2021/4/14
シロの見た目の情報を追加しました。
剣と拳がぶつかり合う音が響く。
「逃げるな、ゲレルッ!」
『だから俺はゲレルじゃねぇよ!』
胸に
当然、否定はするのだが…
「戯言を!肥溜めのような濁った魂を持っているのはゲレル、貴様しかいない!他の魂と混ざり合っているが、貴様が下種のおかげですぐ特定できた!」
『だから、俺はゲレルじゃねぇっつの!これで何回目だ!?』
「問答無用!」
レイラはスカルに向かって斬撃を放つ。
スカルは先ほどの攻撃を思い出す。ただの斬撃だけでスカルの防御を突破したのだ。彼女の力を侮ることはできない。故に、防御力を強化して、先ほどと同じように一撃叩き込む。
マキシマムスロットに【メタルメモリ】を装填する。スカルの体が銀色に覆われていく。
スカルはそのまま斬撃へと自ら向かって行く。スカルの防御力と、メタルの装甲。そう簡単に敗れるものではないと、それほど零夜はスカルの防御力を信用している。
そして、斬撃とスカルがぶつかり合い―――
『グハァッ!』
結果、スカルが負けた。そのままスカルは吹っ飛んでいき、桜の木に激突し、変身が強制解除される。
「変身が…!?」
これには零夜も困惑していた。なぜなら、スカルに強制解除なんてないはずだからだ。
なにせ、スカルに変身している間は体が死んでいる。つまり無限の体力が存在して、痛覚が存在しない体で、強制解除などありえないからだ。
「脆い。装備に怠けて己を鍛錬することを怠ったか。だが、それこそ私が憎むお前そのものだ」
「お前、なんなんだ…。俺はゲレルじゃねぇつってんだろがよぉ…」
もう、何回目かもわからない弁解。もちろん、彼女の返答は…
「いつまでそんな戯言を言えば気が済む。もうよい。死ね」
レイラは刀に白い光を纏わせた。これは先ほどと同じような斬撃だ。
だが、彼女の攻撃はスカルの防御力を貫通するほどの力を持っている。今の零夜が受けるのは危険極まりない。
それに、ただやられるほど零夜もバカではない。
「そんな簡単にやられてたまるかよ!」
零夜は戦国ドライバーを取り出して、【フィフティーンロックシード】のロックを外す。
零夜の頭の上空に、ファスナーが表れ空間が開かれる。そこには無限の闇が広がっており、骸骨が出現する。
骸骨が零夜の頭に被さり、ろっ骨の部分が零夜の体に突き刺さると同時に、体が闇に覆われる。そして、姿が変わる。
『死人にはこれだ』
「なにをペラペラと!」
【仮面ライダーフィフティーン】へと姿を変えた零夜は、骨型の武器【黄泉丸】を装備し、レイラに構える。
「ようやく死ぬ気になったようだな、ゲレル…!」
『なんど訂正すれば気が済む。俺はゲレルじゃねぇ』
「ふざけるな!そんな魂をしておきながら!」
どうやらレイラは零夜から感じている『ゲレルの魂』を見てそう言っているのだ。
しかも、先ほど幽々子に『ゲレルの魂』が自分の魂であると言ってしまったため、このままでは『ゲレルの魂』が『究極の闇の魂』と誤認させるための方程式が、『究極の闇』が『ゲレル』であると言う誤認に変化してしまう。
先ほどの自分の設定をこれほどまでに恨んだことなかった。
『そういうことかよクソったれ』
「死ねゲレル!」
レイラは刀を構え、地面を脚で蹴りフィフティーンへと刀を振るう。黄泉丸を刀にぶつけ、牽制する。
レイラは一度離れ、刀を横に振るい斬撃を放つ。
同じくフィフティーンも黄泉丸に紫色のエネルギーを溜めて振るう。それは飛ぶ斬撃となり、レイラの放った斬撃とぶつかり合う――ことなく、すり抜けた。
『なにッ!?』
理解できない現象に驚愕したフィフティーンはすぐさまレイラの斬撃を縦一閃で斬り伏せた。
同時に、レイラもフィフティーンの斬撃を豆腐のように細切れにしていた。
『斬撃が、すり抜けただと…?』
「これぞ私の能力。お前も一度見ていたはず。忘れたとは言わせないぞ」
『だから知らねぇっつの』
