東方悪正記~悪の仮面の執行者~   作:龍狐

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 どうも、お久しぶりです。龍狐です。もう何か月も投稿しておらず、皆さんをお待たせして…。誠に申し訳ありません。
 テストやら自動車学校やら設定の練り直しに今後のストーリー展開やらで時間をかなり食ってしまいました。今回のもとりあえず投稿できました。

 それにしても今日のギーツと王蛇…半端なかったです。続きが楽しみですね。

 それでは、どうぞッ!


96 魔王の墓場

「皆様。こんにちわ。私は【女神】です。え?名前じゃないだろって?そんなのはどうでもいいんですよ」

 

 

―――花畑の間。

 零夜とルーミアがついに結ばれた場所で、女神はガーデンチェアに座り、一人、本を読んでいた。その本の題名(タイトル)は影で隠れており、知ることは不可能。

 

 

「あなたたちも読みますか?この本。……まぁ、冗談なんですけどね」

 

 

 女神が片手で本を閉じると、その本は超能力に操られているかのようにふわふわと浮遊し、本が大量に陳列されている一個の本棚にひとりでに入っていく。

 この舞台に不自然に存在する本棚。どう見ても普通ではない。

 

 

「この本たちの存在はあなた方も知っているはずなので、わざわざ言う必要なんてないですよね」

 

 

 女神はガーデンチェアから立ち上がり、ゆっくりと歩みを進め、花畑へと足を踏み入れる。

 

 

この本棚の本は歴史を重ねるごとに増え続けていくので、飽きがこないから私のお気に入りなんです。……とりあえず、早速本題へと入りましょう。夜神零夜さん。彼はついに極地ともいえる『権能』に覚醒致しました。パチパチパチ~」

 

 

 女神は軽く拍手をし、すでにいない相手に喝采を送る。

 

 

「そのうえで、皆さん気になっていませんでしたか?なにをって?決まってるじゃないですか。『権能』への覚醒方法ですよぉ」

 

 

 権能ヘ覚醒する方法――それは三つの手順を踏まなければならない。現時点で分かっているのはそのうちの二つ。

 

 一つ イレギュラーか準イレギュラーになること。

 

 これに関しては比較的簡単なこととも言えなくもない。

 イレギュラーは要するに転生者などの本来東方project(この世界)には存在しない人物たちのことだ。もちろんだが幻想入りしたものなども該当しなくもない。ケースバイケースである。

 

 今まで出てきたイレギュラーたちは零夜、シロ、紅夜、蒼汰、圭太、臘月、ゲレルの合計6?7?人である。

 

 紅夜と蒼汰は人格が別なものの、体は一つで分裂もできて二人にもなれるため、定義が曖昧であるため暫定として合計人数が曖昧になっている。

 

 そして準イレギュラー。それらは元々は原作キャラや本来存在しない物語の枠組みの外に存在していたはずの者たちがイレギュラーによって運命を変えられてしまったものの総称のことだ。

 

 今まで出てきた準イレギュラー()()()()()()()()()()たちは、ルーミア、ライラ、レイラなどが挙げられる。

 

 彼女たちは明らかにイレギュラーの手によって物語の枠組みから外れているからだ。

 

 

「まぁここまでは皆さん知っていますよね。そしてその次に必要な条件は神の声を聴く素質を得ること“存在の昇格”を行うことで解決できます。これは要するに権能に耐えられる器を持つことです。権能は強大な力ですからね、それを受け止める器がなければ話になりません」

 

 

 神の声を聴くことと器を広げ、強固にすること。これは一見関係なさそうに見えるが、実は関係大ありなのだ。ただの人間の身で、姿形が認識できない神と言う上位存在の声を拾うなどと言うのは不可能に等しい。

