東方悪正記~悪の仮面の執行者~   作:龍狐

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 注:今作のダークディケイド(ネオディケイドライバーver)は、ジオウ本編同様に、フォームライドやアタックライドを省略していますので、「何故フォームライドしてないのにフォーム用の武器とか使ってるの?」と言う疑問はご遠慮ください。

“エネルギー体だけの”=半透明

 あ、あとちなみに今日は作者の誕生日です。祝っとくれ!


86 百貌変化(ひゃくぼうへんげ)

 

 ゲレル・ユーベル VS ダークディケイド&ルーミア 戦

 

 

――開始。

 

 

「おらッ!!」

 

『はぁッ!』

 

 

 ゲレルの硬質化した腕と、ダークディケイドのライドブッカー・ソードモードが激突する。刃と腕を何度も交わせ、そのたびに火花が散って辺り一帯に散乱する。

 その時、ダークディケイドの背中側の頭上からバスケットボールサイズの漆黒の弾丸が複数飛んでくる。その起点は、闇の翼を生やして飛んでいるルーミアだ。

 

 

「しゃらくせぇ!」

 

 

 ゲレルはダークディケイドの両肩を掴み、盾にしようと試みる。

――強い。振りほどけない。このままでは当たってしまうだろう。だが、こんなやつの盾にされてたまるか。

 

 

ATTACKRIDE INVISIBLE(インビシブル)

 

 

「なッ!?」

 

 

 体を透明化したことで、ゲレルからすれば突如消えたことに驚いただろう。手の力が緩みその隙にその場から脱出。そのころにはもう漆黒の弾丸たちはゲレルの目と鼻の近くにあり、そのまま直撃した。

 怪我をすること自体はなかったが、衝撃でゲレルの体は後ろに倒れる。

 

 

「どうよ」

 

『上出来だ』

 

 

 地上に降りたルーミアの隣で、ダークディケイドは透明化を解除して、姿を表す。

 弾丸が直撃したことによって舞った砂煙の中心から、人影が起き上がる。同時に砂煙が一瞬で霧散すると、無傷――と言っていいかわからないほど服だけがボロボロだが――のゲレルが起き上がってきた。

 

 

「クソが……ふざけやがってッ!!」

 

 

 ゲレルの見た目が変化していく。

 頭はクワガタのように、腕はサイのように、足はタカの爪のように変化していく。背中にはカラスの翼が生えている。

 

 ゲレルの権能――『変化(へんか)』が発動した。

 

 

「なにあれッ!?気持ち悪!」

 

『『変化』してきたか…。だったらお前にはこれがお似合いだな』

 

 

 ライドブッカーから一枚のカードが飛び出し、そのカードをダークディケイドライバーにセットする。

 

 

KAMENRIDE O()O()O()

 

!  

 

 

 タカ・トラ・バッタのエンブレムが一つに重なり、エネルギーを纏う。ダークディケイドは【仮面ライダーオーズ】へと姿を変えた。

 オーズ専用武器、【メダジャリバー】を右手に持ち、ルーミアとともに突撃する。人間の速度を超えた連撃を二人同時に叩きこみ、ゲレルに反撃の隙を与えない。

 しかし、ゲレルも対抗して、タカの足で地面にしっかりとしがみ付いていた。

 

 

「調子に、乗るなァアアアアアッ!!」

 

 

 ゲレルが咆哮を上げると同時に、衝撃波が辺り一帯を襲い二人を後方へと吹き飛ばす。しかし、Dオーズはこんなところで諦めない。一瞬で手に持った【ウナギウィップ】でゲレルの体を拘束し、レッグの性質を【ゾウレッグ】にして踏み留まる。

 ルーミアへの配慮も忘れず、彼女の腕を掴んで離さない。【タカヘッド】の頭上がエネルギー体だけの【クワガタヘッド】の角部分に変化し、ウナギウィップとともに電流を流した。

 

 

「アガァアアアアアアア!!」

 

 

 直接的なダメージはなくとも、痺れは感じるはずだ。権能持ちが権能持ち以外から受けないのは、“肉体的ダメージ”――それは言い換えれば外傷と内傷を受け付けない力。しかし、それ以外なら通らないという通りはない!

 

 読み通り、電流が通ったことでゲレルの咆哮は止み、ルーミアの浮いていた体が重力によって(月に重力はないが、月の裏は空気があるなどの特別な空間のため)体が落ちる。

 

 

「はぁ、はぁ…!!」

 

『まさか、もうヘバったわけじゃねぇよな』

 

「こっちはまだまだいけるわよ」

 

「黙れぇ…俺を舐めるなッ!」

 

 

 そう喚き散らすが、ゲレルの体力が元からないことはDオーズ――零夜やルーミアもとっくに把握している。ただでさえデンドロンがあれほど無茶なほど体を酷使したのだ。それだけにさえエネルギーを大量に使っているはずなのに、追加で最後の地上の闘いでもう一度敗れている。

 本人はとある存在によってパワーアップしたことで『権能』が正式なものになり更なる力を手に入れたことは紛れもない事実なのだが、彼の体力が消耗している事実は消すことができない。

 

 事実、ゲレルの息は当初から上がっていた。正直言って見栄を張っているだけだ。

 

 