「ッ!そうか…。そうかそうだな。私ごとき、覚えるに足らずと言うことか!」
レイラは怒っている。憤怒しているのだ。その理由は零夜にはわからない。なにせ、彼女の怒りが向けられているのは『ゲレル』にであって、『零夜』にではないのだから。
「死ね!」
レイラは怒り、刀を何度も振るって先ほどと同じ斬撃を無数に放つ。
この斬撃は、おそらく先ほどのすり抜けた斬撃だ。それに斬撃がすり抜けたと言うのに直接的な攻撃は通った。おそらくは
フィフティーンは横に走り斬撃を避け続ける。
追撃をしようと地面を蹴り跳躍する。
「ようやく来たかゲレル!」
レイラは自分に迫って来たゲレルをただ待つ。だが、気迫だけは十分だ。
フィフティーンが黄泉丸を振るい、レイラはそれを片手で受け止めた。
『くッ』
「はぁ!」
黄泉丸を掴んでいる手に気を取られている隙に、レイラはフィフティーンに足蹴りを喰らわせる。
作用の力がそのままフィフティーンを後方へと吹き飛ばす。黄泉丸を地面に突き立てることによって強制的に勢いを殺した。
黄泉丸を地面から抜いたフィフティーンは両手で黄泉丸を持ち空を飛び、黄泉丸を振るう。
「単純!」
そう叫んだレイラは、動かない。どう考えても罠だ。おそらくアレになにか意味があるに違いない。
何故そう思うのか?何故なら、この短時間の間剣を交え、零夜はレイラを強者と認識しているからだ。
そのまま重力に従い、剣はレイラに振り下ろされる―――。
『なッ!?』
―――瞬間、
縦に振り、レイラの体を縦に裂くはずの剣が、すり抜けたのだ。そのまま黄泉丸は勢いよく地面に刺さる。
「お前は学習と言うものがないのだな。私の能力を強制突破した癖に」
レイラは脚で黄泉丸を踏みつけて固定する。フィフティーンは抜こうと力を入れるがビクともしない。
「何故私は…お前のような奴に!!」
怒りに任せ、脚で黄泉丸を固定したままレイラは連続で刀を振るい、フィフティーンの鎧を傷つける。
『グァアアアアアア!』
火花を散らしながら地面に引きずられ、黄泉丸から手を放し地面に転がるフィフティーン。少しヨロヨロとしながら立ち上がる。
それを見届けたレイラは黄泉丸を片手で持つ。
「……お前が持つには勿体ない業物だな、ゲレル」
『返せ…!』
「返せ?私がお前の言うことなど聞くと思うか?愚かだな。私の言い分を聞かなかった貴様の言うことなど、私が聞く耳を持つと思うか?」
黄泉丸の先端をフィフティーンに向ける。武器を奪われた以上、こちらが不利になる――
が、それだけで焦るフィフティーンではない。
『武器なら他にある』
ベルトからロックシードを取り外し、ひときわ大きいロックシードを取りだし、ロックを解除する。
頭上からファスナーが開き、そこから【仮面ライダーウィザード】の顔が降りてくる。ロックシード―――【平成15ライダーロックシード】をベルトにセットし、ロックする。独特なギター音が鳴り響き、カッティングブレードを振り下ろす。
ウィザードの顔がフィフティーンの頭に被さり、それが展開して鎧となる。
【ウィザードアーマー】へと姿を変えたフィフティーンは【ウィザーソードガン】と【アックスカリバー】を装備する。
「これまた随分と奇怪だな。まぁ貴様のような外道がどんな力を手に入れようが、今度こそ私が貴様を滅ぼす!」
『それはもう聞き飽きたぞ』
フィフティーンが言葉を終えた瞬間、レイラの周りに紫色の魔法陣が出現し、そこから鎖が召喚されレイラを拘束する。
が、拘束した瞬間に鎖がレイラの体をすり抜け、拘束から解放される。
『(透明化の能力?だが体が透けたようには見えなかった。鎖も実体があるまますり抜けたし、意味分かんねぇ)』
能力の解明に勤しむも、全く詳細が掴めない。今のレイラを拘束していた鎖は、レイラの体や武器を貫通して地面に落ちた。つまり
考えられるは黄泉丸も実体を失っていたと考えるべきだろうか?
