『作戦成功だな』
「お前ェ……!なんで生きてんだよ!?お前の弱点何度もぶつけて完全に動かなくなったはずだ!」
『バカかお前。第一、雷が弱点だってこと自体間違ってんだよ』
「なッ!?」
クウガは、ゲレルを仮面越しに嘲笑する。
「てめぇは第一、あんなに苦しんで…!」
『あんなの演技に決まってんだろ。それに、雷が効かないことはお前自身分かってたはずだ。忘れたと言わせねぇぞ。あの発言を』
クウガの言う通り、ゲレル自身でもわかっていたはずだ。
「雷使うくせに雷が弱点なのかよ!!」と言う発言だ。本来、自分の弱点を教えるような行動は基本的にしない。それをやるものはバカか、ただそれ自体が作戦かなにかだ。だが、大抵こういうことをする場合、前者の方が圧倒的に多かったりする。
そして、見事ゲレルはこれに引っかかった。
ゲレルの性格上、こういった簡単な引っ掛けにすら対応できないことはこの短時間で十分わかっていた。
結果。ゲレルはクウガの策にまんまと引っかかり、敵をパワーアップさせる電撃を与えてしまったのだ。
『だが、お前が雷を生み出せるのを驚いたのは本心からの事実だ。だから、正直助かったよ。それでお前言ったよな?古来の勉強とかなんとか。俺もそういうのには詳しくはねぇが、理屈は曖昧だがわかる』
ゲレルの言った、古来の勉強。
雷は、古来から別の書き方がある。それが【神鳴り】。力の象徴として、崇められてきた。それゆえに、光に分類されることがある。ゲレルが言ったのはそういうことだろう。おそらく、ゲレルが雷を扱うことができる理由もそれなのかもしれない。だが、クウガは。
『雷は、光る。熱と光を合わせれば、自動的な疑似雷が生まれる。理屈はそれだろう。電撃そのものは、―――静電気だ。塵も積もれば山となる。大量の静電気を重ね合わせ、強力な電撃に仕立てあげたんだろ』
クウガは、そう考える。だが、ゲレルにそれほどのことを考えられる知恵があるだろうか?
ゲレルにそんな小細工ができるとは考えにくい。この意見は、あくまでクウガの予想。本当のこととは言えない。実際、ゲレルの電撃の理由はわからない。が、そんなことを考えている時間などない。
『まぁ今のは予想に過ぎないが、お前にそんな知恵があるとは到底思えない。せいぜいああなったらこうなる程度の知恵しか持ち合わせてなさそうだしな』
「てめぇえええええ!!」
クウガの煽りに激情し、激怒したゲレルは傷を速攻で回復―――できなかった。
「なっ!?」
おかしい。おかしいおかしいおかしいおかしい――――!!
どうして傷が癒されない?どうして力が出ない?
ゲレルの脳内が混乱と困惑で支配される。だが、そんな二つの支配から逃したのは、クウガだった。
『実は、お前の腹を貫いたとき、ちょっと小細工をしてな。お前の体の中に、直接闇を取り込んだ』
「はぁ!?」
『お前がやってたことだ。別に不思議じゃないだろう?お前、言ったよな?「光と闇は対極でお互いを打ち消しあう」って。お前の傷口に、闇の膜を張った。これでお前の腹は治らない』
「てめぇてめぇてめぇ―――――ッ!!!!なんてことを!俺の、俺の腹を!貫きやがって!!その上治せないだと!?ふざけんのもいい加減にしろよ!戻せよ!責任取って戻せよ!お前の闇なんだからお前が引き取れよ!それで今度はお前が腹に風穴開けろ!光でその傷の周り塞いで治せなくしてやっからよぉ!」
『あっはっは、アッハッハッハッハッハ!!』
「なにが可笑しい!?てめぇ!人の腹を貫きやがって!罪悪感とか湧かねぇのかよ!?申し訳ないと思わないのかよ!?思うだろ普通!?悪いことしたらまずなにするか親に習わなかったのか!?「ごめんなさい」だろ!?「人の交尾邪魔しちゃって、ごめんなさい。悪いのは僕です。僕は自害して魂も消滅させて、地獄で二人が幸せになるのを見てます」って言えよ!」
