戻ってきたスバルがクリプターになる話。 作:アステカのキャスター
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本当いつも読んでくれてありがとうございます!
そして今回からナツキスバルのクリプター編が漸く始まります!では行こう!!!
ファーストオーダーの罠
カルデアでの生活も半年が過ぎた。
Aチームのメンバーともそれなりに良くやっている。意外とキリシュタリアとヒナコと仲がいい。キリシュタリアは蓋を開けると子供っぽかったり、ヒナコは寂しがりで現代のラノベとイヤホンを貸したらハマってよく使用する。
カドックは少し目の敵にされるが、何というか昔の自分に似ている為構いたくなってしまうし、オフェリアとは気軽に話せる程度の友達にはなった。友達が居なかったらしいからマシュやペペを誘ってゲームしたり、魔術について教わったりしていた。ペペは結構面倒見の良い姉貴分でよく世話になる。
ベリルについては何となくだが近寄り難い感覚があった。フラットに接してくれる反面、何処か大罪司教を連想させる何かがあったからだ。まあ、話しかけられたら答える普通の知人。デイビットについてはまあ知人で、お互いに利用し利用されるくらいの間柄で、合理的な面で話し合う事が多い。
因みにオルガマリーとはあまり仲良くはない。
交渉の時にかましてしまった分、話しかけても怯えるだけだ。あとはレフ、魔術について教えてくれる部分はあるが、何故か知らないが
マシュについては結構感情の勉強として様々な経験をさせた。それこそ、楽しさだったり、少し悪い事だったり、様々な事を教えた。少しだけ人形っぽかった在り方が変わってよかった。ロマニは……サボり仲間。
半年で変わったのはもう一つあった。
それは、
理由は分からない。病死という事で片を付けられたが、スバルは腑に落ちない為、独自で調べたのだ。火葬された後に目を盗んでマリスビリーの遺骨に触れ、暴食の権能をフルに用いてマリスビリーが死んだ場所を特定、そこには僅かに残された血痕が発見された。
暴食で乾いた血を舐めると、そこにはマリスビリーと顔が見えない誰かが話している光景と、棚に仕舞って隠していた拳銃で
犯人の意図がわからなかった。
グランドオーダーは人理修復の重要な
今日が、そのファーストオーダーの日だ。
何か嫌な予感がするのは俺だけだろうか?
★★★
「ははははははっ!まさかオルガの説明で寝て外される奴がいるって、ビンタの所思い出しただけで……ブフォ!!」
「笑い過ぎよナツキスバル!!今からファーストオーダーなのよ!気を引き締めなさい!!」
「いや悪い悪い。でも丁度いい緊張解しにはなったと思うぜ?なあカドック」
「僕に話を振るな。やる気のない奴についてこられても鬱陶しいだけだ」
辛辣な事を口にして気を引き締めるカドック。
逆に引き締め過ぎていなければいいのだが、スバルの笑いに他のメンバー達も少し緊張がほぐれていったようだ。
今日がファーストオーダー。
第一特異点は聖杯戦争が始まった冬木市だ。
「図太さで言ったら貴方とどっこいどっこいじゃない?スバル」
「あれぇ!?何故か俺も罵倒されてないですかオフェリアさん!?」
「確かに」
「ヒナコまで!?」
肩を落とすスバルに横から通り過ぎるAチームの男達から無言で肩を叩かれた。そして何も言わずコフィンに入っていった。無言の慰めにスバルは膝をついて落ち込んでいた。せめて反論でもこの際慰めでもいいから無言で肩を叩いて同情するのだけはやめてほしかった。
「さっさと入りなさいナツキスバル!」
「わかったわかった!だからガンド打とうとするな!」
スバルもコフィンに入る。
レイシフト適性100%なら恐らく現地に無事に到着出来るだろう。レイシフトが開始されようとしたのをオルガマリー達が見つめる。
レイシフト開始のアナウンスが始まる。
スバルを含めたAチームのメンバーは目を瞑り始める。レイシフトに備えようと、スバルも目を瞑ろうとしたその時だった。
