―――前回、シロが奪った【龍の頸の玉】を取り返しにやってきた龍を相手に、零夜は【仮面ライダーエターナル】へと変身して、応戦する。
当初は圧倒的な力の差で龍を圧倒するも、その時龍が月で戦った忌々しき敵【ウラノス・カエルム】の必殺技と全く同じ技を使用した。
そのことを話すと、龍はいろいろな情報を口から零し、月へ向かった『アヤツ』にこの技を伝授していたことが発覚。
ウラノスが『アヤツ』の息子だと仮定した龍は悵然とした。
そして、零夜の力を認めた龍は姿を変え、本気を出すと宣言し、自らの名を龍神と名乗った――。
『龍神、だと…!?』
エターナルは目の前の武士――龍神の名乗りを聞いて、驚愕する。
龍神と言えば、この『東方project』の世界においての最高神に位置する存在だ。幻想郷を維持するための『博麗大結界』を張る際に協力した神だ。
未来の人里でも像が祀られているほどだ。
そんな存在が今、目の前にいて、尚且つ自分を本気で潰しにかかってきている。
(シロォ…!お前後で本気で呪ってやるからなぁ…!)
今日と言う今日は、本気でシロの無邪気と言うか、考えているようで考えていないような、考えてないようで考えているような良く分からない
幻想郷創造に関わっている神と過去で関わると言うだけで、どれほど未来に影響が出るか未知数だと言うのに、あの男は一体何を考えているのか、本当に分からない。
それに、なんでよりにもよって龍神に喧嘩を売った。【龍の頸の玉】なのだから普通の龍でいいだろう。何故わざわざ龍神の宝を盗る!
二人の乱戦の最中だったため、相手を選んでいる状況ではなかったことは理解できる。だとしても龍神はない!それに、乱戦中で二人係だったとはいえ、龍神をも相手できる力を持っていることを知り、『権能』の偉大さを改めて知ることとなった。
とりあえず、これが終わったらシロは殴るとだけ心に決めておく。
(それに、気付ける要素があったのに気づけなかった俺も俺だ!龍で神力があるって時点で、龍神って言う候補が出てくるべきだろ!いや、普通は候補に出ないもんだが…)
そして、それに気づけなかった自分にも憤りを感じていた。龍と神力と言う時点で龍神の可能性を少しでも考えておくべきだった。
それに、よくよく考えればあの時リュウガに変身しようとしてシロが止めたのも、すべてシロは知った上でのことだったのかもしれない。
もしリュウガのまま戦っていたら、バリエーションの乏しさでネタが尽きて負けていた可能性が大だっただろう。しかも、相手が龍神となれば尚更だ。
しかし、エターナルでいたことによって100本近くのガイアメモリを併用して使えると言うバリエーションの多様性から、龍神を翻弄させることに成功している。
これを考えれば、すべてシロの策略である可能性が高い。
これが終わったら、絶対に殴る。
「どうした、夜神。何をしている?」
『いや、別に。ただ少し考え事をしていただけだ』
「我を目の前にして、考え事とは、随分と余裕なのだな」
『ほっとけ。それよりも、見せてもらうぜ。お前の力…!』
「いいだろう。我が力、とくと見よ。」
龍神は二振りの刀を前に突き出して構える。一見、隙がありそうに見えるが、一切の隙がない。流石は龍神だ、先ほどの巨体のときとは、比べ物にならないほどのプレッシャーを感じる。
『はぁ!』
最初に動いたのは、エターナルだ。地面を蹴って一気に跳躍して、龍神と距離を縮める。
身体を回転させて、エターナルエッジを振りかざした。
「遅い」
が、その攻撃は龍神の持っていた刀によって防がれる。だが、そこで終わるほど甘くはない。
エターナルは跳躍して龍神の両肩を足場にして龍神の背後に回り、エターナルエッジでそのまま鎧を突いた。
だが、高い金属音が鳴り響いたと同時に、エターナルは鎧が無傷でありこちらの攻撃が弾かれたことを認識した。
『ちッ!』
すぐさま距離を取る。
「防がれてからも思考停止せず、次なる一手を考える…なかなかだな」
『お褒めに預かり光栄だな。そんなに見どころがあるか?』
「無論。私はそう言ったものには傲慢な態度と偏見は殴り捨てる。それを捨てなければ、こちらが足を
『――そうかよ』
戦いに関してそう言ったことをよく熟知している。いや、あれはむしろ、経験談に近い。過去に、そのような体験をしたことがあるのだろうか…?
