ウルトラマンビータ   作:りゅーど

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ポッピンキャンディ・フィーバー

「ようこそ、TECへ。歓迎しよう。そして、ギリギリではあったが! 闇の巨人への勝利おめでとう、という事で! カンパーイ!」

 特捜班はフルの休みを取り、シンジの家にいた。

 今日くらい非番でいいじゃないか! という直談判の結果である。

「シュンと慎太郎の歓迎として飲むのも悪くない!」

「今更感がありますが……飲み過ぎにはご注意してくださいね?」

「たくさん食事が出来るな! 楽しみだ」

「ちなみに今回の料理担当はプロに頼もうとしたのだが……」

「調理師免許持ってるから俺がやった」

 慎太郎はシンジの言葉を遮った。

「ヘェ〜! 料理が出来るんだ!」

「どんな料理なんだろう?」

 出てきたのは相変わらず刺身である。

 フグだとか伊勢海老だとか、かなり豪勢だ。

「天然物……ですね」

「凄い! 新鮮のまま!」

「しかも切るのうまっ……」

「こんな刺身、食ったことないよ……」

「……すげぇな、慎太郎」

「たりめぇよ。いやぁ、修行したかいがあった」

 お前はどこに向かうつもりだ、ウルトラマンアバドン。

 シュンは既にフグの皿に手を伸ばしている。

「お味はどんな感じですか?」

「……あ、美味いや」

「この海老も美味っ!! 噛むと弾力がすげぇ!」

「……弾力?」

「それロブスターよ?」

「うわっ! めっちゃ高級もんじゃん! 普通に食べちゃったよ!」

「なぁに、自腹切ったんだ安心しろ」

 全くもって安心できないセリフである。

 一体お前はどこから金を調達したんだ、慎太郎よ。

 そう思いながらフグを貪るシュンであった。

「そんなお金……どこから?」

「でも美味いからその話はあとでにしよ〜?」

 アカネがいつの間にか食べ続けていた。よほど……いや、世界一美味いのだろう。

「うめぇな……」

 タイガはイカの方に手を伸ばしている。

 素晴らしく新鮮である。

「噛むのがやめられない……凄く美味しいですね」

「このなめろううめぇ……」

「うわぁ、このカスベのキモめちゃくちゃねっとりしててうめぇぞ!?」

「これ、マグロ? マグロがめっちゃ新鮮! ご飯に乗せたいくらいだよ!」

「わぁ……♪ 脂身があるサーモンですね。とても美味しいです」

 歓迎会は続く、その時だった。

「(ずっと、この時間が続いたら良いですね……)」

 リオンは食べながらそう思っていた。

「オナカ……スイタ……」

 どこかから、そんな声がした。

「……誰か何か言った?」

「何も?」

 その声の主の方へ顔を向けた。

 そこには、腹を空かした少年がいた。

「! ……どうしたのですか?」

 リオンがゆっくりと近づいて声をかけた。

 ぐきゅるるる。

 少年の腹が鳴った。

キエテ()……サナキリゥマ(お腹空いた)……」

「……これ、食べます?」

 自分の分を取った分だけが乗ってる皿を渡す。

「……? (今、日本語……話してた? いやお腹すいて言語が出ないってこともありますね……)」

コシ()……カルケィラ(良い人)……」

 少年は深く頭を下げた。

 そして、その食糧を()()()食べようとした。

「(あれ? もしかしてこの人……人間じゃないのですかね……?)……え……!?」

「おい待てこら」

 シュンは少年に「皿は食べ物ではない」と伝えた。

 少年は皿は残して何とか食事を得た。

カレカレータ(いい気持ち)……」

 少年は、再度深深と頭を下げた。

「……それなら、良かったです。困った人は放っておけないですからね」

 リオンは笑いながらそう言った。

「副隊長、やっぱり優しいね〜」

「……で、何の用だファントン星人」

「……バレた?」

「バレバレだ。宇宙語使いすぎだし」

 シュンはピシャリとそう告げた。

 少年は、ファントン星人の姿に変わった。

「あら……予想はしてましたが……やはりそうでしたか」

