ありふれない職業で原作ブレイク   作:黒マスク

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異世界への召喚

スマホのアラーム音が鳴り響き俺は目が覚めた。

 

「あぁ、もう月曜日か…。学校めんどくさいからサボろうかな」

 

と言いつつ俺はベッドから出て制服に着替えて学校に行く準備をする。

サボろうかなと言うのはクセみたいなもので実際にサボったことはない。

転生してから17年の月日が流れていた。

今世の俺の名前は霧雨和人。

生れてから今日まで普通に学校生活を送りながらぼちぼちレベル上げをしていた。

この世界にはモンスターはいないため筋トレとかで上げなきゃいけないからあまり上がってはいないが。

今のステータスはこんな感じだ。

 

霧雨和人 17歳 男 レベル:20

筋力:650

体力:600

耐性:400

敏捷:700

魔力:300

魔耐:100

技能:全魔法適性・全武器適性・格闘術・鑑定・女神の慈愛

 

まぁ、レベリングが筋トレな為だいぶステータスが偏ってしまったがしょうがない。

この普通の地球で魔法をぶっ放す訳にもいかないし。

一度試しに火魔法を砂漠のど真ん中でやってみたが思ったよりも威力がありニュースにまでなってしまった。

それ以来魔法は転移魔法と収納魔法しか使っていない。

 

「それじゃあ、母さん。学校行ってきまーす」

 

「朝ごはんはー?」

 

「途中でコンビニにでも寄って買ってく!」

 

「気をつけて行ってらっしゃい」

 

今世の両親は本当にいい人だ。

前世では両親には虐待のようなものにあい両親というものにいいイメージがなかったが今の両親に会って大切に育てられて両親には本当に感謝している。

恥ずかしくて直接は言えないけどな。

 

俺はコンビニで某栄養ゼリーを買いそれを加えながら教室に入っていく。

 

「おはよう、和人君!」

 

そう俺に挨拶してきたのはクラスメイトの白崎香織だ。

彼女は学校で二大女神と言われ男女問わず絶大な人気を誇る途轍とてつもない美少女だ。

腰まで届く長く艶やかな黒髪、少し垂れ気味の大きな瞳はひどく優しげだ。

スッと通った鼻梁に小ぶりの鼻、そして薄い桜色の唇が完璧な配置で並んでいる。

 

「おはよう、香織さん。それとハジメ」

 

「あぁ、おはよう。和人」

 

ハジメはクラスのオタク友達だ。

ほぼ毎日のようにアニメや漫画の話をしていて一緒にライブにもいく中だ。

ちなみに香織さんはハジメのことが好きだ。

前に一度相談だれたことがあるから俺もハジメとくっつくように仕向けているがハジメが鈍感すぎる。

くそ、オタクのくせにモテやがって。

 

「よぉ〜、キモオタブラザーズ。また、徹夜でゲームか?どうせエロゲでもしてたんだろ?」

 

「うわっ、キモ~。エロゲで徹夜とかマジキモイじゃん~」

 

そう行って男達が俺とハジメの方を見てゲラゲラ笑う。

正直イラっとくる所はあるがここは大人の対応だ。

 

声を掛けてきたのは檜山大介といい、毎日飽きもせず日課のようにハジメに絡む生徒の筆頭だ。

近くでバカ笑いをしているのは斎藤良樹、近藤礼一、中野信治の三人で、大体この四人が頻繁に俺らに絡む。

 

世間一般ではオタクに対する風当たりは確かに強くはあるが、本来なら嘲笑程度はあれど、ここまで敵愾心を持たれることはない。

では、なぜ男子生徒全員が敵意や侮蔑をあらわにするのか。

 

その原因は彼女、白崎香織だ。

彼女がハジメが好きすぎるあまりずっとハジメの近くにいるからだ。

そのせいで俺らが香織さんと親しくできることが、同じく平凡な男子生徒達には我慢ならないのだ。

「なぜ、あいつだけ!」と。

女子生徒は香織からハジメへの好意について薄々感じているようだが。

 

そんな周りの状況を無視してハジメと香織さんと会話していると、3人の男女が近づいてくる。

 

「南雲君。和人君。おはよう。毎日大変ね」

「香織、また彼の世話を焼いているのか?全く、本当に香織は優しいな」

「全くだぜ、そんなやる気ないヤツに何を言っても無駄と思うけどなぁ」

 

