前回、紅魔館に侵入した零夜。地下室に入り、【フランドール・スカーレット】と遭遇する。フランにヤミ、と偽名を名乗り、【漆黒の魔法使い】―――【仮面ライダーブラックウィザード】へと変身し、フランと対峙する!
――
炎の剣を持って攻撃しているのは、深紅の瞳に濃い黄色の髪を持ち、それをサイドテールまとめた少女だ。
少女の持つ炎の剣【レーヴァテイン】の炎が、辺り一帯に熱を与え、空気が乾燥し、物が燃えている。
「アハハハハ!!」
少女の目は普通ではなかった。―――そういうより、『狂っている』と考えた方がいいだろう。
少女の溜まっている、蓄積されている感情が、闘いと言う行いによって発散されている。そして、その溜まっているものが『狂気』として排出されているのだ。
「ドウシタノ?オ兄サン!守ッテバカリシテナイデ、モット攻メテキテヨ!」
『……ッ!』
そして、そんな少女と対決している黒の魔法使い。
その姿は『黒い石』と言うより、『黒の魔法石』を思い浮かべる姿だ。オリジナルとの色違い、俗に言う『ネガライダー』の一人である黒い魔法使い。
その名は【仮面ライダーブラックウィザード】。
ブラックウィザードは少女――【フランドール・スカーレット】と現在
フランの攻撃の一撃一撃は、何もかもを破壊しかねないほどの強力な技だ。だからこそ、当たらないように用心しなければならない。
『チッ!』
今現在、二人は地下の部屋と図書館を跨ぐ通路で戦闘を行っている。
ここでも狭いのだが、それでも闘いとなると同じ場所にとどまっているのは愚策中の愚策だ。
ブラックウィザードはドライバーの手を動かし、手をかざす。
ブラックウィザードの顔の横に黒い魔法陣が表れ、それの中に何も持っていないもう片方の手を突っ込むと、そこからもう一つの【ウィザーソードガン】が現れる。
【ホープウィザードリング】。ブラックウィザード―――漆黒の魔法使いが持つ唯一の魔法の指輪。すべてのウィザードリングに変化する特異な性質を持つ指輪だ。指輪をいちいち交換する必要がないと言う利点がある。
このリングを使って【コピーリング】へと変化させたのだ。
ウィザーソードガン二振り、それを『ガンモード』にして撃つ。
銀の弾丸が発射される。伝説などでは『銀』は彼女の弱点のはずだ。当たれば大ダメージを与えることができるはずだ。だが―――
「ハハハッ」
そう易々と当たってくれるはずもなく、銀の弾丸はレーヴァテインによって斬り落とされる。
フランはレーヴァテインを振るい、炎の斬撃を生み出した。
ホープウィザードリングを【ビックリング】に変え、ウィザーソードガンにかざした。
ブラックウィザードの目の前に巨大な魔法陣が表れ、そこにウィザーソードガン二つを突っ込むと、その部分だけが巨大化する。
ブラックウィザードはすぐさまウィザーソードガン二つと『握手』をする。
銃口に黒色で形成された火の魔法陣が描かれる。そのまま引き金を引くと、一直線に黒い炎がフランに向けて放たれる。
軌道は一直線。避ける場所などないはず。だから直撃するしかない。
「キャハハハ!」
だが、そんな簡単にやられるはずもなくフランは炎の中を突き抜けてきた。フランが横にレーヴァテインを振るおうと小さな腕を動かす。
レーヴァテインが周りの炎を巻き込み、ただでさえ狭いこの通路でそれだけ広範囲の威力を拡大してしまうだろう。そこで気づく。フランに炎の攻撃は逆効果であると。
『チッ!』
ブラックウィザードはホープウィザードリングを『黒い四角の指輪』に変化させる。
ドライバーを動かし、左手をかざす。
ブラックウィザードは【ランドスタイル】に姿を変え、再びホープウィザードリングを変え、ドライバーにかざす。
ブラックウィザードが地面に手を付けると、目の前に石の壁が突如出現する。
周りの石を強制的に一点集中し、壁を作った。
その影響で周りの地盤が崩壊し、崩れることになるだろうが、それは数秒後の話だ。それが、その間までに破壊されれば―――
―――破壊された。
石壁の奥から振るわれた炎の剣が石壁ごと通路を破壊し、周りが崩れる。
『だったら!』
ホープウィザードリングを変化させ、ドライバーにかざす。
大きい黒い魔法陣が表れ、そこから二輪車――バイクが現れる。
ブラックウィザードは【マシンウィンガー】に乗ると、最初に入って来た場所――図書館へと向かう。
「今度ハオニゴッコ?ジャア私ガ鬼ネ!」
フランが七色の宝石の羽を羽ばたいて一直線。超スピードを用いてブラックウィザードを追う。
対してブラックウィザードも全速力で扉へと向かう。
どちらも最高速度を出している。それでも、バイクの速度より種族的に速度が速いフランの方が有利だ。
「追イツイチャウヨ!私ノ勝チダネ!」
『まだ終わりじゃない』
「―――?」
ブラックウィザードの目の前に『黒い風の魔法陣』が表れ、それを通過すると【ハリケーンスタイル】へと姿を変えた。
そして変わったブラックウィザードの乗るバイクは、
「ッ!?」
急な速度上昇にはさすがのフランも驚いていたらしい。
だが、それは心からの驚愕ではなく―――
「スゴイスゴイ!速クナッタァ!」
