まぁーいいや。
それより今日、ビヨジェネ見に行くんですよ。親と。父方が自分と同じく仮面ライダー見てまして…。
二日もお預け喰らったし、一人で見に行こうにも雪で行けねーし。ようやく行けてハピハピハッピー!
まぁそんなわけで、73話、始まります。
六色の輝きを放つ刃が、『ルーミア』に向けられる。
『権能』は『権能』持ち以外の攻撃を完全無効化する力だ。その確実な格差が存在する限り、『ルーミア』は紅夜に対して勝つと言うことすらできなくなってしまった。
それに加えて、紅夜の放つ殺気に完全に委縮している。あの時感じた、逃げる決め手となったゲレルとレイラの殺気を完全に合体させたような殺気に、『ルーミア』は後ずさった。
だが、『権能』について詳しく知っているはずの紅夜は、このアドバンテージが完全に頭から抜けていた。そんなことを思いだしている暇がないほど、緊迫していたからだ。
「――――」
対してルーミアも、急な紅夜の力の解放に目を疑った。それと同時にこの進化の可能性を頭の中で何度も張り巡らせ、『権能覚醒』と言う結論に至った。
(まさか、『権能』に目覚めたと言うの?あの時間で一体なにがあったの?私の記憶にそんな効果があるとは思えないし…)
『権能』について知っているルーミアとしては、何故急に紅夜が権能に目覚めたのか理解できなかった。特にきっかけがあったようにも見えず、ただただ疑問が増え続けるばかり。
―――そして、困惑しているのはルーミア二人だけではなかった。
よォ。始めましてだな
(え―――えッ?)
突如聞こえた、男性の声。この場に男性は紅夜しかいないし、全く知らない誰かの声だ。だが不思議と、その声が他人のように思えなかった。
俺の名前は…まぁ今まで通りウォクスって呼んでくれや
(ウォクス!?ウォクスなのか!?)
自らを【ウォクス】と名乗った謎の声は、平坦な声で紅夜に自己紹介をした。紅夜の知っている【ウォクス】とは完全にかけ離れた性格、声、口調だ。そのあまりのイメージの違いに、この瞬間だけは戦いを忘れてしまう。
(いや、ウォクスじゃない!声も口調も違う。全くの別物だ!)
酷ェな。まぁ否定できないけど。まぁ『権能』に覚醒したから進化したって思ってくれや
(進化じゃなくて変化だろ!?一体どうなってるんだ!?)
あーうるせ!!いいから目の前に集中しやがれ!
乱暴な口調で命令されながらも、紅夜は目の前を向くと、現在進行形で『ルーミア』が突撃してきた。
後ろに避けると、『ルーミア』は今紅夜がいた地面に激突して、砂ぼこりが舞った。ルーミアの隣に立って、『ルーミア』の様子を確認する。
「紅夜…その力…」
「ルーミアさん。今の俺じゃこの力を扱えきれません。補助を、お願いできますか?」
「―――えぇ。今は、アナタに従うわ!」
今考えても仕方ない。情報を完結させたルーミアは目の前の状況へと集中する。砂ぼこりの中から闇の翼を生やした『ルーミア』が闇の大剣を持って突撃してくる。
前よりもより速度のキレが増した突進だ。それだと言うのに、紅夜はその速度に『不自然』と言う感情を抱いた。
(遅い?速度が遅くなってる!?)
『ルーミア』の移動速度が遅く感じた。『権能』に覚醒する前はロケットミサイル並に感じたあの速度は、今や素人が投げた野球ボール程度の速度に見える。
そこからの対応は早かった。紅夜は抜刀していた六色に輝く刃を『ルーミア』の闇の大剣にぶつけた、先手を取った。
「―――ッ!!」
「ハァッ!!」
ぶつかった瞬間の力の押し合いも、紅夜が勝った。圧倒的な力でゴリ押して、逆に『ルーミア』を吹き飛ばして、『ルーミア』は背中が木々に激突する。
「―――今のは…」
「紅夜、今のって…」
よっしゃ!アメジストの力は遺憾なく発揮できてるみたいだな!