「そもそも、消耗してるのはそっちも同じだろうが!まぁ?俺はお下劣な劣等遺伝子の持ち主のようなお前らとは違って、まだまだ余裕だけどなッ!!」

 

 

 その自信はどこから来るのか――正解は彼自身の権能だ

 彼の権能『変化』を使えば自身の体の回復速度を『変化』させて即座に回復、なんて芸当は朝飯前だ。しかし、それは彼の栄養貯蓄がある限りの話だ。彼の貯蓄は先の闘いでほとんど尽きているはずだ。

 

 つまり、こちらの勝利条件はゲレルのストックを完全に切れさせること。それほどの時間があればシロも動けるくらいには回復するだろう。

 

 ゲレルの状態は、先ほど電撃を喰らったというのにピンピンしている。ストックを使って体力を回復したのだろう。しかし、それがいつまでもつか。

 

 

『ずっと吠えてろ。その間、こっちは二人で一緒にてめぇをぶちのめすがな!』

 

「二人で…。そうね。覚悟なさい!」

 

「調子に乗るな、つってんだろうがァ!!」

 

 

 ゲレルの腕が鞭のように変化した。どうやら、体は有機物(どうぶつ)だけに変化できないわけではないらしい。顔もゾウのものになり、ゾウの長い鼻が硬質化する。その二つの長い獲物を器用に操りDオーズとルーミアを攻撃する。

 

 Dオーズはトラアームの部分をエネルギー体だけの【カマキリアーム】に、バッタレッグの部分にエネルギー体だけの【チーターレッグ】に変化させて刃を展開する。チーターレッグで俊敏に動き、カマキリアームの刃で鞭に対応し、ルーミアは闇の剣と自前の剣術のみでゾウの鼻を受け流す。

 

 

FINAL ATTACK RIDE オ・オ・オ O()O()O()

 

 

 ファイナルアタックライドのカードを装填し、オーズの必殺技を発動する。

 バッタレッグを昆虫型に変形させて真横に一気に跳躍し、Dオーズとゲレルの間に赤・黄・緑。三つのリングが形成され、通り抜けるたびにDオーズに三つの色のエネルギーが纏われる。赤き翼を羽ばたかせ、両足のキックがゲレルに直撃する。

 

 ゲレルは悲鳴を上げながら、後方へと砂埃と上げ、地面をえぐりながら飛んでいく。ダメージはないだろう。だが、確実に、一歩ずつ、体力は削れて言っている。

 

 

「やった!?」

 

『おい!ソレは100%フラグってやつだッ!』

 

 

 Dオーズがルーミアの前に出ると、無意識のうちにカードをライドブッカーから取り出して、ダークディケイドライバーへと装填していた。

 

 

FINAL ATTACK RIDE O・O・O O()O()O()

 

 

 もう一度オーズのファイナルアタックライドを発動し、メダジャリバーを振るった。途端、目の前の景色が一刀両断され、ズレた。

 景色が戻ると、目の前になにもなかったはずが、空中で()()()が小さく爆発した。

 

 

「な、なに、今の…?」

 

『空間を圧縮して飛ばした弾丸だ。空間と空間がぶつかれば対消滅するからな。これじゃなきゃ危なかったぜ…』

 

「アイツ、そんなことできんの!?」

 

『アイツの権能は『変化』だ。権能っつーのは正直予測がつかん。だからこそ、想像を軽く超えてくるなにかをしてくる場合もあるってわけだ。……なッ!?』

 

 Dオーズが突如そう叫んだため、ルーミアがゲレルが吹き飛ばされた方向を見やると、そこには背中から蜘蛛の足が生え、その足で歩いてきているゲレルがいた

 どうやらあの男、蜘蛛も(しょく)していたようである。

 

 

「きもッ!」

 

『雑食かよ、アイツ!』

 

「グルメと言えッ!もとより俺の『変化』は喰ったものの長所をそのまま体に表すことだってできるッ!さらに『権能』に進化したことによって、周りの無機物すらも『変化』させて、俺の駒にできるんだッ!」

 

『聞いてねーのに説明ご苦労さま。情報くれてありがとう。そしてさっさとくたばれッ!』

 

 

KAMENRIDE DEN-O

 

 

 電王のライダーカードを装填し、フリーエネルギーを纏う。電仮面を纏い、【仮面ライダー電王・ソードフォーム】へと姿を変え、【デンガッシャー・ソードモード】を装備してゲレルに攻撃する。しかし、剣の軌道が突如滑らかになり、威力が削減される。

 

 

『なッ!?』

 

「おらッ!」

 

『ぐッ!』

 

 

 ゲレルから足蹴りを喰らい、吹っ飛ぶ。途中何度か地面に激突したが、体を回転させて威力をいなして軽減させた。すぐにルーミアに介抱され、起き上がってなにが起きたのかを確認する。すると、信じられない光景が目の前に広がっていた。

 

 

「きもッ!」

 

 

 本日二回目の、きもッ!だった。

 何故なら今のゲレルの体は、軟体動物そのものだ。軟体動物の体液はヌメヌメしていて、手からスッポリと抜けてしまうほどだ。もし、そのヌメヌメが異常なほど分泌していて、尚且つその量が剣の攻撃すらも逸らすほどの量だったら?