 似たようなもので現人神(あらひとがみ)と言うものがある。実際現人神とは“人間の姿で現れた神”と言う意味ではあるが、東方project(この世界)において現人神とは人の身でありながら神の代理として力を行使しているうち、人々の信仰が神のみならず、力を行使する人自体にまで及ぶことによって、あたかも神と同様であるかのように見なされた存在のことである。

 

 

「そういうと、『守矢の巫女』辺りが第二の条件を、第一の条件を飛ばして達しているんですよね。まぁこういう矛盾は致し方ありません。だって、幻想郷では常識に囚われてはいけませんッ!ですよね」

 

 

 そういい女神は微笑む。しかし、この矛盾が発生してしまっていること自体がおかしいのだ。何故なら――

 

 

「まぁ本来、第二の条件を達成するためには第一の条件をクリアしていないとそもそも無理なんですけど…こういうところが穴なんですよねぇ

 

 

 女神は、『権能』と言うシステムを作成(つく)る際、順序を設定した。第一の条件、第二の条件、第三の条件、これを順番通りに達成しないと『権能』には覚醒できないようにしていたのだ。

 第一の条件である“イレギュラー化または準イレギュラー化”。これによって権能を受け止めるための器の基盤が整う――耐久性がついたと言っていい。

 そのうえで第二の条件である『存在の昇格』を行うことができるのだ。

 

 

「この二つは零夜さんはすでに達成(クリア)していました。まぁ500年も使えば当然でしょうけど。そして肝心な“第三の条件”です。皆さん気になってましたよね?」

 

 

 かつてシロの口からも語られた*1最後の条件。シロ曰くこの条件を知ってしまうと逆に達成(クリア)が難しくなってしまうため、語られなかった。

 

 

「最後の条件、それは―――心から愛するモノ…要するに大事なものを決めることです」

 

 

 つまり、一生で愛する“ナニカ”を見つけて決めて、守り通すと誓うこと。それが『権能』覚醒のための一番大事な、最後の条件。

 心から大事なものなど、そう簡単にできるものではない。趣味や興味のように、いずれ飽きるものでは駄目だ。“死んでも守りたい”そこまで大事に思って初めて条件は揃うのだ。ずっと、守ると誓えるほどのものでなくてはいけない。

 

 シロが言ったように、この条件を達成する前に知ってしまえば、最初から守りたいものが決まっている人はよくても、それが存在しない者であればすぐに作ろうと苦悩するのは火を見るよりも明らかだ。

 そもそも人間はそんな簡単に一生を賭けてでも守りたいものを簡単に見つけることは不可能だ。悩んで悩んで悩んで、ようやく見つけられるものなのだ。

 

 

「命を懸けてでも、一生を懸けてでも守りたいという気概がない人に、『権能』は重過ぎる力です。『権能(こんなもの)』を人を選ばずポイポイと与えては、世界なんて簡単に破壊(こわ)れちゃいますから」

 

 

 『権能』を見境なく適当に与えたら、世界が滅茶苦茶になるのはもはや道理と言えよう。だが、そんな条件を設定してでさえ、根っからの『悪』が『権能』に覚醒してしまった。

 

 

「覚醒条件はあのカスにも変更できないように、創った私自身ですら条件変更システムに関与できない難易度(レベル)のものを設定しましたからね」

 

 

 そう、この女神(おんな)、『権能システム』の『覚醒条件変更』の部分のセキュリティだけを自分にすら解除(とけ)ないレベルのものに設定したのだ。これで大丈夫――と高を括っていたが、あろうことか“ヤツ”はその条件を全て正攻法で突破した。

 

 

「……それでも覚醒できてしまったのですから、人間って分からない生き物ですよね…まぁ私も人のこと言えませんけど…

 

 

 ヤツ――性根が腐っている臘月(ろうげつ)ですら、この条件を揃えて権能に覚醒したのだ。

 

 臘月はもとより転生者と言うイレギュラーであり、長い年月をかけて“神の声”が聴けるまでの存在へと昇格した。そして、臘月が命を賭して守りたかったものは、【(みやこ)】だ。