三人の中で唯一朝の挨拶をした女子生徒の名前は八重樫雫。

香織の親友で俺とも面識がある。

ポニーテールにした長い黒髪がトレードマーク。

切れ長の目は鋭く、しかしその奥には柔らかさも感じられるため、冷たいというよりカッコイイという印象を与える。

もちろん香織がハジメのことが好きと言うことは知っている。

百七十二センチメートルという女子にしては高い身長と引き締まった体、凛とした雰囲気は侍を彷彿とさせる。

 

事実、彼女の実家は八重樫流という剣術道場を営んでおり、雫自身、小学生の頃から剣道の大会で負けなしという猛者である。

現代に現れた美少女剣士として雑誌の取材を受けることもしばしばあり、熱狂的なファンがいるらしい。

後輩の女子生徒から熱を孕んだ瞳で〝お姉さま〟と慕われて頬を引き攣らせている光景はよく目撃されている。

 

実はさっき言った面識があると言うのは俺がこの八重樫流の道場に通っていたからだ。

まだ俺が小学生だった頃、どうにかこの世界で武器系スキルを試したかった時に出会ったのがこの道場だった。

道場に行った日、ついついスキルを発動してしまった俺は同級生だった雫と対戦して倒してしまった。

これがいけなかった。

この道場で小学生とは言え、大会負けなしの雫を簡単に倒してしまった俺を道場から逃がしてもらえなくなりほぼ毎週通う羽目になった。

 

次に、些か臭いセリフで香織に声を掛けたのが天之河光輝。

いかにも勇者っぽいキラキラネームの彼は、容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能の完璧超人だ。

 

サラサラの茶髪と優しげな瞳、百八十センチメートル近い高身長に細身ながら引き締まった体。

誰にでも優しく、正義感も強い(思い込みが激しい)。

 

俺と同じく小学生の頃から八重樫道場に通う門下生で、雫と同じく全国クラスの猛者で雫とは幼馴染だ。

ダース単位で惚れている女子生徒がいるそうだが、いつも一緒にいる雫や香織に気後れして告白に至っていない子は多いらしい。

それでも月二回以上は学校に関係なく告白を受けるというのだから筋金入りのモテ男だ。

もちろん、道場では俺に勝てたことはないのでこれも俺を敵対するひとつの要因なんだろう。

 

最後に投げやり気味な言動の男子生徒は坂上龍太郎といい、光輝の親友だ。

短く刈り上げた髪に鋭さと陽気さを合わせたような瞳、百九十センチメートルの身長に熊の如き大柄な体格、見た目に反さず細かいことは気にしない脳筋タイプである。

 

龍太郎は努力とか熱血とか根性とかそういうのが大好きな人間なので、ハジメのように学校に来ても寝てばかりのやる気がなさそうな人間は嫌いなタイプらしい。

現に今も、俺達を一瞥した後フンッと鼻で笑い興味ないとばかりに無視している。

 

「おはよう、雫。あっ、あと天之河くん、坂上くん」

 

ちょっとムカついたから煽ってみた。

隣でハジメは苦笑いしている。

フィたりの方を見ると無言でガンを飛ばしている。

反応を見る限りどうやら煽られていることに気づいていないようだ。

それよりも俺が雫と話していることが癪に触るようだ。

雫も香織に負けないくらい人気が高いからな。

 

「チッ、香織。俺達とあっちで話そうぜ」

 

「ごめんね、坂上くん。私は、南雲くんと話したいんだけど?」

 

ざわっと教室が騒がしくなる。

男子達はギリッと歯を鳴らし呪い殺さんばかりにハジメを睨み、檜山達四人組に至っては昼休みにハジメを連れて行く場所の検討を始めている。

 

「え?……ああ、ホント、香織は優しいよな」

 

どうやら光輝の中で香織の発言はハジメに気を遣ったと解釈されたようだ。

完璧超人なのだが、そのせいか少々自分の正しさを疑わなさ過ぎるという欠点だと思う。

 

「……ごめんね?二人共悪気はないのだけど……」

 

この場で最も人間関係や各人の心情を把握している雫が、こっそり俺達に謝罪する。

ハジメはやはり「仕方ない」と肩を竦めて苦笑いしていた。

 