二人の驚愕を
(アメジスト?一体なんなんだ?)
いいか?お前の『権能』は限定解放されたものに過ぎない。だから基本の6つしか使えない。刃の光で表すと、『紫』色の力だな
紅夜は自身の刃の紫色に光っている部分を見る。これ以外に、『白』『赤』『青』『緑』『黄』の五色が刃に纏われている。
アメジストの力は【思考超加速】!“脳内で行われる情報整理や完結を生き物の速度を超えたスピードで行う力”だ!
アメジストの力。思考超加速。この力はその名の通り思考力を超加速してありとあらゆる状況へ即対応できるようにする情報演算能力。
先ほどの『ルーミア』の特攻が遅く見えたのも、アメジストの情報収集能力と処理能力が極大までに成長したことによるものだ。
(だから『ルーミア』さんの行動が遅く見えたのか…)
ちなみに刃の光は『権能』の力を表面化させて刃に纏わせたにすぎねぇ。要するに中身のないただの力の塊だ。攻撃力が強化されると思えばいい
(助言ありがとう!人間臭いウォクス!)
なんだその呼び方!普通にウォクスでいいだろ!?
心の中で感謝を述べて、紅夜は地面を駆ける。それと同時に砂ぼこりを辺り一面に散乱させながら『ルーミア』が復活する。それを見て、ようやくルーミアも活動を開始する。
跳躍し、刃を振るう。『ルーミア』は倒れ伏しながらも闇の大剣で防ぎ、せめぎ合う。すぐに『ルーミア』は先手を取って紅夜の腹に足蹴りを喰らわせた。これで吹き飛ばし、体制を整えるつもりだったが――、紅夜はびくともしなかった。
「ウォオオオオオ!!」
紅夜は更に力を入れて、闇の大剣を粉砕した。
「―――ッ!?私の剣がッ」
「捕まえたッ!!」
『ルーミア』の両腕を掴んで、馬乗りになる。紅夜としては『ルーミア』を殺すつもりはない。むしろこのまま和解したいと思っているほどだ。そのための拘束だったが――今の『ルーミア』にとっては逆効果だった。
「――ヒッ!」
紅夜の姿が、
そして想像した姿は、“ゲレルに襲われる自分”という最悪の想像だった。
「イヤァアアアアアアア!!!」
「――ッ!?」
恐怖で錯乱したまま、『ルーミア』は能力を使って影の中へと姿を消した。そのまま紅夜の後ろに回って、闇で形成した無数の矢を自身の周りに顕現させ、一斉投下―――、
「させるわけないでしょ!」
そこでようやくルーミアが間に入った。紅夜と『ルーミア』の間に闇の壁が形成され、闇の矢は闇の壁へと消えていく。
その隙にルーミアは掌に闇のエネルギーを収集した玉を創り、『ルーミア』へと投げた。
だが、『ルーミア』のつけていた闇の翼が羽ばたくと同時に空中に浮遊して回避した。
そして、必然的に紅夜に向かってくる闇の玉を足蹴りで消失させる。
「ご、ゴメン!大丈夫だった、紅夜!?」
「えぇ。問題ありません」
「それにしても、体が大分丈夫になってない?私の
「そう、ですね。これも、強化のおかげですね」
闇の玉は、言い換えれば質量――つまり重力の塊だ。言い換えれば鉛玉のようなものだ。さらにそこにルーミアの能力が加わっている。それを軽々と蹴りで打ち破るほどに、紅夜の体は強化されていた。
それだけではない。ルーミアが自分に向けてくる感情が何故か奥深く理解できた。彼女は今、紅夜に対して『負い目』と『心配』と言う感情を向けてくれている。
何故そんなことが分かるようになったのか、疑問に思ったとき、
ダイヤモンドとトパーズの力だな。ダイヤモンドの力は防御力の底上げだからなァ。攻撃にも転化できるぜ。そしてトパーズの力は戦闘中はほぼ使いどころがないんだが、“他人の感情を読み解く”ことが出来るんだ。結構便利だぜ?
