明日、リバイス楽しみにしてるんですけどね、検定があって録画で見るしかなくなったのが残念でしたね。
――前回のあらすじ
輝夜を迎えに来た月の民たち(永琳以外)をアナザーカブトに変身した零夜と
永琳から『ヘプタ・プラネーテス』や月の民たちが行方不明になり、数日後に性格が別人になって帰ってくると言う怪奇な事件があることを知った零夜たち。
月について牛車に輝夜と仲間たちが乗っている油断して近づいた兵士をアナザーウィザードの力で感電させ、開戦した。
なお、ルーミアたち地上組は東京から兵庫までの距離をアナザーデンライナーで移動中ナリ。
輝夜の評価は“悪趣味な乗り物”。永琳の評価は“デザイナーの正気を疑うとのこと”
もちろん、作者はこんなこと思ってませんよ。
それでは、どうぞ!
―――場所は変わり、一同は広い場所へと移動していた。攻防が続くうちに、ここまで移動していたようだ。
事実、ここの方が戦いやすいという理由が、一番の理由だが。
無機質で棒読みな声が聞こえた。
それと同時に、アナザーウィザードの目の前に土の壁が現れ、アナザーウィザードを襲っていたレーザービームを防ぐ。
攻撃を受けて崩壊寸前な壁をキックで破壊し、兵士たちの視界を奪う。
『ふんッ!!』
接近して、ドリルの魔法で足に漆黒の魔力で形成したドリルを装備し、薙ぎ払う。
回転ドリルの猛撃は、兵士たちの鎧を易々を貫通する。
「「「「あぁああ!!」」」」
鮮血を散らして、地面に伏した兵士たち。
それに怯む周りの兵士たちだったが、すぐに一喝するように隊長であろう男の声が響く。
「狼狽えるな!一班はそのまま追撃し、二班は負傷者を回収しろ!!」
「了解!!」
隊長の男の声によって、すぐさま統率が取れる。
一定多数の兵士たちがアナザーウィザードに槍を向け、その隙に負傷兵を回収する。効率の良いサイクルだ。
アナザーウィザードはゴキゴキと首の骨を鳴らしながら、状況を確認する。今仕留めるべき存在を。
魔法が使用され、アナザーウィザードの姿がその場から掻き消え、隊長の男の目の前へと出現する。
「何ッ!?」
『お前は邪魔だ』
瞬間、アナザーウィザードの体が筋骨隆々なゴリゴリでムキムキな筋肉マッチョに変化する。
『吹っ飛べッ!!』
巨体となったアナザーウィザードの拳を直に喰らい、男から骨に響くような鈍い音が響き、遠い彼方へと吹き飛んでいく。
「隊長!!」
『統率者がいなきゃ、てめぇらはただの烏合の衆。統率者を奪うのが、戦いの基本中の基本だ』
「烏合の衆」と言う単語にキレたのか、殺気の籠った目でアナザーウィザードを睨む目が複数生まれた。そして、一人の男が叫ぶ。
「舐めるな!隊長がいなくても我々は―――」
男の声を遮るように魔法が発動し、当たり一帯が爆発する。爆発は広範囲に行き渡り、辺りを一瞬にして灰燼と化した。
煙が晴れると、呻き声を上げながら痛みに震える兵士の声と、あまりの悔しさにだろう、怒りのあまり叫ぶ声が聞こえた。
『お前等じゃ話にならない。弱すぎる。これ以上ここにいても無駄だ。さっさと―――』
その時、アナザーウィザードめがけて、
―――周りの被害を、すべて無視して。
アナザーウィザードに向かってくる最中に、炎の斬撃で身を焼かれる者、水の攻撃で腕や体を貫かれもだえ苦しむ者が生まれる。
『くそがッ!!』
重力を操り、無理矢理炎と水の攻撃をかき消した。
攻撃が放たれた先を見ると、そこには三人の男の影があった。その影は、とても、見慣れていたもので――、
「これが、話に出ていた例の化け物か?」
「本当に気持ち悪い見た目してんなぁコイツ」
「さっさとぶっ殺しちゃいましょうと、お二人とも」