 答えは簡単。全身を透明なローションで塗りたくられたようなテカテカ人間の完成である。さらにヌメヌメが体中にあるため、生理的嫌悪感を促す見た目をしている。見た目はただの人間なのに。

 

 

『こればっかりは同意だな…。フンッ!』

 

 

 デンガッシャーを空中に投げると、空中でデンガッシャーがガンモードへと自動変形する。そのままキャッチして引き金を引く。しかし、予想外のことに弾丸すらもヌメヌメによって当たる直前に軌道が変えられた。こればっかりは驚くしかない。

 

 

「どうだ!これでお前らは俺に攻撃することはできない!お前らは俺の体力消耗とストックの貯蓄切れを狙っていたんだろうが、俺の体力が減らなければいいだけの話ッ!これならば、お前らの攻撃が俺に届くことはないッ!」

 

『だったらこれで…!』

 

 

FINAL ATTACK RIDE DE DE DE DEN-O

 

 

 デンガッシャーの銃口に紫色のエネルギーが充填されていく。それはやがて巨大な球体の弾丸となり、引き金を引くと同時に弾丸が発射される。

 

 

「無駄無駄ァ!!」

 

 

 当たる直前、ゲレルは手を動かしてエネルギー弾の軌道を逸らし、横で爆発させた。その光景にD電王は舌打ちした。しかし、収穫はあった。普通の銃弾はなにもしなかったのに、必殺技となるとあえて手を使って軌道を逸らした。つまり、あれほどの攻撃は無防備で喰らえば今の状態のゲレルでもヌルヌル体液の鎧を突破できるということだ。

 

 

「だったらこれで――どうよッ!!」

 

 

 ルーミアが大剣を振るうと、闇の斬撃がゲレルを襲う。その斬撃に内包されているエネルギーは先ほど打った【ワイルドショット】のエネルギーを優に超えており、圧倒的なまでの優劣が存在していた。それを見たとき、やはり思わずにはいられない。彼女の身に一体何が起こったのか。しかし、それは今聞くことではないし、なにより彼女に隠す気はない。ならば、あとで聞けばいいだけの話なのだと、脳の片隅に置いた。

 

 闇の斬撃がゲレルに直撃する。ゲレルは両手を使って闇の斬撃を必死に抑えているようだった。流石に、アレを直接受けるという選択肢はゲレルにはなかったようだ。

 しかし、これはチャンスだ。今ゲレルはあの攻撃に集中している。これを逃す手はない。

 

 

FINAL ATTACK RIDE DE DE DE DEN-O

 

 

 電王のファイナルアタックライドのカードを装填すると同時に、デンガッシャーを空中へと投げた。先ほどと同じ要領で、デンガッシャーがガンモードからアックスモードへと変形し、跳躍して空中でキャッチする。そのまま黄色いエネルギーとともにデンガッシャーを振り下ろす技――【ダイナミックチョップ】がゲレルの脳天へと直撃した。

 

 

『はぁああああああ!』

 

「うぉおおおおお!!!?」

 

 

 凄まじいまでのエネルギーがぶつかり、ヌメヌメの鎧が散っていった。普通ならばこのまま死ぬが、相手は権能持ちだ。死ぬことはないし攻撃は通らない。ならば、この振り下ろされたエネルギーはどこに向かっていく?

 答えは単純、真下だ。ゲレルの体が――全身が地中に埋まった。

 

 

『ふぅ…まさか地面に埋まるとは思ってなかったが、これで大丈夫だろう』

 

「そうね。でも本当に大丈夫?」

 

『正直言ってまだわからん。頭が見えないほどに埋まったからな』

 

「でもこれでもうアイツは動けないわね。あーせいせいした。じゃあこのままにして放っておきましょ」

 

『待て。せめてあいつの気絶の確認をしないといけない。気を緩めるな』

 

「分かってるわよ。でもアイツが地面に伏せたと思うと、面白くて――キャッ!?」

 

 

 そのときだった。突如地面から出てきた爪にルーミアの足が掴まれ、そのままルーミアが地面の中に消えていった。

 

 

『ルーミアッ!!』

 

 

 すぐに追いかけるが、当然のごとく間に合わなかった。

 しかし、一瞬見えたあの爪。あれはまごうことなき―――、

 

 

「あいつ…モグラも喰ってたのかッ!?」

 

 

 モグラだった。ゲレルは本当に雑食だったのか、そんなものまで食べていたとは驚きでしかない。すぐに周りを確認する。もう自分以外は誰もいない。シロや圭太たちも。おそらくは豊姫の能力で都辺りに避難しているのだろう。気づかなかった。

 しかし、今はそんなことをしている場合じゃない。追わないと。

 

 

KAMENRIDE WIZARD!

 

ヒー!ヒー!ヒーヒーヒー!