自分の『権能』のことについて詳しく、淡々と説明してくれている
ダイヤモンドの防御力向上の力と、トパーズの感情を読み解く力。確かに強力な能力だ。
次に妖力纏い、やってみろ
「えっ、無理だって」
「えっ、どうしたの急に!?」
「あっ、いえ、何でもないです!」
思わず声に出てしまった。でもそれは仕方のないことだと言える。今迄妖力纏いは高等技術で、あのライラにですら困難を極める難関を極める部類の技術だ。下手な腕前で行えば、力が暴走して逆に自分がダメージを負う可能性すらある危険な行為だ。
今まではウォクスがすべてをやってくれていたからできたことで。紅夜自身の実力と技術では不可能だ。
(今まではウォクスがやってくれたんだ!だから、頼むよ!)
このあんぽんたんが!いつまでも甘えるんじゃねぇ!大丈夫!今のお前になら出来る!ファイトイッパーツ!!
「なんだよそれ!?でも、そこまで言われちゃ…やってやる!!」
ほぼヤケクソのように見えて、彼なりに自分の体の細部一つ一つに妖力を纏わせる。その結果、予想外なことに武器と全身の妖力纏いに成功した。
「―――ッ!?(成功した!?今まで自分でやっても無理だったのに…!?)」
過去に一度、ウォクスの手を借りずに『妖力纏い』を行った結果、散々な結果になった。ウォクスに警告され試した部分は右手の小指だけだったが、その部分の妖力が暴発して、見るに堪えないまでにダメージを負った記憶がある。
それ以来、ダメージを負う恐怖で自分で『妖力纏い』を行ってこなかったため、一発で成功するなんて思いもしなかった。
どうよ!これがエメラルドの力だ!余分な力を完全に抑えて力の制御を可能とする力!アメジストの力と合わさってるから、さらに研ぎ澄まされてるぜ!
どうやら、自分の力が暴走せずここまで完璧に制御できるのはエメラルドの力によるものらしい。余分な力を完全に抑制し、必要な分だけを使う力。それがエメラルドの力なのだ。
ともかく、『妖力纏い』を自力で扱えるようになった紅夜は格段にレベルアップしていた。そんなやり取りが続き――、
「死ねッ!!」
上空から質量の暴力が降り注いできた。ここまでの時間、上空で『ルーミア』はずっとあの重力の玉の生成に勤しんでいたようだ。ルーミアが使っているところを見て、すぐにコピーをしたようだ。流石本人と言わざる負えない。
しかし、己の力で『妖力纏い』を成功させた紅夜の前では無力だ。妖力と『権能』の力を纏わせた刃は、何物をも斬り裂く鋭利な刃へと進化を遂げた。そして、それは重力の塊である『闇』ですら例外ではない。
瞬の速さと情報処理能力、そして持ち前の
「ハァッ!!」
「アァァア!」
互いの剣が、交差する。一撃二撃三撃と続き、周りの木々を犠牲にしながら攻防を互いに繰り返す。
二人の強烈な一撃が互いの武器に激突し、反響音が鳴り響く。それと同時に二人は勢いのまま後方へと吹き飛ばされる。
「ハァァア!!」
「――ッ!?」
その後ろで、ルーミアが影の中から姿を表して『ルーミア』を奇襲する。紙一重で避けた『ルーミア』は膝蹴りをしてルーミアの腹を殴打した。
「グ――ッ!!」
ルーミアが躊躇った
それと同時に、『ルーミア』の武器に変化が起きた。大剣から形状が『槍』へと変化し、さらに背中の翼をたたんで移動速度を上昇――。
まるで高速で回転するドリルの如く迫ってきていた。
アレをまともに受ければ無傷では済まない。が、避けたら避けたではあのスピードでは別の場所で戦っている零夜とライラに激突してしまう可能性がある以上、避けることもできない。一体、どうすれば――。
あッ。紅夜!サファイアの力を使え!使い方とその後は俺の言う通りにしろ!
(サファイア!?と、とにかく分かった!)