そうこうしている内に始業のチャイムが鳴り教師が教室に入ってきた。

教室の空気のおかしさには慣れてしまったのか何事もないように朝の連絡事項を伝える。

そして、俺はいつも通り昼寝を始めるが当然のように授業が開始された。

正直高校レベルならもう学習済みだし、前世の記憶もあるからな。

 

俺は寝る前にハジメの方をちらっと見るともう寝ていた。

はええな。

 

それから数時間経ち教室がざわつき始めたと思ったらどうやら昼休みに入ったみたいだ。

俺はハジメの席に行って起こしに行く。

 

「おい、ハジメ。もう昼だぞ〜」

 

「もうそんな時間か…」

 

ハジメは、突っ伏していた体を起こし、十秒でチャージできる定番のお昼をゴソゴソと取り出す。

 

「それだけかい!ちゃんと食べないと体に悪いぞ」

 

俺はふと教室を見渡すと購買組は既に飛び出していったのか人数が減っている。

それでもこのクラスは弁当組が多いので三分の二くらいの生徒が残っており、それに加えて四時間目の社会科教師である畑山愛子先生(二十五歳)が教壇で数人の生徒と談笑していた。

 

教室を一通り見回したあとハジメの方を向くともう十秒チャージし終えてもう一眠りするかと机に突っ伏そうとした。

だが、そうはさせまいと我等の女神が、ニコニコとハジメの席に寄ってくる。

 

「2人ともよかったら一緒にどうかな?」

 

その瞬間再び不穏な空気が教室を満たし始める。

 

「俺はいいけどハジメはー?」

 

「あ~、誘ってくれてありがとう、白崎さん。でも、もう食べ終わったから天之河君達と食べたらどうかな?」

 

そう言って、ミイラのように中身を吸い取られたお昼のパッケージをヒラヒラと見せる。

どうやらハジメは抵抗することにしたようだ。

しかし、その程度の抵抗など意味をなさないとばかり女神は追撃をかける。

 

「えっ!お昼それだけなの?ダメだよ、ちゃんと食べないと!私のお弁当、分けてあげるね!」

 

さすがは女神だ。

全くハジメの考えを読めていない。

恋は盲目ってか?

 

刻一刻と増していく圧力に、ハジメが冷や汗を流していると救世主が現れた。

光輝達だ。

 

「香織。こっちで一緒に食べよう。南雲はまだ寝足りないみたいだしさ。せっかくの香織の美味しい手料理を寝ぼけたまま食べるなんて俺が許さないよ?」

 

爽やかに笑いながら気障なセリフを吐く光輝にキョトンとする香織。

少々鈍感というか天然が入っている彼女には、光輝のイケメンスマイルやセリフも効果がないようだ。

 

「え?なんで光輝くんの許しがいるの?」

 

そのセリフに思わず俺と雫が「ブフッ」と吹き出してしまった。

光輝は困ったように笑いながらあれこれ話しているが、結局、ハジメの席に学校一有名な四人組が集まっている事実に変わりはなく視線の圧力は弱まらない。

そんな中ハジメがいつも通り苦笑いでお茶を濁して退散するかと腰を上げかけたところで……

 

凍りついた。

 

俺らの目の前、光輝の足元に純白に光り輝く円環と幾何学きかがく模様が現れたからだ。

その異常事態には直ぐに周りの生徒達も気がついた。

全員が金縛りにでもあったかのように輝く紋様――俗に言う魔法陣らしきものを注視する。

 

その魔法陣は徐々に輝きを増していき、一気に教室全体を満たすほどの大きさに拡大した。

自分の足元まで異常が迫って来たことで、ようやく硬直が解け悲鳴を上げる生徒達。

未だ教室にいた愛子先生が咄嗟に「皆! 教室から出て!」と叫んだのと、魔法陣の輝きが爆発したようにカッと光ったのは同時だった。

 

数秒か、数分か、光によって真っ白に塗りつぶされた教室が再び色を取り戻す頃、そこには既に誰もいなかった。

蹴倒された椅子に、食べかけのまま開かれた弁当、散乱する箸やペットボトル、教室の備品はそのままにそこにいた人間だけが姿を消していた。

 

この事件は、白昼の高校で起きた集団神隠しとして、大いに世間を騒がせるのだが、それはまた別の話。




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