東方悪正記~悪の仮面の執行者~   作:龍狐

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 いやー、今回いろいろとあったから、投稿が遅れたぜ。
 土曜日を二回も家以外で過ごしたからなー。

 まぁとりあえず、どうぞ。


69 狂乱と贖罪(しょくざい)の始まり

「はぁッ!」

 

「おらよッと!」

 

 

 光り輝く斬撃と、風の斬撃がXの文字となり交差(クロス)する。

 その先にいるのは、アドレナリンが過剰分泌している狂人――デンドロン・アルボル。デンドロンは二人の武器を素手で掴み、そこから鮮血が垂れる。

 

 

ライラ(きみ)のこの刀…良い獲物だ。良い武器だ。良い装備だ。長年使い込まれている業物……そういうのは、とても好きだ!!」

 

「貴様に褒められても嬉しくなどない!」

 

 

 ライラは自身の足に光の力を付与してデンドロンの顎を蹴り上げる。直撃したことによって、デンドロンの口内から唾やヨダレなどが混じった粘性のある血が噴出した。

 

 

「あとは『俺』に任せろ!」

 

 

 シロは蛇腹剣を二本召喚して内側に振るう。軌道が予測不能な蛇腹剣は、デンドロンのありとあらゆる箇所を切り刻む。

 それは胴体であったり、腕であったり、足であったり、首であったり、とにかく様々な場所が斬撃に襲われた。

 

 重力に従い、血を流しながら倒れるデンドロン。

 

 

「やったか?」

 

「ライラ、それフラグ」

 

「はッ?」

 

「ハッ、ハッ、ハァッ…!!」

 

 

 ライラが立てたフラグがものの見事に回収され、デンドロンはあれだけ痛めつけられた状態で、笑いながら起き上がった。

 『変化』の権能で斬られた箇所を再生しながら。

 

 

「結構痛かった…。でも、その子ほどじゃない!その武器からは感じられない。研鑽が、経験が、モノへ込めた想いが!」

 

「そりゃそうだ。即席の武器だからな…」

 

 

 そう、適当に正確な返答を返す。正直、デンドロンと邂逅した時間が短いシロでさえも、デンドロンと話すのは疲れていた。

 さっきからキャラがコロコロと変わり、一体どれが『デンドロン』本人の人格すら全く分からなかった。言動や性格が少しずつ変わっていって、どう接していればいいのか分からないからと言うのが、一番の理由だ。

 唯一の共通点と言えば、どのキャラも発狂して狂っているということだけだ。

 

 

「あの方への忠誠のため、今ここで死ね!」

 

「死ぬか馬鹿!」

 

 

 『変化』された速度で一瞬にして間合いを詰めたデンドロンはシロに向けて空中回転蹴りを炸裂させ、シロは自らの腕でガードする。

 その隙を逃さず、ライラはデンドロンの首をめがけて刀を振るった。

 

 が、すかさず防御のためにデンドロンが突き出した左手がその軌道をずらした。刃と手、どちらが負けるかは明白で、ライラの刃がデンドロンの左腕の肉を掌から縦に裂いていき――途中でビタッと止まる。

 

 

「――っ!」

 

 

 その刹那、当たらないはずの攻撃に当たった。そのせいで、口から吐血した。

 ライラは、鳩尾(みぞおち)に強烈な痛みを感じた。そこは、射程と距離とデンドロンの手足の長さから考えれば決して当たらない所。

 右手では決して届かない。かといって、唯一届くはずの左手はこのざま。一体、何がライラに当たった?

 

 何が起こったのかと状況を確認するライラ。そして――とんでもないものを目の当たりにした。

 

 

火雷(からい)炸撃(さくげき)ッ!!」

 

 

 それと同時に、シロが防御から攻撃に転じた。拳に『炎』と『雷』を纏わせて、デンドロンを殴る。

 

 

「アガァアアアアアア!!」

 

 

 発火と感電が同時に炸裂し、悲鳴が響く。

 その場で膝から崩れ落ちたデンドロンを尻目に、シロはライラを担いでデンドロンと一定の距離を取った。

 

 

「大丈夫かい?」

 

「あぁ…不覚を、取った」

 

「そっか。にしても、驚きだねぇ…。『変化』出来るとはいえ、あそこまでできるなんて。どっかの能力者かよ。いや、能力者か…」

 

 

 全身が焦げたデンドロンの左側…途中まで二つに裂けた左腕。二人はそこに注目していた。二人がそこに注目する理由――それは『長さ』にあった。

 デンドロンの左腕が、異様に長かった。右と比較しても、その差は約1.5倍。おかしいと思えるには、十分な違いだった。

 

 

「―――」

 

 

 ピクッと、デンドロンの体が動いた。同時に警戒態勢を強める二人。―――『変化』はそこから始まった。

 最初の変化は『皮膚』からだった。焼け焦げた全身の皮膚がみるみると剥がれ落ち、新鮮で真新しい皮膚へと『変化』を始めた

 それと同時に、ゴキゴキと骨の鳴る音とともに異様に長かった左腕の長さが右腕と同じ長さに戻っていく

 鳴りを潜めると、デンドロンが声を発した。

 