―――好奇心からの驚愕だった。子供によくある疑問と言葉のレパートリーの少なさ、それがフランにもあった。
例え心が狂気に支配されていようとも、そう言った心は健在であったようだ。
そして、バイクの速度が上昇した理由。それはブラックウィザードはハリケーンスタイルの能力で風を操り、バイクの周りに竜巻を横向きに作ったのだ。竜巻によってバイクが押し出され、スピードが上がっている。
―――やがて、見えてきた最初の扉。
ブラックウィザードはバイクを持ち上げ後輪のみで車体を支えながら爆走する。
階段に差し掛かった時、
飛び上がったバイクは扉を破壊し、鉄特有の鈍い音が響いた。
「なにッ!?」
「なんだぜ!?」
その音に二人の少女の驚愕の声が聞こえた。
それをブラックウィザードは無視し、バイクのエンジンをフルに活性化させ、走り出す。
それと同時にフランが破壊された扉から姿を現した。
「オ外ニ出レタ!」
「フラン!?」
フランの登場に、先ほどまで少女二人と戦っていた少女が驚愕の声を上げていた。この少女にとって、フランの登場は予想外のことだったに違いない。
そんな周りの驚愕など知らないと、ブラックウィザードはウィザーソードガンを『ガンモード』に変え、風を纏った銀の弾丸を放つ。それを感知したフランは――
そう口にした瞬間、全方位から魔法陣が展開し、そこから球体の弾幕が全体を襲う。
その弾幕は誰かを狙ったものではない。なりふり構わず全体を攻撃しているのだ。
ブラックウィザードはマシンウィンガーの速度と風を操り、本棚の壁を重力に逆らって走り、上にまで到達する。
『………』
ブラックウィザードはフランを見据え、ウィザーソードガン『ガンモード』を全方位に撃ち、迫りくる弾幕をすべて破壊する。
「私ノ弾幕ヲ破壊スルナンテスゴイネ!」
『まぁな。こちらからも行くぞッ!』
ウィザードはバイクから降り、風を纏ってゆっくりと飛び降りる。
ウィザーソードガンを『ソードモード』にし、フランを見据える。
「ちょっと!」
『―――?』
そのとき、隣から大きな声で声をかけられ、ブラックウィザードはただ言葉で応じ、顔をフランに固定する。
その声の主は先ほどの少女二人だ。
「あなた何者なの?」
「魔力を感じるから魔法使いっぽいが…」
今話すことではないことを話している。彼女たちはフランの脅威をまだ知らない。そのために、まだこれほど余裕があるのだろうと判断する。
それがまだ未熟の証拠であると裏付けるようなものでもあった。
『今それやることか。俺は先にやる!』
ブラックウィザードは風を纏ってフランに近づく。
フランは近づいてくるブラックウィザードの存在に気付くと、通常弾幕を放つ。
風をうまく使って体を右、左、上下と移動し弾幕をよけ続ける。
「マダ壊レナインダ!スゴイネオ兄サン!」
『もうすでに一度壊れてっからなぁ!』
ブラックウィザードがウィザーソードガン二つと左手で握手する。
フランのレーヴァテインと二つのウィザーソードガンがぶつかり合う。
レーヴァテインの炎と、風の刃が混ざりあい、酸素、二酸化炭素、窒素。周りの空気すべてを巻き込んだ熱風が図書館を支配する。
「アハハハハハ!!」
『これでも倒れないかッ!』
「楽シイ!オ兄サント戦ウノ、トッテモ楽シイ!」
『あぁそうか!俺も楽しいよ!』
「ジャア次ハコレ!」
瞬間、図書館全体にライン状の弾幕が網目模様に配置された。
そして、その線を形成していた弾幕が一斉に弾ける。
『ッ!』
ブラックウィザードは迫りくる弾幕を避け、弾き、斬り、自分に迫りくる弾幕を片付けた後、地面に着地する。
『次はこれだッ!』
ホープウィザードリングを変化させ、ドライバーにかざす。
【ウォータースタイル】へと姿を変えて、ホープウィザードリングを変化させドライバーにかざす。
フランの周りの空中に黒い水の魔法陣を出現させ、そこから水で形成された鎖でフランを縛る。
「キャハハ!」
だが、それもすぐに破壊される。
これではただ単に無意味になってしまうが――
「オ兄サン。フランハコンナンジャ捕マエラレナイヨ?―――!」
フランの狂気に染まった顔が、一瞬だけ驚愕に変わる。
何故なら、時間は稼げたのだから。
水の斬撃と銃撃が、フランを襲っていた。
一瞬の拘束は、フランの気を引くため。見事それにかかってくれ、発動に手間はかからなかった。
それに、水は――
「来ルナァ!」
フランにとって、――【吸血鬼】と言う種族にとって、水はあまり良くないものだ。
伝説上では水にそのまま触るのは不可能だったはず。正確には流水がダメなのだが、今のこの攻撃は『流れる水』を攻撃に使っているため、威力は十分にあるだろう。
フランはそれを本能で感じ取ったのか、レーヴァテインを振るって、炎の斬撃を放ち、追加で弾幕も放つ。
炎の斬撃と、水の斬撃がぶつかり合い、消化と蒸発を繰り返す。結果――消滅する。
水の弾丸が、フランを襲う。
弾幕が水の弾丸の行く手を阻むが、水の水圧によってその妨害を許さない。
「ダッタラッ!」
フランはレーヴァテインを持って、先ほどと同じように火力で押し切って水を蒸発させようとする。