 

 

 D電王はDウィザードへと姿を変え、ファイナルアタックライドのカードを装填する。

 

 

FINAL ATTACK RIDE WI WI WI WIZARD

 

 

 エネルギー体の【ドラゴヘルクロー】を装備して、地面を掘り進む。そのまま【ドリル】の魔法も同時使用して掘削(くっさく)していく。すると、現在進行形で地面に埋もれていくルーミアを見つけた。

 そして案の定、ゲレルの体はモグラそのものになっていた。Dウィザードはゲレルよりも早く掘り進み、ゲレルを地上に吹き飛ばす。

 そのままルーミアの体を掴んで、地上へ脱出した。

 

 

「うへぇ…ありがとう」

 

『この一級フラグ建築士が!力が強くなってもそこは変わらねぇな!?』

 

「ご、ごめんなさい…」

 

 

 そういい、ルーミアを降ろす。彼女の服は地面に引きずられたことにより土で汚れていた。しかし、ほつれや穴などは一切ない。流石は“大妖怪”マクラの糸で編んだ服だ。並大抵の攻撃じゃびくともしない。

 

 

『説教はあとだ。今は目の前に集中しろ』

 

「うん。わかった」

 

 

 それと同時に、ゲレルが地面から落ちてくる。砂埃が晴れると、ゲレルの体は人間体に戻っていた。どうやらある程度の体力消耗で人間体に戻るようだ。仮面ライダーのフォームチェンジから基本フォームに戻るのと同じ原理である。

 

 

『あ?もう落ちてきたのか。もう一度宙に舞ってろッ!』

 

 

 Dウィザードが腕を振るうと、緑色の竜巻が発生し、ゲレルの体全体を覆い、ゲレルの体重では抗うことができずにそのまま再び宙を舞った。

 

 

「くそがァああああああああ!!!」

 

『それしか言えねぇのか、アイツ?』

 

「まぁいいでしょ。それより、どうするアレ?格好の的だけど」

 

『撃ち抜くに決まってんだろ』

 

「そうよね!」

 

『つーわけで。変身!』

 

 

KAMENRIDE KUUGA

 

 

 Dクウガへと姿を変えると、そのまま【ライジングペガサスボウガン】を装備すると、宙を舞うゲレルへと標準を合わせる。ルーミアも、闇で形成したスナイパーライフルを構える。

 

 

『スナイパーライフル…?』

 

「へへん。かっこいいでしょ」

 

『ちゃんと使えるのか?』

 

「もちのろんよッ!あんまり舐めないでよね!」

 

『だったら文句はねぇ』

 

 

FINALATTACKRIDE KU・KU・KU・KUUGA

 

 

『―――墜ちろッ!!』

 

 

 稲妻のごとき一閃が、漆黒の弾丸が、矢となり、弾となり、月の永遠の夜空が、稲妻によって一瞬だけ照らされた。

 ゲレルに闇の弾丸と【ライジングブラストペガサス】が直撃した。ゲレルは煙を上げながら、地面へと落下する。

 

 

「へへん!どうよ!」

 

『おい。お前が喋るとフラグでしかねぇからあんま戦闘のとき喋んな』

 

「酷!」

 

 

 ルーミアが隣でうるさいが、Dクウガの目線は相変わらずでゲレルを捉えて離さない。

 ゲレルが起き上がってくる。その顔には相変わらずと言っていい程青筋が浮かんでおり、服はボロボロだが、特に目立った傷はない。だが息は上がっている。

 

 

「ガァアアアアア!!」

 

 

 すると突然ゲレルが咆哮した。それと同時に上がっていた息が回復していた。また体力を回復された。完全に消耗戦だが、いったいいつになったらゲレルのストックは切れるのだろうか?

 

 そんなことを考えていると、ゲレルは突然深呼吸をして、肺に空気を貯めている。

 

 

(風系の攻撃か?)

 

 

 そう予測して、身構えていると――、

 

 

破滅波雷砲(はめつはらいほう)!!」

 

 

 突然そんなことを叫んだと思ったら、ゲレルの大きく空いた口から超濃密なまでのエネルギー砲が発射された。

 

 

「えっ!?」

 

『いっ!?』

 

 

 突然の出来事で固まったが、そんなことをしている場合じゃないし、避ける余裕すらないほど目の前の砲弾は速い。

 Dクウガは【ライジングタイタンソード】を二振り持ち、ルーミアは闇の大剣を同じく二本をクロスして砲弾に立ち向かう。

 強力な作用エネルギーが一方的なまでに二人を襲い、踏ん張っている地面に足がめり込み、後ろへと下がっていく。

 

 

「ちょ、これ…不味くない!?」

 

『いいからこっちに集中しろッ!……がァ!』

 

 

 一気に力を集中して二人一斉に光弾の軌道を逸らした。遠くで地面に着弾して爆発する音と風が襲ってきた。しかし、そんなことが気にならなない程に、腕の痺れが物凄い。アレ一発を返すのに、途轍もない負担を背負った。

 

 

(なんだあの威力…!?とてもエネルギーの貯蓄が切れかけているヤツから放たれるような技じゃねぇぞ!?)

 

 

 二人係――強化されているルーミアも含めてだ。その二人でなんとか弾けた必殺技。貯蓄が切れかけていると思わせてからの、完全なまでの不意打ち。やられた。

 

 

「ちょ!?何今の技!?アイツってもうエネルギーカツカツなんじゃないの!?」

 

『そのはずだ!なんだあの凄まじいエネルギー量は!?』

 

「流石に、お前らもさっきの技には驚いたか?そうだろうそうだろう!!どうだ?知りたいか?」

 

『……あぁ、是非とも知りたいなァ』

 

「その答えは……てめぇの女を俺のビックマグナムでぶち抜いた後で教えてやるよッ!!