『―――【プロクス・フランマ】、【ヒュードル・アクア】、【タラッタ・マル】…か』
忘れられない、ヘプタ・プラネーテスの内の三人。プロクス・フランマ、ヒュードル・アクア、タラッ
タ・マル。『火』と『水』と『海』の三人が、この場に集結していた。
三人の登場により、辺りは騒然とした。単純に考えれば、三人は強力な助っ人だ。だが、三人が現れたことにより、周りの人間たちの感情は恐怖に染まった。
―――性格改変による影響が、彼らに相当な恐怖心を植え付けているのだろう。
そして、アナザーウィザードが
「あ、なんでお前俺らのこと知ってやがるんだ?」
「化け物に覚えられても、全く嬉しくないですしね」
「どうせなら、キレーな姉ちゃんに覚えててもらいたいよなぁ。例えば――豊姫様とか!」
タラッタがそう叫ぶと、その後ろで腰ほどもある長さの亜麻色の髪と金色の瞳を持ち、服装は長袖で襟の広い白いシャツのようなものの上に、左肩側だけ肩紐のある、青いサロペットスカートのような物を着ている女性が瞬間移動のようなことをして現れた。玉兎の部隊とともに。
「お!噂をすればなんとやらって奴ですね!!」
タラッタは愉快そうにそう叫ぶが、肝心の豊姫の表情は―――不快感そのものであった。まるで汚物でも見るかのような目で、タラッタを、いや、三人を睨んだ。
「あなたたちに言われても、全く嬉しくなんてないわ。むしろ不愉快よ」
「そんなこと言わないでくださいよー」
「――チッ」
扇子で口を隠し、舌打ちをする豊姫。その様子を見て、アナザーウィザードは不可解を覚えた。未来のトヨヒメと、全く違う。今の彼女は、【綿月豊姫】だった。
(今はまだ俺の知っている【綿月豊姫】のままだ……確か、玉兎たちがあんなことを…)
未来の玉兎たちの言葉を思い出す。豊姫が空真たちのように正確改変の影響を受けたのは、初代レイセンが逃げた後だ。この時代にレイセンはまだ存在している。つまり、豊姫の性格改変の影響を受けていないとしても、不思議ではない。
「それで、あなたが月の牛車に乗って来た怪物さん?……始めに聞くけど、乗車していた人たちはどうしたのかしら?」
『あぁ…男たちは全員殺した。出会い頭にムカつくこと言ってきたからなぁ』
「……女の方、は?」
『無論、生かしてある。あの女は失礼なバカどものストッパーかなにかか?とても物分かりが良かったぞ。おかげであの牛車もすぐ手に入った』
「―――そう。欲しい情報はある程度入ったから。いろいろと教えてくれたお礼に、痛みもなく、一瞬で浄化してあげるわ」
豊姫は手に持った扇子を、アナザーウィザードに向ける。あの扇子、【浄化の扇子】は危険だ。正式名称は不明だが、あの『森を一瞬で素粒子レベルで浄化する風を起こす扇子』はその名の通り森を素粒子レベルで浄化する風を起こす凶悪な扇子だ。
あの攻撃は、未来でも冷汗をかいたほどだ。
『悪いがまだ死ぬつもりはない。こっちにも諸事情があるから、生かしたままぶちのめしてやる』
「―――こっちは、良心で言ってあげてるの。私、今とっても腹の虫が悪いの。だから、かなり譲歩している方なのよ?」
この時代の豊姫は、性格改変してしまった空真たちにかなりのストレスを抱えているのだろう。つまり、この穏やかな表情も、上辺を取り繕っているだけなのだ。
つまり、彼女のストレス値は限界に近い。そして、そのストレス値の
「つまり、俺達のことを八意永琳に聞いたんだな?」
「まさかとは思いましたが、俺達の情報を流している時点で確定ですね」
「やっぱ不老不死の薬を飲んだ奴は裏切り者になるんだな!!」
「―――ッ」
豊姫が三人に顔が見えないように唇を噛み、血が垂れているのが見えた。
もうそろそろボルテージがマックスになって、本当に手当たり次第に怒りのまま排除しかねない。