 臘月は歪んではいたが都を心の底より大事に思っていた。自分を大事に思い、自分を認めてくれる聖地。それが都だった。そんな場所を、大事に思わないはずがない。臘月は善くも悪くも純粋だった。12歳で終わった前世と、歪んだ価値観を持ってしても、彼の心は少年だった。だから好きだった、都が。

 だが少年ゆえに心は変わりやすく、最終的に都を捨てる決断に至ったのだ。まぁ、これはシロと零夜の策略ではあるが。

 命を賭けてでも守るものを見つける。それが『権能』覚醒のための一番大事な、最後の条件。

 

 

「ですが、『心』と言う不安定なものは、いつ変わるか分からない。どんなに大事な宝石箱も、ある日突然ゴミの山に変わるかもしれない。そんな複雑なものを最後の条件にしていいのか私も悩みました。だけど……………えっと……………その……………」

 

 

 女神は口ごもり、その先のことを言い淀んでいる。最後に女神は決心し、口を酸っぱくしながら語った。

 

 

「これよりいいのが思いつかなかったので、このまま可決したんです」

 

 

 つまり、「もう考えるのが面倒臭いからこれでいいや」と言うことである。

 

 

「だってだって!!私も最初はこの先のことも考えて、大切なものを失ったら『権能』も失うという設定を付けようと思ったのですが、「それだと大切な人に裏切られるパターンになったら可哀そ過ぎない?」ってシロさんに言われて……悩みに悩んだ結果なんです」

 

 

 女神は乱暴に手に持っているティーカップを置いて(それでも壊れない程度に)、一気に愚痴ってきた。

 

 

「それに最初は、“一度大事なものを決めたらもう二度と大事なものを変更できない”っていう設定をつける予定だったのに、シロさんに全力で阻止されて…はぁ…難儀なものです」

 

 

 ちなみにこの女神。最初にこの設定を本気でやる予定だった。確かに女神の力であれもこんなことも可能であるが、危険すぎるためシロのファインプレーでなんとかなったのだ。

 であれば代案として、『権能』を失う設定も考えたがそれも却下された。女神が30%くらい落ち込んだ日でもあった。

 

 

「でもまぁ、それも過ぎた話。今更とやかく愚痴ることでもありません。―――では別のお話をしましょう。零夜さんとルーミアさん。この二人がどこに()ったか分かりますか?」

 

 

 女神はフェイスベールの奥で不適に笑う。

 

 

「それはもちろん…自分たちを殺害(ころ)したシロさん(あの人)復讐(リベンジ)しに行きました。楽しみですねー。零夜さん、どのくらい強くなったんでしょう?読者(オーディエンス)の皆さんも、楽しみですよね?じゃあ観戦()ましょうか。とっておきの戦争(ショー)を」

 

 

 

 

 

 

* * * * * * * *

 

 

 

 

『――あり得ない』

 

 

 シロ――またの名をヤガミレイヤ。そして、彼が変身している姿がアナザーディケイド。彼は目の前の事実を受け止め切れずにいた。

 確かに仕留めたはずなのに。殺したはずなのに。オーディンとクロノスでライラと蒼汰を足止めして、その隙にワイズマン、エボルト、エターナルでルーミアと零夜を追い込み、6人で一斉に必殺技を放ってルーミアを殺害し、その後自らの手で零夜を殺めた。

 だからこそ――()()()()()()()()()()()、アナザーディケイドは目の前の事実を受け止め切れなかった。

 

 

『何故君たちが……生きている!?』

 

「さぁ…なんででしょー?」

 

 

 そこには、()()()()()()の零夜とルーミアがいた。

 二人の服は、殺したときにボロボロになったはずだ。互いに素肌が血肉で穢れて、見るに堪えない姿になっていたはず。

 それに、変化(かわ)ったのは、二人だけではない。

 

 

「これは…?」

 

「あれ、俺って…?」

 

 