 

『やっぱそうきたかッ!』

 

 

 ゲレルは自身の異常すぎる膨大なエネルギーを体の外に排出し、それを『変化』の権能でエネルギー球体へと変化させる。

 ゲレルの『変化』はこう言ったエネルギー操作にも大いに役立つ。どんな粗暴で野蛮な人間でも、精密なエネルギー収束が可能になるのも、『変化』の強みだ。

 

 盛大な下ネタを叫んだあとに、超高密度で小さなエネルギー弾が無数に二人を襲う。その数は、星――否、無数の流星群を思わせるほどの数だった。

 

 

『ちッ!』

 

「えッ――?」

 

 

 咄嗟にDクウガはルーミアを後ろへと押して、自分が前に出る。ライドブッカーからカードを取り出して急いで装填した。

 

 

――着弾する。

 

 

 途端に鳴り響く轟音と爆風。その衝撃で近くにいたルーミアも爆風によって体が宙を舞ってかなり後方へと飛ばされた。地面に体が激突する。打撲して、痛いと感じるが、服に傷がついているわけでもないし、肌が傷ついたわけでもない。本当に、ただの打撲だった。妖怪ゆえの耐久力だろう。

 

 しかし、零夜はそういうわけにはいかない。自分の代わりに全ての攻撃を一身に食らった。無事で済んでいるわけがない。

 

 

「零夜ッ!」

 

『なんだ?』

 

「――ん?」

 

 

 心配して叫んだのに、その次に心配した男の声が隣から聞こえた。思わず呆けた表情になって横振り向くと、カブトムシを模した戦士がいた。

 

 

KAMENRIDE KABUTO

 

 

 あの一瞬。瞬間的にDカブトに変身したあと、クロックアップで抜け道ができるほどの光弾を防ぎ、捌いた後、ルーミアの隣に移動した。ただそれだけのことをしていた。

 

 

『クロックアップでなんとかなった。気にしすぎだ』

 

「……私の心配を返して?」

 

『無茶言うな。それに、その心配はありがたく受け取っとくからそれで勘弁しろ』

 

「―――いいわよ。それで勘弁してあげる」

 

 

 ルーミアは不敵に笑う。その言葉だけでも、彼女にとってうれしかったからだ。

 だが、そんなルーミアの思考とは裏腹に、零夜は思考を張り巡らせていた。

 

 

(あのエネルギー量…どう考えても普通じゃねぇ。……まさか、エネルギーの出処が別にあるのか…?

 

 

 それならば、いろいろと納得がいく。あのエネルギー量、どう考えても普通ではなく、あれほどの力がゲレル自身から放出されているということは考えにくい。

 もう一つの可能性として、自身の生命エネルギーを力に『変換』していると言う可能性も考えたが、ゲレルがそんな自らの命を犠牲にしてまで戦うはずがない。あんな、他人を道具のように扱う人間が、自分のことを消費するはずがないのだから。

 

 Dカブトは目を凝らす。零夜の能力、『離繋(りけい)』は“繋ぐ”と“分離”が主な能力だ。そして、それを応用することによって“繋がり”を見ることが可能になる。

 それは力の流れ、感情の起伏などの繋がりを“線”としてみる力であり、逆にその線を“切り離す”ことも可能だ。そうすれば、力の流れを断つことも、恋人関係や友好関係をも断ち切れる

 

 本当ならいつでも使いたいのだが、これを使うと長時間ブルーライトに目を当てているような目の疲れが発生する。地味に連発ができない代償のため、使いどころを制限している。ちなみに対処方は蒸したタオルを目に当てることである。

 

 

(――やっぱりかッ!)

 

 

 この力を使い、ゲレルの“繋がり”を確認する。するとどうだろうか。ゲレルの体積を超えるほどの図太い光の柱が、天から降り注いでいるのが確認できた。

 あの柱から、尋常じゃないほどの膨大なエネルギーが常に供給され続けている。アレがカラクリだった。本来もうとっくに倒れてもおかしくないはずのゲレルが、未だに戦い続け、大技を連発できるほどのエネルギーの正体は、天から降り注ぐ柱。

 目の筋肉がズキンと痛くなってきたため、ここで中断する。

 

 

『ルーミア、お前、あのエネルギーの柱。……見えるか?』

 

「え?エネルギーの柱?そんなの見えないけど」

 

 

 一応確認してみたが、ルーミアは気づいていないらしい。隠蔽能力も凄まじい。あれほどの膨大なエネルギー、気づかない方がおかしいレベルだが、それを大妖怪であるルーミアにも気づかせないレベルで隠蔽するとは、紅夜の『隠蔽』と、どちらが強いのか気になってしまう。

 

 

「うまくよけやがったな…。だが、その幸運がいつまで続くかなァ!?」

 

 

 ゲレルの周辺に、バレーボールサイズの光の玉が複数出現する。その一つ一つが、先ほどの小さな玉よりも膨大なエネルギーを抱え込んでいた。

 そのエネルギー玉全てから、無数の線が――散弾のように飛来する。ホーミング弾のように、軌道を変えながら。

 

 

「死ねッ!!」

 

 