『お前、本当に救いようのないゴミだな』
「なんだとてめぇええええ!!」
ほえ面を掻くゲレルだが、どんどんと出血している。そのおかげか覇気も徐々に弱くなっている。
『大体、お前のその怪我が治ってないの、お前自分の再生能力の弱さを能力で補ってるだろ』
「な、なにを根拠に…!?」
ゲレルは驚愕しながら、惚ける。
だが、その表情が肯定を裏付けている。
『お前が動揺したことですでに肯定されるがな。お前が言った古来に、回復魔法などは光にも分類されていることがある。それが元だろう。傷口事態を対極の闇で覆えば、その部分だけ回復できない』
「―――――ッ!!」
ゲレルは苦しみながらも凶悪な凶相を浮かべながらクウガを睨む。
強力な、睨み。恨み。憎悪。悪意。負の感情が積もった目でクウガを見る。
「ふっざけんなぁ!!こんなはずがねぇ!!俺の思う通りにならない世界なんて、あっていいはずがねぇ!!」
ゲレルは光の魔力を纏い、砂を掴んだ。
「だったらこれでどうだぁ!!」
その掴んだ砂を、クウガに向かって投げる。
この技は、前にクウガに向けた技だ。砂を投げた瞬間、砂が消え――小さすぎて見えないだけかもしれないが、砂がクウガを攻撃していた。一粒一粒、それほど質量を持たない砂が、確実に人体にダメージを与えるほどの威力になっている。そして、その種もすでに割れた。
『フンッ』
クウガがその方向に、手をかざすと、そこから闇のエネルギーが放出される。
その技の名は、【暗黒掌波動】。両手から放たれる邪悪なエネルギー波だ。
そして、そのエネルギー波が、砂に当たる。
――パリン!パリン!――
「ッ!?――今の、なんの音?」
「はぁ!?」
『……お前の攻撃の種は、すでに割れた』
砂からは聞こえることない―――絶対に聞こえることのない音に、ルーミアは困惑し、ゲレルは驚愕していた。ゲレルの驚愕は、音が理由ではない。バレたのが原因だ。
「な、なんで…!?」
『お前がご丁寧に雷をバンバン撃ってくれたおかげで、気絶演技の途中に土の異変に気付けた』
クウガは、自身が倒れているところを指さした。
そこでルーミアはその場所の異変に気付く。
「透明…?地面が透明に…!?」
透明になっている。他の地面は同じ茶色だ。だが、その土だけ透明だったのだ。
その透明の物の正体―――それは、
『それは、ガラスだ』
「ガラス…?」
「――――ッ!」
その答えに、ルーミアは聞いたことのない単語を理解できず、無理解故の困惑を示し、ゲレルは攻撃の正体に気付かれたことに憤怒する。
「ガラスって、なに?」
『簡単に言えば砂を焼いてそれを溶かしてできる硬く透明な板だ。』
「クソっ!クソっ!クソっ!クソっ!クソォオオオオ!!!!」
ゲレルには怒りの言葉のレパートリーが少ないのか、簡単な怒りの表現しかできない。
だが、怒っているという事実だけが、そこにはある。
『理屈としては、投げる直前の砂を一粒一粒ガラスに変え、それを投げる。それだけじゃただ重力に従って落ちるだけだが、そこに衝撃が加われば話は別だ。空中に散らばったガラスに、光の光線を与えればな』
「ど、どういうこと?」
『ガラス玉同士がぶつかり合って衝撃が生まれ、空中に留まる。そして無数の光線が反射させていた』
「てめぇ!!いい加減黙れ!」
『そこで、一つ疑問が生まれる。鏡は光を反射するが、ガラスは光を直進する。それは科学で立証されている。だが、俺の憶測ではガラスが光りを反射している。これは決定的な矛盾だ』
クウガの言う通り、鏡は光を反射するが、ガラスはそのまま直線する。
それは確実におかしい。
だが、この常識が通用しない世界風に考えれば…
