それでは、どうぞ!
「――――」
「仮面ライダー……ベノム、だとぉ?」
臘月が、疑惑の声を上げる。
【仮面ライダーベノム・デッドリーバジリスク】。それが、今のシロの名だ。
『そうだ、『俺』の力だ。お前も、自分の息子にライダーの力を持たせていただろ?』
「あぁ、アレか。俺には俺の力があるからいらなかったからあいつにやったが……随分駒として動いてくれたよ。あいつに渡して正解だったな」
自分の子供すら、駒としてしか見ていない臘月に、ベノムは不快感を覚える。彼に向ける負の感情は、もうとっくに許容範囲を超えてオーバーヒートしている。
生かす価値など、ない。
『最後に一つ……あのライダーの力は、どうやって手に入れた?』
「なんで俺がそんなこと教えなくちゃいけないんだよ。大馬鹿かお前」
だんまり。予想はしていた。だったら、無理やり聞き出せばいいだけだ。
ベノムは、ベルトの中心にある本のページを押した。
ベノムの胸部の蜘蛛の目が、怪しく光る。
すると突如、蜘蛛の口から漆黒の糸が飛び出る。それはベノム、臘月、『圭太』を囲むように四方八方に移動していき、定型的な蜘蛛の巣が百個つながっているような―――百面ダイスのような形になって、三人を閉じ込めた。
漆黒の蜘蛛の巣は毒々しいオーラを帯び、外界の景色を、完全に遮断した。
「なんだ、これは…?」
『『蜘蛛籠』……『俺』の土俵。入ったら最後、お前たちは出ることはできない』
「へッ、そんなの誰が信じるか。そういう虚勢ってさ…聞いてると不愉快なんだよ!」
臘月が腕を振りかざすと、衝撃波と暴風が横に凪って来た。
ベノムは咄嗟にジャンプし、それを避ける。が、臘月の狙いはこの糸の籠の破壊。攻撃が、籠を破壊する―――ことはなかった。
衝撃はそのまま掻き消え、なにもなかったかのようになった。
「なッ…!?俺の攻撃が通じないだと!?」
『お前の『権能』がどんなのかは知らないが、無意味だ』
臘月が天井を向くと、そこには蜘蛛のように糸に手足を張り付けてこちらを見下しているベノムがいた。
「ふざけんなッ!おい『零番』、この糸を焼き焦がせ!」
「―――――」
『零番』の両手に、金色の雷が発生する。雷は威力を徐々に増していき、四方八方に広がった。
糸は誰もが知ってる通り炎に弱い。熱を発生させる雷は、蜘蛛の糸の弱点だ。しかも、シロと互角にやりあった、
またしても、変化なし。
「はぁ!?おい、もっと出力を上げろよ!そんなこともできねえのか!」
怒りを露わにした臘月が『零番』に八つ当たりをしようと拳を振り上げる。
―――が、その寸前で止まった。
臘月の腕には、漆黒の蜘蛛の糸が繋がっていたのだ。臘月は咄嗟にその方向を見ると、胸部の蜘蛛の口から、この糸は繋がっていた。
『『圭太』に手を出させるかよ…クズ野郎』
ベノムが臘月の腕と繋がっている糸に、右手で触れた。
糸を経由し、紫色のオーラが臘月に伝ってくる。そのオーラが臘月の腕に到達すると、突如腕が紫色に変色した。
「えぇ!?え、えぇ!!あぁあああああああ!!!」
それを見た瞬間、臘月が子供の癇癪の様な声を上げる。
「な、なんだよこれ!?おかしいだろ!?俺の『権能』は『無敵』のはずだぞ!」
『さぁ、なんでだろうな?』
「どういうことだとてめぇ!教えろよ!」
『教えると思うか?』
「てめぇゴミ野郎!人が教えろっつってんだから教えろ!」
『―――お前はつくづく駄目人間だな』
先ほどこちらから質問したのに、答えなかったヤツに言われたくない、とベノムは思う。
ベノムは再び真ん中の本のページを押して、胸部―――【スパイダーネイル】の能力を発動する。能力は先ほど見せた通り、糸を自動生成する能力。
その糸は強靭で、何人たりとも断ち斬ることができない。そして、それはある
スパイダーネイルから糸を放出し、隣にいた『零番』を拘束した。
『お前を出来るだけ傷付けたくないからな、そこでじっとしていろ!』
「――――」
『零番』が糸を焼き焦がそうと雷を発生させるが、糸に変化は微塵もない。
その隙に、糸の壁を跳躍し臘月に向かって剣を―――【猛毒剣毒牙】を振るう。
―――【猛毒剣毒牙】。剣単体の能力としては、毒を纏った攻撃を行うこと。
そしてその種類は、無限大。毒と定義されるもの、全て。
臘月が咄嗟に、その剣をまだ無事な方の腕で防いだ。刀身を素手で掴んだと言うのに、臘月の肌は傷ついていなかった。