ATTACKRIDE CLOCK UP(クロックアップ)

 

FINALATTACKRIDE KA・KA・KA・KABUTO

 

 

「アガッ――ッ!?」

 

 

 一瞬の出来事だった。ゲレルの頭から勢いよく地面にめり込んだ。

 迫りくる壮絶な威力であろうホーミング弾。当たればただでは済まないはずだ。しかし、いかなる強力な攻撃も当たらなければ問題ない。クロックアップで全ての攻撃を一気に回避して、ゲレルの後ろに回り込んで、カブトの上段回し蹴りの【ライダーキック】をゲレルの頭に直撃させた。

 この技は本来、タキオン粒子を波動に変え、命中すれば敵は原子崩壊して消滅すると言うファイズの【クリムゾンスマッシュ】並みのおっかなさを持つ技で、威力は19t。

 

 そんな技を頭で直撃すれば、権能持ちのゲレルもただでは済まない。普通に顔から地面にめり込んだ。深く突き刺さって埋没しているため、すぐに抜け出すことは不可能なはずだ。

 

 この隙に―――、

 

 

『破壊させてもらうぜ。ルーミアッ!俺に向けて超弩級(どきゅう)の必殺技を放てッ!』

 

「えっ、零夜に!?こいつにじゃなくて!?」

 

『そうだッ!!さっさとしろ!時間がない!』

 

「あーもう!よく分からないけど分かったわッ!思い切ってぶっ放すッ!」

 

 

 ルーミアが闇の大剣を振るうと、自身の妖力を光に変換、集束・加速させる。闇の大剣から放たれる漆黒の極闇(きょくあん)。おそらくあれが本気の一振りだ。ここからでも感じられるほど、3年前のエネルギー量とは比べ物にならないほど強くなっていた。

 しかし、()()が強くなっていることは自分にとっても都合いいことこの上ない。そのままDカブトは能力を使って攻撃のエネルギー全てを右足に“繋げて”収束する。

 

 あっち側でルーミアの驚いた声が聞こえるが、無視だ。膨大な闇のエネルギーを収束した右足をそのままにして、再びファイナルアタックライドのカードを装填する。

 

 

FINALATTACKRIDE KA・KA・KA・KABUTO

 

 

 Dカブトの回し蹴りが、ゲレルに刺さっていた光の極太柱に直撃する。

 この柱は、現状、Dカブト――零夜でしか壊せない。このエネルギーの供給道(きょうきゅうどう)である柱は『離繋(りけい)』の能力を持つ零夜にのみ視認可能だ。普通見えないものを見る特別な能力さえ持っていれば、零夜以外でも視認可能だが、膨大なエネルギーの道であると同時に、大妖怪であるルーミアでさえも気づかないほどの高い隠蔽能力を保有していることも事実だ。

 この柱に、いったいどれだけの人物が気づけるのだろうか。

 

 そして、見えるのも現状零夜だけなのならば、壊すことも零夜にしかできない。この柱さえ断つことができれば、ゲレルを戦闘不能にすることができる。逆に、それができないと完全に負ける。

 

 タキオン粒子の力のほかに、空間系に強い闇のエネルギーを凝縮したルーミアの闇の力も加わっている。これで壊せない道理はない。

 

 

『うぉおおおおおおおッ!!』

 

 

 強力な力と力が拮抗する。Dカブトの攻撃が決して弱いわけではない。むしろ過剰な程に強力だ。それだというのにこの光の柱は一向に壊れる気配も、ましてやヒビが入るようすらも見せない。

 

 

――瞬間、光の柱が発光して、大爆発を起こした。

 

 

『なッ!?』

 

「きゃぁ!!」

 

 

 光の柱を起点として、周囲一帯が爆散する。地面の基盤すらも崩壊し、小石や土などは跡形もなく砕け散って消滅した。

 ルーミアは少し離れたところから爆発の衝撃を受けたからまだいいものの、Dカブトは0距離からの直爆を受けた。辺り一帯のものが完全消滅するレベルだ。無事で済むはずがない。

 

 

「零夜ッ!!」

 

 

 ルーミアは、爆発の範疇外で起き上がった。先ほどより服が汚れ、ついに服に傷ができてしまい、顔に少し傷がついてしまっていた。

 自分よりも零夜のことを優先し、零夜の名を叫ぶが、先ほどのように高速移動していて自分の隣にいる――なんてことはなかった。

 まさか、あの爆発で本当に――。

 

 そんな考えが浮かんでくると同時に、涙がにじみ出てくる。そんな、どうして。せっかく、強くなって、隣に立てると思ったのに―――、

 

 

「ガハッ」

 

「ッ?!零夜!?」

 

 

 突如自分の耳からかすかに聞こえた、零夜の声。爆発の範囲は半径約1キロ。しかもルーミアとは反対に吹っ飛んでいったはずだ。それでもなおそのかすかな声さえ聞きとる力は、大妖怪故のものだろう。

 ルーミアは耳を凝らす。ちゃんと聞こえる。かすかに聞こえる。愛しい男の声が。

 

 空を飛び、急いでその声が聞こえた方向へと急いで駆けつける。

 

 

「あ、ぐ…ッ」

 

「零夜!――え?」

 

 