『レイシフトを開始しま––––––』
アナウンスと共に響き渡る爆音。
失うような身体の感覚、何度も経験した『死』の痛み。最後にスバルに見えたのは邪悪な笑みをするレフの姿だった。
★★★
「…………うっ、あ」
因子がまともに働かない。
時間を跳躍しようとした以上、傷ついた原因がレイシフトの時間跳躍なせいか、『色欲』の権能による自動回復が遅すぎる。身体が時間の概念に傷つけられた可能性があるようだ。
それでもスバルは立ち上がった。
各場所から煙の臭いと、辺りを焼く炎の海。
レイシフトのコフィンの時に、『強欲』を辛うじて発動したおかげで即死は免れた。だが、腕が上がらず、頭から大量の血が流れ、爆破された瓦礫がスバルの身体に突き刺さっている。
「……A……チームの…メンバーは……」
『憤怒』を発動し、全員の居場所を探す。
致命傷である以上、スバル自身も長く持たない。確か、カルデアでのには凍結保存する機械があった筈だ。恐らくスバルも仮死になる以上、その後に治療すればまだ助かるかもしれない。
「……見えざ…る手ぇ……!」
『怠惰』の見えざる手を発動し、瓦礫を退けてAチームのメンバーや他のチームのメンバーを一か所に集めていく。血で目の前が霞む、意識が徐々に遠のいていく。だが、どのみち動こうが動かなかろうが死ぬ事に変わりはない。
Aチームのメンバーの身体は奇跡的にも五体満足だ。欠損もないが、出血量が酷い。Bチーム以下では欠損がある人間もいるが、それに構っている余裕はない。
「これは……菜月君!?」
「ロマニ……か……」
管制室に立ち入ったロマニがスバルを見つけた。
スバルの後ろには今にも死にかけているレイシフトのメンバーが居る。瓦礫を一人で退けて、1か所に集めたのを見たロマニは驚愕していた。
酷い出血だ。レイシフト用のカルデア戦闘着に血が滲む程の傷、瓦礫が突き刺さるスバルの身体は既に常人なら生命活動を停止している程に……
だが、そんな中で全てのメンバーを一か所に集めた。
スバルももう限界にも関わらず、それがどれだけ大変な事であったのかロマニでさえ思考が追いつかない。
「悪…い……マシュだけ……見つからなかった……」
「これは君が……?」
「時間が…ない……ロマニ……悪い…けど…コイツ…らを…任せ……る」
ロマニの白衣を血塗れの手で掴んで告げる。
スバルの意識が遠のき、これが最後の言葉になる。
「犯人は……レフだ……後は……頼む」
スバルの意識はここで途絶えた。
死ぬくらいに遠い意識と痛みに蝕まれ、ナツキスバルは異世界から戻って初めての『死』の痛みを感じ、意志も心も身体から離れていくように意識が途絶えた。
★★★
次に目が覚めると、そこには何も無い空間に揺蕩っていた。
身体は宙に浮いているのか分からない。ここが上か下かなんてわかる筈が無い。死から現実に戻る時のわずかな感覚と同じ。
「––––––状況の変■を確認し■」
突然、脳に声が響き、目の前に光が現れる。
伽藍洞の主は、スバルに語りかける。それは
「選ば■し君た■に提案し、捨■られた■たちに提示する」
今自分は生きているのか、此処は何処なのか。
言葉にノイズが入るようだ。何を言っているのか分からない。
「■■を望むな■ば、蘇■を選べ」
何を言っているのか、分からない。
聞こえない。聞こえる声が虫食ったかのように聞こえなくなる。
「■■を望■■らば、永■■眠■■選■」
まるで、通信を誰かが阻害しているようで、徐々に目の前の光すら消えていく。身体も目の前も深い闇に消えていく。痛みはなかった、不快感はなかった。
「■は■■■■■■■」
ノイズは完全に聞こえなくなった。
そのまま目を瞑り、眠りにつけば聞こえるのだろうか。浮遊感に身を任せ、スバルは再び意識を失った。
「––––愛してる」
最後に聞こえたのは酷く耳に残る魔女の囁きだった。
次回、サーヴァントのステータス公開。
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