―――ここで一つ、フランは気づいていないことがある。
「ハァアア!!」
フランのレーヴァテインと水の弾丸がぶつかり合う。先ほどと同じように、レーヴァテインが水を蒸発させ、水の弾丸がレーヴァテインの炎を消化する。
先ほどと違う点があるとすれば、火点と直撃しているということだろうか。先ほどのぶつかり合いは本体から放たれた一発系の攻撃。それには限度がある。熱と炎を常に放出している本体であるレーヴァテインと、ウィザーソードガンから放たれた水の弾丸。どちらが勝つかは明白であった。
――やがて、押し切ったとき―――異変は起こった。
「…エ?」
ようやく蒸発した
「エ?ナンデ…?」
自分の腹から血が出ている。それは明白で変えられない事実。
問題は、どうして自分の腹が貫かれたのか。水の弾丸は蒸発したはずだ。すぐさまに再生しようにも、なぜかできない。
「ナニヲ……シタノ?」
『まだわからないか?銀だよ』
「銀…?」
『あ、もしかしてお前。自分の種族の弱点もわかってないな?』
「フランノ弱点ガ、銀…!?」
『設定上』、495年閉じ込められていたフランにとって、自分の弱点すらも把握できていなかったのだろう。
それが、この攻撃を喰らう要因となったのだ。
『俺の銃の弾は、すべて銀でできている。吸血鬼なんだから自分の弱点くらい把握しているはずなんだが…。俺の予想通りだったな』
「フランハ…ソンナコト知ラナイ!」
『だろうな箱入り娘。そろそろ終い―――と行きたいところだが、お前はまだそんなもんか?」
「ソンナ訳ナイ!楽シカッタノニ……オ兄サン嫌イ!」
ブラックウィザードの発言に怒ったフランは次なるカードを展開した。
そしてその瞬間―――
「増えた!?」
「おいおい…どんな魔法だぜ!?」
遠巻きから二人の少女の驚きの声が聞こえる。
ブラックウィザードにとって闘いに入られたら邪魔なので都合の良いことなのだが、「博麗の巫女がそれでどうする」、と言う個人的な意見もあったりする。
そんなことはどうでもよく、ブラックウィザードは四人になったフランを見つめる。
『とりあえず攻撃してみるか』
あの増加が『実際に増えた』『影分身』なのか、判断するためだ。
知識はある程度知っているとはいえ、すべてではない。かといって、今すぐ【地球の本棚】で調べるには時間がない。
ブラックウィザードはウィザーソードガン二つをガンモードでフランに向けて発射する。
四人のフランはそれぞれがレーヴァテインを持ち、放たれた銀の弾をその熱で周りごと溶かす。
一人のフランが
次に四人のフランがレーヴァテインを振るい、四つの斬撃をブラックウィザードに飛ばす。
咄嗟にブラックウィザードはホープウィザードリングを変化させる。
突如、ブラックウィザードの前に黒い水の壁が表れ、炎の斬撃を防ぎ、蒸発する。
蒸発の勢いで水蒸気が辺りに散乱する。水蒸気が煙になって目隠しとなる。
「…………」
四人のフランはその煙を上空で見つめる。晴れるのを待っているのだ。晴れる前に攻撃に出てくる可能性があるが、今のフランにそこまでの知恵はない。
やがて、煙が晴れると、そこには…
「――――?」
誰も、いなかった。
おかしい。いなくなるなんてありえない。どこかに隠れているはず。四人のフランは辺りを見渡すが、どこにもいない。
「ドコ行ッチャッタノカナァ?」
一人のフランが上空から降りて来て、周りを確認する。
煙は晴れているために視界は良好だ。どこにも異変はない。歩く度に水の音が響く。
「イナイナァ……」
このフランが諦めていたその時―――
「私、危ナイ!」
――水が突如形を成す。
「後ロ!」
「ッ!?」
フランが後ろを向くが、時すでに遅し。
水が成した形―――ブラックウィザードが剣を振るい、フランに傷を負わせた。
「ウァアアアアアアア!!」
フランが絶叫を上げる。
続けてブラックウィザードはもう一つをガンモードに変化させ、フランを撃つ。撃つ。撃つ。
「私!」
三人のフランが急降下し、フランを救出しようとする。
ブラックウィザードは案外あっさりと攻撃をしたフランを置いて後ろに下がった。
「許サナイ……許サナイ!!」
自分をここまで攻撃したことに腹を立てていた。
『水に変化していたことには、気づけなかったか』
ブラックウィザードは『リキッド』の魔法で液状化して床に身を潜めていたのだ。そこで油断して降りてきたフランを攻撃すると言う算段だった。
四人のフランは激情しブラックウィザードに突撃する。
『そっちが四人なら、こっちも四人で行かせてもらう』
ブラックウィザードは後ろにジャンプ。下がってフラン四人の突撃を躱す。
その隙にホープウィザードリングを『ドラゴンを思わせる黒い円型の指輪』に変化させ、ドライバーにかざした。
ブラックウィザードの足から黒い炎の魔法陣が展開され、黒い炎のドラゴンが魔法陣から召喚され、ブラックウィザードの周りを旋回する。魔法陣が消えると、ブラックウィザードは先ほどよりドラゴンを思わせる赤と黒の姿に変身していた。その名も呼称:【ブラックフレイムドラゴンスタイル】。