『くらえ!』
フィフティーンはアックスカリバーを頭上で振り回すと同時に、紫色の光輝く粒子のようなものがアックスカリバーに纏わりつくと同時に巨大化していく。
それをレイラに向かって振り下ろした。
「はぁああああ!!」
レイラは跳躍し、振り下ろされたアックスカリバーに乗り、駆ける。
アックスカリバーから手を離したフィフティーンは同じくアックスカリバーに乗ってレイラと相対する。
お互いの剣の刀身がぶつかり合い、火花が散る。その間にレイラは黄泉丸を逆手に持ちフィフティーンへと突き立てる。
それをフィフティーンは膝蹴りで黄泉丸を吹き飛ばす。
『ふん!』
「なッ!?」
二人を中心に暴風が巻き起こる。暴風に気を取られた隙にフィフティーンはレイラを足蹴りし、暴風へと巻き込ませた。
その
この暴風はフィフティーンがウィザードの能力で起こした風だ。鋭利な刃のように切れる風。この中に巻き込まれたらタダでははすまないだろう。そう、巻き込まれていたら。
「こんなもので、私がやられると思っているのか…!」
轟音を響かせながら回転する暴風の中からゆっくりと、歩きながら現れた。
怪我はほぼしていないと言ってもいい状態で。多少の切り傷と、服が切れているだけ。逆にそれ以外の目立った外傷は見受けられなかった。
あの斬撃の塊とも言ってもいい暴風の中、軽傷でいること自体あり得ない。怪我をしていると言うことは防御力はそれほど高くはない。なら大怪我をしていない理由はやはり『能力』。これしか考えられない。
「邪魔だ!」
レイラは今だに回っている暴風を
『台風を斬るとか…。それも能力か?』
「はッ!この程度、能力など使わずと斬れる」
『普通自然のモノは斬れねぇよ』
そうツッコミを入れた後、フィフティーンはロックシードを取り外し、わざわざロックした後、再びロックを外す。
【ブレイドアームズ】へと姿を変え、【ブレイラウザー】と【キングラウザー】を両手に持ち、構える。
フィフティーンに雷が走り、瞬時姿を消す。
「高速で移動したか」
消えたトリックを即座に見抜いたレイラは、周りを見渡す。
ブレイドの使用するカードに、【マッハ】と言う速度上昇系のカードがある。それを用いて速度を強化したのだ。
「そこだ!」
レイラが刀をとある方向に振ると、そこから金属がぶつかり合う音が響く。
『速度上昇じゃあダメか』
「当たり前だ。お前の人智を超えた速度はもう見切った」
レイラは過去にゲレルと相対し、【光を司る能力】である程度の速度の攻撃は対処できるようになっているのだろう。
光はすべての速度を超える。故にその光を司り負けた相手のことを、対処するために特訓を怠っているはずがなかった。
『だが、これは先ほどの状況と似てやしないか?』
「ッ!」
先ほど、レイラは自身の刀と黄泉丸を持っていて、この状況でフィフティーンに黄泉丸を突き立てようとした。
逆に今の状態は、レイラは自身の刀しか持っておらず、フィフティーンはブレイラウザーとキングラウザーの二つの武器を持っていた。
つまり、前と同じ状況と言うことだ。
『くらえ!』
キングラウザーの刀身が紫色のエネルギーを纏い、レイラへと振るわれる。
「はぁ!」
レイラもそれを素手で受けとめ、力比べになる。
―――本来、エネルギーを纏っている状態のキングラウザー―――必殺技に対抗するためにはかなりの単純な力が必要だ。それにエネルギーを素手で受け止めているため、それだけでも痛みが発生している。だからこそ、フィフティーンは驚愕している。何故なら―――
「やはりお前は愚かだな…ただ力を上乗せした程度で、私がやられると思ったか!」
レイラは平然としていた。フィフティーンはレイラの手を見ると、そこには可視化のオーラのようなものを手に纏っていた。
「私だけではない。この世界の住人はこういった力を使うのが得意だ。私の場合は妖力だがな!」
この世界の人物たちは特別な力を持っている。それは最早分かり切っていることだ。故に、自分を有利にするためには使える手はすべて使うのが自然である。そういった単純かつ明確なことを完全に視野から除外していた。
『だったら!』
フィフティーンはカッティングブレードを一回振り下ろす。
全身に紫色の電撃が纏われる。ブレイラウザーを投げ捨て、そのまま電撃が拳へと集中し、そのまま拳をレイラへと振り下ろす。