言われるがままに『サファイア』と呼ばれた謎の力を行使した。それは『ルーミア』の攻撃が当たると同時の瞬間だった。
突如として紅夜の体が液状化する。それはまるでヘプタ・プラネーテスの【ヒュードル・アクア】の如く。ただし、紅夜の変化した液体の透明度はヒュードルが変化したときのものよりも透き通っていた。
液状化した紅夜の体は、『ルーミア』の体を包み込んで勢いを殺した。
「――ンッ!?」
体が水に包まれた『ルーミア』は酸素を求めて水球から脱出しようと試みるが脱出することができない。逆にこれは紅夜にとっては好機であった。出来るだけ『ルーミア』を無力化した状態で捕らえたい紅夜としては、少し心苦しいが『酸欠』による『失神』と言う形が望ましかった。
――これで、彼女との戦いが終わるなら。
その思いを胸に秘めて、今だけは心を鬼にしてこの状態を維持した。この状態が約3分ほど続いて、『ルーミア』が完全に動かなくなったところを見計らって、液状化を解除した。
全身びしょ濡れになった『ルーミア』をゆっくりと地面に置いて、状態を確認する。腕に触れて脈を確認するが、今のところ異常は見当たらない。
「よかった…命に別状はなくて」
お前…なんで助けたんだ?いや、別に殺せって言ってるわけじゃないんだが…拘束するくらいしろよ
「確かにそうするべきだろうけど、彼女が目覚めた時に害意がないって伝えるために、こうしておかなきゃ。じゃないとまた戦うことになっちゃうだろ?」
そうだけどよー…。まぁいいか。それで?吹っ飛んだこの子ソックリの女の子とあの“可愛らしい蜘蛛ちゃん”はどうすんだ?
「アァ―――ッ!!そうだった!二人は大丈夫かな…?」
ひと段落ついたことで、二人のピンチに気付いた。マクラは目の前の『ルーミア』に遥か遠くに吹き飛ばされ、同じくルーミアも『ルーミア』に吹き飛ばされた。
二人の安否が確認できない今、紅夜の不安は広がるばかりだ。
「あーでも、『ルーミア』さんの様子も見ないといけないし…それに、あの二人がそう易々と敗けるわけもないし…どうすれば…」
なァ、紅夜。お前は、ソイツ等のこと信じてるのか?“二人が敗けるはずがないって”
「もちろんッ!―――とは言いたいけど、今の出来事があった以上、そうは言いずらいな。でも、ルーミアさんは言ってくれた。『大事』と『信頼』の意味を履き違えるなって」
三年前、早とちりで零夜を攻撃しかけた時、ルーミアが自分をぶっ飛ばし、言ってくれた言葉だ。これ以来、紅夜は『仲間』のことを信じるようになった。確かに大事な人を心配することは大事なことだ。だが、逆に言えばその仲間のことを不甲斐ないと思っているとも捉えられる。
難しい
「すごく心配だよ。今だって危険な目に合ってるんじゃないかと思うと不安になる。でも、俺に出来ることなんて数少ないし、出来ることを全力でやらないと」
「それで、結局お前はな―――」
――ブシュッ。
「結局お前はなんなんだよ」。そう言おうとした紅夜の胸に、何かが貫通した。ゆっくりと胸に触る。その場所は右の胸だった。その胸から、血がドクドクと流れて――。
「ウッ」
その唐突なダメージに、紅夜は膝から崩れ落ちた。なにが起こったのか分からぬまま、呼吸を荒げる。吐血して、嘔吐物とともに口から出てくる。
紅夜ッ!?
「一体、なに、が…」
その時、一人の人影が紅夜の目の前に立った。苦しい体の一部である頭を上に上げて見上げると、そこにいたのは『ルーミア』だった。
『ルーミア』の右手には闇の稲妻のようなものが迸っており、おそらくあの手でエネルギーを放出して紅夜の体を貫いたのだ。
「なん、で…!?」
失神していたはずだ。3分も水の中に居れば、酸欠を起こして失神してしばらく動けなくなるはず。その考えが脳裏によぎった時、紅夜は一つの事実を見過ごしていたことに気付く。
回想の中で『ルーミア』は
気絶していた振りをして、勝機を伺っていたのだ。
そして、紅夜の考えを読み取ったかのように、『ウォクス』が説明を付け足した
それだけじゃねぇ!この子の傷、完全に回復してやがる…!サファイアの力の影響だ!
