東方悪正記~悪の仮面の執行者~   作:龍狐

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原作開始前編
1 転生


「……?ここはどこだ…?」

 

 

 彼の名前は夜神 零夜やがみ れいや。家族はもういない。彼はすでに()()()()()()()()のだ。ずっと薄暗い、監獄で暮らしていた19歳だ。

 そんな彼は今、何もない、ただ真っ白な場所にいる。彼は先ほどまで【絞首台】にいたはずだ。そのあとに、確か、死んで――、

 

 

「あの~」

 

 

 すると突然零夜の後ろから急に女性の声が聞こえた。零夜が後ろを振り向くと、そこには黒いフェイスベールで顔を隠している、全体的に黒い服を着ている女性がいた。

 

 

「変な服とは失礼ですね……」

 

「ッ!?何で俺の思ったことが……!?」

 

「そりゃあ私は神様ですからね」

 

「神、ね…」

 

「疑ってますね。でも、実際私はあなたの心を読みました!」

 

 

「それもそうか…」と零夜は納得する。事実、確かに自分は死んだはずだ。それなのに、息もしている。脈もある。ここがあの世でなければ、どこだと正直困惑していただろう。

 

 

「で?あんたが神だとして一体何の用だ?」

 

 

 零夜は警戒心むき出しで女神を睨む。ここがあの世だとしても、目の前の存在を信用できるかと言えば話は別だ。それに、神が本当にいるのなら自分を助けてくれたはずなのに。だからこそ、信じない。

 彼のその生気のない黒い瞳が、女神を委縮させた。

 

 

「あの、そんなに睨まないでください…。理由としては、あなたを転生させることになったからです。」

 

「は?」

 

 

 状況がつかめない零夜は困惑するしかない。

 なにせ急に女神を名乗った女性に「転生します」なんと言われても困惑するだけだ。

 

 

「……あなたは、幸せに過ごすべきでした」

 

「あぁそうだな!!全部()()()のせいだ!」

 

 

 それに憤怒し、零夜は怒鳴り声をあげる。そうだ。そうだ。アイツが、全部アイツのせいだ。アイツのせいで、父が、母が、妹が――!

 

 

「気づいたときにはすべてが遅かった…!!」

 

「………」

 

「ワケの分からない状態で、あんな……ッ!!」

 

 

 零夜は涙を流し、座り込んだ。

 

 

「…私たち神は、外界に直接干渉をすることはできません。なので、私には謝るしか…」

 

「あんたが謝ったところでもうあの時間は帰ってこない」

 

「……確かに、その通りです。ですが、私にはそうすることしかできません…」

 

「別にお前が謝ることじゃない。他人の謝られても困るだけだ」

 

「……分かりました。それで、転生させることになったのですが…」

 

「その過程の理由を教えろよ」

 

 

 零夜はきつく女神に当たる。彼には人に優しくするほどに心に余裕はない。

 転生させることになったということはすでに【体】は死んでいるはずだ。生と言う責務から解放されたとしても、彼の心が晴れるわけではない。

 

 

「これは私の独断です」

 

「独断?」

 

「はい。せめてものと…」

 

「あんたが俺にそこまでよくする理由なんでないはずだ」

 

「……私とて、あんなものを見て、ただ黙ってみていられるわけないじゃないですか…!!」

 

 

 女神も苦虫を嚙み潰したような声を出した。彼女は優しいのだろう。ベールで見えない顔が、歪んでいるのが分かる。

 

 

「……分かった。一応承諾してやるよ。それで聞きたいんだが、父さんと母さんは?あと―――いや、いい」

 

「ご両親はそのまま天国へと行かれました…」

 

「俺にもその道はなかったのか?」

 

「お二方はやり残したことはなかったため、すぐにできたのです。“あとは見守っている”と言い残していきました。ですが、零夜さん。あなたは心残りが―――ありすぎます。だからこそ、私が動いたのです」

 

「…やり残したことないって…。どんだけ心広いんだよあんたら…」

 

 

 それを聞いてか、零夜は手で顔を抑えて涙を流していた。あんなことがあったのに、心残りがない?どれだけお人よしなんだ、うちの両親は。でも、本当にないのか?