「フランニ炎ハ効カナイヨ!」
フランは先ほどの炎を使う形態であると先ほどの炎を見て理解――直感したようだ。
だが、ブラックウィザードの狙いはこれじゃない。
ブラックウィザードは『コネクト』の魔法を発動し、『腕時計』を取り出した。その腕時計の色は黒。文字盤に『赤』『青』『緑』『黄』の四つの色が描かれている。その真ん中に時計の針が『赤』を指していた。
ブラックウィザードはその腕時計――【ドラゴタイマー】の文字盤の部分を回し、親指の部分を押した。
時計の針がゆっくりと動く。
時計の針の音が、図書館に響いた。
「ソレダケ?ツマンナイノ!」
フランの一人が痺れを切らし、ブラックウィザードに突撃していく。
が―――その瞬間に、ブラックウィザードはドラゴタイマーの指を押した。
突撃してくるフランの横から、『黒い水の魔法陣』が表れ、そこから【ブラックウォータードラゴン】が姿を現し、ソードモードでフランを攻撃し、急停止させる。
「ッ!?」
増えたブラックウィザードに驚愕を隠しきれないのか、慌てる他の三人のフランとブラックウォータードラゴンと刃を交えているフラン。残らず三人のフランも突撃していく。
「タカガ二人ジャッ!」
「フラン達ニハッ!」
「太刀打チデキナイヨ!」
「私タチハ四人イルカラネッ!」
『さて、それはどうかな?』
ブラックウィザードが挑発交じりに言い、四人のフランと、二人で二人のフランを攻撃と防御を繰り返す。
その言葉に反応した一人のフランが疑問を口にする。
「ドウイウコト?」
『二人じゃないってことだよッ!』
「「「アァアアアアア!!!」」」
黒い風の魔法陣が空中に出現し、そこから【ブラックハリケーンドラゴン】がガンモードで三人のフランを撃つ。
銀の弾に直撃したフランたちはとても苦しそうにしている。
「私ッ!」
『もう一人いたりして』
「ッ!サセナイ!」
「禁弾『スターボウブレイク』ッ!」
すでに遅いが、フランはスペルカードを発動させた。
ブラックウィザードたちの全方位に、フランの羽の宝石を思わせる色とりどりな弾幕が配置され、それが一斉に一点集中。ブラックウィザード達に向かって行く。
――が、突如現れた土の壁に、その弾幕がすべて防がれる。
その壁が崩壊すると、【ブラックランドドラゴン】がその場に存在していた。
『俺もいるよ』
「四人ニナッタ…!」
「増エテイイノハフランダケナノニ…!」
「許セナイ!」
「壊シテヤル!」
『随分と身勝手な考えだな。その考えは嫌いだ。―――さて、炎と』
『水と』
『風と』
『土。すべてが揃った』
『『『『これで、四対四だ』』』』
四人のフランと、四人のブラックウィザードが対面した。
フランはレーヴァテインを。ブラックウィザードはそれぞれコピーの魔法を使って二つのウィザーソードガンを構える。
しばしの静寂が訪れ―――
『行くぞッ!』
「壊ス!」
一斉に各々が突撃していく。
フレイムドラゴンとランドドラゴンの剣がフランのレーヴァテインとぶつかり合い、ウォータードラゴンとハリケーンドラゴンの銃撃が響き、それをフランがレーヴァテインで受け止める。
「クラエ!」
フランの弾幕がブラックウィザードたちを襲う。
咄嗟にハリケーンドラゴンが前に出て、魔法を行使した。
黒い風の魔法陣が四人の前に展開され、弾幕をすべて防ぐ。
その間を通り、三人のブラックウィザードが抜けていく。フランのレーヴァテインの横一直線の攻撃を、フレイムドラゴンは回転ジャンプで避け、後ろに着地する。後ろを狙って貫こうとするが、フランは後ろを水にレーヴァテインで攻撃を防いだ。
「私モイルヨ!」
フレイムドラゴンの後ろにもう一人のフランがレーヴァテインを振るおうとしていた、が―――
『させるかッ!』
横からウォータードラゴンが銃撃を行い、攻撃しようとしていたフランを遠ざける。
ウォータードラゴンはそのままそのフランへとソードモードで攻撃を仕掛ける。
『お前の相手は俺だ』
「邪魔スルナ!」
二人の剣がぶつかり合う―――。
違う場所では、フランとランドドラゴンが対峙していた。
フランのレーヴァテインがランドドラゴンに直撃し、後ろに足を引きずりながら飛ばされる。
ランドドラゴンはマントの埃を少々掃うような仕草をした後、なにもなかったかのように立ち上がる。
「アハハ!コッチハ固クテ壊レニクソウ!」
『遊びしか頭にねぇのかお前。さっきと言ってることバラバラじゃねぇか』
「ジャア次ハコレ!」
フランから炎で形成された弾、炎弾が放たれる。ランドドラゴンはそれを気にせず当たりながらも無理やり突破していく。途中に対処できる炎弾は防いでいるが、すべでではなかった。
『対処できれば簡単だッ!』
「ジャアコレハドウカナ?」
フランは近接戦で勝負を仕掛けてきた。
ランドドラゴンはもとより近接戦で攻める気だったので、ありがたいことなのだが―――
『―――なッ!?』
ランドドラゴンが驚愕する出来事が起こった。
フランの手が突如燃えたのだ。フランの手が業火に燃え、ランドドラゴンの首を掴みにかかる。
業火の熱波がランドドラゴンを襲う。
『あ、ガァ…!!!』