 二人の両隣には、ライラと紅夜が万全の状態――服装は戦前の状態に戻り、体力や精神力も完全に回復した状態――で立っていたからだ。無論、二人もこの状況の異常に気付いている。

 ライラは気絶させられ、紅夜に至ってはとばっちりでシロに負傷させられたのだから。そして――

 

 

『こりゃあ、一体どういうことだ…?』

 

「っ、蒼汰さん!この状況って一体…どうなってるんですか?」

 

 

 先ほどまで分離していた蒼汰は紅夜の中へと戻り、精神体として活動していた。

 

 

『あとでゆっくり説明するから、今はなんとか追いついてくれ。しかしこりゃ一体どういうこった?』

 

『そんなこと…俺が知りたいね』

 

 

 その声に、全員がその声の主へと顔を向ける。シロ――アナザーディケイドの両隣にいる五人のライダーたちでさえ、この異常事態に戸惑っているのだ。彼も驚いていてもおかしくはない。

 

 

『こんなこと、こんなこと普通はあり得ない。だか、この世界ではそういうことがあり得てもおかしくない。……オーディンの『タイムベント』やクロノスの『リセット』でもくらったかのような感覚だ

 

 

 アナザーディケイドは横にいる仮面ライダーオーディンとクロノスに顔を向ける。目を向けられたオーディンとクロノスは、ゆっくりと首を横に振り、「自分は関係ない」と主張する。

 

 

『まぁコイツらが関係ないであろうことは分かってる。それに……もう謎は解けた。零夜、君……『権能』に覚醒したんだな?』

 

「――――」

 

 

 アナザーディケイドの言葉に、零夜が反応する。

 これだけ時間が経って、シロが零夜の『権能』の気配に気づかないはずがなかった。『権能』持ちは、互いにその存在を感じ取ることができる。『権能』に覚醒したものには、力の流れ――特有のオーラと言うものが流れ出ているらしい。

 そのため零夜のオーラは垂れ流しになっており、シロはすぐに理解できたのだ。

 

 

『得た『権能』は時間系列か?明らかにそうでないと説明がつかない。だが、君の能力は『離繋(りけい)』と『創造』だ。この二つが『混合』したとしても時間系列の『権能』になるとは思えない。君は、一体――「ごちゃごちゃうるせぇよ」――アッ』

 

 

 その瞬間、零夜が右手を手刀に変えて振るい、アナザーディケイドの右腕が零れ落ちる

 本当に一瞬の出来事で、アナザーディケイドには知覚することすらできなかった。痛みを感じるまで、気付くことすらできなかったのだ。

 

 

(今…なにをされた?斬られた?俺が認知できないほどの速さで?)

 

 

 手刀はアナザーディケイドにとって別に不思議なことではない。なんなら霊力や魔力(オーラ)を具現化して手刀を形成できる。だが重要なのはそこではなく、【エルナト・タウルス】の権能で限界まで倍化してるはずの防御をも貫くというのは、アナザーディケイドにとって予想外のことだった。

 

 アナザーディケイドは斬られた腕を徐々に再生させていく。

 

 

「お前は……お前だけは、オレが還付なきまでにぶっ潰すそこで待ってろよ…シロ」

 

『――ッ!』

 

 

 この言葉の重圧に、アナザーディケイドは押し潰されそうな感覚に陥る。今までとは明らかに違う、夜神零夜と言う存在の格が明らかにグレードアップしている。

 

 冷や汗――これをかくのは、いつぶりだろうか。

 

 アナザーディケイド――レイヤは仮面の奥で、にんやりと笑う。

 

 

『いいだろう!全力で、相手してやるッ!!』

 

「お前の相手は俺だ。両隣の雑魚共は消え失せろ」

 

 