が、それも外面的な話だ。剣に触れているところから、もう片方の手と同じように紫に変色した。
「アアァアアアアアア!!なんだよ、なんなんだよこれ!?」
『さぁな、自分で考えてみな!』
瞬間的に、右側の本を引き抜き、剣にかざした。
『死滅覇毒斬!』
禍々しき毒を纏った刀身が、臘月を襲った。
――しかし、目の前に『零番』が現れ、
神々しき槍が、禍々しき色に染まると同時に槍を手放し、臘月を退避させた。
それでも、少量の毒が、『零番』の体に侵入していた。
が、今は別の問題がある。
『『圭太』…!?どうやって……!』
『零番』は確かに拘束したはずだ。先ほどまで『零番』が拘束されていたところを見ると、簀巻き状態の糸が転がっているだけだった。
焼き切れた跡もない。つまり―――。
『関節を外して、脱出したのか…!』
関節を外せば、体が柔らかくなって原型を留めず、脱出することは可能だ。
甘かった。認識が。
『外す際の激痛も、他の『権能』でカバーしてるな…。だが、お前に関節を外す技術はなかったはずだが……
一人納得したベノム。
だが、『零番』はともかく、臘月は時間の問題だろう。いくら臘月が『無敵』の『権能』を保有していたとしても、
そして、ベノムの特徴の一つ。右側の武装―――【バジリスクメイル】は、一言で言えば、全身が猛毒だ。
バジリスクの毒は非常に強力で、匂いにより他のヘビを殺し、息に含まれた毒は石を砕き、さらに馬上の人が手に持った槍でバジリスクを突けば槍を伝った毒がその人を殺しさらに馬すら殺すという古代の伝承に
二人を見比べる。
臘月の体は、両腕が毒に犯され、額に脂汗をかいている。
一方で『零番』の両腕は、緑色の光が毒を解毒しようとしている。
臘月は自身の権能を『無敵』と言っていた辺り、回復薬などを持っているはずがなかった。
「あり得ねえ…あり得ねぇ!!どうしてだ!?どうして俺の体が…!」
『そんなお前にプレゼントだ』
ベノムは左の本のページを押した。
ベノムの周りを取り囲むように、毒々しい色のリンゴのエネルギー体が7つ、浮遊する。
『はァッ!』
壁を最大限に利用して、頭上から臘月に向かって落下する。
が、当然のように『零番』が邪魔をする。空中での攻防。ベノムは浮遊しているリンゴを一つ手に取り、『零番』に投げた。
避ければ臘月に当たる。割れば臘月に当たる可能性がある。つまりは―――甘んじてその身に受ける。
『零番』に直撃したリンゴが、形を崩して『零番』の体に侵入する。
すると、『零番』の体が、地面に落ちる。落ちると同時に、『零番』の体が動かなくなる。
「おい、何してる!さっさと動けよ!!」
『無駄だ。今のリンゴは麻痺の効果を持つリンゴ。関節を外しても無意味。回復には時間が掛かるはずだ』
左側の力―――【スノーホワイトメイル】。この元ネタは【白雪姫】だ。
毒リンゴで殺された
その過程で出現する毒リンゴと、七人の小人をかけた能力だ。
その能力をベノムが指摘すると、臘月は頭を掻きむしった。
「あぁああああ!!なんでだ!なんでこうなる!なんだ、なんなんだよお前のその力はぁああああ!!?」
自分の能力が『無敵』だと思っていたからこその、動揺と混乱。
自分の力が通用しない相手に向ける、恐れ。
それが、臘月が久々に感じた、感情――――恐怖だ。
「冥土の土産に教えてやる…。俺のこの力、ベノムの最大の特徴。それは―――」
「全ての転生者に対して効果を発揮する……『転生者キラー』だ」
* * * * * * * *
【転生者キラー】。
その名の通り、転生者に対して効果を倍にする能力だ。ベノムの毒の能力は毒に強力な耐性を持っている相手にはほぼ通用しないが、転生者に対しては別だ。
しかし、この能力の本質は別にある。転生者キラーの最大の特徴は―――。
『―――転生者キラー――‐【猛毒剣毒牙】の最大の特徴は、『権能』の弱体化だ』
「『権能』の、弱体、化……?」
『これで、お前の『無敵』の『権能』も弱体化したってワケだ。そして、それに際限はない。弱体化したから、攻撃が通じたってワケだ』
―――『権能』の弱体化。それを聞いた臘月は、唖然となった。
しかも、それが際限がなければ、極限まで弱体化され、最悪の場合『無効化』に等しくなるまで弱体化できると言うことだ。
「はぁあああああ!!?ふざけんなよ!!なんだよそれチートじゃねぇか!!ずりぃぞてめぇ!今すぐ変身解除して同じ土俵で戦いやがれ!」