ともかく、今は目の前に集中する。
『悪いが、こっちも負けてられねぇんでな』
二つのメモリのマキシマムドライブを発動させると、エターナルエッジの先端から水滴が零れ落ちる――と同時に、龍神の向かってエターナルエッジを振り上げる。
振り上げられた刃から強力な水圧と衝撃波の塊が生まれ、それら二つを合わせることで強大なまでの切断力を生み出し、龍神の鎧へと振り上げたのだ。
「―――なんだこれは?」
『なに…!?』
しかし、結果は最悪なことに、
さらに『ウォーターメモリ』はその名の通り『水』を操るガイアメモリ。その能力で水を操って圧縮して刃のようにして飛ばすことが可能なメモリだ。水の切断力は、金属すらも切ることが可能なのだ。
その二つの『切断力』に特化した二つのメモリを併用してまで放った技が、龍神の前では呆気なく敗れ去ってしまったのだ。
「今のはなんだ?水のようだが…こんなものを使って、一体なにをしている?遊んでいるのか?」
『別に遊んでるわけじゃねぇ。今のは立派なまでの『攻撃』だよ』
「……なんと。今のがそうだったのか。失礼したな。この姿になると、少し身体が硬くなる故、並大抵の攻撃は通さないのだ」
(今のは並大抵ってレベルの攻撃じゃなかったんだぞ…!それに、身体が少し硬くなるって、全く少しじゃねぇじゃねぇか!)
『クラブ』と『ウォーター』の切断力コンビの力を前にしても、それを『並大抵の攻撃』と認識する龍神に鳥肌が立つ。流石は未来で幻想郷の最高神をやっているだけはある。
それに、あの鎧姿になってから一目瞭然のように防御力が飛びぬけるほど跳ね上がっている。本当に、あの鎧を突破するには『並大抵の攻撃』では通用しないだろう。
(最終手段で、
「来ないのか?ならばこちらから
龍神は右手に持つ刃を天に掲げると、その刃に纏われるように、『炎』『氷』『雷』が顕現する。
そして、その刃が振り下ろされる。
「ふんッ!!」
その攻撃は、大地を割りながらエターナルへと向かって進んでいく。スピードもかなり素早く、とてもじゃないが避けられない。
『くッ!』
その音が響くと同時に、エターナルに技が着弾する。凄まじき轟音と共に、爆発を引き起こす。
「……流石だな。防いだか」
そう龍神が呟き、自らの力でなんの動作もせずに当たり一帯に突風を発生させた。その突風により、爆発による爆風が晴れる。
そして、エターナルがいた場所では、黒い球体のようなものが地面にあり、その周りでは地面が燃え、凍り、雷が迸っている。
『ハァ…!』
そして、その黒い球体がうごめき、立った。その正体はエターナルだった。エターナルは『ゾーンメモリ』の能力で脱ぎ捨てた『エターナルローブ』を引き戻し、あらゆる熱・冷気・電気・打撃を無効化できる力で攻撃を防いでいたのだ。
『さっきとは、強さが比べ物にならねぇほど、強くなったやがる…!』
「当然のこと。我が常にあの巨体でいる理由は、有象無象共への示威行為のためだ。そして、その巨体を維持している我の神力をすべて、人の形で統一することで、我の力は真価へと至るのだ」
『説明ご苦労様だ。とりあえずある程度理屈は理解できた。常に巨体として分散していた力を、濃縮することでありとあらゆる能力値を上昇させる――そうだな?』
「その認識で構わないぞ、夜神」
理屈は理解できた。先ほど龍神が行っていた通り、この姿こそが龍神の最強フォームとも言える姿なのだ。本当に流石、八雲紫より強いほどはある。
もっとも、そんな龍神でも『権能』持ちの前では敗れ去ったが―――。
ともかく、今はなんとしてでも勝つことが先決だが、どう考えてもあの龍神に勝てるビジョンが思い浮かばない。
(とにかく、我武者羅に戦ってみるっきゃねぇ!!)