『あーウルサイ。ちょっとお前ら黙ってろ』
その前に手を出す。まずは精神的に追い詰める。
三人の体が、漆黒の魔力に身を包まれ、それが竜巻状になる。
「な、なんだ!?」
「な、なにが起こっているんだ!?」
「前が…って、なにか違和感が…」
風の起きない竜巻が止むと、三人以外の兵士や豊姫、玉兎たちは目が点になる。……と同時に全体から笑い声がこみあげてきた。
「プッ…!」「な、なんだあれ…!?ププッ!!」「おい、笑ったら…アハハッ」と、周りから聞こえてくる。
「フフフフフフ…ッ!!」
豊姫も、一生懸命笑いをこらえているが、別の意味でダムが決壊しそうになっていた。
その理由は――、
「な、なんだこれはぁあああああ!!?」
プロクスが叫ぶ。その理由は、服装にあった。鎧や軍服を着ていた三人の服装は、モヒカンの世紀末ヤンキーを思わせるトゲ付き肩パットの主張が激しい服装に変化していたからだ。
その圧倒的のセンスのなさ、ダサさが際立ち、豊姫の怒りのゲージを一気に下げた。
『ハハッ…似合って、る、ぞ?』
やった本人であるアナザーウィザードも笑いこけ、その風貌に似つかわしくない笑い声をあげた。
この行動により豊姫の怒りのゲージは下がったが、逆に三人の怒りのボルテージはマックスだ。
「ふ、ふざけるなぁああ!!」
「よくも俺達にこんな格好を!!」
「死して償えよぉ!!」
三人が怒りに任せて武器を持って突進する。が、その単調な攻撃が仇となる。
アナザーウィザードの前に漆黒の魔法陣が現れ、激流となりその凶悪な刃が三人を襲う。
「バカが!」
「俺達に水の技なんて効かないぜ!!」
ヒュードルとタラッタがレイピアと三又の槍の先端を向けて攻撃する。水に変化するヒュードルと水の波に乗るタラッタを前に、水技など無意味だ。
だが――、この攻撃はこれで終わりじゃない。
『凍れ』
瞬間、激流が氷結する。水に変化していたヒュードルはそのまま凍り付き、波に乗っていたタラッタも巻き添えを喰らって凍った。
「なッ!?クソッ、こうなったら俺が!!」
大剣の刃に炎を纏わせ、突進するプロクス。
アナザーウィザードは、別の魔法を発動させる。
地獄の煉獄を思わせるような獄炎が、プロクスを襲う。
「馬鹿め!俺に炎など通用しな―――」
その時、プロクスの頭に先ほどの映像が流れる。激流が氷結し、二人のヘプタ・プラネーテスが一瞬にして倒されたことを。
プロクスは上に跳躍して、炎を避ける。
『ほぉ、学習するか。だがまぁ無意味なんだがな!』
突如、プロクスを強力な重力場が襲った。強制的に炎の渦の中に
獄炎の中に雷雲が召喚され、そこから雷がスパークする。
「あがぁあああああ!!」
プロクスの悲鳴が聞こえるが、この魔法はこれで終わりではない。雷雲を中心に漆黒の暴風が生まれ、『火』と『風』と『雷』の三つの元素が絡み合い、プロクスを肉体的にも精神的にも追い詰めていく。
魔法が終了し、そこには全身が焼き焦げ、口から煙をはいて白目になっているプロクスがいた。
『―――よし、まだ生きてるか』
「へぇ……あなた、結構面白いわね」
今まで静観していた豊姫が、そうアナザーウィザードを評価する。事実、彼が豊姫の怒りを代わりに発散してくれたため、気分が良くなってきているためだ。
辺りを見渡すと、豊姫と玉兎以外誰もいなくなっていた。負傷兵が多かったため、避難したのだろう。あの合間に。
そして、時間稼ぎの如く豊姫が口を開く。
「ヘプタ・プラネーテスの三人がこうもあっさり倒されるなんて…あなた、何者なの?」
『アナザーウィザード。それがこの姿の名前だ。それに二度相手した相手に、遅れをとるかよ』
