ウルトラマンビータ   作:りゅーど

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ストライキング・ザ・デーモン・ダウン

 闇の中、とある声がした。

「いあ! いあ! がたのぞーあ! ふたぐん!」

 教信者の声である。

「「いあ! いあ! がたのぞーあ! ふたぐん!」」

 合唱のように増えていく。

「「「「いあ! いあ! がたのぞーあ! ふたぐん!」」」」

 そしていつしか、

「「「「「「「「「「「「「いあ! いあ! がたのぞーあ! ふたぐん! いあ! いあ! がたのぞーあ! ふたぐん! いあ! いあ! がたのぞーあ! ふたぐん! いあ! いあ! がたのぞーあ! ふたぐん! いあ! いあ! がたのぞーあ! ふたぐん!」」」」」」」」」」」」」

 教信者たちの大合唱が、強大なマイナスエネルギーを生み出していた。

 

 その頃、都内某所。

「ほう、マイナスエネルギーが増えだしたか。面白い、ヴェサ……行くぞ」

「分かりました、ザギ様」

「おいおい、堅苦しいぞヴェサ、いつも通りフランクでいいんだよ」

「……はーい!」

 ダークザギが、ヴェサリウスを連れて、いやウルティノイドたちを連れて動き出した。

 それは悪魔の軍隊であり、しかしどこか神殺しにも見える。

 

 そしてその頃、この世界の辺境惑星から、謎の『ウルトラマン』が降臨していた。

「フハハハハ……フッハハハハハハ!!」

 哄笑をあげながら、そのウルトラマンは地球へと降り立った。

 

 さて。

 TECは現在絶賛整備中である。

「全くもってもう……せっかくスカイハイヤーあるのになんで俺のマッハストライカー使うかなぁ!!」

 慎太郎はイラつきを抑えきれていないようだ。

「うるせぇぞバーロー」

 シュンはそう言って慎太郎の頭を小突く。

「いってぇな! 何しやがんだ!」

「うるせぇっつってんだよ」

「叩くこたァねぇだろ!? これ以上馬鹿になったらどーすんだぶち殺すぞ!」

「安心しろ、お前は馬鹿の極地に居るからもうこれ以上馬鹿にならん」

「悪かったって……あの時アイツから逃げれる速度でいえばマッハストライカーの方が速かったからよ……スカイハイヤーもそれなりに速いが……スピードを上げ過ぎるとコントロールが上手くいかなくて……それなかったんだ……」