 

「アァ…いい。怪我をして、自分が傷つく度に、あの方のために働いているのだと実感できる!」

 

「……ねぇライラ。気持ち悪いって思うのは『俺』だけかな?」

 

「安心しろ。私も同意見だ」

 

 

 久しぶりに、二人の意見が一致した瞬間だった。

 それでも、問題は変わらない。『変化』による即時回復――いや、『再生』をどうにかしない限り、デンドロンへの勝ち目が見えてこない。

 

 

「それに、あの再生能力が厄介だな…」

 

「あぁ、あれを突破するには、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()必要がありそうだ」

 

「それなら、私の得意分野だ。……頼まれてもらっていいか?」

 

「無論。どんどん使っちゃって」

 

 

 シロは一歩前に出て、右手の中指を立てながら大声で叫ぶ。

 あの手の相手には、『煽り』が一番効くのだ。

 

 

「おいデンドロン!お前あの臘月っつー糞野郎に仕えてて恥ずかしくないの!?人間としての失敗作とさぁ!」

 

「なに―――?」

 

「もう一度言おうか?あんなクソ野郎に仕えてるお前の頭、一回解剖してみてぇなーってことだよ!!」

 

 

 シロの明確なまでの煽りに、臘月の頭の血管が千切れた音が聞こえる。デンドロンの顔が怒りで歪みに歪み、憤慨した悪魔の形相へと早変わりする。

 

 

「クソヤロウ、だと?ふざけるなぁ!!あのお方は偉大で、尊大で、至高な存在なんだ!それを、クソ野郎だと!?万死に値する!!」

 

 

 臘月を呼び捨てにしたことによって、デンドロンの琴線に触れ、劇的な回復を見せて高らかに叫ぶ。

 

 

「ほざけ。アイツがそんな偉大だったら人間はもっとマシな生き物になってる。むしろアイツには下劣で卑怯で薄汚い存在って言う方がお似合いだぜ!!」

 

「貴様ァあああああああ!!!」

 

 

 逆鱗に触れられたデンドロンは血管が浮き出てそれがブチ切れるほどに発狂し、怒り狂った。その状態を見て、シロは――にやりと笑った

 

 

「ほら来いよ!てめぇの尊敬する人を馬鹿にした奴はここだぞ?あんなクソみたいな人間を慕っているお前は、どんだけクソ野郎なんだろうなぁ!?」

 

「それ以上あの方を侮辱するなぁああああああ!!」

 

 

 デンドロンは地面を蹴り、拳を叩き込んだ。当然の如くそれを避けたシロは、デンドロンの背中の方向へと逃げた。

 デンドロンは目を血走らせながらシロの跡を追う。

 

 

「ほらほら、鬼さんこちら!」

 

「逃げるなぁあああああああ!!ぜっ、ぜった、絶対に贖罪させて、させてやるゥううううう!!」

 

 

 怒りのあまり言葉が途切れ途切れになりながらも、怒っていると言うことは分かる喋り方でデンドロンは追いかけてくる。

 だが、これも想定の範囲内。いくら発狂している狂人といっても、思考パターンさえ把握すれば誘導することは簡単だ。

 単純な思考しかできない狂人ならば、それは尚更だ。

 

 デンドロンは弓を横に持って、そのままへし折る。それはさながら木製の二対の鎌。

 

 

「切り刻んでへし折ってひき肉にしてやる!!」

 

「ワイルドスラッシャーかよ!?」

 

 

 シロがそうツッコむと、我武者羅にデンドロンは二対の鎌となった弓を振るう。一から二になった刃は先ほどよりもさらに斬撃の数を増やし、シロが通った道を跡形もなく破壊していく。

 

 

(本当に狂ってるな…目の焦点が『俺』に合っているようで合っていない。クソっ、理性を無くした相手との戦いは流石に『俺』でも――)

 

 

 初めてだ。シロ()は―――●●●()は、ここまで狂った相手と、今まで一度も戦ったことがない。

 まとも話せる敵は今まで何人もいたが、本格的なまでに頭の思考回路が不明すぎる相手と戦ったのはこれが初めてだ。 

 

 

(こんなに狂った奴じゃ、『俺』も対処方が分からねぇ!こういうときって、漫画やアニメではどうしてたっけ…?)

 

 

 前世で見ていたアニメや漫画の内容を思い出すが、あの頃はまだ精神が未熟で、人の死に耐えられるほどじゃなかった。

 狂人キャラは常軌を逸脱した突拍子のない行動(殺戮)を起こすことが多いため、あえて覚えていなかったのが今更になって仇となった。

 

 

「ともかく行き当たりばったりだ!とことんやってやるよ!」

 

「逃げるなぁあああああああ!!」

 

 

 はちきれそうなほどに叫んでいるデンドロンの声を聞いて、シロはその場で立ち止まって、武術の構えを展開する。

 

 

(正直、武術なんて一回も習ったこともない。この構えだってどっかのアニメのやつ真似しただけだけど……それでも)

 

「観念したかクソが!その煩わしくあの方を愚弄した口を、繋いでやる!」

 

 