『そこで、常識が通用しないという部分が大事になる。外の世界じゃガラスは光を直進するが、この世界のガラス―――いや、魔法の森の土にある砂でできたガラス。これ特有の特徴なのかもしれない。まだ試したことはないが、この世界に海はないからな。話を戻すが、この砂でできたガラスは、特別に光を反射する、と考える。まぁそれじゃないと理屈が通らないからな』
常識が通用しない世界なら、化学で立証されたことも無駄になることもあるだろう。
だからこそ、この考えに至ったのだ。
『まぁ、これで種明かしは終了―――と、行きたいが、まだ一つ残ってる。それは―――』
クウガが言葉を繋ごうとした瞬間、ゲレルが光の光線を撃ってきた。
即座にクウガは掌をかざし、【暗黒掌波動】を繰り出した。
『話の途中だぞ』
「うるせぇ!それ以上お前の喋る権利なんて与えねぇ!第一さ、そんな曖昧な根拠で納得できると思ってるわけ?それって君だけが自分だけ理解して俺たちには全く理解できてないんだけど!?ほら!現にそこの【ピ――――】女が驚いているじゃないか!もっとわかりやすく説明できないの!?」
ゲレル、苦肉の策。
全く別の話題に話を変えた。これにはさすがのルーミアやクウガも呆れていた。
こういうものは、大抵理由はわかる
『お前、話題変えてその隙に逃げようとしてるだろ』
「はぁ!?お前の勝手な憶測で物事を判断するな!俺が逃げるって!?まだ今日は女を犯してないんだよ!第一、その女もその女だ!せっかく俺の新しい
「~~~~!」
その言葉に、ルーミアは顔を引きつっている。
だが、このままではゲレルのペースに飲まれてしまう。ゲレルの言葉一つ一つには相手を感情に飲まらせるほどの重みがある。ここが、能力以外の唯一のゲレルの強みともいえるだろう。だが―――
―――――その瞬間、周りが闇に包まれる。
「なッ!?」
「これは…!?」
この闇は、ルーミアのものではない。
ましてや、光を司るゲレルのモノでもない。
『………………』
クウガだ。クウガは、辺り一帯を闇に包まらせた。
唯一、光があるのはゲレルが纏っている光のみ。
それ以外は、すべて闇だ。
「な、なにが…!?」
ゲレルも突然のことに、理解が及ばなかった。
だが、目の前にアレがいることは理解できた。
『お前…今なんて言った?』
「は…?」
クウガの一言一言が、大地を、地面を、水を、木を。闇に隠れ見えないところすべてが、揺れていた。
その直接的な原因は、クウガの纏う
「なんだよ…!?なんだよこれ!?なんで辺り一帯闇だらけなんだよ!?意味分かんねぇ!元に戻せよ!気味悪りィんだよ!」
『お前、今『新品』っつたよなぁ…』
「は?それがなんだよ。あぁ…そういうことか。前に使ってた
一言で言おう。ゲレルの言葉は強制的に中断された。
それは、クウガがによる高電圧によりものだ。手をゲレルにかざし、そこから電撃を発している。
「な、なにを…!」
『聞いた俺がバカだった…もう。お前と話すことは何もない』
クウガはゆっくりと、一歩一歩歩き、ゲレルに近づく。
何もない、果てが見えない闇の中、唯一集まる、目的地になるであろう場所、ゲレルの周りに散らばる光。
「自分から、聞いといてそれかよ…!お前本当にクズ野郎だなァ!お前本当に生きている価値ないんじゃねぇのか!?」
ゲレルはクウガを罵倒するが、クウガの歩みは止まらない。クウガは右手の拳を握り締め、
そして、ゲレルは――
「ま、待て!と、取引をしないか!?お前もあの女狙ってんだろ?悪かったよ…。あの女はやるからさ!な、なんなら、あいつが無抵抗になるように手伝うからさ!お前も男だろ!?そういう気持ちになるに決まってるじゃないか!そういうのは、生き物の本能なんだよ!俺は本能に従っただけだ!俺は悪くない!悪いのは当たり前のようにある本能だ!」
最も愚かな、苦肉の策に出た。
よくある命乞い、よくある最後の抵抗。よくある死ぬと本能で直感したときの防衛本能――!