 アカネが少し呆れながら謝り続けた。

「ビックブラザーがまだ直んない……」

 レナはちょっと落ち込んでいた。

「そらそうやよ、内部構造ズタボロやもん」

 整備班の一人が愚痴った。

「すみません……それに毒も注入されましたね……」

「腐食してやがる」

 レンはそう言うと、その腐食具合からどのような毒かを推測した。

「うーん、確か内部は白金のコーティング施してんだよな。それが溶けてるってことは……王水だな、しかも超高濃度」

「うわぁ〜……そんなにか……どうしよ……このままだと……ッ」

 そう言った後、レナは何も言わなくなった。

「まぁ内部の機械とかは見事に買い換えてあるし大丈夫でしょ。それにコクピット周辺はイリジウムコーティングしてたから無傷だったし」

 王水はイリジウムを溶かすことは出来ないのだ。

「それなら良かった……」

「というかレナ……ここんところ様子が変だぞ? 何かあったのか?」

「ッ……き、気にしないで。ちょっと疲れてるだけだから……」

 レナがあの日パトロールしたあの時から少し様子が変わった。

「バーロ、そんなんじゃ地球守れねぇぞ?」

 イラつきを込めながら、しかし飄々とレンは言った。

「あ、う、うん……ごめん」

 レナは慌てて謝った。

「(みんな頑張っているんだ。気を引き締めないと……!)」

「……レナァ」

 タイガはそう言うと、レナの隣に立つ。

「うわっ……な、なに? タイガ……」

「全部守るってのは土台無理な話だ」

「ッ……」

 その言葉が胸に刺さったのか、普通の顔が歪んで何かに耐えてるような顔になった。

「だからよ、守れるものを全力で守るってことが大切なのさ。全部を守ろうとして失敗し、夢を忘れ怠惰に陥った俺みたいになるなよ?」

 タイガはそう言って、レナの頭に手をぽんと置いた。

「ん……わ、分かってる。ありがとう……」

「(お父さん……)」

「(お父さんみたいね……)」

 アカネとセナは背後から見てそう思った。

「(親子かな?)」

 シュンはそうしみじみと思っていたようだ。

「ふふ……♪」

 部屋から見てたリオンは微笑ましそうにして休息のコーヒーを飲んだ。

「(こんな平和が続けばいいのに……)」

 そういう発言は基本的にフラグである。

「(まぁ……どうせ、無理な話ですよね……)アチッ……!」

 リオンは謎の危険を察知して思考を変えた。これもフラグでは……? 

 そんなことを思っていたせいか、コーヒーの熱さで舌が少し赤くなってしまった。

 その日は何も無かった。

 

 問題はその翌日である。

 ビッグ・ブラザーが完全修理されたその時に事件が起きたのだ。

「タイミング悪っ!?」

 レナは思わずそう叫んでしまった。

「チィ! モニターに映像を!」

 シンジはそう言って映像投影を指示した。

「……これ、って……」

 リオンの声は震えた。

「青い、ウルトラマン?」

 リオンは黙々と見つめていた。何も言わず、目を大きく開きながら見つめていた。

「でも、他のウルトラマンと違ってなんか様子変……じゃない?」

「暴れてはいないが……」

「……なんか、見た目も普通のウルトラマンとは違うな……」

「ウルトラマンでも仮想みたいな格好するのいるの?」

 他の全員は話しているが、リオンだけは何故かずっとそのウルトラマンを黙々と見つめ続けていた。

「……マジかよ」

 慎太郎は機能停止したアバドスティックを見つめていた。

「……クソが」

 慎太郎はそう呟くと、嫌悪感を顕にした。

 一方シュンの顔は怒りで赤くなっていた。

「DAMN IT!! あの野郎ぶっ殺してやる……!」

「え? ご存知……なのですか?」

 2人の言葉で我に帰ったリオンはそう言った。

「あいつはトレギア! 前二回殺したが……また蘇ったとでも言うのか!?」

 慎太郎はそう言うと、忌々しげに拳を握った。

「ウルトラマン……トレギア? 仲間じゃないの?」

 レナはそう言った。

「ウルトラの国を離反した裏切り者さ」

 シュンは苛立ちを抑えきれていないようだ。

「離反……!? そんな奴もいるのか……」

 リオンはその言葉を耳にしたもののずっとモニターを見つめていた。

「……副隊長?」

 返事をしない。ずっと見つめていた。

「リオン!」

 シンジは声を大きくした。

「ハッ……! ……あ、すみませ、ん……」

 シンジの言葉で我に帰った。

「副隊長……あのウルトラマンに何か心当たりあるのですか?」

「え、い、いいえ……これっぽっちも……」

 リオンは幼い頃に出会ったあの時のウルトラマンが脳裏に焼き付いていた。

 名前が分からないし、幼い頃だったからか、今では姿も微かに思い出せなくなっている。

 そのことは自分の心の奥底にしまい、誰にも言わなかった。だから何を言われようとも黙っていた。

「きっとリオンを助けたのは『ウルトラマンフーマ』。風の覇者を名乗る青い忍びのウルトラマンだろう」

 安心してぶっ殺せ、と慎太郎は言い、そして呵呵と笑う。

「!? ウルトラマン……フーマ……ってちょっと待ってください! なんで今私が思ったことがわかったのですか!?」

「顔に書いてあったぞ」

「ヴッ……」

 図星だった。

「……さて、さっさと殺しに行きますか」

 慎太郎はそう言った。何かに急かされているかのようであった。

「……今日の慎太郎はなんか荒いな……」

「色々とあったんだよ……」

 レナとアカネはコソコソとそう話し合っていた。

「男性陣はスカイハイヤー! 女性陣はテックビートルで出動!」

「了解!!」

 一斉に返事をして出動した。

 