 デンドロンの拳が、強力な熱を帯びた状態へと変化する。近づいてくるほど、皮膚や肉の焦げた匂いが鼻に染みついてフードの奥の顔を顰める。

 アレは体の熱を『変化』させた結果だろう。火傷すら厭わないとは、ある意味で恐怖を覚える。

 

 

「熱すら無視するか。だったらこれなんてどうかな!」

 

 

 シロは自身の右腕に『(エネルギー)』を()()()に溜めて、近づいてきたデンドロンの攻撃を避けて腹に直撃させる。

 デンドロンは疼くが、それだけでは足りないとニヤリと笑う。

 

 

「それだけじゃ俺には私には届かない!地上の民よ、燃え尽きグフッ!!」

 

 

 言いかけた時、()()()()がデンドロンを襲った。だが、シロはこの打撃の際に一切デンドロンに触れてなどいない。動いた様子も確認できなかった。

 デンドロンは訳が分からないまま、さらに3撃目、4撃目と連続で打撃を腹に受ける。

 

 

「ウゴォオオオオオオオオオッッ!!」

 

 

 目に見えない拳による連撃が、デンドロンを襲った。何度も同じ威力の打撃が同じ一点()に叩き込まれることで、胃の中のものが逆流し始める。

 それを汚いと思いながらも、シロは天高く昇っていくデンドロンを見上げる。

 

 

「なんかのアニメとどっかのアニメの技を掛け合わせてみたけど、かなり使えるな」

 

 

 シロは基本、自分で技などを考えない。なぜなら、大抵の敵は普通の攻撃だけでオーバーキルできるから。技など必要なときはアニメから引っ張ってくる。

 “そう言えばこんなのあったなー”と言う軽い感覚でその技を真似て、ノンフィクション(現実)で出来なかったことをフィクション(妄想)であるこの世界だからこそ使える芸当だ。

 

 

「えっと確かこの技は…どっかの呪術アニメとグルメバトルアニメの主人公の技を掛け合わせた……って、これだけしか思い出せねぇや」

 

 

 テレビで直接見たアニメなんてもう合計千年以上見ていない。それに、アニメのことなど思い出している余裕すらなかった過去だ。ほとんどもう覚えていない。

 朧気な記憶で、再現できるところまでやっているだけだ。

 

 

「著作権とか、特許とか、世界が別だからどうでもいーよね」

 

 

 そうある意味身勝手な理論を並べて、フードの奥で不適な笑みを浮かべる。

 この技の理念は、自身の『力』を段階的、弾速的に発射することによって連撃を可能とする技だ。つまり、溜めた力が尽きるまで終わらない、地獄の片道切符。

 

 

「でも、俺だけで終わらせたらライラに怒られるし…」

 

 

 シロは地面を蹴って跳躍する。その体は現在飛翔中のデンドロンの高度すらも軽々と飛び越え、ガトリング砲を召喚して、一斉にデンドロンに撃ち込む。

 

 

「アアァアアアアアアアア!!!」

 

 

 デンドロンの悲鳴が聞こえる。いくら回復するといっても、それには速度があるはずだ。空中に打ち上げられている状態でその間反対からの攻撃。とても人間の体で耐えられるものじゃない。

 デンドロンには、この方がいい。連続で複雑な傷を叩き込めば、流石に無力化できると踏んだ。

 

 

「ふざけ、ふざけるな!この俺が負けるはずがない!僕は最強なんだよ!?我は月も地上も凌駕するほどの力を持っているはずなんです!私は誰よりも強いんダァアアアアアア!!」

 

「キャラと言動統一しろや!」

 

 

 今度は『バズーカ砲』に『ミサイル』を追加で発射。地面に着弾すると同時に、大爆発を起こし赤く光ながら地面を震撼させる。

 やりすぎたとは思うが、あの狂人相手にはここまでやらないと効かないだろう。現に今デンドロンはキャラ崩壊を起こしている。いや、すでに元から崩壊していたが、さらに激しくなっている。

 

 

「グガァアアアアアアアアアア!!」

 

 

 デンドロンの汚い叫びが再び響く。

 シロは浮遊しながら、地面を見下ろし、デンドロンの状態を確認するために目に力を入れる。

 

 

「うぅ、うう……」

 

「どうやら、効いてるっぽいな。『俺』じゃなかったら流石に危なかったかも―――」

 

「ウガァ!!」

 

 

 その時、シロの言葉が無理やり遮られた。

 その理由は―――ここまで跳んできたデンドロンが、自身の右腕から走った鮮血の噴水と、自身の右腕が宙を舞っていたから

 

 

「―――ッ!?」

 

 

 そして、それより驚愕すべき事実は、獣のように四つん這いになったデンドロンがシロの千切れた右腕を加えていると言うことだ。

 痛みに悶えながらも、シロは地面に急いで着地する。それと同時に、少し遠くでデンドロンが着地したと思われる茂みのカサカサと言う音が聞こえた。

 

 

「この高度をたった一瞬で…!?いや、それよりあの野郎…!俺の右腕()りやがって…!」

 

 

 デンドロンが落下した方向へと茂みや草を掻き分けながら走り、その場所へと到着したと同時に、信じがたい光景を、目の当たりにした。

 

