―――前回、【夜神 零夜】は東方projectの世界に転生した。
零夜を転生させた女神より貰った【繋ぎ離す程度の能力】と【創造する能力】。そして外部系から【ダークライダー】と【アナザーライダー】の力を特典として。
彼は、この力で、この世界で何を成し遂げるのか…?
「………そこを、通してくださいよ」
14年が過ぎたころ。
彼、零夜はあの後ちゃんと東方projectの世界に転生し、第2の人生をスタートさせた。名前はそのまま、【
「すまないが、それはできないな」
彼が14歳になるまでの間、いろいろあった。その一部を紹介しよう。
まず寺子屋に通っていろいろと勉強をした。人里のほとんどの子供がそこに通っている。そこの教師をしている【上白沢 慧音】と言う人物から、いろいろと怒られていたことがあった。
「慧音先生。あなたにはわからない。家族を失った悲しみは」
他は省き、まずは彼の恰好。転生前とほとんど変わらなかった。
「おそらく女神がやったんだな…」と零夜は考えていた。
「確かに、私には慰めることしかできない。だが!里の外に出すわけにはいかない!もう夜なのだぞ!?」
そして、本題に入るが彼ももう14歳だ。この世界では15辺りでもう成人らしい。なんともファンタジー感がする世界である。
「そんなこと知ったこっちゃないですよ。俺にとって家族は大事な宝ですから。宝がない場所に居たってどうしようもない」
そして、女神のシナリオ通り彼の両親は死んだ。死因はやはり妖怪に喰われたかららしい。
「零夜!君の両親はそんなこと望んじゃいないはずだ!」
「…勝手に俺の家族語らないでくれます?慧音先生。……悲しいもんですよ。幸せって、こんな簡単に壊れちゃうんですからね」
今の家族にもたくさん愛してもらった。だからこそ、自分は悲しむべきなのだと。
だが、悲しめない。もう涙は枯れてしまったのだ。彼は。
「…ッ。だが、お前にとって幸せはそれだけなのか!?」
悲しむ
「それだけです。俺には他の親族も友達も頼れる人もいないので。用済みは出て行くのがいいでしょ?」
さて、先ほどから繰り広げられているこの論闘。先ほど述べた【上白沢慧音】と零夜が言い争っているのだ。
今、零夜は人里の門の近くにいる。ここから出て行くために。門があるので当然、門番が二人いる。
「私たちがいつ用済みだと言った!?お前は未来がある若者なんだぞ!?」
「そんなのどうだっていいんですよ」
「どうでもよくない!人里の守護者として、お前を何としてでも止める!」
慧音は微動だにせず、門の前に立ち尽くす。
「………(チッ、邪魔すんじゃねぇよ…。力ずくで突破と行きたいが、力を見られるわけにも…。いや、見られると困るのはライダーの力であって、【程度の能力】は別に見られても困らない。むしろ本命はライダーの力であり程度の能力はほぼ使うことはない…。なら)」
「そうですか。なら、こっちだって考えがありますよ」
「なに?」
「移動:博麗神社」
その瞬間、慧音の姿はその場から消えた。それに驚愕する門番二人。それだけでさえも不思議だが、実はそうではない。
消えたのではない―――移動したのだ。
彼の【繋ぎ離す程度の能力】は誰かの能力と比較すれば、『妖怪の賢者』【八雲紫】の【境界を操る程度の能力】の下位互換だ。
八雲紫の能力は空間の境界を操り次元の裂け目を作ったりなどできる能力だ。
無論、用途はそれだけではないが、全てを話すとキリがないほど使い勝手がいいのだ。
それと同じ要領で、零夜【繋ぎ離す程度の能力】を使い、人里と博麗神社までの距離を『繋げた』のだ。
つまり、今慧音は博麗神社にいる。
「使うタイミングが合ってれば以外に便利だな。この能力。他にもなにに使えるのか後で試してみるか」
ちなみに、彼の能力の本領はカット&ペーストなのだが、後の身バレを考慮して【移動させる程度の能力】と偽っている。
珍しい能力持ちなので、人里の皆は彼の【移動させる程度の能力】を知っている。
故に門番二人も何故慧音がいなくなったのかを理解した。
これ以上ない程の分かりやすい例えである瞬間移動系能力だ。
「お前らも、夜の魔法の森に移動させられたくなかったら、そこをどけろ」
門番を脅す。その脅しに答え門番は道を開ける。
自分から出ると言っているのだ。自分たちが危険を冒す必要はない。その考えは正しいだろう。
「……じゃあな。悪い日々じゃなかったよ」
そう言い残し、零夜は人里から去って行った。
* * * * * * * *
「……夜の森は危険だと言うが…何故だろうか。恐怖を感じない」
前世での一件でもはやそういった感情も死んだのだろうか?