 雑魚。そう言われた瞬間、全員が武器を取った。当たり前と言えば当たり前。

 オーディン、エターナル、ワイズマン、クロノス、エボル。この五人は五人中四人がラスボス的存在であり、エターナルもボス枠に入る。ボスのプライドと言うものがあるが、残念ながら彼らにボスのプライドなどない。そもそも自分が『物語のボス』と言う自覚がないからだ。彼らにあるのは、ただ自分たちを雑魚だとバカにされたという怒りのみ。

 

 

『まぁ待て。零夜は俺を所望だ。お前たちは彼女らの相手を頼む』

 

 

 そういいアナザーディケイドはルーミア、ライラ、紅夜の三人を指刺した。五人は不満そうにしているが、召喚主の命令は絶対。それがアナザーディケイドの能力だ。

 

 

『それじゃあ零夜。闘いの場へと案内しよう』

 

「―――」

 

 

 アナザーディケイドがオーロラカーテンを生成し、二人はそれに飲み込まれて姿を消した。

 それと同時に、ライダー五人が各々の武器を構え、迎撃態勢に入った。

 

 

「怪我や体力もなぜか全快しているが…奴らを三人で倒せるか?」

 

「やるしかないでしょう…。アイツら、俺たちのこと本気で殺す気ですよ。蒼汰と共有した記憶で確認したし、師匠だって分かってますよね?」

 

「当たり前だ。……少々弱気になった。行くz――」

 

 

 ライラが気張りの声を上げようとした瞬間、一つの影が二人の前を通り過ぎる。長い金髪を揺らし、紅い瞳を輝かせながら。彼女はただ月の地面を踏んで、歩みを進め、ライダーたちへと近づいていく。その過程で彼女は手に闇の剣を創り出し、力強く握る。

 ライラは声をかけようとしたが、何故か声を出すことはできなかった。彼女から発せられる謎の圧に、ライラは負けたのだ。それは隣にいる紅夜も同じで、目を見開いて冷や汗をかき、開いた口が塞がらない状態だった。ただその目は二人とも、彼女へと向けられていた。

 

 

『なにを――』

 

 

 その声を発したのは誰かは分からない。五人のライダーの内の誰かであることは確かだ。だが、それだけだ。彼女は闇の剣に妖力を注ぎこみ、横へ一閃。――そうするだけで、空間(けしき)はずれた。

 

 その一振りをした彼女の紅い瞳は――どこまでも濁っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

* * * * * * * *

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 広く、広く、広く。どこまでも広く続く荒野に、影――夜神零夜はいた。アナザーディケイド――シロに連れてこられた場所は、このなにもない見渡す限りの荒野。ご丁寧にタンブルウィード*2が転がっている。

 零夜は辺りを再び見渡すが、特にこれと言って何もない。と言うよりも、風が強く砂埃が舞っていて全方位視界が悪く、常人であれば顔を隠さずに前を向くことすらできないであろう風の強さだ。

 

 そんな中、零夜の前方から一つの影がこちらに向かって歩いてくる。砂埃で隠れて分かりにくいが、映し出す影は明らかに人間のものではない。まるで悪魔の姿だ。やがて姿の全容が明らかになり、零夜の前に立ちはだかったのは、アナザーディケイドだった。

 

 

「―――」

 

『やぁ、どうだいこの世界は

 

「……まぁお前にしてはいいチョイスじゃないか?なにもないからお前を遠慮なくぶっ飛ばしても被害がなさそうで」

 

『強気だね~。でも、何もないっていうのは間違いだ。後ろを見てみな

 

 

 その言葉に、零夜は警戒する。目の前の悪魔は敵だ。そんな相手にわざわざ隙を見せるような真似をするはずがない。だからこそ、聞くに値しない言葉だった。

 ――それなのに、さっきまでなかったはずの巨大な影に、零夜は困惑せざる負えなかった。零夜の影を完全に隠すほどの巨大な影。こんなものはついさっきまでなかったはずだ。と言うよりそもそも、()()()()()()()()()()()()()()はずなのだ。