 

クチャ クチャ グチョ バキッ ゴキッ ゴリッ

 

 

 それは、()()()咀嚼(そしゃく)して、噛む音だった。柔らかいなにかを口に入れ、硬い何かを嚙み砕く音。

 その音の中心にいるのは、やはりデンドロンだった。デンドロンは丸まって、何かを食べている。咀嚼音の正体はデンドロンから発せられていた。

 

 そして、暗くて見えずらいがその隣には―――血で紅く染まってソレだと分からなくなったシロの白い服の腕の部分の布が落ちてあった。

 

 

「―――ッ!!」

 

 

 それを見て、シロはデンドロンが何を喰べているのか、理解した。いや、理解してしまっていた。慣れているはずだ。こんな光景。こんな音。この鉄の匂い。

 それでもこれほどの恐怖と忌避感を覚えるのは、それが、()()()()()()()()()()()

 

 デンドロンがゆっくりとこちらを振りむく。

 

 

「――――?」

 

 

 デンドロンが手に持っていたのは、骨と筋肉が露出している、腕だった。これだった。咀嚼音の正体は、この腕だった。

 柔らかいものを食べる音は肉を食べる音だった。硬いものを嚙み砕く音は骨を嚙み砕く音だった。

 驚愕しているシロを無視して、デンドロンは残りの肉と骨を一気に平らげ、食した。

 

 

「ご馳走様でした…。お前、生意気なクセにいい味するんだな」

 

「お前…ッ!!ついに人であることすら辞めたか!」

 

 

 この感情は、怒りだ。自分の腕を食べられたことによる、今までに感じたことのない異色の憎悪。シロや零夜も、自分は人間失格だと自覚しているが、それでも最大の禁忌(タブー)であり忌避していた行動…同族喰いだ。

 それを、デンドロンは行っていた。

 

 

「なんだよ急に……あぁ、そうか。どうして戦いの最中に食べてるのか、疑問に思ってるのか?」

 

「はッ?」

 

「だってそうだろ?普通、戦いの最中に食事なんてしない。そんなの俺だって分かってる。それを不思議に思ってるんだろ?だから教えてあげようと思ってさ」

 

 

 ずれている認識の仕方に、さらにシロの怒りのボルテージは上がっていく。自分の体の一部を捕食されることが、ここまで気持ち悪いことだったなんて。正直生まれて初めての経験だった。

 

 

「そういうことを言っているんじゃ――」

 

「腹が減るからさ」

 

「……なに?」

 

「戦ってると、猛烈に腹が減って、体が痩せちゃう。それを補うためには喰うしかない。だから食べているんだ。食べると言うのは生物的な本能。つまりは仕方のないことなのさ。分かってくれたかな?」

 

「……そうか」

 

 

 なにを当たり前のことを言っているのだと思うが、同時に納得がいった。アイツは体が痩せるといった。体の失った部分を『変化』させて回復させるには、その組織や細胞を回復させるための栄養が必要だ。そこだけは、能力や権能で補えるものではない。

 『回復』や『再生』と言うのは一種の『栄養の前借り』だ。体の復元は栄養がないとできないのだ。

 

 つまり、ここからは憶測だがデンドロンの体は『変化』の権能によってト○コ方式になっているはずだ。トリ○方式の体ならばカロリーを滅茶苦茶蓄えられる。

 今までその蓄えで『変化』による回復を行ってきていたのだろう。だが、さっきの嘔吐も含めてか、その蓄えが切れて敵の体を捕食していた。

 

 

「確かに、食べると言うのは生物学的には本能によるものだから、言えることは何もない。けどな……」

 

 

 シロは足に今まで以上の力を入れて、自身の持てるすべての『権能』で体を強化した。その体で一瞬にして失った右腕を再生し、地面を蹴って、一瞬でデンドロンとの間合いを詰めた。

 

 

「俺の体、勝手に喰ってんじゃねぇよ!!」

 

 

 再生した右腕で、デンドロンを思いっきり殴り飛ばした。

 

 

「おぶぅうううううう!!!」

 

 

 腹を直で殴られたデンドロンは、汚い悲鳴を上げて遠くに吹っ飛ばされそうになる。だがしかし、それを許すほど今のシロは甘くない。

 その体を左手で掴んで、地面に叩きつける。そのまま足で踏んづけて体を地面に固定して、殴り続ける。

 

 デンドロンの体から鮮血が舞い、骨がひしゃげる音が聞こえる。

 

 

「お前には、これだけじゃ足りねぇよな…!!」

 

 

 シロは武器を召喚する。召喚した武器は、グニャグニャとした特殊な形状のピンセットだ。それを思いっきり――口内に突き刺した。

 

 

「――――ッッッッ!!!!」

 

 

 デンドロンの悲鳴にならない悲鳴が聞こえた気がした。それを無視して、シロはあることを口にした。

 

 

「普通、こんなことしたら延髄(えんずい)に突き刺さって死ぬが、このピンセットの金属部位は少し特殊でな。生命活動に必要な部位や神経なんかを素通りして貫通してくれるんだ。便利だろ?」