ベルトのマキシマムスロットに『ウェザーメモリ』を装填する。エターナルが左拳を突き出すと、そこから螺旋状になった嵐が吹き荒れ、龍神へと向かって行く。その嵐を、龍神は手を振り払うだけで横へと薙ぎ払い、嵐は地面と森に激突して爆風を巻き散らかす。
その間にもエターナルは突き進むと同時に、エターナルの身体が発光する。
「―――目晦ましか」
龍神がそうボソリと呟く。それと同時に、龍神は自身の脚が動かなくなっていることに気付いた。下を見ると、自分の脚が地面ごと凍っていた。
しかし、それをいとも簡単に足の力だけで割って脱出した。
「無駄なことを――」
「――ん?」
先ほどと似た音声が再び聞こえた。なんだと思い、辺りを見渡してみると、なんとエターナルが五人に増えていた。
『ルナメモリ』による分身能力を用いた力だ。
「分身か。良いだろう」
『『『『『やってやるよ!!』』』』』
五人のエターナルが一斉にエターナルエッジにエターナルメモリを装填した。エターナルエッジを包み込むように蒼炎が発生する。
五人が刃を振り下ろし、蒼炎が斬撃となり、龍神に着弾した。五つの同じ必殺技が一か所に着弾したことにより、龍神を中心にエターナルたちすら巻き込むほどの爆風と爆炎が轟く。木が、林が、森が倒壊していく音が響く。
『これなら、ダメージくらいは―――ッ!!』
煙の中から、二メートルほどの人影が薄っすら見えた瞬間、本物のエターナルは即座に『ルナメモリ』から『メタルメモリ』に切り替えて、身体を硬くして防御力を上げる。
瞬間、煙の中から雷風が旋回し、分身のエターナルたちを一瞬にして塵へと化した。メタルメモリで防御力を上げていた本物はなんとか無事だったが、それでもかなりダメージを喰らった。
『まさか、今のでも…!?』
「今のは、良かったと思うぞ。だが、我の鎧に傷を与えるには、明らかに不十分だ」
無傷だ。無傷の龍神が、余裕の姿勢で立っていた。龍神は己に降りかかる砂ぼこりを振り払い、身を整える。
あり得ない。一つじゃ無駄だと思って五つも同じ技を放ったと言うのにも、それも無駄だった。どうする?どうすれば勝てる?どうすればあの鎧の防御力を突破できる?
(突破…!そうだ、突破するためには…!ぶち抜けばいい!)
エターナルが考えたことは、先ほどまで分散させて攻撃していた力を、ドリルのように一点集中させて、鎧の防御を突破すると言う方法だ。
だがしかし、あの鎧は『クラブ』と『ウォーター』の切断力、貫通力に長けているメモリのコンビでも傷一つ付かなかった代物だ。とてもじゃないが、『並大抵の攻撃』では通用しない。だったら――。
(26連マキシマムドライブ…。だが、これで二回目だ。ただのダブルの場合でも二つのマキシマムは危険だってのに、それを26連だ…。俺がコレに耐えられたのは、エターナルのスペックと俺の能力のおかげだ。もし変身解除したら、どれだけの反動が来るか…)
従来の仮面ライダーダブルでは、ツインマキシマムは危険とされている。初めて、エクストリームとなることによって5つのマキシマムを発動させることが可能だ。
だがそれはダブルだからであって、
だが、
(―――いや、考えている暇は、ない!やる、それだけだ!!)