同じく片手の開いたレイラも己の拳に妖力を集め、フィフティーンの拳とぶつかり合う。
それは衝撃を生み出し、すべてを蹂躙する力が発生する。お互いは拳にさらに力を籠め、さらに力を増していく。そして、爆発する。
二人の体は吹き飛ばされる。レイラは脚に力を入れて強制的にスピードを落とす。レイラは目の前の煙を見る。そこから出てくるであろうフィフティーンを警戒してでの行動だ。
ギター音が響き、煙の一部が晴れる。そこにはキックの体勢を取り、片脚に紫色の電撃を纏っていた。レイラの予想は斜め上の結果で当たっていた。
舌打ちをし、刀に先ほど以上の妖力を溜める。
あの斬撃、あれは能力ではなく妖力を飛ばした斬撃こそが今までの斬撃の正体。つまり妖力の塊。刀に妖力を凝縮させ、刀身に留まらせる。
フィフティーンのキックと、レイラの攻撃が激突する。
『ハァアアアアアア!!』
「ガァアアアアアアア!!!」
お互いの叫びが響き、爆発音が響く。その結果、ダメージを負ったのは―――
『グァアア!』
フィフティーンの方だった。そのまま地面に転がり、アームが解除される。
「あの程度の攻撃で、私が負けるか!」
『じゃあ次はこれだ!』
ロックシードのロックを外し、ドライバーにセットする。【仮面ライダーアギト】の顔が表れ、カッティングブレードを振り下ろす。
【アギトアームズ】へと姿を変えたフィフティーンは【フレイムセイバー】と【ストームハルバード】を装備し、両方の装備に紫の炎と風を纏わせる。
そのままフレイムセイバーとストームハルバードを突き出して、紫の
「無駄だ!」
レイラは炎風の渦をそのまま突っ切る。普通に見たら自ら灼熱地獄に飛び込んでいく愚か者の絵図だ。だが、そうではないことはフィフティーンは分かっていた。
フィフティーンが攻撃を中断してレイラの残状を見るが、どこも外傷もなく服も無傷だった。先ほどと全く変わっていない。
『やっぱり攻撃そのものが効いてねぇ…。だが完全にってワケじゃない…。一体なんなんだよあの能力!?』
分析している合間にも、レイラはフィフティーンを攻撃しようとこちらへ向かってくる。
今の炎風の攻撃は、全く効いていなかった。今までの状態を見て分かることは、彼女の能力は『一時的な無敵』だと言うことだ。
その考えに至った根拠は簡単。『レイラそのもの』に攻撃が通らないのなら服には攻撃が通るはず。今の炎風で全く服が傷まなかったのその証拠だ。
故に、『レイラと言う存在自体』を一時的な無敵にする能力ではないだろうかと推測しているのだ。しかも、一時的な。
一時的だと言う理由も簡単だ。なぜならウィザードアームズの攻撃の際に、彼女に攻撃は通ったからだ。だから永続的な無敵ではない。
それで導き出される推測は―――
『お前のその能力、空間系か』
「ご名答!そして死ね!!」
レイラから返ってきた返答は、答えと死刑宣告だ。フィフティーンの目の前で刀が振り下ろされ、二つの武器でそれを防ぐ。
そして今、彼女は認めた。自分の能力が空間系の能力であると。
『まだ詳細は分からねぇが、お前は空間を操って攻撃から逃れてたってことか!』
「あぁそうだとも!だが、お前にはあのとき強制突破されたがなぁ!」
憤怒を交えた声と共にフィフティーンが押されていき、やがて力で負けて後ろへ吹き飛ばされる。
そして、レイラの発言―――『ゲレルに強制突破された』と言う発言の意味がようやく理解できたときでもあった。
ゲレルの光を司る能力ならば、光を超える速度で動ける。
よくアニメで、「早すぎて時間を超えてタイムスリップした」と言う場面がある。【十六夜咲夜】曰く、「時間と空間は密接に関係している」とのことだ。その法則を利用したのだろう。
限界を超えた速度で彼女の空間系能力を強制突破したのだろう。
「だが、私の能力をある程度理解したからなんだ。力では完全にお前は押し負けている」
『チッ…!』
そこで、一つ謎が、不可解な部分が生まれる。
フィフティーンのスペックはアルティメットクウガほどではないにしても、妖怪にしては体力的に雑魚で人間以下のゲレルが、どうやって彼女に勝ったかが疑問だ。
体力を能力で補い舐めプをしていたゲレルと、体力的にも戦闘経験的にも豊富で、強者なレイラ。そんな圧倒的な差がある中で、どうしてゲレルはレイラに勝てたのだろうか?