「…?最後の方良く聞こえなかったけど、その言い方だと、他にも姿を持ってるってことかしら?」
『その通りだが、そこまでお前に見せてやる義理はない。さぁどけ。なるべく早く済ませたいんだ』
「そう言う訳にはいかないわ」
豊姫は扇子を大幅に閉じ、全体の一割ほど扇子を開いた状態にした。
「あなたが侵略者である以上、見過ごすわけにはいかない。最初に言った通り…一瞬で終わらせてあげるわ!!」
豊姫が扇子を振るうと、細く一直線に、強力な突風が吹き荒れる。
その攻撃に、アナザーウィザードが動くことはなく、直撃し―――
『グォオオオオオオッッッ!!!』
「――?」
「やった!」
「流石は豊姫様です!!」
後ろにいる玉兎たちに絶賛の言葉を送られるが、豊姫は違和感を覚えていた。この扇子による攻撃は、相手を『浄化』する攻撃だ。
決してあのように爆発などしない。なにかが、おかしい。
――そして、その豊姫の不安は、現実のものとなる。
「なッ!?」
突如後ろから両肩を組まれ、両腕の動きを完全に封じられた。バカな、後ろには誰もいなかったはずなのに―――!
豊姫は急いで自分を抑えた存在が何者なのかを探るために、後ろを振り向いた。
――そこには。
『捕まえたァ…』
心電図のような線が入ったゴーグルから覗く鋭い目付きに唇が厚く細かい牙がずらりと並んだ、わかりやすい嘲笑うような顔つきの悪人面。
ピンク色の頭部から生やした長い黒髪や所々入った金色の造形の入った意匠。
腕や肩に装備している刺々しい装甲などが特徴的で、更には全身の皮膚にまばらに発疹のような模様もあるなど、いかにも不健康そうな姿。
胸部の装甲にはEX-AIDの文字が、背中の仮面の黒い複眼には2016の数字とEX-AIDの文字が刻まれている。
そんな怪物が―――アナザーエグゼイドが、いつの間にか豊姫の背後を取り、拘束していたのだ。
「豊姫さま!」
玉兎たちの虚しい叫びが響き、こちらに銃が向けられる。
『動くな。動けばこいつを
アナザーエグゼイドは拘束した豊姫を玉兎たちの方に向け、脅迫する。
主人を人質に取られ、玉兎たちは動けなくなる。
「あなた…どうやって私の後ろに…?さっきまで、気配なんてなかったはず…!」
『俺は、現実と非現実を行き来する力がある。それを応用して、自分の体をデータ化したんだよ』
「データ化…!」
これで謎が解けた。アナザーエグゼイドにはゲームの世界と現実の往来する力がある。その力を応用して、自分の体をデータ化できる。それを知らされた豊姫は、扇子の力が効かなかったことに納得がいった。
いくら素粒子レベルで浄化できる力があったとしても、元々そのレベルまで体が小さくなっているのなら、効きなどはしない。
「じゃあ、あの爆発もフェイクね?」
『正解。案外頭回るじゃねぇか』
――あの時。
当たる直前、アナザーウィザードは魔法を発動した。
目の前が大爆発を起こし、目晦ましには最適だ。その合間に、アナザーウィザードは『アナザーエグゼイドウォッチ』を起動し、自分の体に押し込め、変身する。
『グォオオオオオオッッッ!!!』
そして、自身の体をデータ化して、素粒子レベルの浄化の扇子の攻撃を受け流し、豊姫の背後を取った。
「道理で扇子の力が効かなかった訳ね…」
『つー訳だ。お前は袋の鼠状態なんだよ』
「―――それはどうかしら?」
そう、豊姫には奥の手である能力、【山と海を繋ぐ程度の能力】がある。その能力は平たく言えば瞬間移動を可能とする能力。
いかなる拘束だろうと、この能力ならば抜け出せる。
豊姫は能力を使って、拘束から抜け出し――
「―――ッ!?」
―――抜け出せ、なかった。
おかしい、能力は発動したはずだ。なのになぜ、ここから一歩も動けていない?