「フフフフフ!!」
いくらか硬くとも、防御力が高くとも熱には体制がないランドドラゴン。
すぐさま
『ハァッ!』
「ッ!!」
そのとき、緑色の手によって助けられた。
そのままその手の持ち主は左手のウィザーソードガン『ガンモード』を連射していつの間にかいたもう一人のフランとランドドラゴンと戦っていたフランを遠ざける。
『大丈夫か、俺』
ランドドラゴンを助けたのは、ハリケーンドラゴンだった。
ハリケーンドラゴンはランドドラゴンに手を貸し、ランドドラゴンはその手を掴み、立ち上がる
『あぁ…。助かった』
『気をつけろ。気を引き締めたばっかだろ』
『すまない』
「イイトコロダッタノニ!」
「私ヲ無視スルナ!」
二人のフランがブラックウィザードたちに突撃する。
『うるさい!』
「「ウアッ!」」
地面に黒い魔法陣が出現し、その範囲に入っていたフラン二人が突如地面に押されたかのように激突した。これはランドドラゴンの『グラビティ』と言う重力を操る魔法によるものだ。
『よくもやってくれたなぁ』
『今度は俺たちだ』
次に地面に突っ伏しているフランたちの真上に、黒い風の魔法陣が出現する。先ほどとは違い、魔法陣は雷を纏っており、今にも落下しそうであった。
『落ちろッ!』
刹那――二人のフランに黒いドラゴンの頭を模した落雷が発生した。落雷は周囲にも影響し、まるで生きているかのように旋回する。二人に攻撃しただけでは飽き足らず、何度も何度もその雷は二人を攻撃する。
『『今度こそ終わりだ』』
二人の周りに黒と緑のドラゴン、黒と黄のドラゴンが旋回する。
それが体にくっつくと同時に、ハリケーンドラゴンには黒い(呼称):【ドラゴンウィング】が、ランドドラゴンには【ドラゴンクロー】が装備された。
ランドドラゴンが行動を開始した。ランドドラゴンは穴を掘って地下に潜り、下からフランたちを攻撃する。未だに強力な重力で身動きが取れないフラン二人に、上へ打ち上げる攻撃。またすぐに二人は地面に打ち付けられるのだが―――魔法陣が上向きになり、逆に今度はフラン達は上級に無理やり引っ張られる。
「ウウウ…」
「動ケナイ……!」
『ハァ!』
その上空で止まっているフラン達に、今度はハリケーンドラゴンが空を飛び、風を巻き上げた攻撃を行った。強靭で強力な風が二人の服を、肌を、肉を、骨を断ち切る。
何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も―――再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び。再び―――切り刻んで。斬り裂いて、肉が飛び散る。
「ア、ア、アァ……!!」
「タ、助ケテ……」
『偽物が言っても説得力ねぇよ』
『さて、フィナーレだ』
ようやく重力の魔法の効力を失ったが、フラン二人は最早見るに堪えない姿になっていた。
いくら危険だと言っても、10歳ほどの少女の外見をしている彼女を傷つけるのは相当の覚悟がいる。
それを平然と行えるのは、彼女は『偽物』であると知っているから故だ。
ハリケーンドラゴンが宙に浮き、ホープウィザードリングをかざした。
再び雷の魔法を発動させる。
転がっているフランたちの周りを回転する。その勢いで風が、そして魔法の効果で雷が。二つの属性が混ざり合い、雷風が起きる。その影響で上空に雷雲が発生する。
空中に浮きあがったフランたちは、竜巻によって拘束される。
さらに追い打ちで上空に発生させた雷雲からの強力な落雷がフランたちに落ちる。
「「アァアアアアア!!!」」
フランの皮膚や肉が焼ける匂いが漂う。フランが自らの飛行能力を行使していない今、重力に従って落ちる―――
『ハァ!』
――瞬間、ランドドラゴンが爪を振るい、斬撃を飛ばし、フランを斬り裂いた。
二人のフランはそのまま形を崩し、もうそこにはなにもなかった。
『さて、終わったな』
『いいや、まだ終わりじゃない』
『そうだったな。終わりは―――』
『『本物のフランドールを倒してからだ』』
そういい、ブラックウィザードたちは
~時間は少し遡る~
『ハァ!』
『タァ!』
「アハハハハハ!」
「モットモットモット!楽シマセテヨ!」
時間は少し遡り、二人のフランとフレイムドラゴン、ウォータードラゴンがそれぞれ対峙していた。
ウォータードラゴンが放つ銀の弾をフラン達は防ぎ、追撃をする。その追撃にフレイムドラゴンがソードモードで対峙する。銀の一閃がフランに向かって行き、フランがレーヴァテインの炎の一閃で銀を溶かし、フレイムドラゴンが剣を振るう。
「アナタノ相手ハ私!」
『チッ!』
片方のウィザーソードガンでレーヴァテインを抑えつつ、もう片方のウィザーソードガンをフランに振るう。フランはその攻撃を腕だけで抑え、金属音のような音が響いた。
『腕が鋼鉄並みって…ッまさに吸血鬼だな!』
「武器ハコレダケジャナイヨ?」
フランの手や腕が業火に燃える。その手を真っ直ぐに伸ばした。―――手刀だ。フレイムドラゴンへと炎に燃える首手刀を振るった。ウィザーソードガンでその攻撃を防ぐが、刀身が溶けていく。