 零夜は恐る恐る後ろに振り向いた。影の大きさは縦にも長いが、それよりも横に長かった。その正体を知るために、決意を反故した。

 

 

「―――ッ!」

 

『驚いただろう?()()()には』

 

 

 零夜の後ろに突如出現した謎の正体――それは石でできた巨大な像だった。

 

円形の土台の中心の像を外壁のように囲う19人の最強フォームのライダーの石像が存在していた。また、外壁と中心の間に囲うように立っているのは、2人の仮面ライダー。【新時代の予測者】【銀河の聖剣士】の石像が中心を守るように立っており、その隣には()()()()()()()()。肝心の中心に鎮座する石像は、【最低最悪の魔王】もしくは【最高最善の魔王】の石像だった。

 

 

「……オーマジオウ」

 

 

 石像の台座の中心に鎮座する王――オーマジオウの石像が、零夜の後ろに立っていたのだ。

 その大きさは零夜の身長を遥かに大きく超えており、土台だけでも零夜の身長を超え、2mほどの大きさだ。そして仮面ライダーの一人一人の大きさが4,5メートルほどの大きさで、かなり遠くから、もしくは空中からでないと全容がハッキリしない大きさだ。

 そして台座に書かれている像の名前は【魔王の墓地】だった。

 

 

「魔王の……墓地?」

 

『驚いただろう?』

 

 

 アナザーディケイドの声に、零夜はゆっくりと振り返る。

 

 

『その像は見ての通りオーマジオウの像だ。だが、タイトルが全く別物だろう?それが立てられた意図は…タイトルの通りさ』

 

「……オーマジオウの墓、つまりオーマジオウは…」

 

『あぁ、オーマジオウは、常磐ソウゴは死んだ』 

 

 

 その言葉は、衝撃的の一言に尽きた。シロに対する怒りや憎悪が、この瞬間だけ全て吹き飛んでしまうほどの衝撃だった。零夜の認識ではオーマジオウとは、『最強』の名を総なめにできるライダーだ。そんなライダーが、死んだなんて誰が想像できるだろうか?いな、想像すらできるはずがない。唯一想像できる死に方は、老衰だが――

 

 

『勘違いしないように先に言っておくけど、彼の死因は老衰ではない。享年68歳だったよ』

 

「――――ッ!!」

 

 

 享年68歳。死因は老衰ではない。それだけでも零夜の思考はアナザーディケイドを注視しながらも様々な可能性を模索していた。だが、零夜の思考を余所に、アナザーディケイドは会話を続ける。

 

 

『彼はとても素晴らしい人物だった。実際対面した時間は1日にも満たないが、それでも俺の心に永遠に刻まれるほどには強烈な存在だった。だから()()()()()()()()()()()()()()

 

「……その尊敬した奴の墓がある場所で戦おうとするお前の神経を、俺は今疑ってるよ」

 

『あれ、あんまり驚かないんだね』

 

「当たり前だ。いろいろ情報が入りすぎてパンク寸前ってこともあるが、なにより……言ったよな?俺はお前をぶっ潰すって。俺を混乱させるためなのかもしれねーが……無意味なんだよ」

 

 

 目の前に驚愕の事実があろうとも、零夜の今の目的はシロをぶっ潰すことのみ。それにのみ重点を置いている。しかし、零夜の心はロボットではなく人間だ。驚きが、決意を鈍らせる。だからこそ、ここで力を使うのだ。

 零夜は右手に『権能』を行使してとある短刀を『創造』した。その短刀を使って、零夜は自分の腹を掻っ捌いた。

 

 

『――、その刀は…ッ!?』

 

「いやぁ、使えるなこれ。さっきまでの迷いが嘘のようだ」

 

『あり得ない…。それは、その刀は、【白楼剣】はッ!!例えオリジナルを完全コピーしようとも、君には使えないはずッ!!』

 

 