予想外の事態に、豊姫は困惑する。
『自分の能力が発動しなくて、困ってんのか?』
「なっ!?」
『その質問に答えてやろう。俺の能力は『
「そんな、ことが…!?」
『残念だったな。お前との勝負の勝ち負けは、最初から決まってたんだよ。なにせ、お前にとって、俺は天敵だったからだ』
「―――ッ!!」
『じゃあな』
アナザーエグゼイドは豊姫の拘束を外した瞬間、豊姫の首の後ろを力強くチョップして、脳震盪を引き起こし、豊姫を気絶させた。
力が尽きて倒れた豊姫を、アナザーエグゼイドはゆっくりと地面に置く。
『安心しな。今回は、極力殺すつもりはねぇよ』
完全に気絶したのを確認すると、横からレーザーが飛んできた。それを『離繋』の能力で方向を捻じ曲げて回避して、その方向を見ると玉兎たちが憎悪の炎を瞳に宿らせながら撃ってきていた。
大方、あの攻撃で豊姫が死んだと勘違いしているのだろう。
話合いなどする必要はない。と言うかあの状態で話を聞いてもらえるわけがない。ここは、殲滅一択だ。
『行け』
バグスターウイルスAを複数体召喚し、玉兎たちに仕向ける。
バグスターたちが戦っている間に、都の外への道へと向かい、記憶を頼りにある場所へ向かう。
その場所とは―――秘密通路だ。
臘月と
正面突破は余計な労力を割く。ならば、確実な方法で内部に侵入するために、一度外に出るのだ。
場所は月の都の近くにある岩陰。パスワード式だが、そのパスワードの内容はここに来る前に牛車の中でシロに教えてもらっている。
――そして、その内容の全貌を思い出す。その理由は、一つの違和感からだ。
アナザーエグゼイドは、走りながらも頭に牛車の中での会話を思い浮かべる。
『――デンドロン・アルボル?……あぁ、あの『木』の奴な。影が薄いから忘れてたよ』
『忘れて貰っちゃ困るって。まぁ仕方ないけどさ』
話の内容は、【デンドロン・アルボル】についてだ。【ヘプタ・プラネーテス】の『木』の席の人物。この時、当初は別に警戒するだけでいいと思っていた人物であった。
だが、今回出てきたヘプタ・プラネーテスの中に、デンドロンはいなかった。未来では、四人で出てきたはずなのに、
故に、警戒レベルが上がった。
『だってあいつ、完全な後方支援系だったんだぜ?他の七――六人と比べて、見劣りするっていうか…』
『――まぁ、そりゃ当然の考えだ。だけどさ、それ自体がおかしいと思わないかい?』
『―――どういうことだ?』
『デンドロンは、ヘプタ・プラネーテスに入れるほどなのかな?』
『――――』
零夜は考える。
それに、『トヨヒメ』の記憶から分かったことだが、デンドロンは研究室の局長であり、依姫の証言で薬物開発の最高責任者であることが明かされている。
非戦闘職である彼がヘプタ・プラネーテスにいたのかは、今だに謎だ。
『それは、未来でもかなり考えたが、結局はなにも出てこなかった』
『状況が状況だったからね。それでね、未来で僕と零夜が回収した月人の魂、あるでしょ?』
『あぁ、それがどうかしたか?』
『量が量だったし。それに、月人以外の魂も大量にあったからさ、整理するのに結構時間が掛かったんだ。その時間なんと3年』