『クソッ!』
「ウグッ!」
フレイムドラゴンはフランを足蹴りし、その場を離れる。
ウィザーソードガンの刀身が元通りに修復されていく。ウィザーソードガンにある修復装置によるものだ。
『攻撃パターンが掴めねぇ…。まぁゲームキャラじゃねぇんだから当たり前か』
『大丈夫か、俺?』
『問題ねぇさ。お前は有利でいいよな』
『まぁな。火には水だ』
「話シテナイデモット遊ンデヨ!」
ウォータードラゴンが戦っていたであろうフランが飛びながら近づいてくる。
先ほどとは全く違い、全身に炎を纏っていた。
『炎を纏っての突進か…。だが、
近づいてくるフランを『偽物』と断定し、ウォータードラゴンはホープウィザードリングを【ブリザードリング】に変化させ、ウィザーソードガンにかざす。
ウィザーソードガンの刀身が突如氷の魔力が覆われ、刀身全体が凍てついた。それを振るうと氷の斬撃が飛び、フランに向かって行く。フランはその迫りくる斬撃を微かに当たりながらも避けていく。
「ソノ程度ジャ私ニ攻撃ハ当タラナイヨ!」
『いや、当たってるさ。もう』
「―――?…ッ!」
突如、フランの全身が凍り始める。ピキピキ…と音を立てて凍り始める。
「ナ、ナンデ!?」
『吸血鬼――っていうか、かすり傷程度じゃなんとも思わないヤツ等に限って、こういうのは良く効いた』
そう言い終わる頃には、すでにフランは全身が凍り付き動けなくなっていた。
過去――妖怪と戦っていたときのことである。ブラックウォータードラゴンの姿で戦っていたときに、分かりやすく言えば再生能力全般にステータスを振っているような妖怪と戦っていた。軟体動物のような見た目で、心臓も度々移動しており討伐するのに困難だった。しかも頭を吹き飛ばしても再生するような妖怪だったのだ。そんな妖怪を倒した方法は、先ほどやったことと同じ『凍結』だ。
氷の魔力で形成した飛ぶ斬撃が当たるごとに、そこに魔力が付着する。そこから全体が凍るように仕組んであったのだ。やがてその妖怪は『ドラゴンテイル』によって砕け散り、再生することはなくなった。理由としては肉片も凍っていたからだ。
これで後はバラバラにするだけ―――
「私ッ!」
―――だが、フランがフランを助けようと炎の魔法を飛ばした。――が、その攻撃はフレイムドラゴンによって妨害される。
「邪魔スルナ!」
『するさ。それが俺たちにとって有利なことだからね』
「ハァアアアアア!!!」
フランのレーヴァテインがフレイムドラゴンに振ってくる。フレイムドラゴンはウィザーソードガンに炎を纏い、ぶつけ合う。炎と炎がぶつかり合い、爆風が、熱風が、熱波が、業火が、二人を包み込んだ。
だが、それが悪手となり――
フランを閉じ込めていた氷が熱によって溶け、内部から破壊され砕け散った。
『おっと』
「許サナイ……ッフランヲ閉ジ込メルナンテ!」
『偽物のクセに、閉じ込められることに大分キレてるらしいな』
「ウルサイッ!」
フランの『設定上』。495年も閉じ込められたことにより、幽閉などの行為にトラウマに近い何かを持っているのだろうか。フランはレーヴァテインの炎の大きさを先ほどの2~3倍ほどに大きくしたのだろうと推測できる。
『今更ながら、こんなに図書館ボロボロにしてんのに、本だけが傷つかねぇってどうなってんだか…』
「ヨソ見スルナッ!」
ウォータードラゴンの疑問はさておき、フランは怒りであろうか、今までのスピードよりもさらに速いスピードでウォータードラゴンに責め、足、拳、剣を柔軟に使いこなしウォータードラゴンを追い詰める。
『うぉッ!あちょッ!あぁ!!』
「アハハハハハハハハッ!!」
フランの攻撃は、滅茶苦茶だ。型や形など存在せず、ただ喧嘩で腕を振り回す子供のように崩れている。
だが、その攻撃がウォータードラゴンにとって―――すべての相手にとって面倒でもある。
『型がねぇから単純だが面倒くせぇ!』
「アハハハハハ!」
型や形が決まっていない―――。つまり攻撃パターンがわからないと言うことだ。
攻撃パターンがわからなければ、相手がどう動くのか理解できずただ攻撃を喰らうだけだ。
『くそがッ!』
ウォータードラゴンは距離を離してウィザーソードガンで撃つ。その攻撃をフランは繊細かつ豪快に避けて進んでいく。
「ホラホラホラ!!」
『だったら!』
フランは蹴りの体勢で真正面から迫って来た。
ウィザーソードガン二つをソードモードに切り替え、クロスして攻撃を真正面から受け止めた。
―――激突する
フランの攻撃は凄まじく、ウォータードラゴンは足を引きずりながら後ろに下がっていく。
『うぉおおおおお!!』
「ソノママヤラレチャエ!」
壁に激突してしまう――
『交換』
「エッ?」
「エ―――?」
―――フレイムドラゴンがなにか呟いた瞬間、ウォータードラゴンと『本物のフラン』が入れ替わった。
フランの足蹴りがフランに直撃し、そのまま図書館の本棚に激突し、大量の本が『本物のフラン』へと降り注ぐ。本の一冊一冊がそれなりの質量を持っており、その本がフランにダメージを負わせる。やがて、フランが見えなくなるほどの本が降り注いだ後―――