クウガはそんなゲレルの命乞いを無視、無視、無視し、闇の中を、ただ一つの光に向けて歩く。
「ちょ!落ち着け!一旦止まれって!」」
ゲレルとの距離は、あと残り僅か。
クウガは、漆黒の複眼を、ただただゲレルに向けるだけ。
「止まれって言ってんのが聞こえねぇのかよ!!」
むしゃくしゃになったゲレルは、先ほどの命乞いとは真逆の対応に出た。
ゲレルは光る拳をクウガにぶつけようとした。クウガは、その拳を左手で掴み、握り潰す。そのときに骨が砕ける音が響く。
「あ、がぁ!アガァアアア!!!ああ!ああ!アアァアアアッ!!」
ゲレルは強烈な痛みに、膝をつき、涙を流した。
彼の出した涙は、客観的に言えば、汚い。ゲレルの出す涙には、なんの価値もない。
ただ、痛みに耐えられず泣いているだけ。
「お前はァ!これだけのことをして恥ずかしくないのグフゥ!」
クウガはゲレルの首を掴み、持ち上げる。ゲレルは抵抗するが、打ち砕かれた手もあり、片方だけでクウガの高速から離れられることはできない。そして、その瞬間にゲレルの光が失われた。
それにより、ついに周りはただ闇が広がるだけになった。
そして、クウガはゲレルに、ようやく言葉を聞いた。
『本当は口を利かないつもりだったが…。あまりにも哀れだったから、言ってやる。光を失ったお前に、もうできることは何もない』
「なん、だとォ…!?」
『第一に、お前は光を発していない』
先ほどの通り、ゲレルはクウガに首を掴まれた瞬間に、光を失った。
その理由は至って単純。
『これが何を意味するか。お前は第一に分かってただろ?』
ゲレルは睨みを聞かす。
『あのとき、疑問に思ってた…。お前が、ルーミアを押し倒したとき、どうして手と足にだけ光を残したのか。あれは…あの光は、『身体強化魔法』だな?』
「ッ!?」
ゲレルが驚愕した表情になった。闇の中でも、クウガには見えている。だから、理解できた。
『お前が手と足だけ魔法を解かなかったのは、魔法を解けばルーミアに力で負けるから。つまり、お前そのものの正体は―――』
「やめろぉ!やめろぉ!!やめろぉおおおおおおおおお!!!」
ゲレルの、本能からの拒絶。
自らの自尊心を守るための、心からの拒絶だ。
今までずっと不理解と不条理で塗り固められた、ゲレルの理屈。それを根本的に覆すものだ。
『お前そのものの能力は基本的な妖怪以下。自身の能力に頼ってばかりの、ただの無能だってことだ』
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」
聞きたくない、認めたくない、知りたくないという一心からの獣の咆哮に似た金切り声。
『これで、お前の種はすべて解いた。あとは…死ね。お前を見てると、
「くそっぉぉぉぉぉッ!!!!」
それだけを言い残し、クウガはゲレルの戯言を無視して辺りの闇をすべて拳に一点集中し、ゲレルにアッパーを喰らわせる。
ゲレルは声を上げられぬまま、はるか上空へ向けて打ち上げられた。
そのままクウガは足に、闇雷を纏い、上に一直線。空を飛ぶ。
雲を突き抜けた先に、ゲレルが見える。
ゲレルの高さを超え、クウガはキックの体勢を取った。
クウガの背中に、炎状のエネルギーが表れ、それがエンジンのようになり、勢いを増す。
―――そして。
「Gaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!」
【ライジングアルティメットマイティキック】が炸裂したと同時に、
声にならない声が響き、ゲレルは今、この世界から体が消滅した。
~~~~~~~~~~~~~~~~
「………………」
ルーミアは、ゲレルが爆発した瞬間を、ゲレルの体が散った瞬間を見た。
「…………」
まさか、あれが倒されるなんて思ってもいなかった。
いつからだっただろう。自分が最強だと思ったのは。相手を瞬殺できる力。空間、重力、時間、精神などに干渉できる闇を操る力。
かの【妖怪の賢者】八雲紫の能力と渡り合えるであろうと確信していた。
自分の闇を操る能力。すべてに干渉できる力。勝てるものはいないだろうと思って傲慢していた時。
だが、それも今日、砕かれた。
自身の闇を超える究極の闇の存在と、闇の対極である存在、光を司る妖怪。
そんな二人の人物に負け、ルーミアのプライドは、もはや砕け散るどころか消え去っていた。
そんなことを知らず、クウガは地面に着地する。
クウガが、ゆっくりとルーミアに向かって行く。
今初めて、かけられた言葉は―――
『大丈夫か?』
心配、だった。