 変身解除され、地面に身を投げている零夜の姿があった。来ている服はやはりと言うか、ボロボロになり果てていた。よく服が原型を保てているなと言う驚きもあったが、あの服もマクラの糸製だ。頑丈なのが取り柄だし、変身していた鎧を着ていたのだ。むしろあの程度で済んで良かったというべきだろう。

 

 しかし、問題はそこではない。ルーミアはそれを見た瞬間に、固まった。思考が停止したのだ。

 何故なら、零夜の目の前には全長約5メートルの腕が4本の翼が生えた首から下までの異常なまでに発達した筋肉が目立つ生々しい形容しがたい怪物が、いたからだ。

 

 なんだあの生き物は。あんな生き物、地球上のどこにも存在していない。全く未知の生物だ。妖怪だといえばまだ納得はできるが、妖怪特有の『妖力』はあの怪物のどこからも発せられていない。

 だったら、あの怪人は、いったいなんなのか。

 

 

『ヨクモ…ヨクモヤッテクレタナ。マサカ俺ノ力ノ供給源ニ気付クトハ。オカゲデコンナ気持チ悪イ姿ニナラザル負エナクナッタジャネェカヨ』

 

 

 その声は、ゲレルのものだった。どういうことだ?あの怪物が、ゲレル?もう人間の原型を留めていない。いや、『変化』の権能の力ですでに何度か人間の原型を留めてはいなかったが、あれは体を既存の動物の部位に当て嵌めたに過ぎない。あんな、地球上に存在していないような姿には、今まで一度もなったことはなかった。

 

 

『ダガ迂闊ダッタナ。アンナ力ノ衝突ガアレバ、爆発スルノハ必須。ソコマデ考エガ至ッテナカッタミタイダナ。俺ノ勝チダ』

 

「まだだ……まだ終わって溜まるか…ッ!!」

 

『イイ加減諦メロ。マァ安心シナ。女ノ方ハ俺ガジックリト可愛ガッテヤルカラヨ』

 

「んなこと…させるわけ、ねぇ、だろ…ッ!!」

 

『死ニゾコナイナニヲ言ッテモ無駄ダ。潔ク死ネ』

 

「させるかッ!!」

 

 

 ルーミアは咄嗟に動いた。脳よりも、体が先だった。

 闇の大剣を振るって、ゲレルを攻撃する。

 

 

『獲物ガ向コウカラヤッテ来タナ』

 

「うぐっ!」

 

 

 ゲレルの極太な4本のうちの一本の腕が一瞬で伸びて、ルーミアを掴んで離さない。しかし、ルーミアも負けない。握力と腕力を駆使して、手の中から離れようと指と指を自分から放そうと力を入れる。

 それに危惧を感じてか、ゲレルは二本の腕を使ってルーミアの拘束を強めた。

 

 

「あがッ!」

 

『オ前、強イナ。コノ姿ノ俺ガ、掴マエルノニ二本ノ腕ヲ使ウノハ、コレガ初メテダ。』

 

「う、ぐッ…!」

 

『ソウダ。今貴様ノ目ノ前デコノ女ヲグチャグチャニナルマデ犯シ尽クシテヤル。貴様ノ絶望ノ顔ガ、目ニ浮カブゾ』

 

「なッ!」

 

「ひっ――!」

 

 

 それを聞いて、ルーミアの顔が強張る。これではあの時の再現だ。それじゃだめだ。今この場の出来事は、自分があのトラウマから完全に脱却するための闘いでもあるのだ。もし、あの日の()()()が実現してしまったら、二度立ち直る自信がない。それに『自分』との約束も守れない

 

 

「誰が…あなたなんかのオモチャに…!」

 

『ソノ威勢ガイツマデ続クカ見物ダナ。サテ、ジャアマズハソノ邪魔ナ衣服カラ先ニ…』

 

「おい。調子に、乗るなよ…?」

 

『ア?』

 

 

 ゲレルが不意に零夜を見ると、零夜は立ち上がっていた。ただでさえ変身解除されるほど追い込まれ体から血を流しているというのに、精神力と根性だけでその場で立ち上がっていた。

 

 

「お前は自分が強いって勘違いしているみてぇだが、お前のその強力な力も、結局は常にお前に流れ続けている謎のエネルギー供給源があっての話だ。本来のお前は、ただの慢心バカだからな」

 

『負ケ惜シミヲ言ッテンジャネェヨ。ドンナ力ダロウガ、使エルモンハナンデモ使ウ。ソレガ勝負ノ世界ダロウガ。屁理屈言ッテンジャネェゾ』

 

「へー…。それくらいの知能はあったわけか。ただのバカだと思ってたが、なかなかやるな」

 

『…話ハソレデ終ワリカ?』

 

「あぁ。話に付き合ってくれてありがとう。……おいルーミア。熱いの、我慢できるか?