「うわっ! ビックリしたぁ〜……」

『ボク、ファントン星人ノ『ユウ』ッテ言ウノ。サッキハ貴重ナ食糧アリガトウゴザイマス』

 ファントン星人ユウは、頭をまた下げた。

「大丈夫です。お気になさらず……ただ見て見ぬ振りができなかったから、私はあげたのです」

『……実ハ、皆様ニ頼ミガアルノデス』

「頼みですか? なんでしょうか?」

「副隊長……優しすぎる……」

「え? どうしたレナ?」

『シーピン929トイウ非常食ヲ改良スルタメニ来タノデスガ、ソノ際ニ襲撃ヲ受ケテシマイ……』

「ふむ……そうなのですか……」

「ようは食料をなんとかしてほしいってこと?」

『……シーピン929ノ改良モ含メテ、協力シテイタダキタイノデス。謝礼ハ弾ミマス……』

「ちょっとは休めると思ったんだけどなぁ〜……見捨てられないな」

「食料なら……慎太郎に頼めば?」

 セナが慎太郎に指を指して誰なのか教えた。

「人に指を指してはいけませんよ、セナさん?」

「……シーピン929か、一度食ったことはある。乾燥ワカメみたいにぶくぶく膨らむ安い赤身肉って考えておくべきだな」

「そんなに美味しいの? なんか気になるな……」

「アカネ、今日はよく食べるね……」

「そりゃ最近忙しかったからあまり食べてなかったんだよ……」

「いや、スーパーで特売されてるような赤身肉」

 慎太郎はそう言った。

 悲しそうな目をした。

「あ、そんな感じなんだ……」

 アカネはショボンと落ち込んでいたが、なんとか気を取り戻した。

「ま、まぁ……とにかく……手伝えることなら……私たちがなんとかしてみますよ」

『……アリガトウゴザイマス!』

「それでは、初めはどうしましょうかね?」

「原理は乾燥ワカメだな。吸収するのが水ではなく気体という違いはあるが」

 リオンは慎太郎と次々と話し続けていた。

「すげぇ話を続けてる……なんか料理番組みたいだな」

「副隊長も料理が上手いからね〜……」

『二酸化炭素ヤ窒素ヲ吸収シテ大キクナルンデス』

「ヘェ〜、そうなんだ。私はそういうのよくわからないから勉強になるね」

「セナとレナも料理するだろ?」

「アカネは?」

「私の簡単のだな。慎太郎や副隊長みたいなのは作れないよ」

 流石女性だからか、料理の話が長時間続く……

 ……十分経過。

「こんな感じですかね?」

 慎太郎の隣でずっと料理を手伝っていたリオンである。

「そうだな」

『スゴイ、我々ガコノ工程マデ来ルノニ二ヶ月近クカカッタノニ……』

「え? そんなにですか?」

『……エエ』

 なお、正史のファントン星では無い事を念頭に置いていただきたい。

「ま、まぁ……とにかく、美味しくできたと思いますから。大丈夫だと思いますよ」

「……試してみるぞ。今はシュンの優れたウルトラ念力で動きを止めているだけに過ぎん……」

「なるほど、そういうことですか……なら、早速やりましょうか」

「……シュン、やれ」

「あいよ!」

 圧縮解除、次の瞬間だ。

 一気に巨大化した。

 サッカーボール大から大玉スイカくらいのサイズに変わったのだ! 

「こんなに大きく……」

「凄い……!」

「……ふう」

『密度サエ高メラレレバ……』

「なるほど……密度……やってみます?」

「やろうか……」

 

 1時間ほど経過した。

「どんな感じになりました?」

「駄目みたいですね」

『地球ノ加圧装置ハ低出力スギル……』

「そうですか……何か他に方法はないのでしょうかね?」

「もう歓迎会の宴会どころじゃない……」

「ま、まぁ……良いじゃん。あっちもあっちで楽しんでるし」

 料理する側と料理を食べる側に分かれていて、リオンは考え込みながらどうするべきかを考え続けた。

「加圧装置……意外に何か利用出来ませんかね?」

「いっそ急速冷凍とか? 冷食の技術で」

「……急速冷凍、いいな」

「試す価値あり、ですね」

「マグロも冷凍保存すると鮮度が保つのかな?」

「うーん? どうなんだろうね?」

 背後でマグロを食べながらレナとセナは話していた。

「……やるか」

 