 

「―――ッ!!」

 

 

 つまり、本来死んでしまうような攻撃でも、このピンセットでは死ねないと言うことだ。

 ちなみに、紅夜の刀の刃を口で受け止めても死ななかったのは、ただ単に筋肉で受け止めた際にそこまで貫通しなかったからだ。

 最悪な拷問器具を目の前に、デンドロンが血走った眼でシロを見た。

 

 

「どうした、今更怖気づいたのかあぁん!!?人の腕喰っといて、今更待ったはナシだ。お前は少し調子に乗りすぎた。殺しはしないが……お前に一つ教えてやるよ。同じ『権能力者』でも存在する、()()()()ってのをな!」

 

「アア…アァ!!?」

 

 

 シロは四本の剣を召喚すると、それを『権能(念動力)』で動かし、それをデンドロンの四肢に突き刺した

 

 

「グガァアアアアアアアア!!!」

 

 

 デンドロンの獣のような雄叫び(悲鳴)が響く。これで、デンドロンの体は地面に完全に固定された。そこからさらにピンセットで口の中を固定されているから、声をまともに出すどころか顔を動かすことすらできない。

 

 狂気に溺れている今のデンドロンならば、そんな状況からも自分の安否を顧みずに脱出を試みるだろうが、延髄と言う傷ついたら生命活動が停止する危険な場所へのダメージを考慮しているのか、無理に脱出をしようとはしなかった。

 ただ、魚のようにジタバタと暴れているだけだ。

 

 

「正直さァ……ここまでキレたのはホントいつぶりだよって話だ。()()()()()で、本当にムシャクシャする」

 

「ア…ガ…?」

 

「喋るんじゃねぇよ!!」

 

 

 シロは獄炎で燃える巨大なハルバードを召喚して、それを無防備なデンドロンの腹へと振り下ろす。

 

 

「アガァアアアアアアア!!」

 

 

 血と肉が焼き焦げる音と匂いが、辺りに充満する。

 

 

「楽に死ねると思うなよ…?と、言いたいところだけど、まだ終わってない。てめぇのトドメはアイツに任せる」

 

 

 シロはデンドロンの体を持ち上げる。剣で固定した部分がブチブチと音を立てながら肉体がシロに持ち上げられる。

 それと同時に()()()()()に向かって投げる。

 

 

「ライラ!やっちまえ!!」

 

 

 その瞬間、森の奥から光る一閃が迸り、一直線に進んだ道を光で焼き焦がし、投げ飛ばされたデンドロンの体を嬲るように無数の細かな斬撃がデンドロンの体を切り刻み、鮮血が舞う。

 

 

「ガァアアアアアア!!」

 

その通り道を通った人物――ライラは刀を鞘にしまうと、デンドロンの残状を確認して、軽く引いた。

 

 それと、ライラを置いてきた理由――それは技と集中力を溜めるために一人でいられる空間を作るためだった。集中力を上げることで技の完成度を高める。

 ライラが放った技は光の力による刃による無数の連撃だ。それでデンドロンの回復が追いつかないほどに攻撃を与えるつもりだった。

 だが、デンドロンがシロの腕を喰らうと言う予想外の事態に発展してしまったことと、デンドロンの『変化』による『再生』が無限ではなかったことが幸いして、シロだけでも倒せてしまい、ほぼライラの出番がなくなってしまった。

 

 

「ア、ガ、ガ……」

 

「なんだこれは…明らかに私の攻撃以外の傷で重症を負っているじゃないか」

 

「いやーごめんね。久しぶりにプッツンいっちゃって」

 

「なにが……って、お前、右腕の袖がないじゃないか。まさか、斬られただけでここまで?」

 

 

 シロの現状を見て、右腕がやられたのだと推測した。たがしかし、同時に疑問が生まれた。三年前、シロとライラは実力確認のために戦ったことがある。【猛毒剣毒牙】の『転生者キラー』の力で弱体化していたシロと対等に戦えて、右腕を奪ったことがあるライラにも、シロは怒らず、むしろその場で再生して見せた。あの時は本当に人間かと疑ったが、本人曰く“人間は既にやめている”とのこと。

 そんな彼が、どうして右腕を奪われた程度で激怒したのか、ライラは分からなかった。

 

 

「いや、右腕取られた程度じゃ『俺』は怒らないよ?だけどその後コイツ、俺の右腕喰いやがった」

 

「喰っただと!?お前の腕をか!?」

 

「いろんな奴と出会ったけど、人間で同族喰いする奴は流石に初めて見た…。こんなの許されんのはゾンビ映画だけだっつの…」

 

 

 ゾンビ映画でも許されないことだが、そこは人とはずれている感覚なので、どうにもならない。

 そして、流石のライラも人喰いに関しては言葉が出ないほど驚いていた。彼女も人喰い妖怪などを知っているために常識の一つとして認識しているだろうが、いくらなんでも同族を喰らうことには抵抗があるようだ。

 

 

「なんでそんな凶行にコイツは及んだんだ…?」

 

「簡単だよ。コイツ、『再生』のために大量に栄養(エネルギー)を補給していた。それが切れたから、補給のために俺を喰ったんだ

 