 

「……うん」

 

 

 彼女の了承の声とともに、零夜の腰回りに黄金に輝く、漆黒の宝玉がはまったベルトが出現する。それを見て、ルーミアは理解した。

 あのベルトは、自分と零夜が初めて敵対して、戦った時変身した姿になるためのベルトだ。しかし、アレを使った後は反動が尋常ではなかった。全快のときの零夜でさえ大量吐血と言うデメリットが襲ったのだ。もし、この状態でその力なんて使ったら――。

 

 

「やっぱりだめッ!それだけはダメッ!使っちゃ駄目ッ!」

 

『ナンダ、命乞カァ?サッキハ了承シタッテノニ、途端ニ手ノヒラ返シヤガッタ!ドウスル?ナンナラ俺ガ助ケテヤロウカ?』

 

 

 違うそうじゃない。心配しているのは自分のことじゃない。零夜のことだ。アレを使ったら、この戦いの後に、本気で死ぬかもしれない。ただでさえ零夜は自分の体のことに関しては無頓着だ。何度も危篤状態に陥って、今回も助かったのだから次回も助かるだろうと無意識のうちに楽観視している節がある。それも、彼の自分を大切にしていない思考故なのだが。

 

 

「零夜ッ!それは使っちゃ駄目!」

 

「悪ぃな。ぶっちゃけ、俺は、自分の体がどうなろうと、目的のためなら、どうだっていいんだ」

 

「零夜ッ!」

 

「――変s」

 

 

 

 

 

 

 

「自分の体を軽視するな、馬鹿者」

 

 

 

 

 

 

 

 突如、零夜の横から聞き覚えのある女性の声が聞こえたと思ったら、自分の服を引っ張られる。その女性自体が超高速で動いているため、人間やめている零夜の体でなければ体がバラバラになっていた。

 その声の主――女性はゲレルのルーミアを拘束している二本の腕に乗っかると、持っていた刀で腕や手を細切れにして、ルーミアを救出する。その肉片と血液が地面に落ちる前に、刀を帯刀(たいとう)してルーミアを担ぎ、ゲレルから少し離れたところまで移動した。

 

 

『ナッ!?グアァアアアアアアアアア!!!』

 

 

 その一瞬の出来事を、ようやく視認し、体が感じ取ったゲレルは、悲鳴を上げる。二本の腕は徐々に再生を始めるが、それでも痛みで悶えている。

 

 

『ナ、ナンダ!?ドウシテ俺ノ腕ガ…!?』

 

「こんな言い方をするのはクソ癪だが、私はお前と同じ権能持ち(どうるい)だということだ」

 

『ナッ!?オ、オ前ハ!!』

 

「お前の名前は聞かなくとも分かる。ゲレル・ユーベルだな?ようやく会えたな。我が宿敵」

 

「どう、して…?」

 

 

 零夜は呟いた。どうして、この場にいる?彼女に、この状況を知る術はなかったはずだ。シロが知らせたとしても、あの権能(ふたご座)は自分限定の権能のはずだ。それに、シロは今動ける状態ではない。だったら豊姫が?彼女だったら可能だ。

 いや、しかし、今はっきりしていることは――最大の助っ人であるということだ。

 

 

「どうしたもこうしたもあるか。そもそも私は今回の作戦に関与するにあたって、共にゲレルを討伐するという盟約を交わしたことをもう忘れたのか?愚か者が」

 

「―――」

 

「でも、ありがとう。おかげで助かったわ」

 

「礼など不要だ。……さて」

 

 

 彼女は一歩前に出て、ゲレルをしっかりとらえて視界から放さない。彼女の目に映るのは執念の炎。そして心の底から湧き上がる待望だ。

 

 

「その人間とは思えぬ醜悪な見た目…。本当に人間か怪しいところだが、貴様には戦う前に一つ聞かねばならんな」

 

『テメェハ…』

 

「その様子だと覚えているらしいな」

 

『忘レルワケガネェ。マサカ生キテタトハナ。流石ハ妖怪ッテ言ッタトコロダナ』

 

「いいや、違うさ。この服装は私の大事な大事な妹の形見の一つ」

 

『妹…?』

 

「どうせ死にゆく身だ。冥途の土産に私の名を教えてやろう」

 

 

 彼女は刀を抜刀し、その剣先を、ゲレルに向けた。

 

 

 

 

 

 

 

「我が名は【ライラ】。貴様が殺した我が妹【レイラ】の敵、今ここで晴らさせてもらう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 と、いうわけで今回はここで終わりです。

 ダークディケイドでライダー変身祭りを展開しました。零夜も一応ディケイドに変身すれば主役ライダーに変身できます。
 しかし同時にデメリットが存在していることも忘れてはいけない。ディケイドへの変身はあまりデメリットがなかったとはいえ、あの爆発を受けてあの程度で済んだのは相当運が良かったのです。
 あの爆発、実は爆発範囲は本来のものより狭いとはいえ、威力は水爆や核と言ったレベルで危険な爆発力でした。いくら人間やめてる体でライダーに変身していたとはいえ、アレを至近距離で受けてあの程度で済んだのは、なんでも言うようだが本当に奇跡だったのです。


 そしてゲレルの最後の変体(へんたい)。地球上に存在していない生き物になり果てていますが、モチーフは『悪魔』です。リバイスの方の悪魔ではなく、普通にファンタジーとかに出てくる、デーモン、ガーゴイルのような見た目です。


 最後に現れたライラ。普通に考えればライラはゲレルの登場などを知る術はなかったはず。零夜たちの闘いの裏で一体なにが起こっていたのか?シロか、豊姫か、はたまた別の――。

 真相はまだ分からない。


 次回、【因縁の対決】


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