「ウガァアアアアア!!!」
『本物のフラン』が唸り声をあげながら自分を埋めていた本を周りにまき散らす。そのブラックウィザード達を見ている目は、まるで獣の様だった。
「ナンデ…ナンデ、ナンデ、ナンデ、ナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデ!!!?」
「ドウシテ、私トアイツガ入レ替ワッタノ…!?」
『もしかして、俺…』
『そうだぞ、俺。自分の能力のこと忘れてんじゃねぇよ』
ウォータードラゴンと『本物のフラン』の場所が入れ替わった理由。それは『零夜』の能力だ。『繋ぎ離す程度の能力』。この能力は前に『移動させる程度の能力』と偽っていたときがある。それを使ったのだ。
『そうだった…。すっかりブラックウィザードの能力に集中しちまった…』
『まぁ仕方ないさ。生き物はピンチになると本質を見失うからな。それは誰だって一緒だ』
『そうだな。そして、俺たちもそうだったってことだ』
二人はフラン達を見据えた。
ボロボロになって、ほとんど気力と感情――『壊れた遊びと言う名の愛情表現』で立っているようなものだ。
「ウゥ、ウゥウ…!」
『終わらせる』
フレイムドラゴンは【ドラゴタイマー】の親指の部分を押す。
フレイムドラゴンとウォータードラゴンに黒い炎と水のドラゴン二匹が纏わりつき、呼称:【ドラゴンヘッド】と【ドラゴンテイル】が装備される。
フレイムドラゴンが足のつま先を地面に軽く叩く。フレイムドラゴンの体が宙に浮く。
『はぁああああ!!』
ドラゴンヘッドから炎が噴き出す。炎があまり効かないフラン達が、苦しそうにしていた。
「ナンデ…フランニ炎ハ効カナイノニ!?」
『その防御すら上書きするほどの威力ってことだよッ!やれッ!』
『オーケー!』
炎で苦しんでいるフランたちにウォータードラゴンがさらに追撃をかける。
炎の中で体を横に回転させ、ドラゴンテイルを振るいフランたちを地面に叩きつける。
『おらっ!』
「ウアァ!」
「アァア!」
炎に耐性があるフラン達ですら苦しめられる炎の中、水と氷の属性を持つウォータードラゴンだからこそ耐えられている。攻撃を終わらせた後にすぐに炎の中から離脱する。
『あっちいよ!』
『そうか?どうでもいいがな』
フレイムドラゴンはドラゴンブレスを取り止め、地面に着地する。
「ア、ア、アァ…」
フランたちの肉が焼ける音がする。妖怪だから回復するだろうが、それでも時間はかかりそうだ。
『お前たちのフィナーレだ』
『行くぞ』
二つのウィザーソードガンに、【フレイムドラゴンリング】と【ウォータードラゴンリング】をかざす。
二人が、それぞれ剣と銃を構えて、目の前の
剣の刀身、銃の銃口に黒い炎と水の魔力が充填されていく。
構えを取り――斬り、放った。
銃から放たれたエネルギーはそのままドラゴンの頭を模し、斬撃は綺麗な双曲線を描いて飛んでいく。
やがて炎の斬撃と水の銃撃、炎の銃撃と水の斬撃は重なっていく。本来相容れない属性同士が重なり合った攻撃。威力はさらに増していき、身動きは取れないフランたちはそのまま―――
「「ウァァァアアアアアアアアアア!!!!」」
炎と水の合体攻撃を直撃し、一体のフランはそのまま消え去り、もう一体のフランは爆風で吹き飛んだ。
『そっちも終わったようだな』
『あぁ』
『大丈夫だったか?』
『問題なし』
四人が集まり、『本物のフラン』を見据える。
『あとはお前だけだ。本物は見つけやすかったからな』
「な、なんで…?」
『――――?』
「なんで、フランが、本物だってわかったの…?」
そこにいるフランに、もはや狂気など見当たらなかった。
先ほどの攻撃で、正気に戻ったのだろうか?理性が表に出ていた。
フランは驚愕と、疑問で頭がいっぱいだ。
『わかりやすいんだよ』
『簡単な話。四人の中から一人しかない特徴を見つけるだけさ』
『そして、それがわかりやすかっただけ』
『自分でも気づいていないのか?』
「な、なにが…?」
『お前にだけ、あったんだよ。魔法陣が』
「ッ!!」
フランは自分の体を無理やり起こして自分の後ろを見る。そこにはあった。
『それに、弾幕を撃っていたのはそれを背負ってるお前だけだった』
『他のヤツ等――偽物は剣での攻撃か炎での攻撃しかしてなかった』
『攻撃のバリエーションが一人だけ多かったってことだ』
「……ッ!」
『これが本当の、お前のフィナーレだ』
ドラゴタイマーから鳴る音声が聞こえた後、ウィザードライバーにかざした。
ブラックウォータードラゴン、ブラックハリケーンドラゴン、ブラックランドドラゴンがエネルギー体と化す。そのエネルギーは魔法陣の形を成し、ブラックフレイムドラゴンへと向かい、吸収される。
ブラックフレイムドラゴンが漆黒に染まった『火』『水』『風』『土』に包まれ、体に【ドラゴンヘッド】【ドラゴンテイル】【ドラゴンクロー】が装備された。その姿はまさに【ドラゴン】。
【仮面ライダーブラックウィザードオールドラゴン】が誕生した。
『覚悟しろ』
地面に投影した大魔法陣に4つの魔法陣を描いて、4色のドラゴンを顕現させ、フランを拘束する。