即決した。誰だって痛いことは嫌だろう。だが、それでもエターナルは使うことに決めた。それは、信念の硬さを表している。
「考え事は終わったか、夜神?」
『あぁ。考える時間をくれてありがとう。そして…その防御、破らせてもらうぞ』
「やってみろ」
龍神の短い一言が終わると同時に、エターナルは再びゾーンメモリのマキシマムを発動させる。エターナルを中心に24本のメモリが集まり、エターナルローブを投げ捨てると同時に、身体に張り付いているマキシマムスロットに装填される。
二回目だ。二回目の『26連マキシマムドライブ』を発動させた。今回は『パワー』と『スピード』じゃない。『貫通力』と『切断力』―――つまり『攻撃』に集中したメモリの構成だ。
ガイアウェーブが緑色のオーラへと変換され、それがドリルのように右手に収束し、龍神の鎧に直撃する。エネルギーのドリルが回転し、その鎧を削り取るように、高速かつ強力な一撃を、一瞬のうちに喰らわせる!
『はぁあああああああ!!!』
―――神速だ。神の領域とも言ってもいいスピードで、龍神の懐に一気に入った。『アクセル』などの速度系に一瞬だけパワーをすべてつぎ込んだ。
そしてそのまますべてのパワーをエターナルエッジに集中させて、ドリル状の緑色のオーラが、龍神の胸筋あたりに直撃する。
『つ・ら・ぬ・けぇええええええ!!!』
すべてだ。すべてをパワーへと変換させる。それで、このクソ硬い鎧をぶち抜くのだ。ぶち抜いて、その中身に、一撃を、一撃を―――!
――だけど。
「それがお前の全力か?すまないが、我には通じない!」
二振りの刀が、無慈悲にも振り下ろされる。刃にエターナルの放つオーラよりも濃い深緑色のオーラが纏われ、それがエターナルに直撃する。
ゼロ距離で斬撃を喰らったエターナルは法則に従って後方へと吹っ飛んでいく。
「うぁああああああああ!!」
叫びながら、後方へと吹き飛ばされていくエターナル。だが、叫びながらもエターナルはメモリを取り出して、マキシマムスロットに差し込んだ。
『虚無』の記憶を保有する『ゼロメモリ』の力で、勢いと衝撃を殺した。その影響でこれ以上吹っ飛ぶことはなくなったが、そのまま背中を地面に付ける。
『ハァ…ハァ…ハァ…!!』
息が苦しい。もう既に限界に近いと言うか、限界だ。これでよく強制変身解除に至っていないものだと自分自身を感心する。これも、今までの成果だとでもいうのだろうか。
しかしながら、どうやっても勝てない相手に、これ以上どう戦えと言うのか――。
『―――あ?』
その時、エターナルは異変に気付いた。その異変は、『空』の異変だ。
彼の見上げる空は、ヒビ割れていた。こんなこと、あり得るのだろうか?
(空が、割れている…?なんで…?いや、待てよ……まさか…!)
ここで一つ、エターナルは――零夜は昔のことを思い出していた。
それは、まだ仮面ライダーの力が使えず、『
『仮面ライダーエターナルか…。永遠を冠する仮面ライダー。どんな能力があるんだ?』
本を見続け、ある程度の情報を掴めた。
『大体、このくらいか…。にしても、流石はチートライダー。装備も武器もチート級だな。さて、他には……ん?』
その時、零夜の目に一つの分が止まった。
〈エターナルのマキシマムドライブは世界の一つや二つ永遠に破壊できる 白ウォズの言葉〉
『なんだこの文…?エターナルのマキシマムドライブは世界を永遠に破壊できるって…危険すぎんだろ。この破壊の力は、出来る限り使わないようにしとかないとな』
(そうだ…確か。こんんあ内容だったはずだ)
と言うことは、あの亀裂の原因は自分だ。今まで、エターナルは二回も26連マキシマムドライブを行った。その強大な力に、世界の方が耐えられなくなり、亀裂が発生している。
それにここは、シロの創った隔絶空間。一種の『世界』だ。現実世界に影響が出ないように創った世界だったが、もし、ここが破壊されれば――。
(いや、もしかしたら、一か八かの、賭けだ…!)