「どういう…!?」
サファイアの水質は、
サファイアの知られざる性質。それは紅夜の感情と思想によって水の水質が変わると言う特殊能力。その水は回復のための治癒水にもなりうり、また逆にあらゆる敵を殺す猛毒にだってなり得る危険な力。
ルーミアと『ルーミア』を同列で見てしまったことによる、敵に回復。それがこの結果だった。
あの二人を違う目線で見ていたと思ったが、まだ甘かったか…!
「ゲホッ、ゴホッ!!」
やっぱ限定的な覚醒じゃ、『攻撃無効化』までは発揮できなかったか…!
男性声のウォクスが後悔の感情を含んだ言葉で紅夜を蔑むが、当の紅夜はダメージでそれどころではなかった。
そしてなぜか『権能』に覚醒したはずの紅夜が『ルーミア』の攻撃で大ダメージを受けた理由も判明した。限定的に覚醒された権能では、『ダメージ無効化』を発揮しないと言うことだったのだ。
つまり、良くも悪くも紅夜の考え方は正解だったと言えよう。
そんな紅夜を、『ルーミア』は見下ろした。
「優しいのね。あなた」
「え――?」
「まさか敵で、殺そうとしてくる相手を介抱するどころか回復させるなんて、余程のお人よしみたいね…。一瞬だけど、あなたが
「そう、ですか…」
『ルーミア』の言葉からは覇気が失われていて、むしろ優しさ籠っているように思えた。敵対するつもりはなくなった?いや、そんなわけない。そうじゃなかったら、攻撃なんてしてこない。
「だったら、どうして…!?」
「だからこそ、余計に思ってしまったの。私を助けてくれたあの人…私が見捨ててしまったあの人…。あの人の優しさを、あの男の血が混じったあなたに穢されるのが、許せない!!」
「――ッ!?」
これがおそらく、『ルーミア』の本音。『ルーミア』は自身を助けてくれて、またそのピンチを見捨ててしまったことに負い目を感じてしまっているのだ。だからこそ、彼女なりに彼女への贖罪をしようとしている。そこまではルーミアと同じだが、贖罪の考え方が真逆だった。
紅夜を殺すことでレイラへの贖罪だと考えている『ルーミア』にとっては、どう転んでも、どう説得されても『
「今のを聞いて分かった。あなたにはなんの罪もないって。だからこそ、恨むならあの男と『私』を恨みなさい」
『ルーミア』は闇の大剣を創って、紅夜のとある箇所に向ける。それは心臓だ。その巨大な大剣を一突きして、苦しまずに殺そうと言う、彼女なりの慈悲なのかもしれない。
そして、大剣が降ろされて―――、
クソっ!今の状態で使いたくはなかったが…なりふり構っていられねぇ!!ルビーの力…強制発動!