『三年って……俺らの予定していた時間じゃねぇか』
『そうなんだよねぇ…。ていうか、それに間に合うように整理してたんだよ。ゆっくりやってたら、それの倍以上かかったからね?』
今まで二人が奪ってきた月人や妖怪の魂。それらは【アナザーゴースト】の力の中で今も眠り続けている。
軽くその数は1000を超えているため、詳しい数はもっとあるはずだ。その整理をハイスピードで三年で出来たと言うことは、その数はかなりのものだと予想できる。
『めっちゃ散らかった部屋を片付けた気分だったね。昔、お母さんに部屋片づけなさいって怒鳴られたのが懐かしいよ』
『―――そうだな』
『おっと。それじゃあ話を戻すよ。魂を整理していたら、不可解な事実に気付いたんだ』
『なんだ?』
『―――デンドロンの魂だけ、見当たらなかった』
『――どういうこと、だ?』
『そのままの意味さ。デンドロンの魂だけ、何度探しても見当たらなかった』
『―――それは、確かにおかしいな』
魂は、死んだ場合すぐさま天へと召される。だがしかし、アナザーゴーストの力で無理やりこちら側に引き寄せている。つまり、その力を中心として魂が混濁しているのだ。
その中で、デンドロンの魂だけ見つからなかったと言うのもおかしすぎる。
『それにさ、元の名前にも違和感あるんだよね。あと能力も』
『あぁ…ん?能力に違和感はあったが、元の名前がどうかしたのか?』
『他の六人の名前と能力は、偶然にも『称号』と一致している。例えば、
空真と『天』の場合は、空と天は意味合いが同じなので、カウントできる。
そして、他の五人は『火』影が『火』の称号を持ち、『水』蓮が『水』の称号を持ち、『海』星が『海』の称号を持ち、
その中で唯一マッチしないのが、『木』の称号を持つ光輝だ。
『こいつだけ、名前の漢字と称号が一致していない。『木』ならば、
『いやぁ…それは別にいいんじゃないか?逆に称号と名前の漢字が一致してないだけでなんだ?偶然名前の漢字と称号が一致していただけだろ?それこそおかしいじゃねぇか』
『……まぁ、偶然にも順序があるしね…。でも、他の六人は『称号』に似合った能力を持っていた。当然、『木』の席にも、『木』に由来した能力者を据えるべきだったのに、何故臘月は全く関係のないデンドロンを入れたのか…意味不明なんだ』
『確かに、そこを考えると不自然でならない。ヘプタ・プラネーテスの七人の中で、唯一まともに能力知らねぇのはアイツだけだしな。警戒していて損はないか』
―――そして、未来と過去で、豊姫の人格改変を除けばデンドロンの存在だけ相違が起きている。
デンドロン・アルボルは、不可解な人物だ。臘月レベルで、警戒すべき人物だ。見つけたら、即刻始末するべきなのかもしれない。
幸い、デンドロンは『権能』持ちではない。『権能』を持っていない零夜でさえ殺せたのだ。ここだけは間違いない。
『……ちなみになんだけど、『臘月』の魂は回収し損ねた』
『まぁ、それは仕方ないだろ…』
その言葉で、一気に牛車の中の空気が冷えたが、今はどうでもいい。
(あの場所から臘月の部屋に直行して、内部をかき乱す!そしたら、強い奴等も出てこざる負えない!そして―――アイツも、空真も!)