その瞬間に、ルーミアの瞳から涙がこぼれた。それは、プライドが消え去ったことへの悲しみでもなく、敵に心配された怒りでもなく、ただ単に、自分を助けてくれたことへの、感謝から来た涙だった。
「う…う…うぁああああああああ……!!」
ルーミアはクウガの胸に顔をつけ、泣き喚いた。
『…眠っていろ』
クウガのその一言で、ルーミアは深い眠りに入った。
~~~~~~~~~~~~~~~~
『……………』
クウガはクウガ自身の能力ではなく、零夜としての能力を行使し、現実からルーミアの意識を『離し』、夢の世界に『繋げた』。
クウガはルーミアの上半身と下半身を抑える。
俗に言う、『お姫様だっこ』である。
その後、クウガは何もない方向を見る。
見た後、何もない空間に、そこにいるはずのない人物に、語り掛ける。
『さて、いるなら出て来いよ。【八雲紫】』
「あら…気づいてらっしゃたの」
瞬間。なにもない空間に、裂け目が開かれる。
その裂け目の奥は、無数の目玉がこちらを除いている。なんとも不気味な空間だった。
そして、その中から出てきたのは、一言で言えば『
髪は金髪ロング。毛先をいくつか束にしてリボンで結んでおり、瞳の色は金色だ。
『お前が大切にしている幻想郷で、こんなことが起きてこないはずがないからなぁ』
「分かっているじゃないの」
『で、一つ聞きたいんだが』
「何かしら?」
『何故ゲレルと戦ってたときに現れなかった?お前は妖怪の賢者。あんな欲望丸出しのクズ野郎、早急に排除していたはずだ』
「まぁ。あなたの意見は最もね。だけど、できない理由があったの」
『理由?』
妖怪の賢者である紫が動けないほどの理由とは、一体どんなことなのか。
クウガは疑問が尽きず、疑問形で返し、反応を伺う。
だが、返ってきた答えは―――
「だってあいつ、気持ち悪いじゃない」
『は?』
ただの、個人的な都合だった。
確かに一言で言えばゲレルは気持ち悪い。紫は本能的な嫌悪から、ゲレルに手を出せなかった。
「理由はそれけじゃないわ。あいつの光を司る能力……。あれも強力だった。正直、負けることも覚悟しなきゃならなかったからね。だから、いづれルーミアとぶつかり合うことを期待してたんだけど…」
『お互いの能力を消しあって、単純な身体能力でケリをつけさせようって魂胆か』
「えぇ。だけど、その前にあなたと戦ってしまった…。それでルーミアにも体力的な余裕がなかったのよ」
『つまり、こいつが負けたのは俺が原因でもある、と…』
クウガは自身の腕に収まっている女性を見る。
『で、この後どうするつもりだ?俺的にはゆっくりと休みたいんだがなぁ…』
「えぇいいわよ。ただし、永遠の休みをね!!」
その瞬間、二人の間に衝撃波が生まれる。
紫の髪が仰がれる。クウガにはほんの少しの影響はない。
「あなた…今、なにしたの?」
『単純な、空間攻撃さ』
クウガが―――零夜が放ったのは、空間系の攻撃。
『繋ぎ離す程度の能力』と『究極の闇』の力を応用した、空間攻撃。零夜自身の能力は破壊などには向いているが、あまり攻撃には向いていない。
だからこそ、空間に直接干渉できる闇の力を混ぜ、紫が放った『空間の境界』を操り、それをすべてを斬り裂く斬撃として放ったのだ。だが、同じ空間系の技なら、それは相殺される。
『空間系のことには敏感なんでな。読めたさ』
「へぇ…。で、次はどうするつもりかしら?」
『言っただろう。ここで逃げさせてもらうと』
「逃がすわけないでしょ!【藍】!」
「はい!」
クウガの後ろから、声が聞こえる。
その声の主、【八雲藍】はクウガに攻撃を加えようとする。だが…
「な…ッ!?」
動かない。藍の体が、空中で止まっているのだ。
『繋げさせてもらった』
零夜の能力で、藍は空間と『繋げられた』。
『じゃあな。八雲紫…。あ、そうだ。俺のこと、まだ言ってなかったな』
クウガの後ろに、銀色のオーロラが現れる。
紫は感じた。あれは空間系の能力だと。
「待ちなさい!」
紫は能力を行使しようとするが、途端、手が止まる。
その理由は、クウガの発言だ。
『俺は、【究極の闇】。この世界を、壊す者だ』
「なッ……!!」
その発言に驚愕し、行動が遅れた。
結果、クウガと寝ているルーミアはオーロラの中に消えた。
すぐに『オーロラ
結果、八雲紫はクウガ―――究極の闇を取り逃がした。
そして後に、究極の闇は幻想郷で語り継がれることとなった。
アルティメットクウガVSゲレル戦の被害
魔法の森・6割壊滅。
霧の湖・7割消滅。
霧の湖の奥にある妖怪の山・4割壊滅
人里・結界があったため、一応被害はないが闇の一撃により結界が破壊された。
迷いの竹林・一直線に破壊、壊滅、消滅し、永遠にそこから竹が生えてこなくなった。
その他モロモロ。