考えられる可能性としては光を司る能力でゴリ押しした可能性だ。だが光を使った光熱線などは光と同等の速さなために空間を突き抜けるほどの速度はない。空間を超えるには光を超える速度が必要だ。放射性の攻撃ではそれは不可能。
だが、ゲレルは主にその攻撃を用いて戦っていた。光で造った剣や槍も質量はないはず。故にゲレルでも扱いやすかったはず。拳での戦闘など論外だ。唯一自身の体に光の力と己の体力を混ぜれば、光の速度を超えれた可能性がある。だが体力的に雑魚なゲレルがそれをできたとは思えない。
そのままで行けばレイラが勝てたはずなのに、結果はゲレルの勝利。つまり、ゲレルがなにか姑息な手を使ったのかもしれない、とフィフティーンは過程する。
『―――お前には聞きたいことができた。無力化させてもらう…!』
「無力化だと?貴様が?そんなことさせるわけがないだろうが!」
レイラは地面を駆け、超スピードで移動する。自分の周りをウロウロと。おそらくは翻弄だろう。
この時点でスピードで負けている。ならば、勝てばいいだけだ。
【カブトアームズ】へと姿を変え、【クロックアップ】による超高速を行う。
そこで初めて分かった。レイラがどれほどの速度で動いていたのかを。
「…その鎧を変える戦法、厄介だな。それで臨機応変に戦場に適応するワケか」
『…ここはクロックアップの空間だぞ?なんでさも当然のように会話出来てんだ?』
「できるから。それ以外に答えは不要だ」
なんと彼女は、クロックアップの中でもフィフティーンと会話ができたのだ。
そもそもクロックアップとは高速行動能力であり、使用者以外の世界すべてがほぼ止まって見えるほどに感覚すら早くなる。
そんな状態の中で、彼女は平然とフィフティーンと同じ土俵に立っているのだ
『空間系能力…時間と空間が密接に関係しているとは言え、これは流石に予想外だ』
今現時点で分かっていることはレイラの能力が空間系の能力と言うことのみ。
その空間系能力がどのように事象や自身に影響を与えるのかが謎だ。フィフティーンの攻撃の一時的な無効化とクロックアップ空間への適応。レイラの空間能力が謎過ぎる。
『一撃必殺でぶっ飛ばす!』
「やってみろ!」
フィフティーンの片足にタキオン粒子が集中する。地面を駆け、レイラへと向かう。
対してレイラも構えを取り、目を閉じ瞑想する。
―――回し蹴りと横一文字が炸裂する。
地面が砕け、石ころが消滅する。
光で目が見えない中、最初から目をつぶっていたレイラが刀を持っていない方の手を広げ、妖力を放出し、自身の体を後方へと押し出した。
それと同じに、マゼンダ色の斬撃がレイラのいた場所へと振り下ろされる。
【ライドブッカー・ソードモード】を振り下ろす、【フィフティーン・ディケイドアームズ】の姿がレイラの目に映る。
フィフティーンは刹那の間に【バッシャーマグナム】と【デンガッシャー・ガンモード】を装備し引き金を引く。放たれる弾丸をレイラは刀で弾きながら移動する。
「このような邪道の武器を使うとは、流石に汚いな!」
剣士からしたら、銃の存在はあまりいいものではないだろう。幻想郷に銃はないはずだが、どうやって知ったかは分からない。
一通り撃ち終わった後、【音撃棒烈火】を装備し先端に炎を纏い投擲するが、レイラを貫通して石畳に直撃して爆発する。
『ちッ!』
「はぁあ!」
再び入る横一文字の飛ぶ斬撃。【パーフェクトゼクター・ソードモード】と【アームドセイバー】を装備し、全力で振るう。虹色の刃と燃え盛る炎の剣技がレイラの斬撃を消し飛ばそうとするが、それも再び貫通する。
それを見たフィフティーンは
『グホォッ!』
―――
斬撃とはそのままの意味で斬ること。それが、フィフティーンの体内―――つまり生身にまで到達した瞬間に、痛みが走った。
レイラの斬撃は、鎧を貫通して生身へと至ったのだ。
『ガッ…!』
仮面の奥で血反吐を吐き崩れる。
意識が少し朦朧とし、景色がかすれていく。
「私は任意で具現化する。今までの攻撃を見て学習しないとは、見ていて清々しいぞ」
『なるほど、な…』
「――――?」
『お前今、『具現化』っつったよなぁ…』
「そうだが…それがなんだというのだ」
『分かったぜ。お前の
「……ッ!まさか貴様、それを確認するためにあえて!?」