そう思いながらも零夜は足を進めることをやめない。
人は恐怖によって行動のほとんどが制限される。
こういった状況では人間は多少恐怖を感じるものだ。だが、彼は感じていない。
「……転生して、記憶が戻ってから12歳からだったか?長時間の体の行使に慣れるために筋トレしまくって、なんとか基礎まではできたと思うが…。これじゃダメだ。闘いが素人の俺になにができる?ただ力を行使しまくって途中で力尽きてバットエンドだ。いや…悪役は大抵はバットエンドか。だが、それは俺が求めているものではない。俺が求めるは不滅の悪だ。正義を振りまく偽善者共を……。って言っても、それは過去の話か。この世界のヤツ等にはなんの恨みもない。恩を仇で返す行為だ。だが……俺の
この14年間のことを振り返る。
記憶が戻ってすぐに【地球《星》の本棚】に精神を移動し、この世界の情報をかき集めた。
そして、敵対すれば命が惜しくなる存在も頭の中に入れている。それにさえ極力合わなければいい。
その理由は、目の前の無数の赤い目よりは、遥かにマシだからだ。
「……最初はあいつらでいいか。調子乗って強敵に挑むのはバカのやり方だからなぁ」
そう言い、零夜は
「概念はゲームで言うインベントリ。空間を能力で切り『離して』空間に荷物を入れて、『繋げる』。取り出すときはまた切り『離せば』いいだけなんだよな」
ゲームの概念で言う
零夜は空間を切り『離し』、裂け目を作りそこに持ち物を入れる。そしてその空間を『繋げれば』元に戻る。取り出したいときはまた空間を切り『離せば』いいだけなのだ。
「最初持ったときよりはすごく軽く感じるな。【無双セイバー】。まぁ体作りしたし、これくらい当然か」
そう言っている油断したとき、妖怪が迫って来た。
最初に襲ってきたのは一匹の犬型の妖怪。
『グルァア!!』
「今考えてる途中だよ!」
急に責められたことに怒りの感情を持ち、犬型の妖怪に無双セイバーを振り下ろす。
責めた妖怪と、まっすぐに振り下ろした無双セイバー。その結果…。
『ガゴッ…』
答えは、真っ二つ。
妖怪は血しぶきを上げ、絶命する。
「…………」
初めて命をこの手で、自ら殺した。
弱肉強食とはいえ、殺せば多少の罪悪感が巻き起こるはずだ。だが…
「(初めて生き物を殺した……。いや、違うか。小さな虫だって命だ。蚊などがいい例だ。唯一違うのは殺したことで生まれる罪悪感の大きさのみ)」
彼は、なにも感じなかった。
彼はまだ『人殺し』にはなっていないものの、命を奪ったのだ。奪った際の感触が、まだ手に残っている。だが、その程度だ。それしか感じない。
「(あれほど否定してきた存在になった途端……。やっぱり人間ってクズなんだな。俺もその一人だが…。まぁ今は目の前のことに集中しよう)」
先ほどの殺しがトリガーになり、妖怪たちが一斉に零夜に襲い掛かる。
「もうちょっと音量下げろよ低脳ども!」
零夜は『地面』と『地中』を『繋げ』、円型の穴を作り、そこに妖怪が落ちる。即席の罠を作ったのだ。
「さぁて…。じゃあやるか」
零夜は、再び
零夜がそのドライバーを腰につけると同時に、そのドライバーのプレートに『赤黒い鎧武者』が描かれる。
そして、赤黒いオレンジが描かれた錠前を取り出し…
「変身」
鍵を開けた。
それと同時に、零夜の頭の上にファスナーが開かれ、そこから赤黒いオレンジが姿を現す。
零夜はドライバーについている小刀、【カッティングブレード】を振り下ろす。
赤黒いオレンジが頭に被さり、そのまま全身の姿が変わる。
赤黒いオレンジが展開し、そのまま鎧となった。
天下を取るためにすべてを倒した武神・【仮面ライダー武神鎧武】
『お前たちの血で、俺を楽しませろ』
そう言うと、掌を前に出し、握る。
その瞬間、円形の穴が突如として
その勢いで穴に落ちた妖怪たちは圧死する。
この現象は『穴の壁』と『穴の壁』を繋げたことにより起こった現象だ。
地盤を無理やり繋げるために、多少の地面の凹凸が激しくなったが、どうでもいいことだ。
『はぁ!』
走り出した武神鎧武はアームドウェポン【大橙丸】と無双セイバーを両手に持ち、妖怪たちを斬り殺す。
向かってくる妖怪たちを、走りながら。ただただ血の雨を降らせた。
遠くから向かってくる妖怪には、銃弾を浴びせた。ほぼ無制限の弾だ。残量を心配する必要もないのだ。故に、何度でも浴びせられる。
『どうせだ。他のロックシードも試してみるか』
ドライバーからロックシードを取り外し、別のロックシードに取り換える。
