リオンは夢を見ていた。
それは過去の思い出であった。
「ふんふんふ〜ん♪」
1人で楽しそうに散歩をしている幼い頃のリオン。
今とは比べて陽気な様に見える。
しかし、その平和など直ぐに消える物である。
「……ん?」
何か黒い影が見えたのでそっと顔を上に上げて見ていた。
それは怪獣であった。それは凍結怪獣 ガンダーであった。
平和な故郷を、-140の絶望が襲った。
「ヒッ……! さ、寒い……に、逃げなきゃ……!」
寒さに耐えながら駆け足で逃げ出した。
「プルウォオオオオ!!」
ガンダーは冷凍ガスを放とうとし、その瞬間。
「セイヤッ!」
青い光に、ガンダーは殺された。
「!? ……ウルトラ……マン?」
そう、その青い光はウルトラマンであった。
そのウルトラマンはリオンの方を向いて、ピースマークを作った。
「あ……ありがとう! ウルトラマン!!」
「良いってことよ……セイヤッチ!」
「……ウルトラマン……カッコいい〜……」
その日からリオンはウルトラマンに惚れた? のか……ウルトラマンに関して勉強するようになった。
そのうちに、リオンは気づいた。
あのウルトラマンの他にもウルトラマンは居ると。そして、自身はそのウルトラマンを倒すべきであったと。
そう、リオンの種族は────。
「はっ!?」
リオンは跳ね起きた。
朝だ。
布団の中はまだまだ暖かい。
今日は非番で、まだゴロゴロできる。
「……懐かしい夢…………ふぅ……」
布団から出ず、さっきの夢は微かに消えていたが覚えてる範囲だけを繰り返し思い出していた。
「……そういえばあの日……あのウルトラマンの名前……聞いてない……」
自分がいつかウルトラマンを倒す存在だと分かっていながらも、また会いたいと心の奥底で呟いていた。
それが叶うかは別として、だが。
「(もし、私が……)……やめましょう。こんな考えはしないと決めたんです……」
さて、とリオンはそう呟いた。
「……あ。(まだこんな時間……でもいつもより遅めに目を覚ました。朝食作りましょうか……)」
ベットから下りて立ち上がり、朝食を作るためにキッチンへ向かった。
その日の昼頃である。
急に電話がかかってきた。
「! ……もしもし?」
「……副隊長ですか?」
「そうですよ? あ、その声は……」
「僕です。橘シュンです」
「! シュン君……何かあったのですか?」
「実は、セナ先輩が行方知れずになってしまいまして……。現在捜索中なのですが……」
駆ける音がしている、ということは少なくとも嘘ではないということだろう。
「!? ど、どうして……? あの人がそんなことしないはずですが……それはいつ頃?」
「十三分前です……!」
「!? (まだそんなに経ってない……それに私はずっと家にいて……)……その情報はどこから発見したのですか? まだそんなに時間は経ってないですし……」
「……それが、近くの監視カメラに、副隊長の姿があったんです!!」
「!!? わ、私は今日……ずっと家にいたんですが……(まさか……私と同じ……!? いや、それはないはずだろう……!)その場所は……!?」
「……F-08-6。風麻町です」
リオンは、いてもたってもいられなくなった。
「……まさか……!」
即座に電話を切り、身支度を整えて外へ出た。
だが生憎、武器とかは何もなかった。
それ故に、リオンはどうしようも無いという哀しみに苛まれた。
「(ダメ……ダメです……! もし、私のこの予想が……当たってしまうのなら……!)はぁ……はぁ……はぁ……」
呼吸を荒くしながら走り、あの場所へ向かった。
目指すは風麻町である。
「はぁ……はぁ……はぁ……セ、セナさん!!」
そうだ、風麻町にセナはいる。
リオンはそう信じている。
「セナさん……! この辺りじゃないの……ですか?」
呼吸をさらに荒くしながらセナを掛け声で呼んで走り続けた。
いると信じているが、どこにいるのかが分からなかった。
ただただ、彼女は闇雲に捜している。
「はぁ…………はぁ…………ここでもない……なら……」
念のために残しておいた路地裏を呼吸を整えながら入って行った。もう走る体力もないようだ。
その時だ。
「副隊長ッ!」
シュンの声がした。
「あ、シュン君……!」
「副隊長、セナさんは……」
「私の方はまだです……この辺り全てを探しましたがダメでした。なら、もう……ここしかないです。建物内も可能性がありますが……」
「……僕の方もお手上げです。GPSも切られているし……」
「……私が……写されていた。(もし、私の正体が今ここでバレたら……もし彼がウルトラマンだったら……)」
禁断の選択肢だった。本来ならば、ウルトラマンは唾棄するべき、そして忌むべき敵である。自分が正体をバラしてセナを探すか……情報なしで探すかの選択肢だった。