翼を羽ばたかせ、空を飛ぶ。
脚に炎を纏わせ、キックの体勢にする。
オールドラゴンによって放たれた蹴り技【ストライクドラゴン】がフランに向かって放たれる。
ドラゴンヘッドの炎がオールドラゴンの身に包まれる。
ドラゴンウィングを横に羽ばたかせ、使用した『ドリルリング』の効果で体が回転し、翼を閉じることで針のような形状にする。
ドラゴンテイルをプロペラのように回転させ、爆発的に瞬発力をあげる。
ドラゴンクローを掌を合わせるようする。
当たれば瀕死は免れない、凶悪な一撃。
そのまま動けないフランに直撃し――――
「四重結界ッ!」
「防御魔法ッ!」
「――――!」
――――た瞬間、三人の少女がフランの前にたち、防御を行った。
結界に、魔法に技が防がれる。だが攻撃力はブラックウィザードの方が勝っており、ガラスや鏡が割れるような音が響きながら結界を破壊していく。やがて張られた防御はすべて破壊された。
「はぁあああああ!!」
博麗の巫女が直接前に出て、再び結界を張った。
『…………』
それを見届けたブラックウィザードは
ブラックウィザードは翼を羽ばたかせ、ゆっくりと地面に着地する。博麗の巫女は明かに疲労が顔に出ていた。巫女だけではなく、魔法使いたちも疲労が顔に出ている。
「あんた…流石にやりすぎよッ!」
「お前、今完全にこいつのこと殺そうとしてたよな?」
「同じ紅魔館の住人として、見過ごすわけにはいかないわ」
『お前たちは…博麗の巫女、【博麗霊夢】。普通の魔法使い、【霧雨魔理沙】。【パチュリー・ノーレッジ】……で、合ってるか?』
「どうやら、私たちのことは知っているみたいね」
「…私の名前を知っているのは何故かしら?」
パチュリーが疑問で返した。パチュリーの疑問は最もだ。
なにせパチュリーたちが幻想郷に来たのはつい最近。自分が名乗ったこと以外で知られるのはおかしいのだ。
その疑問に対して、ブラックウィザードは…
『お前らが戦っているときからすでにいた。その時に知ったってことだ』
ブラックウィザードはあえてそう嘘をつく。
そうでないとパチュリーの名前を知っている理由が証明できないからだ。
「そう…。それで、あなたは何者?」
『仮面ライダー……ブラックウィザード』
「仮面、ライダー……?」
あえてライダー名で名乗ったブラックウィザード。理由としては単純な名前の偽装だ。
フランに既に偽名で名乗っているとはいえ、正体バレの可能性を少しでも下げるためだ。
『悪いが、質問はここまでだ。俺は別に用があるからな。この異変を起こしたヤツにな』
「レミィに!?そうはさせなウッ…!」
パチュリーはブラックウィザードに魔法陣を構えたが、突如パチュリーは膝から崩れ落ちた。
「おいっ!大丈夫かだぜ!?」
『それを見るに、元々体調が良く無いのだろう。それに、俺に負けるどころかその前にその二人に負けた時点でお前に俺は止められない』
「私なら止められるけど?不審でしかない奴を放っておくことはできないわ」
「おっと。私を忘れてもらっちゃ困るぜ」
霊夢はお祓い棒を、魔理沙は八卦路をブラックウィザードに構える。
ブラックウィザードは――――。
『ハァ〜』
−−−ため息を吐いた。そのため息から感じられる感情は、『呆れ』
そのため息に、より一層二人の怒りと言う感情が燃え上がった。
「なによそれ!」
「私たちのことバカにしてんのか!?」
『俺は言ったよな?この異変を起こした奴に用があるって。つまりお前らに用はないんだよ』
「あなたになくても私たちにはあるわ」
『そうか………だったらこれだ』
突如、ブラックウィザードの体が黒く光り、フレイムスタイルへと姿を戻していた。
その代わり、『ある存在』が姿を表していた
「なんですって!?」
「おいおいマジかよ……!!?」
「あれは、龍……!!?」
『その存在』の名は、【ブラックウィザードラゴン】。本来アンダーワールドという魔力が充満している世界でしか活動できないドラゴン。だが、この世界は常識が通用しない世界。この世界にも十分魔力は溢れていた。しかもこの場には魔法使いが
『俺の使い魔だ。遊ぶのならこいつと遊んでろ』
ブラックウィザードが命令を出すと、ブラックウィザードラゴンは霊夢たちに突撃し、漆黒の炎弾を放った。
「キャア!」
「うあぁ!」
「ムキュ!」
ブラックウィザードラゴンの炎弾の余波を喰らったパチュリーはそのまま気絶してしまった。
それを交わした霊夢と魔理沙は弾幕を放つが、ブラックウィザードラゴンに効いている様子はない。むしろ無傷だ。
『じゃあな』
ブラックウィザードは地上へとつながる階段がある扉へと、歩いていく。
「ま、待ちなさ――キャア!」
「あぁ逃げんなぁ!」
『………』
攻防を続ける二人とドラゴン。それを見届けながらゆっくりと、扉を閉めるのであった。
ブラックウィザード イメージCV【白石隼也】
【ミラクル】の魔法を使用せずにウィザードラゴンを召喚するブラックウィザードさん。幻想郷すげぇ。
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