 

…いや、本来死人は現世に直接介入はできないはずだ。だから、見守る、か…。

 

 

「では、良いですか?」

 

「あぁ…。準備はいい」

 

「では、特典を決めましょう。……なにがいいですか?」

 

「そんな急に言われても思いつかねぇよ…」

 

「では……なにかなりたいものを。そこからそれに必要な能力を与えましょう」

 

 

 零夜しばらく考えこんだ後、答えを決め、女神に顔を向ける

 

 

「俺は……悪人として生きていく」

 

「……ちなみに、理由を聞いても?」

 

「…何故悪人になりたいのか、か?」

 

「そうです。そういったものに関連したものにあなたは酷い不快感を持っているはずです。なのにどうして自らそうなりたいのか、全く分かりません」

 

 

 女神にとって、素朴な疑問だったのかもしれない。

 しかし、その発言は零夜にとって油となり、怒鳴り散らした。

 

 

「……俺たちは、あのときからすべてを失った。俺は毎日毎日悪人だの殺人犯だの人殺しだの罵詈雑言を言われてきた。あの日《あいつ》に擦り付けられた無実の罪のせいで……。ずっと否定してきた。でも周りは誰も聞いちゃくれない。だったらいっそのこと、なってやろうじゃねぇか!!悪人に!!大悪党によぉ!!」

 

「……分かりました。じゃあ…特典はこれでいいですね」

 

「ちなみにあなたにあげた特典は3つ、そのうちの2つは『繋ぎ離す程度の能力』と『創造する程度の能力』です。」

 

「繋ぎ離す?創造?」

 

「この能力はあなたが転生する世界『東方project』の世界の能力です」

 

「東方project?」

 

 

 聞いたことのない単語だ。

 世界の名前に、プロジェクトなんて言う単語が入っている時点でおかしい。

 零夜が疑問に思うのも無理はない。

 

 

「この世界は、前提として『定められた物語運命』があるということです」

 

「―――つまり、漫画やアニメの世界ってことか?」

 

 

 漫画やアニメは、原作者によって登場人物たちの運命が左右される。

 つまり、零夜が転生される世界も、それと同類であるということだ。

 

 

「はい。この世界は人間や妖怪、神、妖精などいろんな種族のいる世界です」

 

「ふ~ん。なんか凄そうじゃん。で、程度の能力って何?」

 

「程度の能力とは、その世界の住人のほんの一握りの人が持っている能力のことです」

 

「そうか…で?」

 

「そしてこの能力はいろんなものを繋げたり離したりすることが出来ます!」

 

「何がスゴイんだ?」

 

「例えば場所と場所を繋いで一瞬でそこに行ったり寿命と老いから離れることで不老不死になったりできます。ようするにカット&ペーストです!」

 

「…で、創造する程度の能力は?大体予想はつくが。」

 

「その名の通り。なんでも創造できる能力です。ですけど危険なものは創造しないでくださいね」

 

「どうだろうな」

 

「……まぁいいでしょう。最後の残りの1つ。あなたは仮面ライダーというものを知ってますか?」

 

 

―――【仮面ライダー】。

 これは、子供であれば誰でも知っている単語だ。

 仮面ライダーと言うヒーローが、世界征服を企む悪の組織の怪物たちを倒す物語だ。

 小さな子供であれば、誰もが憧れる、ヒーローの一人。

 

 

「聞いたことはあるよ。確か特撮ものだっけ?もしかしてそれになれるの?」

 

「いえ、確かになれるにはなれますが正確になれるのは【ダークライダー】と【アナザーライダー】です」

 

「何それ?」

 

「ダークライダーは悪人が変身するライダーで、アナザーライダーは主人公ライダー似の化け物ですね。2つとも悪人らしいのでいいと思いますよ」

 

「…いいな、それ。ピッタリだ」

 

 

 ダークライダーとアナザーライダーは、悪人になりたいと言う零夜の願いにかなり沿ってある力だ。

 つまり、ダークヒーローの力を持って『物語の世界』にいくということだ。

 

 

「じゃあ最後にあなたの設定ですが、まず『あなたはその世界で人が唯一住める場所、『人里』のある一家のごく普通の家に産まれます。あなたはその後寺子屋などに通い、友達を作りますが14歳になった年のある日、両親が妖怪に食べられてあなたは一人ぼっちになって性格も変わってしまった……』とまあ私が出来るのはこれくらいです。この後はあなたがどう生きるのかを決めてください」

 

「なんか自分の人生操られてるようで嫌だけど、仕方ないか」

 

「じゃあ準備はいいですか?」

 

「いいよ。」

 

 

 すると零夜の立っている地面が急に光った

これで転生が完了する。

 

 

「そうそうちなみに転生させた後に赤ん坊だといろいろと大変そうなので、ある程度自由に活動できる程度になったら記憶を戻しておきます。その世界のことについてや仮面ライダーのことについて、【地球ほしの本棚】と言う精神世界に移動して、いつでも見れるようにしましたので。もちろん、知りたいことがあればいつでも知れますよ」

 

「…妙に凝ってんな」

 

「それほどでも。では…。あなたの赴くがままに、第2の人生を」

 

 

 

 こうして零夜はその場から姿を消した。

 

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