エターナルはフラフラと今にも倒れそうなほどの状態の中、立ち上がる。それとほぼ同時に、龍神がこちらの方に歩いてきて、エターナルと10メートルほどの間隔を空けたところで留まる。
「もう終わりだ、夜神。お前の身体は、その通りボロボロだ。もうお前は立ち上がることすら不可能だ。ここで終われば、命は助かるぞ?」
『いいや、まだ終わるつもりはねぇ…!』
「――夜神。それは勇気ではい。無謀と言うものだ。時に諦めることは肝心だぞ?」
『んなこたぁ、俺が一番良く知ってるよ。―――おい龍神。一つ、賭けをしないか?』
「賭け、とな?」
突如と話が切り替わったことと、『賭け』と言う単語に単純の疑問を持つ龍神。
そして、話を続ける。
『あぁ。賭けだ。今ので感じ取ったが、今の俺じゃ逆立ちしてもお前に勝てそうにない。一応まともに戦える力はあるんだが、俺は半分――ある程度人間の身でいるつもりだ。この力を使い続けたら、俺の身の方がもたない』
「何を言うか、夜神。お前が保有する力は、長い年月をかけてため込まれた力…。妖怪と同じようなものだ。我の見立てでは、少なくともお前は百年以上は生きている。そんな者が、人間だと?我が寛大な態度を取っているとはいえ、我を侮辱するのもいい加減にしろ」
突如、龍神から放たれた怒気。それとともに濃密なまでの神力も流れ込んでくる。途轍もない気迫だ。昔の自分だったら、即座に気絶していただろう自身がある。
だがしかし、今は違う!こんな殺気で、気絶なんてしてたまるか!!
『今のは言葉の綾だ。俺は、人間でありたいと言う意味での言葉だ』
「理解できんな。それほどの強さを持ちながら、どうして人間でいようとする?強さを求めることは決して悪い事ではないぞ?」
『あぁ。その通りだ。これは俺のエゴ。薄っぺらいエゴだ。プライドだ。だが、それがなければただの抜け殻だ。これは、中身を保つために必要な考えなんだ』
「…ほう。それで、賭けと言うがお前は対価になにを払う?」
『―――記憶だ。俺の記憶を、知りたい分だけお前に見せてやるよ』
エターナルは、『記憶』を見るための『メモリーメモリ』を持っている。負ける確率が多いだろうが、ある程度保障は出来る。
龍神が知りたいのは、『アヤツ』の息子(仮)である【ウラノス・カエルム】に関する記憶だろう。だからこそ、無理矢理でも未来云々の話に入るまで区切らせる。
約束を一部破ることになるが、流石に未来の幻想郷の主神に未来のことは見せられない。
「なるほど。確かに魅力的な提案だ。それで、もしお前がその賭けに勝ったら、我に何を欲する?」
『レンタルだ。―――つっても分からねぇか。実は、お前の宝を盗ったのは、俺の仲間なんだよな』
「――ほう?貴様の仲間だと?」
『まぁ黙って聞け。お前の宝はそもそも絶世の美女と言われるかぐや姫の依頼で取ったんだ。それで、今、そいつが保有している。そのかぐや姫が『都』でその命が尽きるときまで、貸し出してくれ』
今は、この方法が一番だと零夜は思っている。この賭けの内容を龍神から『アヤツ』の情報を聞き出すことが一番かもしれないが、正直今は二の次だ。
そもそも、前提として龍はシロが盗った宝を盗り返しに来ているのだ。だから、その目的にピリオドを打つのが、今自分がすべきことだと思う。
それに、この姿の龍神相手に、ライラと弱体化中のシロが戦えば『永久の監獄』内で戦ってもその世界ごと破壊しそうで被害が尋常じゃなくなることは目に見えている。
だからこそ、ここで龍神の侵攻を止めることが最善だ。