 その頃、慎太郎はある物を探していた。

「どこだ……!」

 様々なものを取り出してはしまい、そしてようやくお目当てのものを見つけたようだ。

「あった……!」

 慎太郎の口角が上がった。

 慎太郎は、アバドストライカーで出撃した。

 

「あれ? 慎太郎は……?」

「さ、さぁ……?」

「とにかく! あの青いウルトラマンを倒すんだ、いいな!」

「り、了解……!」

「ですが……本当に、私たちの攻撃……効くのですかね?」

 リオンは不安な言葉を呟いた。

「……やるしかない」

「……はい……」

 トレギアは向かってくるTECの連中に気づいたようだ。

「……あ、気づかれた……」

 アカネはそう呟いた。

「ですが、油断は禁物ですよ……」

「のろいのろい……」

 トレギアは目から光線を放った。

「うぉ……!?」

 慌てて回避した。

「宣戦布告みたいですね……」

「フフフ……」

 トレギアはそう笑い、光弾を放った。

「っと……!」

「そこっ!!」

 セナが背後に回ってトレギアの背面にミサイルを放った。

「ぐあぁっ!?」

 背後からの攻撃はさすがに対応できなかったようだ。正面のテックビートルに対応しすぎた様子である。

「ナイスだセナ!」

「ハァッ! 喰らいなさい!」

 その瞬間が見えた時、レナが整備を終えたビック・ブラザーを操縦してトレギアに中段回し蹴りを放った。

「ぐっ……」

 トレギアの腹部に深々と突き刺さる。

「よし……!」

「随分と押してるな……これならなんとかなるんじゃないか?」

「ですから……油断は禁物です。トレギアには……何か隠してるようにも見えるんです……」

「フフフ……」

 トレギアは、トレラアルティガイザーを放った。

「ッ!? 避けろぉ!」

 その時、一筋の光、いや光と闇の混合物が立ち上った。

 

 その数秒前である。

 慎太郎は、発掘したアバドライザーを構えてこう叫んだ。

「……さぁ、試してみるか!」

 ヒーローズゲートをくぐる、その瞬間時間の流れが変化した。

『Shintaro:access granted』

 バッ、と勢いよく手を開けば、アボラス、キングザウルス三世、ヒッポリト星人のメダルがあった。

「未来本当、期待感正論!」

 そう言って、慎太郎はメダルをセットした。

「アボラス! キングザウルス三世! ヒッポリト星人!」

『Abolas』

『King zaurus the third』

『Alien hipporit』

 スライドし、三枚のウルトラメダルをアバドライザーにリードする。

「高鳴れ、ただ生き抜け! この最上行動!!」

 そして慎太郎はアバドライザーのトリガーを押した。

「うぉああああああ!! アバドン!!」

 ウルトラメダルが慎太郎に同化し、慎太郎の体を怪獣に変化させる。

『Bronzolution the third』

 ブロンゾリューション三世のお出ましである! 

 

 ブロンゾリューション三世は、バリアでトレラアルティガイザーを変な方向に飛ばすと、ラリアットでトレギアを吹き飛ばした。

「わぁぁぁぁぁなんだアレ!?」

「怪獣……!? どこから……!?」

「ヒャハハハハ! ギシャァアアッ!!」

「へアッ!」

「シャァッ」

 いつの間にかビータとゾフィーも参戦していた。

「な、なんだあの怪獣……!?」

「……ん? …………慎太郎さ、ん?」

「はぁ!? 慎太郎!? なんで分かるんですか副隊長!?」

「う、うーん……星人の、勘?」

 ちょっと可愛いな。でもその勘は当たっている。

「へアッ……」

 ゾフィーは警戒度を高めている。

「ゾフィー……疑ってない?」

「……ですが今は、目の前の敵に集中してください。トレギアは……他のウルトラマンとは違う……マイナスエネルギーを感じ、そして……圧倒的強さを感じます……」

「……フフフ。雁首揃えてお出ましか」

「な、何笑ってんだよ……」

「(この隙にもう一度……!)」

 レナがもう一度背後に回ってミサイルを放った。

「ま、待ちなさいレナさん……! これ以上深追いはしなくて良いですよ……!!」

「……ハァッ!」

 トレギアはそれを回避した。

「なっ……!?」

「喰らいなさい!」

 セナが頭上から無数のミサイルを放って直撃させた。

「……フフフ、フハハハハハハ!」

「な……なに、笑っているんですか……」

「紳士ぶって……本当は悪人だろうが……」

「フフフ……ようやくだ! ようやくその負の感情を引き出せた……さぁ来い!!」

 