「……理屈は理解できたが、納得はできないな…」

 

「しなくていいんだよ。とりあえず、コイツを拘束しよう」

 

 

 そうして、二人はデンドロンを縄で拘束した。普通の縄では逃げられる可能性が十分あるため、特別製の縄だ。追加で鎖で縛って、身動きできないようにした。死なないようにある程度の回復も済ませて。回復しすぎると危険だが、栄養の足りない今では、深い所までは回復できないだろう。

 自害もできないように、先ほどの特別製の縄で口を縛る。

 

 

「とりあえず、これで大丈夫っしょ」

 

「……これで大丈夫なのか?不安しかないのだが」

 

「一応、あらゆる可能性を考慮した仕組みになってるよ。この縄には、マクラの糸を巻き込んであるんだ」

 

「いつの間にそんなものを…」

 

 

 マクラの糸は、あらゆる性質に変えることができる特性がある。捕縛に最適な糸を練り込んだ縄を、今回は使用した。それも、何重にも。

 

 

「こっちの縄は頑丈性を重視。こっちの縄は弾力性を重視。そしてこれは粘着性を重視した縄に耐熱性を持った糸の縄。本当にマクラ万々歳だよ」

 

「正直、マクラの糸には助けられているのは確かだな。この服や紅夜の服も、マクラの糸で作ったものからな」

 

「……前々から思ってたんだけどさ。その服装って、レイラの奴そのまんまだよね」

 

「――――」

 

 

 疲労困憊(ひろうこんぱい)の頭に血が回らない状態で、地雷にも近い質問をしてしまった。シロは、口が滑ったことに、“しまった”と思った。今迄触れたことのなかったワード。ライラの逆鱗に触れることを恐れて、今まで聞かなかったことを聞いてしまった。

 その、ライラの様子は…

 

 

「あぁ。これはレイラの服装をマクラの糸でそのまま再現したものだ。レイラの服装は、レイラを襲った人間が着ていたものらしい。大分前に偶然合ってその話を聞かされた。着心地が良かったから殺した後そのまま自分の物にしたらしい」

 

「殺した奴の服着てたのかアレ…」

 

 

 意外と怒らずに当時の話をしてくれたライラに驚きながらも、いろいろと納得がいった。レイラの服装は上半身はサラシと法被(ハッピ)と言うこの時代ではありそうなスタイルだが、下半身が『青の長パンツ』と言うどう考えてもこの時代の服装ではなかったのが今まで疑問だったが、そう言うサイドストーリーが存在していたとは。

 

 

(この時代にも転生者?レイラを襲ったって時点で、ソイツがどんな奴かは丸わかりだが…『俺』の行動に、()も介入率を高めてきたのか?)

 

「どうかしたか?」

 

「いや、なんでも。とりあえず、僕は月に行かなきゃ。こっちのいざこざが終わったから、次の場所に行く」

 

「そうだったな…ひと段落ついたと思ったが、まだ全て終わったわけではなかったな」

 

「そうそう、だから行くとするよ。えぇっと……転移先の座標は―――」

 

 

 

ドゴオオォォオオオオン!!!

 

 

 

「「―――ッ!!?」」

 

 

 その刹那、とある方向から爆音とともに爆炎が燃え上がり、熱気がシロとライラを襲った

 二人が実害を受けたわけではない。二人が直撃したのは、熱気だけだ。だが、その熱気が起こったと言うだけで異常事態だ。

 その方向を見ると、森が炎にどんどん侵食されていく光景が広がっていた。

 

 それに、この方向は―――、

 

 

「今度はなんだ!?」

 

「……まずい。あの方向は、妹紅たちを置いてきた場所だ!」

 

 

 そう、その方向とは、妹紅や輝夜、永琳を安置してきた方角だった。

 何故、よりにもよってそこに?いや、答えなんて決まっている。襲撃だ。

 

 その方角へと、急いで走る。

 

 

(一体誰が…?臘月じゃないはずだ。アイツの攻撃は発火なんてしない。だったら――)

 

 

 最悪の可能性が浮かぶ。だが、攻撃で発火などするはずのない臘月は除外するとすれば、炎の能力者など、ただ一人しかいない。

 

 

「アアァアアアアアアアア!!」

 

 

 その場に着くと同時に、悲痛な()()の声が二人の鼓膜に木霊(こだま)した。その少女は、白髪を揺らしながら、灼熱の業火に身を焦がし、当たり一帯を焦土へと変化させていた

 悲鳴にも声は全てを燃やす火炎へと変換し、その紅い瞳はその炎のように紅い。

 

 

「アアァアアアアアアアア!!」

 

 

 我を失ったかのように、理性など焼き切れたかのように、獣のように叫ぶその少女の名は――藤原妹紅

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

* * * * * * * *

 

 

 

 

 

 

 

 

―――逃げていた。

 ルーミアと紅夜。デンドロンと戦うシロとライラから、背中ごしの激戦区から離脱していた。ルーミアよりも体の傷が多かった紅夜を、ルーミアが抱えて。

 

 

「大丈夫?」

 

「はい…。すみません。担いでもらって…本来、これは俺の役割なのに…」

 