「つまり、そのかぐや姫の命が尽きるまで宝を貸し出すと言うことか。だが、人間どもがその約束を守る保証はあるのか?」
そう。そこが一番の難点だ。もしそれを行っても、愚かな人間がその一方的な約束を守るかどうかが問題だ。
手に入れた普通の宝よりも貴重な龍の宝だ。手放すのは惜しいと考える輩が出てくることは想像に
だがしかし、そう言ったものには『死』と言う脅しが有効だ。
『そこはお前が返さなかったら都を焦土に化すとか脅しとけばいいだろ。今の人間は、龍に勝つ方法は持っていない』
「確かに、一理ある内容だ。だが、我を巨体の状態とはいえ負かしたあの二人、そしてお前がいる以上、物事に絶対はないと知った。その間で、人間の中に私を打ち負かす敵が現れないとも限らない」
確かにその通りだ。物事に絶対はない。龍神の警戒は当然だ。だがしかし、それもない。
それに、あの二人がこの龍神に勝ったことへの理由も解明できた。あの二人は、龍神があの鎧姿になる前に完膚なきまでに倒したのだろう。
それで、二人ともこの姿のことを知らなかった。すべて納得がいった。
『そもそも、お前を負かしたやつは二人とも人間じゃねぇ。そして俺は…人間のつもりだが、半分以上やめてるからな。断言できる。人間じゃ、お前には勝てねぇよ』
「――フッ。良いだろう。それで、賭けの勝ち負けはどうする?」
『俺の攻撃を、受けとめ切れたらお前の勝ち。逆に弾かれたら、俺の勝ちだ』
要約すると、エターナルが放つ技を龍神が受けとめ切れたら龍神の勝ち。だがそれを受けとめ切れなかったら龍神の負けと言うことだ。
「――それは、あまりにもこちら側が有利だと思うのだが?既にお前の切り札とも言える攻撃を、我は一回受け切っている。それに、そのボロボロの身体ではまともに動けはしない。結果は目に見えているはずだ」
『さて、それはどうかな…!?』
「……なにか策があるのだな。良いだろう。夜神!お前の攻撃、受けきって見せよう!」
『その言葉を、待っていたぞ!』
『ゾーンメモリ』のマキシマムを発動させて、再び26連マキシマムドライブを行う。
メモリが一本一本刺さる度に、骨が砕け、軋む音がする。肉が裂けるような激痛が走る。体が、身体から溢れる液体で熱くなる。脳がまともに働かなくなる。それでも、無理やり動かす。
『あぁあああああ…!!』
「まさか…三回目だと…!?夜神、お前自分がなにをしているのか分かっているのか!?それを行うたびに感じる力の増幅…。それはもう今のお前が耐えられる範疇ではないぞ!?」
『それでも!!やるときは、やる!!それが俺だぁああああ!!!』
エターナルは空高く跳躍し、キックの体勢を取る。蒼炎がエターナルの身体を包み込み、それが右足へと集まる。
そのまま龍神へと激突し、勢いに促されるまま龍神はその勢いに身を任せて後退していく。
「もう諦めろ夜神!このままでは貴様の体がもたないぞ!!」
『うるせぇええええええええ!!!』
「…ッ!!ならば、無理にでも―――グっ!?」
その時、龍神の背中にナニカがぶつかった。龍神はチラッと後ろを振り向くと、そこには何もなかった――いや、ある。『亀裂』が、存在していた。
何もない景色にぶつかり、そこから亀裂が入っていることに、驚きを隠せない龍神。
「何が起こっている!?景色が、いや、空間に、亀裂が…。まさか!」
そこで、龍神はエターナルが何を狙っているのかを理解した。それは世界の崩壊だ。より正確に言えば、エターナルと龍神、二人を閉じ込めているこの空間を破壊するつもりでいることを、龍神は悟った。
「そうか…この