空真―――今は、ウラノス・カエルムとなってしまった人物。
彼の攻略法も、ニュートンから聞けている。あの知識が、今になって役立つ時が来たのだ。レベルビリオンと言うリスクの高いライダーに変身しなくても、あの怪物を倒せる方法を、ルーミアから聞いた『鎖で巻いて圧っされたようにダメージが入った』時のことも聞いて、確実性が増していった。
(今回は極力殺さない方針、当然難易度も上がるが…上等だ!やってやるよ!)
そして駆けるうちに、あの岩陰が見えてきた。
―――当初は、ゆっくりとパスワードで入る予定だったが、
『アナザーエグゼイドなら、それもいらねぇんだよな!』
再びアナザーエグゼイドのゲームの世界と現実の往来する力を応用して、自分の体をデータ化する。扉の僅かな隙間から侵入し、あの通路へと侵入を果たした。
あの時と変わらない、闇が全てを支配している空間だ。そして、今度はその暗闇に対して対策を立てた。
アナザーフォーゼへと姿を変え、【ライト】と【ホイール】のスイッチの力を使い、超高速で廊下を通り抜ける。
そして、階段が見えた辺りでスイッチを切り、【ホッピング】を用いて跳躍。頭の方に衝撃が響くが、すぐに収まる。
着地すると、そこには一般的な部屋が広がっていた。
『ここが臘月の部屋か……』
どうやら、臘月は不在のようだ。運がいいのか悪いのか。
後ろを振り向くと、額縁の残骸と紙切れが転がっていた。あの記憶とは相違がある。あの記憶の中では普通の壁から扉が出てくる仕掛けだったはず。
それを額縁で誤魔化していたと言うことは、まだ作成段階の最中だったのだろう。
『……ともかく、これだけの爆音が響いたんだ。確実に来るはず…』
非殺傷に長けた四つのモジュールを装備して、待ち構える。
そして、音を聞きつけた兵士たちが、扉を開ける。
「臘月様!一体何が――」
『フンッ!!』
フラッシュの力を使って兵士たちの目を
異変だと感じ取った兵士たちは、武器を持って部屋に突撃しようとするが、ウォーターの噴射力で一気に距離の差を縮め、ハンマーで兵士の頭を殴り、地面をキスをさせる。
部屋の外に出たことで、アナザーフォーゼの姿を、月の兵士たちは目撃することとなる。
「か、怪物だ!?」
「い、一体どこから入って来たんだ!?」
『御託はいいんだよゴミ共。てめぇらまとめて掃除だ。地面にキスさせてやるぜぇ!!』
高く飛び、アナザーフォーゼは兵士たちの群れへと入っていった。
* * * * * * * *
―――少し時間は遡る。
場所は、月の都内部の広場。落ち着いた男性の声で喋る男性――シロはそこに移動して、兵士たちを誘導していた。
あの牛車の爆発から一目散に身を乗り出していたシロは、街中で着地していたためにすぐに兵士たちに見つかり、今に至る。
「追い詰めたぞ、侵略者め!貴様もここまでだ!」
「――追い詰めた?違うね、ここまで君たちを移動したんだ。こんなに美しい景観が、君たちの体を張った前衛芸術で汚れるとなると、嘆かわしいだろう?」
隊長であろう男の声が響く。しかし、挑発とハッタリを混ぜたであろう言葉に、兵士たちから殺意の眼差しが炸裂する。が、その程度の殺気で恐れるほどシロは弱くない。
「ハッタリをかましおってェ…!貴様、ただでは済まさんぞ!」
「それはこっちの台詞。君たちに用はないんだ。用があるのはただ一人だけなんでね」
「なんだと?」
「僕たちの目的は、ある人物の抹殺。それができれば、もう用はないんだ」
「なんだと!?目的を聞いたからには、ますます貴様を返すわけにはいかなくなったな!」