「気にしないの。実際、あの戦いには私たちは役立たず。離れているのが得策よ」

 

「――そうですね」

 

 

 しばらく歩くて、3分ほどだろうか。突如目の前からなにか速球で走ってくる生物が見受けられた。その生物に、警戒をして――、

 

 

「(・ω・)ノ」

 

「マクラ!」

 

 

 そこから出てきたのは、マクラだった。

 マクラは手ぶらであり、どうやら無事二人を安全な場所まで届けてくれたようだ。

 

 

「きゃッ!」

 

 

 突如として二人を軽々と担いだマクラは剛速球で移動する。

 

 

「速ッ…こんな小さな体して、こんなに早く走れるものなのね」

 

「(≧▽≦)」

 

「道理であなざーでんらいなー?だったっけ?それに追いつけたのも納得だわ…」

 

 

 マクラの走る速度を体感してみると、あの状況ですぐに駆け付けられたのも納得の速度だ。これなら以外とすぐに着くだろう。

 

 

「あの二人が心配だけど、あの二人ならきっと大丈夫よ。だから―――って、どうしたの!?」

 

 

 隣にいる紅夜の反応がないことに疑問を感じたルーミアは、まだどこか体の調子が悪いのではないかと心配する。

 

 

「あっ、いえ、何もありません……。ただ……」

 

「ただ?」

 

「あの……理屈も確証もない、ただの戯言のようにしか思えないんですけど…直感なんです。あのデンドロンって人、俺とどことなく似てるような気がして……」

 

「…えッ?」

 

 

 なにを言っているんだ?彼は?

 似ている?デンドロンと、紅夜が、どことなく?あの狂人と、この真人間を模ったような人間が?

 

 

「そんなワケないでしょ…性格の方向性も違いすぎるし……」

 

「そう、ですよね。なんで俺、こんなこと思っちゃったんだろ…」

 

「そうよ。そんなこと考えてないで、今はこの状況を何とか――」

 

 

 その時、マクラが急停止した。

 

 

「なにッ!?どうしたの!?」

 

「ルーミアさん……アレッ!」

 

 

 紅夜が大声を出して指を刺した方向、マクラが急停止をした理由が、目の前にあった。

 それは、『闇』だった。今日(こんにち)の夜空よりも暗く、泥沼よりも混濁し、まるで、人の心の闇が具現化したような、そんな『闇』があった。

 

 この先の視界が『闇』に遮られ、なにも見えない。

 

 

「ルーミアさん。この先何か見えませんか―――って、ルーミアさん?」

 

 

 常闇の妖怪であるルーミアになら、この闇の中でも道案内が出来るだろうと考えた紅夜は、そうルーミアに問うが、彼女からの返答はない。

 むしろ、視線は闇の奥へと釘付けになっていた。

 

 

「嘘…なんで?どうして、ここにいるの?」

 

「―――えッ?」

 

 

 あり得ないものを見るかのように、ルーミアの声は小さくなる。何事かと思い、紅夜は奥に広がる闇を見る。――『闇』だ。『一寸先は闇』と言う言葉が物理的にふさわしい状況であるが故に、紅夜はなにも分からない。

 

 そんなとき。

 

 

「危ないッ!!」

 

 

 ルーミアが紅夜を突き飛ばし、マクラの上から突き落とした。何が何だか分からないまま、落ちていく瞬間、紅夜は見た。

 自分のいた場所に黒い何かが高速で通り過ぎるところを

 

 

「はぁッ!!」

 

 

 その黒い何かは連続で、目の前の真っ暗闇から飛んでくる。すかさず闇の剣を創ったルーミアはそのなにかを薙ぎ払い、防御に徹した。

 そのなにかは地面に落ちると同時に、霧散する。

 

 

「これは…?」

 

 

 その時だった。全ての景色が、『闇』一色に包まれた。紅夜はなにも見えない。全てが『闇』で『暗闇』で、いくら妖怪として暗視が可能だとしても、限度がある。

 暗闇は人を恐怖に陥れる。そして、それは紅夜も例外ではない。何も見えないこの空間、紅夜の心は、徐々に恐怖に染まっていき―――

 

 

「紅夜、しっかりしなさい!」

 

 

 その時、ルーミアが紅夜をギュッと抱いた。紅夜の顔がルーミアの豊満な胸に包まれ、赤面する。恐怖心に染まりかけていた心が一瞬にして羞恥心へと変わる。

 紅夜も年頃――思春期だ。こんな状況、興奮するに決まっている。故に、すぐ自分から突き放した。

 だが、そのおかげで恐怖から脱することができた。

 

 

「ルルルル、ルーミアさん////!?」

 

「大丈夫?……本当は零夜以外にしたくなかったけど、緊急事態だし…」

 

「で、でも、それならビンタでも構わなかったんですが…」

 

「あなたを殴る気にはなれないの。それよりも……」

 

 

 ルーミアと紅夜、そしてその隣ではマクラの鳴き声も聞こえる。全員の無事を確認して、周りの闇を再び認識する。

 

 

「これは…一体、なにが!」

 