「いあ! いあ! がたのぞーあ! ふたぐん!」

「「いあ! いあ! がたのぞーあ! ふたぐん!」」

 いあ! いあ! がたのぞーあ! ふたぐん! いあ! いあ! がたのぞーあ! ふたぐん! いあ! いあ! がたのぞーあ! ふたぐん! いあ! いあ! がたのぞーあ! ふたぐん! いあ! いあ! がたのぞーあ! ふたぐん! いあ! いあ! がたのぞーあ! ふたぐん! いあ! いあ! がたのぞーあ! ふたぐん! いあ! いあ! がたのぞーあ! ふたぐん! 

 

 信者達の合唱が響く。

 

「ガタノゾーアァアア!!!」

 

「ムブガァアアアアアン!!!!」

 邪神が、ガタノゾーアがその姿を現した。

 ガタノゾーアの触手が伸びた。その触手は、ウルトラマンビータのカラータイマーを容易く割ってしまった。

「かっ……」

 ビータはその直後に石化光線を浴びた。

 ウルトラマンビータは、石へと変貌した。

「超うるせぇ……って、あ!」

「ビータ!!!」

 リオンは思わず叫んで見てもいられず、ついに本来の姿で前に出た。

「ッ……喰らいなさい……!」

 リオンは叫びながら背面をハサミで斬りつけた。

 しかし、ガタノゾーアの強固な殻はそれを寄せ付けなかった。

 ガタノゾーアは触手でパワードバルタン星人リオンとゾフィーを縛り上げた。

「きゃっ……!」

「副隊長!! ゾフィー!」

 レナは慌ててビック・ブラザーを操作して助けに行った。

「あ、レナ……!」

 ゾフィーは触手を引きちぎった。ブロンゾリューション三世は溶解液で触手を溶かしまくっている。

「私達の副隊長に手を出さないで!」

 レナが叫んで顔面を蹴って地面に叩き倒した。

 ガタノゾーアは一瞬怯んだように見えた、その時トレギアはビッグ・ブラザーの右肩関節を外した。

「あ──っ!! 直したばかりなのにー!!!!」

「でも、今、一瞬だけ……攻撃をして怯んだその隙に総攻撃すれば良いんじゃないですか……!?」

「……今だ、行け!」

「総攻撃のチャンス……!」

 一斉に攻撃をした。

「トレラアルティガイザー……!」

 トレギアによってその攻撃は完全に遮られる。

「強っ……!?」

「アレをなんとかしない限り……倒すことができません……」

「……なら、分かれて……油断をしたところで……倒すしかありませんね……」

 ゾフィーは触手を何本も引きちぎり、ガタノゾーアの攻撃を避けながら攻撃している。

 しかしジリ貧である。

 その時だった。

「だらしないぜ、ウルトラマン」

 闇のオーラがした。

「ッ……このオーラは……?」

 リオンも胸騒ぎするくらいのオーラに声を震わせていた。

 ざっ……。

 そんな足音を立て、無数の闇が顕現した。

「え、なに……この、嫌な予感……」

「アレは……」

 戦闘員ウルティノイド・クロイツェル。闇の巨人、ダークファウスト、ダークメフィスト、ダークメフィスト・ツヴァイ。そして、暗黒破壊神、ダークザギ……。

 この世の終わりだ。

 誰しもがそう悟った。

「ようビータ、なんてザマ晒してやがんだ」

 しかしダークザギは、そう言って朗らかに笑った。まるで、ビータの味方をするかのようだった。




次回、ウルトラマンビータ。
『リアニメーション』
お楽しみに。
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