『じゃあ聞くが、俺が変身解除したら『無敵』を解除するのか?それだったら、考えてやってもいいがな』
「は、何言ってんだよお前!俺の『権能』とお前の『権能』、同じ『権能』使用者って時点で同じ土俵だろうが!そのくらいのこと考える頭もないのかお前!」
つくづく呆れる。『無敵』と言うチートを使っている時点で、なにが同じ土俵だろうか。
チートをチートで返す。それの何が悪い。それに、これは模擬戦でも何でもない、ただの殺し合い。卑怯だとか不利だとか、そんなの関係ない。
『じゃあ、交渉は決裂だ!』
糸の壁を利用し、跳ねて、跳ねて、跳ねて、臘月を攪乱させる。
狙い通り、臘月は混乱していた。弱体化しているのも相まって、臘月の基礎ステータスはかなり弱体化しているために、ベノムを目で追うことができないのだ。
狙うは背中。剣を振りかざした。
「ぐぎゃぁあああああ!!」
背中から斜めに鮮血が飛び散ると同時に、臘月が悲鳴を上げる。
血しぶきの間から、臘月の赤々な肉が見える。そして、その肉が紫へと変色する。毒に犯された証拠だ。
『まだだ!』
右側の本のページを押す。ベノムの右腕が毒々しいオーラに包まれると同時に、臘月の首を掴む。
臘月の首から、徐々に紫に変色する。毒のオーラが臘月の体を伝っているのだ。
『死ね、臘月!!』
「ふ、ふざけんな…!死んでたまるかぁあああ!!」
臘月が、ベノムに足蹴りを喰らわす。
足蹴りの衝撃がベノムの全身に伝わり、ベノムを後方へと後退させた。それ同時に、臘月から手を放してしまった。
―――が、ベノムの体が糸の壁に触れた瞬間、衝撃が霧散した。
「ハァ…?」
『驚いたぞ。まさか、まだそれほどの力があったなんてな。だが、さっきよりは格段に威力が落ちている。まぁ、この糸の壁のおかげでもあるんだがな』
実は、この糸の壁は、敵を閉じ込めるだけではなく、中にいる転生者の『権能』の効果を下げる効果を持っている。
それのおかげで、ベノムは壁に触れた瞬間衝撃が霧散したのだ。
ベノムは猛毒剣毒牙を納刀し、剣についているトリガーを押し、再び抜刀した。
毒々しきオーラを纏った剣を二回振るい、クロス状の斬撃が臘月を襲う。
体が弱体化している臘月は、それをまともに受け、後方に飛ばされ、糸の壁に激突する。
同時に、臘月が吐血した。毒が、転生者キラーの毒が全身に回り出した証拠だ。
「ふざけ……んな!ふざけんなふざけんなぁああ!!こんなこと、こんなことあっていいわけがねぇ!」
『そこまで叫べる元気があるとは……転生した際の身体スペックもいじったな?まぁ、この力の前では無意味―――』
『これで、終わりだ!』
再び納刀し、トリガーを押し、再び押す。
跳躍して飛び上がり、右足を突き出し、キックの体勢になる。
その過程で、糸の壁から太く強靭な糸まるで生きているかのように、臘月に巻き付き、四肢を拘束した。
七つの毒々しきリンゴがベノムの周りを浮遊し、ベノムの後ろには、紫の半透明の大蛇。
大蛇がその大きな口から毒のオーラを放出し、リンゴがベノムの周りを回転し、遠心力を造った。
その勢いを利用し、ベノムが臘月に向かって、キックを繰り出した。
『ハァアアアアアアッッ!!!』
相手が拘束された状態での必殺技。
直撃は免れない。
――――そう、普通なら。
「――――ッ!」
『ッ!『圭太』ッ!?』
―――突如、目の前に麻痺させたはずの『零番』が現れた。本当に、突然だった。もう、解毒したのか。
目の前には、なにもいなかったはず。だが、本当に突如現れたのだ。まるで―――景色と、同化していたかのように、保護色のように―――。
『零番』が瞬間的に、盾を取り出した。
『―――『神器』…!』
ベノムに『神器』と呼ばれたその盾と、ベノムのライダーキックが直撃した。
毒のオーラが、全体に広がり、視界を阻む。
『どけ、圭太ァアアアアアア!!』
「―――――ッ!!」
本気を、出せない。
『仲間』を、傷付けることができない。この必殺技は、転生者に対して効果は絶大だ。だからこそ、トドメを刺せない。
相手は、『零番』は本気で臘月を守っている。このままでは、ジリ貧だ。
どうにかしなければ―――。
「チャァアアアアアアンス!!」
『零番』の体のバランスが、崩れる。
その原因は、臘月にあった。臘月を拘束していた糸が、
(朽ちている…!?)
