは周囲が事実を知ったのかな。」
「はっ、いい気味だな。だが依頼を投げやりにしておきながら責任すら感じていないのは彼奴は本当に責任年齢なのか?俺にはどうしても同じ歳だとは思えないのだが」
「まぁまぁ、それは置いといちゃ行けないけど一度置いといて、その葉山隼人が命をとだすのは必ず起こる事象みたいで、葉山隼人本人が事に及ばなくても従者、若しくは状況が其れを起こすみたいなの。
つまり、貴方はすぐ近い未来死んでしまう。これは変えることのできない事実。
だが、そう言った手前一つだけ貴方が助かる方法がある。」
そう語ると、まるで話したくない、これで終わりかもしれないような雰囲気、結論を出すかのように。一呼吸置いて緊迫した空気を醸し出しながら言った。それも、溢れ出さんとするばかりの涙を抑えながら。
「それは私しかできないから、納得してくれるとは思えないから今賛否を確認せずに実行する事にしたんだよ。
ばいばい、私の愛しかった"曽祖父"
これくらいは許されるよね。」
そう言って。キスしてくる、が出てくる感情は嬉しさよりも、もうすぐ離れるという事実に対する悲しみの方がはるかに勝っていた。
だから、"頬"に当たる湿りのある唇から当たる体温を感じ、それに対する幸せを感じながらも、諦めをつけた。それと同時に感謝の念を京矢に向けながら、体が非現実的なかつ科学的にはあり得ないような消え方をしている事に気づかず。
告げる。謝罪ではなく感謝を。
「今まで、ありがとう。これまで、お前といる間だけは幸せなものだったよ。俺がいなくても達者でな」
自分が現代から消えた事に気づく事なく、意識を失ったという程で、時代を遡った。
すなわち、タイムスリップというやつだ。
しかして、気づくのは現代の発達した文明でないことと見比べた結果気づく事になり、同時にマックスコーヒーがない事に対する絶望があったのはまだ先の話。
逃げちゃだめだ。逃げちゃだめだ。