武神鎧武の頭上にクラックが展開し、パインが降りてくる。
ブラッドオレンジアームズの鎧が霧散し、ロックシードをドライバーにセットし、カッティングブレードを振り下ろす。
パインアームズになり、【パインアイアン】を振りかざす。
パインアイアンはパイン型の鉄球球だ。重量はとてつもなく、防御力に長けた相手に抜群のフォームである。
それを予言したかのように、カブトムシ型の妖怪がやって来た。
武神鎧武はそれに向けて銃弾を放つが、それは弾き返されてしまう。
『これにしといて正解だったなぁ!』
パインアイアンをカブトムシ型の妖怪に向けて投げる。
妖怪は避けようとする。防御力に自信があるのかもしれないが、本能的な部分で感じ取ったのだろう。
だが、遅い。
『ウラァア!!』
パインアイアンは見事に直撃し、妖怪の装甲にヒビが入る。
『わざわざ肩慣らしに時間をかける時間はねぇ!』
すぐさまにカッティングブレードを振り下ろした。
武神鎧武は空高く飛び、蹴りの体制で妖怪に向かう。
蹴りは妖怪に直撃し、カブトムシ型の妖怪は爆裂霧散する。
『次だ!』
武神鎧武の上にクラックが開き、そこから【バナナ】が降りてくる。
カッティングブレードを振り下ろし、【バナナアームズ】へと姿を変える。
【無双セイバー】と【バナスピアー】を両手に装備する。
襲ってきたのは再び犬型の妖怪。妖怪は爪を武神鎧武に向けて振り下ろす。
それを武神鎧武はあえて受けた。
「ぐがぁ!?」
だが、無傷だ。武神鎧武は無双セイバーで妖怪の腹を貫く。しかし、絶命はしていない。唸り声をあげて、なんとかこの自らを貫いている刃から逃れようと足掻いていた。
―――だが、それも無意味に終わった。武神鎧武は、バナスピアーで妖怪の頭を貫いた。
その際に脳髄がぶちまけられ、武神鎧武の鎧、体、武器にそれぞれに付着する。
『……………』
そして、それを見てか周りを囲っている妖怪たちの士気が上がった気がした。
知能のない妖怪たちに協力しようと言う合理性は一かけらも見当たらない。
ただ、目の前にある獲物を捕獲し、捕食しようと言う本能のみがそこにある。本能で行動しているからこそ、妖怪個人個人の持つ士気―――今の場合で言う殺意と覚悟がより一層高まったのだろう。
簡潔に言えば、『ライバルが一匹減った』。知能がない妖怪たちでも、数多の戦線を潜り抜けたであろう妖怪たちも中にはいるだろう。生き物は必ず消耗する。そして、ライバルが一人減ると同時に敵の体力も減る。知的な行動ではなく、本能的な行動であった。
『いちいち一匹を相手にするのも面倒だ。もう一気に片付ける!』
武神鎧武はカッティングブレードを3回振り下ろした。
バナスピアーを地面に突き刺す。妖怪たちの足元から複数のバナナのオーラを突き出し、血が降りしきる。
これで、周りの妖怪たちはすべていなくなった。
だが、これで安心はできない。この妖怪たちから匂う血の匂い。これがさらに妖怪を呼び寄せる原因になるだろう。
『こいつらを、「処分しないとな…」
武神鎧武から零夜の姿に戻り、焼き払うために妖怪たちを一か所に集めようとする。
「ウップ……」
零夜は死体の臭うに、思わず胃の中のものを吐き出しそうになる。大分時間が経っている。臭うのは当然だろう。それもとてつもなく強烈で、鼻が曲がりそうなほどの匂いだ。
殺しに抵抗がなくなっているとは言えばまだ正直嘘になるため、臭いには慣れていない。
「ハァ…ハァ…こりゃあ、臭いに慣れる必要がありそうだな…」
これから、もっとたくさんの生き物を殺すことになるだろう。この光景が昔自分が想像して、思ってしまった
だが、臭い程度でやらている様では、悪人にはなれない。
それが、彼にとっての唯一のエゴだから。
「とにかく、こいつらを一か所に「あぁその必要はないわよ?」ッ!?」
「だってあなたも、その無残に転がっているゴミと一緒になるんだから」
森の奥から聞こえた女性の声が、零夜の言葉を遮った。
その声は、女の声だ。その声は、とても綺麗であり、とても冷淡な声だ。
思わず聞きほれてしまうほどの美声。
彼女がゆっくりとこちらに向かってくるのがわかる。姿が闇に隠れて見えなかったが、徐々に見えてきた。
その姿は一言でいえば美女。整った顔立ちに、赤い目、
服装は白と黒を基準、ロングスカートを履いている。
そして、零夜はこの姿に見覚えがあった。それは、何度も【
「私の名前は【ルーミア】。あなたを、喰らうものよ」
今の彼にとって、ここまで最悪な存在はいないだろう。
そして彼と彼女は、お互いを睨みあった。