その瞬間、紅い宝石の力が発動した。――と同時に、大剣は地面を刺した。
「何ッ?」
急に消えた紅夜を探す『ルーミア』。そして、自身の真後ろでその姿を確認した。体から熱気を放出し、紅い瞳が更に紅くなり、呼吸も荒くなっている。それはさながら獣。ただ目の前の敵を殲滅するためだけに生まれた、一体の獣のようだった。
紅夜は背中にオーラを纏っているように見え、その色はルビーのような赤みを放っていた。
おい、聞こえねぇかもしれねぇが聞け!ルビーの力は言わば“暴走形態”だ!全能力を上昇させるが、変わりに血流がメッチャ早くなってアドレナリンが過剰分泌して要するにハイテンションになる!今のお前の身体じゃ、もって10秒が限界だ!だからサファイアの力で冷却と回復を――
「ガァアア!!」
ウォクスの声を完全に無視して、言葉を失い獣となった紅夜は刀を片手に縦横無尽に駆け回る。周りの木々を足場にして、『ルーミア』を翻弄する。
―――00:00:01
「ウガァッ!!」
型や形など完全無視の我武者羅に刃を振るう攻撃を連発する。『ルーミア』はその速度に苦戦しながらもギリギリで避け続ける。それでも、時々カスるし、余裕もなくなった。
―――00:00:02
「グっ!」
途中、紅夜は攻撃を刀から足蹴りに切り替えた。衝撃と共に吹っ飛んでいく『ルーミア』の背中に一瞬で追いついて刀の鞘で地面に叩き落とす。
―――00:00:03
空中で滞空したまま、紅夜は自身の左手を液状化した。だが、その水は、水と言うより熱湯だった。グツグツと煮えたぎった熱湯を『ルーミア』にぶちまけた。
―――00:00:04
「あァ!!」
熱湯で一瞬怯んで火傷を負うが、この程度のものならばすぐにでも回復できる。そう息まいていたとき、『ルーミア』の体に変化が起きた。
かかった部分が強酸にかけられたかのように服とともに焼け爛れていく。
その隙を狙って紅夜は右手に刀、左手に鞘を持って突撃する。
―――00:00:05
サファイアの感情と思想による水質変化の影響で、獰猛な獣と化した今の紅夜の思想は、まさにドロドロとしたものになっている。そこから連想されて水質が強酸へと変化したのだろう。
右足で『ルーミア』の体を押さえつけ、刃と鞘で何度も何度も何度も切り刻み、殴打する。そこに『紅夜』の意思はない。あるのはただ、目の前の敵を破壊し尽くすための破壊衝動の塊だ。
―――00:00:07
「調子に、乗るなッ!!」
ルーミアは攻撃されながらも紅夜の左足に闇の落とし穴を創って、体の軸をずらして攻撃を中断させる。
一瞬で距離を取って、自分の体のことなどお構いなく、闇の大剣を創って両手で掴む。その刀身にありったけの妖力をふんだんに飲みこませ、威力を肥大化させて、振るった。
―――00:00:09
対して紅夜は全身強化された脚力と膂力でスピードに全振りした。右手に持つ刃にありったけの妖力で『妖力纏い』を発動し、対してエメラルドの力の力でそれを制御。余分な力を抑えるエメラルドの力と“暴走形態”に陥らせて全パワーを強化するルビーの力。この二つが合わさったことによるエメラルドの許容量が大幅向上したことによって、更なる力を発揮できるようになっていた。
その何者をも蹂躙する圧倒的なパワーとスピードでルーミアの大剣を刀で粉砕する。
―――00:00:10
「―――ッ!?」
左手の鞘も、『妖力纏い』で極限にまで強化されている。その凶器でしかない鞘を、無慈悲に『ルーミア』に振り下ろして―――、
―――00:00:10.99
「ガハッ!」
「―――なに?」
―――その当たる寸前で、10秒が経過した。
紅夜はその
クソっ、最後の最後で…!!
『ウォクス』が悪態をつく。あと数秒。それさえあれば敵を倒せた。だが、現実は残酷なことにそのチャンスすら取らせてくれなかった。
「自滅…?まさかの土壇場で、いや、だからこそか…。そこまでして生きたかったのね。やっぱり、あの男の血を持つアナタを、生かしておく意味はない!!」
その場から飛び立ち、手のひらに巨大な闇の玉を創る。
「さよなら」
紅夜―――ッ!!