解けているように見えた糸は、朽ちていた。
あの時だ。『零番』が、助けに入った瞬間、『権能』を行使したんだ。そして、その『権能』の力で、脱出したんだ。
バランスを崩した『零番』の運命は、一つ―――。
「――――ガッ」
直撃、だ。
ベノムのライダーキックが、『零番』の体に直撃した。
『ア、ア…アァアアアアアア!!!!』
ベノムは絶叫した。『仲間』を、手にかけてしまった。絶望して――隙を生んだ。
「死ねぇええええええ!!」
臘月が拳を振る。
当たった先は―――『零番』。
「―――ゴフッ」
『アガァ…ッ!!!』
『零番』の体を、衝撃が、攻撃が貫通して、ベノムに直撃した。
ベノムは『零番』ごと吹っ飛ばされ、糸の壁に激突して―――重力に従い、地面に激突した。
『グ、ガ…!』
ベノムは地面に這いつくばって、仰向けになった。
同時に、体から毒のオーラが放出され、元の姿、シロに戻った。強制変身解除だ。
「はは、ははははははは!!手こずらせやがって!」
「てめぇ…もう、毒が…」
「いや、クソいてぇよ。てめぇのせいでなぁ!」
臘月の体はほぼ全てが変色しながらも、それ以上の侵攻が見られなかった。
おそらく、臘月の『権能』によるものだ。ベノムの毒は、転生者の『権能』を弱体化すると言っても、完全に無効化することはできないため、力を振り絞って、毒の侵攻を止めているのだろう。いや、最悪の場合、解毒されている最中なのかもしれない。
「だが、そんなてめぇが死ぬと思うと、俺も気分が高ぶる!はははははは―――ん?」
ベノムを―――シロを倒したことによって高笑いをする臘月。
地面に伏しているシロを見下した臘月は、シロの腕を見て、首を傾げたあと、嘲笑した。
「なんだよその腕。お前も毒にやられてんじゃねぇかよ。ヒャハハハハ!!」
シロの腕―――血で汚れた白装束で見えずらいが、シロの体も、毒で犯されていた。
ベノムの毒が、使用者すら犯していたのだ。何故そんなことになったのか…。それを早く理解したのは、臘月だった。
「確か……『転生者キラー』だったか?つまり、転生者のお前もその対象ってことか!」
「――――ッ」
「その顔は図星だな?よくよく考えれば、変身するとき『諸刃の剣』って言ってたしなァ!」
臘月の推測は、何一つ間違っていない。むしろ、すべて正解だ。
ベノムの『転生者キラー』は、使用者である転生者の身すら蝕むのだ。
ベノムの『転生者キラー』は、転生者の『権能』を完全無効化までとはいかないが極限まで弱体化させる能力を持つ。
そして、それは使用者すら例外ではないのだ。つまりは、変身中は変身者も能力が最大まで弱体化される。シロ自身もチート能力が使えず、ベノム本体の能力しか使えない状態だったのだ。
さらに、とある理由から【仮面ライダーベノム】には転生者しか変身することができない。
【猛毒剣毒牙】そのものが『転生者キラー』を保有しているため、ただ触っただけでも毒による激痛が使用者を襲う。
使用者や敵対者関係なく『転生者』やそれ以外の人物らの体をも蝕み、すべてを滅す聖剣―――と言うよりは魔剣に等しい。
この剣は、まさに『諸刃の剣』だった。
「諸刃の剣を使ってまで、負けた気分はどうだぁ?俺は最高だ!調子づいてた奴が、無様に死んでいくんだからなァ!」
「クズ、野郎が…!」
「言ってろよ。どんなに泣き喚いたって負け犬の遠吠えにしか聞こえねぇ。ほら見ろ、お前が展開したこの壁も、バラバラになって消えかけていくぜ?」
小さな世界が、崩壊する。
臘月と言う名の、凶悪な獣を保管していた檻が、終わりを迎えている。
完全に、やられた。シロは心底後悔した。
ベノムの力が己の体を蝕むと分かっていても、倒したかった相手に、不意を突かれて負けた。
まさか、『圭太』ごと貫いてくるなんて―――いや、あの男の性格を考えれば、『
だが、少し期待もしていた。
『圭太』は強い。使える道具であらば、使い捨てるのを躊躇うだろうと言う、期待が。だが、そんな期待を易々と裏切り、臘月は『圭太』を使い捨てた。