「……副隊長、聞きたいことがあります」
「!? ……な、なんでしょうか?」
「……副隊長、隠し事してます?」
「ッ……いいえ、そんなことありません」
「……嘘だ、秘密は嫌なんですよ」
「……それでも、私にとっては……例え信頼出来る仲間でも、難しいです。教えることなど……」
「……ひとつ言っておきます。僕はウルトラマンだ」
「……存じてました。なら、ヒントを言っておきましょう。……私の正体は、ウルトラ族の敵です……」
そう言って逃げるかのようにその場から駆け足でいなくなった。
「……ですよね」
そう言うと、シュンはソナーを発動した。
ビータソナー。
軍事用ソナーの180倍の性能を誇るソナーである。
「あ……そ、それは……」
「……ハナから使えばよかったよ」
そう言うと、シュンは両眼を光らせた。
ビータアイスポットだ。
「っあ……! (ダメです……私は、ウルトラマンを……)」
リオンは自分の正体が知られる恐ろしさでその場から逃げてしまった。
その直後、シュンはセナの姿を把握した。そして、シュンはその場所に向けて走り出した。
いっぽう、リオンは。
「はぁ……はぁ……はぁ……(こ……怖かった。こんな恐怖は初ですよ……)」
自分の正体が見破られることがあまりにも恐ろしくてセナの事を一瞬だけ忘れてしまったが、呼吸を整えてある場所へ向かった。
逃げてる間に何かを感じたようだ……
そう、その何かとは。
「……見付けたぞ」
ザラブ星人の存在である。
「あ……」
レナはその場に倒れていた。その直後にリオンも着いたようだ。
「あ、シュ……シュン君……」
そして、橘シュンは、磔刑にかけられていたのだった。
「なっ……!?」
「副隊長……」
セナは助けるを求めるような目でリオンを見ていた。
「この男の命は私の手の中にある」
ザラブ星人はそう言うと、チェーンソーを取り出した。
「そうれ、まずはこいつの右脚が吹き飛ぶぞ! 助けたいのならばその本性を見せろ! 部下の前でなぁ!!」
ザラブ星人は笑った。
「……ッ……や、やめなさい!!! シュン君には手を出さないでください!! そしてレナさんにも!!」
リオンは叫んだ。必死な眼差しで、そして胸の奥には……覚悟を決めていた。
「見せれば良いんですよね!? 私の本当の正体を! そしたら彼を解放すると約束してください!!」
「……それでいい」
ザラブ星人はにやりと笑うと、チェーンソーを下ろした。
「ッ……ですが一つ……教えてください。何故あなたは私の正体を知りたいのですか? そして……何故レナさんを拐ったのですか?」
「……ただただ愉しいからさ」
「……呆れました。そんな理由で私の仲間に手を出したのですね。許せない行為です。正体は見せます。ですが……あなたは私が倒します」
そう言いながら姿形が変わっていく。両腕がハサミに変わっていく……
「ッ……ふ、副隊長……!?」
レナは思わず声を出して驚愕した。
「ぬはははははは!! 私は「それでいい」と言ったのみだ! 確約してなどいないのだぞ!! 馬鹿正直に正体を見せおったな────
─────────パワードバルタン星人リオン!!」
そうだ。
私は、パワードバルタン星人なんだ。
そんな思いと共に、リオンは─────────パワードバルタン星人は、ザラブ星人の前に立っていた。
「……ぬはは」
「……嵌めたのですね。ですが……あなたが私に勝てるはずがありません。私は……善のパワードバルタン星人なんですから!!」
そう言ってバルカン砲でザラブ星人を吹き飛ばした。
「ふん、戯言を!」
そう言うと、ザラブ星人は光線を放った。
「んっ……そんなもんですか?」
軽々と避けてハサミで顔を殴った。
「ぬぅっ!?」
ザラブ星人はレシーブビームを手から照射した。
「私は副隊長なんですよ。だから……部下を守るのが私の役目なんです! だからここで倒れてる場合じゃないのです!」
少しかすったがなんとか避けて殴り続けた。
「副、隊長……」
レナはその光景をずっと見ていた。
「……」
シュンは薄れた意識の中、その戦いを見ていた。
「ッ……2人に手を出した罰は……私がやります!!!」
叫んだ瞬間、腹部を狙ってバルカン砲をもう一度放った。
ザラブ星人は大きく吹き飛んだ。その際に、シュンに向けてレシーブビームを照射した。
「……ッ!」
そのレシーブビームはシュンに直撃し────
─────レシーブビームの光が、一瞬にしてシュンのエネルギーに変貌した。
「よし……! 上手くいきました!」
この作戦は自分が姿を見せた時に思いつき、なんとか押して倒していき、シュンへのエネルギーへとさせた。だがそれは少し無茶したのか……多少怪我をしてしまったが、気にせずに目の前の敵に集中していた。
シュンの眼光がキラリと光り、その瞬間!