 【白楼剣】。それは【魂魄妖夢】が使っている二つの刀の内の一振り。白楼剣を人間に使うと迷いを断ち切り、幽霊に使うと成仏させるという力がある。だがしかし、この刀は理由や原理は不明であるが魂魄家のものにしか扱うことができないため、零夜が完全に扱うなど、不可能なのだ。

 

 

「可能なんだよ。俺の『権能』なら」

 

『なんだ、その権能は!?『創造』と『離繋(りけい)』の能力から、どうやったらそんな『権能』が生まれる!?』

 

「完全に形成が逆転したなぁ。感想はどうだ?」

 

 

 零夜は意識の全てを目の前の悪魔(アナザーディケイド)へと向ける。オーマジオウのことについて、かなり衝撃の事実を聞かされ、先ほどまで混乱していたのに、白楼剣のおかげで今は何ともない。意識の全てをアナザーディケイドに向けることができる。

 逆にアナザーディケイドの方はかなり困惑している様子だ。本来扱うことができない刀を、いとも簡単に扱って見せたのだから。普通なら才能云々で納得できるが、白楼剣の場合そうはいかない。何故なら白楼剣を扱うために重要なのは【血筋】だから。血筋は、才能ではどうやっても覆せない。だからこそ、ヤツは困惑しているのだ。

 零夜はその姿を鼻で笑った。

 

 

『くっ…』

 

「言葉も出ないか。まぁそれでいい。お前をぶっ潰すことには変わりないから。覚悟はいいか?」

 

『―――あぁ、そうだね。……全力でかかってきたまえ。君の復讐心で、俺を倒してみせろ』

 

 

 アナザーディケイドはすぐに落ち着きを取り戻し、両拳に闇のようなエネルギーを纏う。迎撃態勢に入った。対して零夜も――権能を、本格的に発動した。

 

 

「そうさせてもらうよ……現幻創消(げんげんそうしょう)…発動」

 

 

 

 

*1
51話参照

*2
荒野でよく転がっているイメージのある枯れ草の塊




 夜神零夜

 新たな力【現幻創消】を入手し、早速その力をシロにぶつけて物理的にシロの腕を切り落とした。原理はまだ不明。
 シロに連れてこられた荒野がまさかのオーマジオウの墓場で超ビックリ。でもそんな迷いも白楼剣でバッサリ斬っちゃった。魂魄家にしか使えないはずなのにどうしてー?そんなことよりも一秒でも早くシロをボコボコにしたくてウズウズしています。

 ルーミア

 今日登場メッチャ短かったけど存在感パネェ。最初あれだけ苦戦していたライダー二人だけじゃなくて、残りの三人も闇の大剣でバッサリ。なにが起きたのー?それにハイライトオフで若干怖め(ホラー)。彼女の身に一体何が!?


 シロ(アナザーディケイド)

 今日一番滅茶苦茶驚いた人。二人には致命傷、一人には怪我、二人は殺したはずなのに、何故が全部が元通り。零夜もルーミアも生きてるし、ライラも紅夜も全回復。一体なにがどうなった?それに右腕バッサリ斬られて驚いたけど再生したよ。
 零夜にオーマジオウの像(墓)見せて驚かしたけど、白楼剣使ってるの見せられてさらに驚いた。驚きすぎてスイッチON


 女神

 第四の壁をすでに突破している人。
 画面の前の皆さんにいろいろ説明してくれたお方。【謎の本】を手に持って登場。厚顔な態度とお茶目な態度を使い分ける。それが本性か演技かはまだ不明。『権能』のシステムを作る際に『あの野郎』にシステムを乗っ取られないためにシステム障壁を強固かつ複雑にしたせいで自分でも手を加えることができなくなったことが明らかに。頭がいいのかバカなのか分からない。


 ライラ 紅夜 蒼汰

 なんかルーミアが怖い。


 ダークライダー五人組

 ナニガオコッタ?


 ゲレルの抜け殻(光輝の体)

 今回一切出てきてないけど未だに放置されている。


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