『悪いが、俺は相当悪運が強い方なんでな!根性で回復してやるよ!!』
「う、うぉおおおおおおおおおおお!!!!」
龍神の叫びとともに、徐々に亀裂が広がっていき―――世界が、崩壊した。
一本のメモリが宙を舞った。
* * * * * * * *
「ハァ…ハァ…ハァ…!!」
目の前が、紅くなって見えない。エターナル――零夜は目を拭うと、手が赤く染まっていた。そして、それが血だと悟る。
体が痛い。手が痛い。足が痛い。腕が痛い。体中のすべてが悲鳴を上げている。むしろ、感覚が徐々に薄れていくことすら感じている。
「―――」
突如、何者かの姿が零夜の目に入る。
「―――りゅ、う、じ、ん…」
その正体は、龍神だった。凄い、本当にすごい。そしてふざけるな。目の前に立っている龍神は、傷一つ負っていなかった。
あれほど粉骨砕身したと言うのに、結局この姿の龍神には傷一つ与えることができなかった。流石は龍神だ。未来の幻想郷の主神だと言うだけはあると思う。あの巨体のときに意気っていた自分が恥ずかしい。
「俺は、負け、た、のか…」
この勝負、龍神の勝ちだ。もともと勝機の少ない賭けだった。それでも、もうあれしか龍神の宝を盗られたことへの怒りを解決させる方法はなかった。それにこの賭けで零夜が失うものは何一つない。
どちらにしてもwinwinだ。だが、負けは負けだ。零夜は龍神に自分の記憶を見せなければならない。
「記憶は、あとに、して、くれ…」
「いいや、夜神。我の負けだ」
「―――は?」
意味が分からない。突如負けと言われても、理解することなどできない。零夜の身体に血があまり残っていないため、脳すら活動を休止している状態で、この回答は予想外すぎて頭痛がする。
「どう、い、うこ、とだ…?」
「言っただろう。受けとめ切れなければ我の負けだと。あの攻撃を、我はあの空間の崩壊に気を取られ、受けとめ切れなかった。故に、負けだ」
「は、はは、ははは…。こんな、釈然としない、勝ち方、初めて、だ…」
負けたと思っていた勝負に勝っていた。普通なら勝ったことに喜ぶだろうが、今回ばかりは喜べなかった。まるで、勝ちを譲られたような感じだったから。
「ともかく、約束は約束だ。我はこれから宣告しに行く。これでお別れ――と言いたいところだが、その傷くらいは治してやろう」
龍神が零夜に手をかざすと、深緑色のオーラが零夜の身体を包む。その光は、力は、とても暖かく、零夜の身体を癒していく。
「これで、大丈夫なはずだ。それでは、さらばだ。夜神」
龍神は再び巨体の姿へと戻り、都の方へと向かって行った。
終わった。短いようで、長かった戦いが。
(終わったのか…。とりあえず、休、ませて…)
「零夜!」
前方から向かってくる、女性の声とともに、零夜は気を失った。
空から落ちてきた、一本のガイアメモリが、自身の体に侵入した状態で。
圧倒的な力の前に、
流石は東方projectの主神。強さは伊達じゃない。主人公である零夜を完膚なきまでにボコボコにするほど、あのフォームの龍神は強いということですね!!
まぁ龍神の最終フォームにして最強フォームであるあの鎧姿。想像するだけでもカッコいいです!
そして、最後にメモリーメモリが零夜の身体に入っていきましたね。メモリーは、一体零夜にどんな『記憶』を見せるのか…?
次回もお楽しみに!
龍神のイメージCV 【小山力也】
どこぞの魔王様と同じ声に設定してみました。
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