――闇の玉が、紅夜を目掛けて投下された。
今の紅夜に、自衛の術はすでにない。二人の救援が来るかどうかも分からない。
万事、休す―――だった。
――白銀の一閃が、その闇を断つまでは
「なにッ!?」
謎の斬撃に驚愕し、辺りを見渡す。すると、黄色く光り輝く謎の何かが、線を描いてこちらへ向かってきていた。謎のソレは周りの倒壊した木々を足場にして、持ち前の超高速で移動していた。
「なにかは知らないけど、邪魔するじゃないわよ!」
闇の大剣を何度も振るって、斬撃を飛ばす。しかし、閃光のごとき光の線は闇の斬撃を避けながらどんどんとルーミアに近づいてきていた。
こちらに近づいてくる度に、その姿が少しずつ見えてきた。妖怪の眼力の強さは伊達じゃない。その姿は、全身黄色でライオンの
「セイヤァ―――ッ!!」
その生物は両手のトラの爪を模した武器を展開して、その脚から発せられる跳躍力とスピードで『ルーミア』のいる高度にまで一瞬で到達し、一撃を浴びせた。『ルーミア』はギリギリ避けたが、すでにボロボロの服に更なるダメージを受けた。
「グっ…!!」
このままでは不味いと『ルーミア』は滞空を辞めて地面に着地する。
その場所は紅夜が今現在気絶している場所の近く。降りた『ルーミア』は、気絶した紅夜の両隣にいる、謎の戦士を見た。
『ここまでよく頑張った。あとは俺達に任せてくれ』
あんたらは…?
白銀の戦士が気絶した紅夜を慰めるように言う。その紅夜の懐からは、二人の戦士が描かれているカード二枚が零れ落ちていた。
だが、謎の声が二人の戦士に聞こえるはずもなく。黄色の戦士が自身が描かれているカードを拾い、状況を理解した。
『なるほどね。急に呼ばれたからなんだろうと思ってはいたけど、この子を守れってことらしいね』
『理由が何であろうと、助けを呼ぶ声がしたら助ける。それが俺達だろ?』
『そうだね。女の子を倒すのは正直気が引けるけど…伸ばされた手は、必ず掴む』
『だから、今はゆっくりしていてくれ』
魔法使いは魔法を行使する。紅夜を包み込むように小さな氷山が生成される。それと同時に、紅夜の過剰なまでの熱を奪いながら氷は徐々に解けていく。
その様子を見て、ついに『ルーミア』が叫んだ。
「なんなの…あんたたちッ!?」
『指輪の魔法使い。この子の、希望さ』
『俺はただの旅人さ。まぁ、仮面ライダーの、だけどね』
彼らの名は【仮面ライダー】。
【希望を担う指輪の魔法使い】と【手を掴み取る
『さぁ、ショータイムだ』
『さぁ、行くぞ!!』
仮面ライダーウィザード・インフィニティ―スタイル
仮面ライダーオーズ・ラトラーターコンボ
二人の戦士が今、
その二人の存在はさながら、“絶望を打ち消す光”だった。
今回はここで終わりです。
限定解放された紅夜の『権能』は“宝石言葉に由来した力”となっております。調べればすぐに分かることなので、わざわざ本編で言う必要もないかなーって。
しかし、限定解放なためだけに全ての力を使うことは出来ず六つの宝石の力しか使えません。
ダイヤモンド ルビー サファイア エメラルド アメジスト トパーズ
この六つが今現在使える力です。
そして、ルビーの力は非常に強力な分暴走します。
見た目のイメージは暴走するルフィのギア
ちなみに秒数の捉え方として、“一秒立った後の出来事”か“その一秒間の出来事”かどちらかと言うと“一秒間の出来事”です。
例を言うと、
―――00:00:01
「ウガァッ!!」
型や形など完全無視の我武者羅に刃を振るう攻撃を連発する。『ルーミア』はその速度に苦戦しながらもギリギリで避け続ける。それでも、時々カスるし、余裕もなくなった。
↑ この部分は1秒目に起こった出来事というワケです。認識のズレが起こらないように、ここで名言しておきます。
そして、ラ イ ダ ー 登 場 !
最近ライダー要素が少ないなと思っていた皆さん。安心してください!ついに出ました!
紅夜の懐から零れ落ちたカード…その入手先は?まぁ皆さんお分かりでしょうが。
一人どこまでも先回りする奴がいますしね。
そして、今回出てきた二人の中身、【火野映司】と【操真晴人】は本人たちと“限りなく本人”であって“限りなく別人”というワケ分からん設定です。
そこら辺はご了承を…。
では、また次回に!