バキッ!
そんな音を鳴らし、シュンは十字架をぶっ壊した!!
「ウルトラマンの力……」
「え?」
「あ……」
先程、ハサミでレナを解放させていたので小声で呟いたが……怪しいくらいに聴かれてたように感じる。
しかしシュンはお構い無しに、ビータスティックを取り出して、天高く掲げて叫んだ。
「ビィイイイタ!!」
その瞬間、辺りが眩い光に包まれた。
「シュ、ン……え!? えぇ?!」
「……後で本人に詳しく話を伺いましょう。今は敵に集中です。レナさんは隊長達に連絡を……!」
「は、はい……!!」
リオンは外へ出て巨大化した。もちろん、ウルトラマンビータを援護するために
ザラブ星人はウルトラマンビータの膝蹴り一撃でダウンしていた。
綺麗に肝臓にぶち当たった訳だ。
「……
「もう2度と、私の仲間には手を出さないでください。あなたは疑問に思っているでしょうね……『何故、敵であるウルトラマンを助ける?』と……」
パワードバルタン星人(リオン)はそう言いながらハサミで殴り続けた。
「……
ビータはザラブ星人の左腕の関節を極めた。
「……分かりました……! ハァッ!」
ザラブ星人の腕をハサミで挟んだ。今にも切る気だ。
「
「はい……!」
「
ベキッ、ズシャッ!
ザラブ星人の腕は、使い物にならなくなった。
「私のハサミは普通のバルタン星人とは切れ味が違いますよ? 今です! ウルトラマンビータ!!」
「ジュワッ……!」
そして、無事にザラブ星人はガレリオン光線で焼却処分されたのであった。
「……ふぅ……」
パワードバルタン星人(リオン)は軽く息を吐いて終わったと実感させた。そしてそのまま人間体に戻った。
「…………はぁ……」
ただ、あまり気分が良くないようだ。
「……」
ビータはその変身を解き、リオンの隣に立った。
「! ……」
一瞬だけ目が合ったが、またそのまま視線を逸らした。
「……お疲れ様です、副隊長」
「!! ……ありがとうございます。非番でしたけどね……でも、構いません。私の大切な部下を助けるためなら休まずに戦い続けます…………(でも、私は……もう……)」
「……本来なら、僕もここで消えるはずなんです。けど、秘密ってのはもうやめますよ」
シュンはリオンの肩に手を置いた。
「!! ……私も……そうしようと思います」
いつもの微笑みを見せてそう言った。
翌日。
「……(久々にあんなに身体を動かしてしまったせいか……多少全身筋肉痛です。ですが非番じゃないので……今日も頑張りましょう……)」
筋肉痛に襲われながらもいつものリオンがそこにいた。
「……」
相も変わらず、勤務中だと言うのにタイガは紫煙をくゆらせている。
シンジは目を閉じて寝ているようにも見えるし、レンは格技場に篭もりっぱなしだ。
そして、シュンは、ただ静かにリオンの方を向いた。
「……? どうかなさいました? シュン君」
「……副隊長、そろそろ言うべきでは?」
「え……あ…………そう、ですね……」
その言葉の後、リオンは、そしてシュンはその正体を皆に明かした。
皆はそれを聞いて動揺したが、しかし、直ぐに受け入れたことは言うまでもないだろう。
次回、ウルトラマンビータ。
『マグメル』
お楽しみに