兵士たちが、ライトセイバーみたいな武器と、レーザー銃を構える。月の技術は地上より発達している。地上人を見下している月の民たちにとっては、地上人にとってこれほど恐ろしいものはないだろうと思い込んでいる。
だが、その認識は間違いだ。
―――次元が、違いすぎるから。
「ねぇ君たち……多勢に無勢って言葉知ってるかい?」
「ハ?」
「イェド・オフィウクス」
シロが手を空にかざすと、シロの手が水色のオーラに包まれる。
すると、兵士たちの持っていた武器が宙に浮き始める。謎の現象に、戸惑いを見せた兵士たちだったが、その表情は驚愕へと変わった。
シロが手を握ると、それと共鳴するように武器がスクラップになった。スクラップになった武器は、水色の光が消えるとともに、地面に転がる。
「な…ッ!?」
「武器が無けりゃ、君等はただの有象無象。雑魚も同然さ」
「ウグ…ッ!!」
対抗手段が一気になくなり、隊長の男は冷汗を流した。
もう打つ手がなく、どうしようもなくなった、その時――、
「どいてください」
「――おぉ!」
一人の可憐な女性の声が、美しく響く。その声に、兵士の一人が声を漏らした。
その女性は、薄紫色の長い髪を、ポニーテールにして纏めている。赤紫色の瞳の、女性――。
「依姫様だ!依姫様が来て下さったぞ!」
「これで我らの勝利だ!」
「――――」
【綿月依姫】。―――忘れもしない、未来で共闘して、臘月を倒した仲の存在。
そして、
さらに、その彼女の周りには複数の玉兎たちが武装して着いてきていた。そして当然、その中には――
「―――(レイセン…)」
初代レイセン―――頭にヨレヨレのうさみみを持ち、足元に届きそうなほど長い薄紫色の髪に、紅い瞳を持った玉兎だ。
そして、やはり他の玉兎と違い長身なので目立つ。
未来では、『原作』同様の理由で逃げた玉兎。しかし、それを口実に転生者である臘月が利用し、月を己の快楽の場へと変えた。
絶対に、そうはさせないと思わせられる記憶だ。
「地上からの侵略者よ……覚悟なさい」
「……仕方ない、5分だけ遊んであるげるよ」
シロが地面に手をかざすと、地面から深緑色の二対の短剣が出てくる。
その神秘的な演出に少々驚きながらも、依姫は冷静さを取り戻す。
「短剣で暗殺者、一度やってみたかったんだ。かっけぇし」
「そんなお遊び感覚で、私に勝てるとでも?」
「そうしなきゃ、やってらんないってだけ。さぁ、行こうか!」
依姫とシロ、二人は自身の獲物を手に取って跳躍し―――互いの獲物が、ぶつかり合った。
はい、今回の注目ポイントは、【デンドロン・アルボル】が怪しいと言うことですね。
デンドロンだけ、いろいろとヘプタ・プラネーテスの中では異質なんですよね。そこにシロは気付いたっぽいですね。
それに、未来では豊姫についてきたヘプタ・プラネーテスは四人だったのに、過去では
さらに一度戦ったことがある相手なので対策はバッチリ!未来のようなことにはならず、ほぼ瞬殺で未来で苦戦したあの三人を戦闘不能にしています(なお、やはり善戦した理由はデンドロンの後方支援がなかったことも大きいはず。デンドロンの攻撃は睡眠薬のような液体を矢に塗って放つと言う攻撃なため)。
そして、豊姫相手にも善戦。その理由は豊姫にとって零夜の『
あと、依姫にとってもシロは天敵ですよね。【東方永夜抄?】での話ですけど、シロは(正確には権能持ちだから)依姫の能力を無力化してましたよね。
権能は一部の力として神に命令できると言うチート能力持ってますからね。ついでに、一部分覚醒している零夜も、この能力使えてましたしね。
それでは、また次回!