 そんなこんなで。

『デキタ……! アリガトウゴザイマス!!』

 シーピン929改はなんとか完成した……のだが。

「お? できたのか? 見せてください、副隊長」

 アカネが後ろから見てきた。

「え、あ……ど、どうぞ……」

「……うわ」

 見た目は、ただの肉塊である。

「……肉の塊……だ」

「肉塊です。まだやるのですよ。そうですよね? 慎太郎さん」

「こんどは美味そうに見えるようにしなくては……」

 慎太郎の目には、狂気が宿っていた。

「慎太郎の目……怖っ」

「ここからが本番……というやつですよ。アカネさん」

「本番……?」

 首を傾げながら問いかけるアカネはそう言った。

「いかに美味しそうな見た目にするか、だ……。それが終わり次第量産体制に入れ……パーティは後回しだ……」

 既にシュンは料理を高機能保存庫に放り込んでいる。

「そうですね。そうしましょうか」

「……これ、人間でも食べれるの?」

「勿論だ、被検体……じゃなくてタイガに食わせたんだが」

「うん、うめぇよ。普通に肉みてぇでうめえ」

「今被験体って言ったな?」

「ならお楽しみとしてちょっと待ってようか!」

「これ完成がしたら保存するならどれくらい保つのですか?」

「んー、大体少なく見積って20年かな?」

「結構長いのですね……」

「まあ星間移動を前提にしてるしな」

「そうなんですか……ちなみにどれくらい必要なのですか?」

『……燃料ハ基本恒星カラノ光ヲ電気信号ニシテル』

「まあファントン星まではざっとワープ航法コミコミで二年くらいじゃないの?」

 シュンはそう言うと、扉を閉めた。

「なら2年分は必要ですかね?」

「ならかなりの量必要なのでは?」

「まぁね。ただ死んだ惑星に不時着して育てりゃまあ無限にでかくなる、それにこのシーピン929改はエネルギー効率を良くする働きもあるから……まあ、1カートンありゃ解析とかできるやろ」

「そんなに……ですか。作れますかね?」

「まあな」

「作れるなら……時間がかかりますがなんとかなりそうですね」

「(これはかなり長時間になるね……)」

「(それな……)」

「まぁ作成方法は分かったんだ、それをそのまま作ればいい」

「そうですね。私も手伝います」

「あ、あの……! 私も手伝いたい!」

 レナが興味津々で挙手した。

「……よし! シーピン929量産作戦! 開始!」

 

 暫く経った。全員で協力しながら作ったおかげで予想以上の量ができてしまった。

「多い……ですね」

『ナント感謝ヲスレバヨイカ』

「いえいえ。あなたの役に立てたのなら光栄です」

『アリガトウゴザイマス……』

「でもやっぱり量が多いね……」

「20年以上は入れるかもだけど……残ったらどうする?」

『ソノ時ハ研究所デ解析トカシテモライマス』

「そうですか」

「……でも人間でも食べれるんだよね?」

 アカネがシュンに問いかけた。

「その筈だよ。味は和牛っぽくしてみてる」

「なら……使う?」

「なにに?」

「焼く……ですかね」

「……まあいいか」

『アリガトウゴザイマス。ソレデハコレニテ御無礼シマス……』

「いえいえ。お気になさらず」

「次は気をつけなよ?」

『向ウデ味増ヤシテ送ラセテ頂キマス、アリガトウゴザイマシタ!』

 ファントン星人ユウは、深深と頭を下げ、消えた。

「……今味って言った?」

「言ったな」

「楽しみですね……♪」

「ああ、楽しみだ」

 そんなこんなで歓迎会は再開。

 シーピン929改の調理も含め、盛り上がっていたのだった。




次回
ウルトラマンビータ
『アウターサイエンス』
お楽しみに
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