そう、これもフィフティーンの思惑通り。今までの攻撃の規則性を考えた結果、ある一つの答えにたどり着く。途中で本人が自ら正解だと言ってくれた空間系能力のことも踏まえれば…。
「ならば、聞かせてもらおうか。剣士たるもの、常に冷静であれ。この言葉に従おう」
今に覚えばレイラのこの考え方はすごく、素晴らしい。
零夜をゲレルと勘違いしているとは言え、復讐したい敵を目の前にしても、その理念を通そうとする彼女の志が。これは、理想の剣士像と言ってもいいし、知恵ある生き物の美点と言ってもいい。
ゲレルと女性の間になにがあるかは、あの男の性格上、簡単に予想がつく。ついてしまう。口に出すことすらおぞましい
だが、彼女はそれを行っている。よほど心の強い人物なのだろう。
『その前に、一つ聞きたい』
「…………」
『お前はどうやってゲレルに負けた?』
「…………」
闘いの最中でも気になっていた点。レイラは強者だ。零夜が手こずるほどに。もしかしたら負けるかもしれないと言うマイナス的な自身もあったりする。それほどまでに彼女は強いのだ。
ゲレルのことなので卑怯でずる賢い手を使った可能性もあり得るが、それでも彼女を倒せるかどうかは分からない。
フィフティーンが―――究極の闇がゲレルに勝てた理由は対極の力を駆使し、体力的な差の圧倒的なごり押しだ。それ以外なら負けていたかもしれない。レイラにも究極の闇―――クウガアルティメットの姿で戦えば余裕で勝てるかもしれないが、あの姿は何気に体への負担が大きすぎるため、零夜自身あまり使いたがらない。
だからこそ考えた。レイラがゲレルに負けた理由を。だがわからなかった。ならば、本人に聞くのが手っ取り早い。
『お前ほどの強者なら、ゲレルに負けるはずがない。ヤツの光を司る能力だって、お前の能力で直撃しないようにできたはずだ』
「……………」
『くどいようだがもう一度問おう。お前は何故ゲレルに―――』
―――その先の言葉は、遮られた。レイラの斬撃によって。
体を逸らしてギリギリで避けたフィフティーンは、レイラを仮面越しに睨む。
『おい!話の途中だろ!それにさっきの言葉はどうしたんだよ!』
「―――前言撤回だ。よくよく考えれば、貴様のような下種に剣士の志など、勿体ない。よくもまぁ本人の口から私が敗北したときのことを言えたものだな!ヌケヌケと嘘を言う!実に貴様らしい!」
『嘘?全部本当だっつの!』
「黙れゲレル!やはり貴様は世に存在してはいけない外道だ!」
『俺はゲレルじゃねぇ。それに第一、ゲレルは俺が倒した』
「嘘をつくな!ではその魂はどう説明を付ける!?」
レイラが零夜のことをゲレルと確信づけている理由は『ゲレルの魂』だ。これがある限りレイラの零夜=ゲレルと言う方程式は崩せない。
だからこそ、根本から訂正する必要がある。
『この際だから教えてやる。俺には魂を吸収する能力がある。その力で、ゲレルの魂を吸収したんだよ』
ここであえて真実を話すことで、信用を得ようとしている。悪人に信用など無用だが、それでもレイラに『目の前にいる人物はゲレルではない』と信じさせるためには真実を話す他ない。
フィフティーンはレイラの反応を見る。その顔は疑惑と驚愕で埋め尽くされていた。確かに、そんな話すぐに信じられるわけがない。
「―――確かに、他の魂が混ざり合っていることは不思議に思っていた。お前の言葉は辻褄が合っている。では、ゲレルではないとしたら、お前はなんだ!!」
『究極の闇』
「ッ!!」
今ここで、初めて目の前の存在、レイラへと自分の正体を明かすことができた。
それを聞いたレイラは―――
「そうか…。そういうことか。なるほどな」
『どうした?』
「―――こちらからも一つ聞こう。1000年前、お前はゲレルを討伐し一人の女子の妖怪を連れ去ったそうだな」
『それがなんだ?』
「ゲレルが死んだと聞いたとき、私はもう輪廻から外れる必要はないと、輪廻転生の輪に行くつもりだった。まぁ二人に阻止されたがな。しばらくして、ゲレルの魂がどこにも存在していないことが発覚した。ゲレルの魂だけではない。それとほぼ同時期に大量の妖怪の死骸が見つかったらしいが、その妖怪たちの魂は一個も冥界へと来ることはなかった。全部、お前の体に閉じ込められているのだな」
急に過去を語り始めたレイラに、フィフティーンは困惑する。一体なんの意図がありこの話をしているのだろうか?