地面に横たわって血反吐を吐き、皮膚が紫に変色し、瞳が充血しているシロの目に映るのは、腹に風穴が空き、血を流している、『圭太』の姿がある。
大丈夫だ、『圭太』には回復の『権能』がある、それを使えば、難なく回復できるはずだ。だから、大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫――――。
だから、目の前に集中しよう。
目の前の、愚か者の命に、終止符を打つために。
「臘、月……。お前は、一つ…間違え、た…!」
「はァ…?なにがだよ?てめぇの与太話に付き合っている暇はねェ!とっと死ね!」
「いや、まだだ…。まだ、死なない。死ぬのは、お前だ!!」
まだ、動くのは、左腕だ。右腕は、長く剣に触れ過ぎたから、駄目だ。
シロは左手を横に薙ぎ払い、爆風を生み出し、臘月を吹き飛ばし、崩壊中の壁へと激突する。
「ガっ…!!てめっぇえええええ!!何してんだよぉおおおお!!!決めたぞ!!てめぇが毒で死ぬのを見ていようと思ったが、それじゃ生ぬるい!もっと手を加えて、手っ取り早く殺してや――――ェ…?」
大声を上げた臘月の声量が、突如として小さくなった。
その理由は―――臘月の腹と喉を貫通している、三本の長刀にあった。
腹を貫通している刃は、二本。左側にあるのは、闇を具現化したような漆黒の剣。右側にあるのは、漆黒の刀身に、銀の刃を携えた【ハモンエッジ】。
最後に―――中心にある、喉を突き刺した、銀に輝く長刀。
三本の刃が、臘月の血で濡れていた。
そして、その刃はこの糸の壁の外側から伝ってきていた。
その一撃が決めてとなったのか、―――小さな世界が、完全に崩壊した。
「で、めぇ、ば…!!」
崩壊した世界が隠していた、外界の世界からの攻撃。
臘月の
「あんた、一つ間違えてるわよ」
『死ぬのは、シロじゃねぇ』
左右に居たのは、一人の美女と、鎧武者だった。
左側の、漆黒の剣を持つ女性の服装は非常にボロボロで、特に腹の部分が貫通しており、綺麗なへそが丸見えだ。だが、それでも長い黄髪をなびかせ、綺麗な紅い瞳と、誰もが見惚れるほどのルックスを持ち、服装よりも、素材が勝っている女性だ。
そして、右側の【ハモンエッジ】―――否、その全体である【無双セイバー】を持ち、赤黒い鎧を装着し、赤黒い複眼で、臘月の背中を捉えていた。
―――その名は、【ルーミア】と、【仮面ライダー武神鎧武】。
だが、臘月が集中したのは、その二人ではない。
彼の瞳に映ったのは、ただ一人。その二人にいる、銀の刃で臘月の喉を貫いた、真ん中の人物だ。
薄紫色の長い髪を、黄色のリボンを用いて、ポニーテールにして纏め、瞳の色は紫がかった赤。半袖で襟の広い白シャツのようなものの上に、右肩側だけ肩紐のある、赤いサロペットスカートのような物を着ている美少女だった。
その少女は、まっすぐな瞳で、臘月の目を見ていた。
「死ぬのは、あなただ。臘月!!」
「よ゛り゛びめ゛ぇええええええええ!!!!」
その少女こそが、臘月に復讐を誓う少女―――【
【仮面ライダーベノム】【猛毒剣毒牙】
特徴・能力 『転生者キラー』。
使用者や敵対者など関係なく、転生者であれば通常の倍の効果を発揮し、体を蝕んでいく聖剣(魔剣)。
さらに『権能』を最大限まで弱体化し、完全無効化とまではいかないが、極限まで弱体化させることができる。
ただし、『転生者キラー』の効果も相まって使用者すら能力が弱体化し、実質使用できるのはベノム本体の力のみ。
【仮面ライダーベノム】に変身できるのは転生者のみで、転生者以外は触ることすら許されず、聖剣(魔剣)から拒絶反応が出る。
転生者に与えるダメージは一回一回がかなり強力なものとなるが、変身している時間が長いほどに変身者もダメージを負う。
とまぁ、今考えられる設定はこの程度です。
次回 いろいろネタバレします。
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