「襲撃よ。最悪の敵の。あなたにとっても、私にとってもね

 

 

 そんな時、一部の闇が、晴れる。その場所は地獄からの出口であると同時に地獄の門番がいる場所だ。その場所から一つの人影が姿を表した。

 その詳細の特徴は、『ルーミアのような』高身長。『ルーミアのような』黄髪の長い髪。『ルーミアのような』豊満で華奢(きゃしゃ)な体型。『ルーミアのような』紅い瞳。『ルーミアのような』能力者だった。

 唯一の違いは、『服装』。ルーミアはボタン付きの白い長袖ブラウスと、その上に着せられた黒いワンピースで、目の前の人物は、白黒の洋服を身につけ、黒いロングスカートを履いている美人だ。

 

 そんなルーミアに似た人物―――いいや、違う。似ているとか、そういうレベルじゃない。

 その顔はーールーミアと、瓜二つの、同一の顔だった。唯一の違いは、瞳のハイライト。紅夜を守った方のルーミアのハイライトは健在だ。だが、紅夜を襲ったルーミアのハイライトは、濁っていた。消えたとか、そう言うレベルじゃない。どこまでも濁りに濁って、この世の絶望という絶望が引き詰められたような瞳だった。

 

 

ルーミアさんが…二人?

 

「―――」

 

 

 状況の整理がつかない紅夜は、ただただ困惑するばかりだ。当然だ。目の前に、同じ人物が二人いるのだから。驚かない方が不自然だ。

 二人のルーミアは互いに睨み合い、武器を持って互いに威嚇した。

 

 

「紅夜……あんたにはいつか、知らせなきゃならないと思ってた…。だけど、早まっちゃったわね」

 

「なにを、言っているんですか?」

 

「私ね…あなたにずっと黙ってたことがあるの」

 

「え…?」

 

 

 訳のわからない状況に、もうどう対応すれば良いのかわからない。自分に黙ってたこと?三年前が初対面だったのに?別に、怒るようなことはなにもしていないのに?

 

 

「訳がわかりませんよ!?一体なんなんですか!?ルーミアさんが二人いて、それで謝らなきゃならないことって!?もう何もかもわかりませんよ!!」

 

「……あれは、過去の私。何もかもに絶望して、ただただ自分の行為を正当化していた、未熟で愚かな私。この巡り逢いの可能性は充分にあった。全てとは言わない。でも、今だけは、少しでも、私の()()()()の清算するために!」

 

 

 もう後ろに居る紅夜の言葉など耳に入っていない。ただ、彼女の五感はすべて、この時代のルーミアに釘付けにされている。

 闇の剣を過去のルーミア―――通称:【過去ルーミア】とでも呼ぼうか―――彼女に向ける。

 

 

「―――」

 

 

 過去ルーミアは無言のまま闇の剣をルーミアに向ける。その黒く(よど)んだ目で。再びここは闇に包まれ、光が消失した。

 今この場でまともに戦えるのは、『常闇の妖怪』であるルーミアのみ。故に、最適なのだ。

 

 

「マクラ、紅夜を連れてここから逃げて!!」

 

「ルーミアさん!!」

 

「ハァアアアアアアア!!」

 

 

 紅夜の叫びも虚しく、紅夜を無理やり縛ったマクラとともに闇の彼方へと消えていき、二人のルーミアによる激闘が始まった。

 その時間帯は奇しくも、デンドロンを倒し妹紅が暴走した時間と、ほぼ同じであった―――。

 

 

 




 いやー、今回はデンドロンのイカレ具合が際立った回でしたね。まさかの食人…。人喰い妖怪ならまだ分かりますけど、人間が人間を喰うって、怖いですよね。

 そして、暴走する妹紅――。一体、なにがあったのか?だが、暴走の理由は、なんとなく皆さん、分かるかもしれませんね。

 最後に、過去のルーミア―――ヤミヤ登場。この時代のルーミアは何故かハイライトが消えており、紅夜を狙っていた模様。そして、ルーミアも動機は理解しているようで…?
 何故ヤミヤは紅夜を狙うのか?ルーミアの“犯した罪”とはなにか!?

 ――謎が謎を呼ぶ、サスペンス!!

 あと、判明した謎もありましたよね。
 ライラとレイラの服装です。二人の服装は統一されており(レイラとして振舞うために)
 青いパンツ――まぁ言ってしまえばジーンズとジャージの二つの良い部分を良いとこ取りしたようなやつです
 これは過去にレイラを襲った転生者が身に着けていたものだったんですよね。そして、そのまま返り討ちにあり死亡。

 だけど、シロは自分達以外の転生者の存在が確定したことを気にかけているようで…


 評価:感想お願いします。


 あと、過去ルーミアの通称を大募集しています。今はヤミヤで通ってますが、これを考えた理由は単純に“眼の光が存在せず、闇落ちしているから”と言うのが理由です。
 もし、他にマッチしそうな呼び名があったら、感想で投稿をお願いします。

 もし採用されたら改稿し、採用することがなかったら『ヤミヤ』で行きますのであしからず…。

 それでは、また次回!!








―――紅夜とデンドロン、一体、どこが似ているのかな?







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