「あのとき、最初から気づくべきだった。『
『つまり、
「違う。それは剣士の―――私の生き方に反する。ゲレルの魂がお前の中にあると分かった今、やることは一つ!」
―――虚空からもう一つ、刀が出現する。その刀は、今までレイラが使っていた刀とは違い、刀身が小さい。所謂短刀と言うものだ。だが、その刀身は常に光り輝き、幻想的な雰囲気を放っていた。
「―――ゲレルの魂を、貴様の中から引きずり出し、私自らの手で消滅させる!」
『二刀流…!?』
「私の本領発揮は二刀流だ。貴様の刀は私には相性が悪すぎる。やはり自分の刀が一番だ」
――レイラは本来、二刀流だ。
彼女が二刀流を披露する相手はそれ相応の敵と判断したときのみ。
「鎧の力の把握のためにあえて一刀流で勝負をしたが―――今となっては話は別。究極の闇よ!紫殿の愛すこの世界を、破壊させたりなどしない!私が、斬る!」
『いいだろう。ようやく誤解も解けたとこだ。本気でやってやる!』
【鎧武アームズ】へと姿を変えたフィフティーンは黄泉丸と大橙丸を装備する。
レイラの本気。それだけで空気が変わった。先ほどのようにはいかないだろう。
だが、能力の種は
二人が地面を駆け、己の刃が炸裂する――――。
「なッ!?」
『くッ!』
――――とき、武器が地面から生える。
突如として無数の武器が地面から生え、二人の行く手を両断する。
『この武器は…!!』
「誰だ!!」
レイラは確実にいると確信した乱入者へと声を荒げる。
フィフティーンも武器の登場に驚愕していたため、フィフティーンの能力とは思えない。つまり、乱入者がいるはずだ。
レイラの言葉の後、なにかを引きずる音が響いた。その音の発生源は階段から。
なにかがこちらに、なにかを引きずりながら向かってきていた。その音だけで、それを脳が強制的に、自動的に理解した。
時が流れ、その存在の一部が見える。白いフードを深々と被った、謎の人物だ。
「あれ、まだやってんだ。もうこっちは終わっちゃったよ」
その人物から発せられた声は、強気で貫禄のある男性の声。
謎の人物はなにかを引きずりながら、階段を上っていく。
『お前か…!そうかそういうことか!スカルの時妙にイライラしたのは!』
「貴様、何者だ!」
「君に語ることはなにもない」
その人物は冷徹に、冷静な声色でそう言い放つ。
「こっちは早く終わったから来たんだけど、こいつらあんま大したことなかったな」
その人物―――彼はさらに歩みを進め、全体像が見えてくる。最初から見えた通り、全体的に白い服装をしていた。
白い服に白いズボン、白い手袋をつけ、フードの奥からでも見える白髪。そして、その白髪で隠れながらも、ちらりと見えた、深紅の瞳の男性だ。
―――そして、それと同時に引きづっていた何かの正体も、自然と分かった。
「―――――ッ!!」
だからこそ、怒った。憤怒した!憤慨した!
「貴様ァァァアアア!!その方に何をした!」
「なにって――倒した」
レイラの問いかけに謎の人物は平然と答える。その答えが、さらにレイラを困惑させる。そしてその困惑が怒りへと変わる。
「案外弱かったなぁ。幻想郷の賢者が聞いて呆れるよ」
呆れたようにいう彼の手にある命。それは―――
「紫殿!!藍殿!!お二方を離せ!下郎ォォオオ!」
その人物の手に握られていた命。
それは幻想郷の賢者【八雲紫】と、その式神である【八雲藍】だった。
幻想郷のトップクラスの人物たちが、謎の人物の手に、血まみれの状態で握られていた。
なに話してるかわからないのは後々面倒なんで取り消しました。
フィフティーン CV【板尾創路】